魔都聖杯奇談 fate/Nine-Grails【中国史fate】 作:たたこ
逐次更新します 11/22更新
十年前、上海におけるとある戦争に応じた剣の英霊は、当時を振り返って思う。
「もし、これから九鼎戦争に参加したいというヤツがいるなら、先輩として一つ言っておこう。
もし、最初からお前が人生に悔いがある、たとえば人生をやりなおしたいとか、誰かを救いたい欲望があるならまー好きにしやがれ。九鼎だってくれてやらんこともない。だけど」
「もし、お前が人生にそれなりに満足していた英霊ならば、現世を見たいとかそんな軽い気持ちで召喚に応じるもんじゃない。
忘れるなよ、お前が今から呼ばれる世界は時は隔てているものの、お前が生きた世界と変わらぬ世界だ。そこへ仮初とはいえ肉体を得て二度目の生を得るんだ。
たとえお前が幸せであっても、お前の消えた後の世界がお前の望む形でなかったと知ることになる。生前に納得しているからこそ、新たな生で再びの未練が生じるぞ」
彼女も、人生に対し悔いを残した英雄ではなかった。ゆえに召喚に応じる理由は、些細な、むしろ気まぐれと言ってもいいほどのものだった。
「生前、私は徹頭徹尾自分のために生きた。皇帝になったのだって、それの延長っていうかデスオアエンペラーって感じだったからだし、天下を治めたのは私が生きるためにはそうしなきゃいけなかっただけだから。だがまあ、なんだかんだ悪くない人生だったわけだ。だからさ、こう延長戦みたいな、オマケの人生ではやったことないことでもしてみっかってな」
生前ならばともかく、英霊は既に死して存在が固定されている。その写しとして召喚されるサーヴァントは、英霊自身が思う以上に生前の行いと人々の幻想に縛られている。
だから召喚に応じようとした彼女の動機は、その前提と彼女の生前からすればからすれば、成就は少し難しいと思われるものだった。
「人助けなんて、性に合わないことしよーとするもんじゃねーな」
*
青年は、最強たることとと愛を欲した。
皇帝の鋳型は、ただ一人の救済を望んだ。
少女はただ、祖霊を慰めたかった。
至仁の皇帝は、生前と変わらず人助けをしたかった。
男は強く、表と裏の支配者たらんと欲した。
神矢はただ、助けを求められたから応じたまで。
女はただ、己が国の正義を信じていた。
神勇は、尊敬する者の一番になりたかった。
少女はずっと、一人残った家族を想っていた。
夷狄はただ、「中華を滅ぼすもの」として存在していた。
男はひたすら、己の栄達を欲していた。
戦乱の風雲児は、いまだ見果てぬ夢を追いかけていた。
男は家の悲願成就を願っていた。
狂人はひたすらに血潮と悲鳴と汚濁を愛していた。
男は、祖国のために尽すつもりだった。
傾国はただ、どんな形でも愛を貫き通したかった。
少年はただ、死にたくなかった。
粛清の皇帝は―――――
十年前、上海の裏で繰り広げられた戦いがあるという。
そして十年の時を超え、その争いは再び上海を血に染める。
あらゆる願いを叶えるという万能の願望器『九鼎』を巡り、七騎のサーヴァントと魔術師――十年前から続く因縁を巻き込んで争いは加速する。
善か悪か、 美か醜か、正義か悪か。
否、否、否。全ての尺度は強きか弱きか、ただそれだけ。
奇跡を欲するならば、汝。
己が実力を以て、最強を証明せよ――――!
*
簡易設定
【サーヴァント】
女セイバー
剣士の英霊。「三騎士」の一角で、バランスが取れた能力から「最優」と称される。……はずが異様にピーキーな性能の名ばかりセイバー。生前は男として生きた。黒髪セイバー顔だが中身はオッサンの残念系美少女。
男セイバー
剣士の英霊。「三騎士」の一角で、バランスが取れた能力から「最優」と称される。こっちは本当に最優セイバー。どの分野でも超一流に至る才能を持つため、パラメータが軒並み高い。素朴な性格で親しみやすく、目立った欠点はないがギャグが寒いのが玉に傷。
アーチャー
弓兵の英霊。「三騎士」の一角。高い単独行動スキルと射撃能力を持つ。(後日追加)
ランサー
槍兵の英霊。「三騎士」の一角。最高の敏捷性と高い白兵戦能力がある。赤みかかった長髪を持つ屈強な武人。己の腕に自信を持ち、それに違わぬ実力を持つ生涯無傷の神勇。生前の主君に絶対の忠誠を誓い、彼の願いもそれ絡みだとか。ちなみに口はかなり悪い。
ライダー
騎兵の英霊。「騎乗兵」とも。高い機動力と強力な宝具を数多く所有するサーヴァント。(後日追加)
バーサーカー
狂戦士の英霊。基本能力を問わず、ただ狂う事で破壊にのみ特化しているクラス。真明隠す気/Zero。 (後日追加)
キャスター
魔術師の英霊。基本的にランクA以上の魔術を持つ英霊が該当する。傾国といえる美貌に豊満な肉体をを持つ妙齢の美女。「あざといからいやぁよ」と本人はやらないが、その気になれば狐耳が生えるらしい。
アサシン
暗殺者の英霊。「マスターの天敵」とされるクラス。一見して「とてもドス黒い・赤黒い」印象を与える三十半ばの男。武器は同じく赤黒い剣で、無限に分裂させることができる。生前は四川の人口をゼロにするほどの大殺戮を行った。
ルーラー
裁定者の英霊。聖杯自身に召喚され、『聖杯戦争』という概念そのものを守るために動く、絶対的な管理者。赤い頭巾に僧衣という不思議な恰好をした少年(少年に憑依しているため、本人が少年というわけではない)上海全土に宝具による結界を張り、厳格な
【マスター・その他人物】
楊 潤華(よう じゅんか)
道術(キョンシー使い)の家に生まれた魔術師(道士)。十七歳。自身にかかった呪いと十年前の戦争の真相を知るために九鼎戦争に参加する。
雷 剣英(らい けんえい)
上海生まれ(?)、日本長崎育ちの少年。十七歳。雷家の人間だが、実際血縁はかなり遠い。雷家の本マスターを補佐するために上海に帰ってきた。あんまり人の話を聞いていない。
エリー・シャルロット
杜 月笙(と げつしょう)
纐纈清正(こうけつ きよまさ)
仲(ちゅう)
雷建良(らい けんりょう)