黒銀~silvery black~・改   作:蒼乃翼

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※2017年1月15日 改定


7話 再会

レンの元から退院したフェイトは、はやて達と小型次元航行船に乗ってミッドに戻って来た。その間、シグナム達とは非常に気まずい空気が漂っていた。はやてが上手く空気読んでくれたので、それ以上拗(コジ)れることはなかったが、修復には時間がかかりそうだった

管理局の次元港では、リンディ、クロノ、アルフ、エイミィが出迎えてくれた、女性陣は泣いて無事の帰還を喜んでくれた。クロノは平静さを装っていたが、その目は安堵に満ちていた。

フェイトはそのまま病院に直行した。検査の結果、身体に異常はなく念のための入院で一泊することになった。そしてその夜・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

深夜。フェイトはベッドの上で何度目かの寝返りとため息をついた。

「……」

フェイトは起き上がると病室を抜け出て、個室なので特に気を使う事もなく、なのはが未だに眠る集中治療室の前まで来た。

「…なのは…」

幾本ものチューブや電極コードが繋がれたままベッド上に寝ているなのはは、未だに目覚める気配がない。繋がれた先の機械のモニターが映す数値と心電図だけがなのはが生きているという証でしかなかった。

この小柄な身体でなのはは今までたくさんの事を成し遂げてきた。フェイトと出会ったPT事件。はやてやヴォルケンリッターと出会った闇の書事件。その後管理局に入局してからはさらに多くの事があった。あり過ぎた。そしてそれを成し遂げすぎた。

それはいくら本人が頑丈だと主張し気丈に振舞っても、そこはまだ10代の少女。

成長途上の身体には負担が大きすぎ、その疲労が蓄積し、その結果が・・・・・

「……」

フェイトは考えていた。このままなのはをここに入院させていて良いのか。目が覚める可能性、目が覚めてもなのはが今まで一生懸命やってきた魔導士として生きれない。

「……」

一瞬、このままの中途半端な“生かしている”状態のなのはを解放しようとしたが、その時、目の端に自分の金髪が垂れた。こちらに戻ってからも戻さなかった、三つ編み。

フェイトの脳裏にあの男、レン・ジャックジャガーのわざと悪ぶっている顔が浮かんだ

「……、…」

高圧的な態度や言動、第一印象は最悪に近かった。有無を言わさず服も脱がされた。あと目付きも悪い。しかし自分を治してくれた医術を持っているし、あの場所なら未だ発見されていない、管理局直下の医療機関にない方法でなのはを助けてくれるのではないか。

「、…。」

フェイトは首を横に振った。この状態のなのはを移動させるには専用の移送手段が必要だ。手続きやその他諸々、義兄(クロノ)や義母(リンディ)に頼んでもまだ足りない。何よりあの世界は未知数の危険が多すぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

退院手続きで病院ロビーにいると、黒いスラックスにベスト、Yシャツに紐タイという長身の男が目に入った。その男が後ろを振り返ると、分厚い隈が浮かび上がった悪い目つきと視線が合った。

 

「…、…、…、…」

「…………」

フェイトも、その視線の先にいる男・・・、レン・ジャックジャガーもお互いの顔を見たまま固まっていた。フェイトは口を開いたが言葉が何も出てこなかったし、レンも眼鏡の奥の目を丸くしていた。初めて会った時の鋭さはなく、フェイトが泣いた時にてんぱった時の目になっている。

「…よう、元気そうだな」

「あ…、はいおかげ様…で…?」

「…」

「…」

2人とも会話が続かない。

「あの…、ここには何しに?」

「あ~、お前にも関係している事なんだが…」

レンは鋭い銀色の髪を軽く掻き揚げた。

 

「お前を墜した連中を半殺しにして届けに来た」

 

そう言って牙の様な犬歯を剥き出して笑うレンの顔はどっちが悪役か分からないくらいだ。

「ど…、どうやって?」

不意を突かれたとは言え、魔導士ランクAAAの自分を撃墜した集団相手に魔力無しのレンが敵うとは思えなかった。

「あそこは俺の庭みたいなものだからな。ジュエルマンモスっつー生半可な魔法じゃびくともしない猛獣をあいつらのアジトに誘き出してぶつけた」

「……」

フェイトは唖然としていた。

「で、混乱と負傷して出てきたところなら俺でも捕縛可能。だから半殺しにしたのは俺じゃなくてジュエルマンモスだ」

「…はぁ…」

フェイトは口から空気が漏れたように声を発した。しかしすぐに唇を結んで、昨夜自分が思った事を口にした。

「…あ、あの、治して欲しい人がいるんです」

「ほぉ?」

レンの目付きが、医者の目付きになった。

 

ICU(集中治療室)前にフェイトはレンを案内した

「こいつか?」

「はい、高町なのは。私の友達です」

「ふ~ん」

レンは診察用の眼鏡をかけるとなのはを見た。

「…はぁ~、ん」

眼鏡を光らせながらなのはを観察するレン。すると、院内アナウンスでフェイトの名前が呼ばれた。

「あ、そういえば退院手続きの途中だった…」

「ちっとばかし視診に時間がかかる。さっさと済ませてこい」

「あ、はい…」

フェイトが廊下の門を曲がったのを確認するとレンはICU(集中治療室)に入った

「さて…」

レンはなのはを上から覗き込んだ、その時・・・、

緑色の鎖がレンの身体に巻きつきそのまま廊下まで引っ張られ、壁に叩き付けられそのまま壁に磔にされた。

「っ痛…」

レンの目の前に青い魔力ナイフが突きつけられた

「何者だ」

「なのはに何をしようとした」

魔力ナイフを突きつけている黒髪の少年と魔力鎖で縛っている金髪の少年はレンに詰め寄った。2人とも怒気を含んだ目でレンを睨んでいた。

「っ、ちぃ…、」

なのはの視診に神経を集中させていたレンは普段なら回避できた不意打ちを喰らってしまい、苛立っていた。

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。未成年者への不埒な行為、このまま現行犯で連行する」

「ぁ?」

レンは目付きを一気に悪くしてクロノを見返した、が、同時にファミリーネームに違和感を覚えた。

「ハラオウン…、お前フェイトの兄貴、か!?」

フェイトの名前が出た瞬間、レンの顔を魔力ナイフが切り裂いた。頬がうっすらと一文字に赤くなったと思ったらそこから血が滲んできた。

「フェイトに何をした…」

レンは一から説明するのが面倒で、どうしたものかと思案していると・・・

「クロノっ!ユーノっ!何してるの!?」

 

手続きを済ませて戻って来たフェイトはICU(集中治療室)前の状況に驚いた。

レンの拘束を解いた・・・それでも警戒はしている・・・クロノとユーノはフェイトから説明を受けた。

「…知らぬ事とは言え、義妹の命の恩人に…、失礼した」

クロノは素直に頭を下げたが、ユーノはあからさまな敵意をレンに対して向けていた

「で、なのはは治せるんですか?」

レンは眼鏡を右中指で押し上げた

「あぁ」

レンの答えはあっさりしていた

「…ここの医師でも治せる確率は30%を下回ると言っているんですが…」

クロノは顔に冷汗を浮かべた

「俺の医術と薬術、それと、曲がりなりにもここは管理局の病院、設備は揃ってんだろ、なら可能だ」

レンは断言した。

「それと、これが一番重要なことだが、報酬についてだ」

「あ、ああ…」

クロノは頷いた。

が、レンの口から出た値段、額を聞き、ユーノやフェイトまで驚愕した。

それは、通常の倍どころではなく、10倍。

法外のさらに上をいく金額だった。

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