Infinite Stratos Also sprach Zarathustra -Re:boot-   作:ゆき

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Act 1: 出会いそして再開

Act 1: 出会いそして再開

 

2030年4月6日。

季節は春、気温は程よい温かさ。桜は花を咲かせ踊るように舞い落ちている。

まさに高校の入学式に相応しい天候だ。

新しい世界の幕開け、新しい出会いが待っていることだろう。

だが一夏はそんな記念すべき1日だというのに、心の中に深々とため息を付いていた。

それはクラスに男が俺ともう1人しかいないという点と同級生、先輩方は全て女子、

教師も女性のみ。

それに寮制度のために女子達と同じ屋根の下で生活を3年間を共にするというのは

思春期の男子にこれほど辛いものはないだろう。

 

「織斑一夏君っ」

 

「はい!?」

 

真耶の声が耳に入ったのか一夏は奇声を挙げて勢いよく顔を上げる。

それと同時に周りからは案の定クスクスという笑い声が上がる。

 

「あっ、ごめんね。怒っているわけじゃないんだよ?

ただ、自己紹介してほしいかなって...ごめんね、駄目かな?」

 

「いえ、大丈夫です。そんなに謝らないでください」

 

一夏が色々と考えている間に自己紹介タイムが始まり、一夏の番になっていたようだ。

一夏は深呼吸をし息を整えるとスッと立ち上がる。

すると釣られるようにクラスメイトの女子達は一夏に注目する。

 

「えっと、織斑一夏です。よろしくおねがいします」

 

一夏は頭を深々と下げて、上げる。

一瞬空気が固まって一拍おいてまばらな拍手が起きた。

周りからはそれで終わりなのかという落胆の声や不満げな視線を向けられる。

 

「以上です」

 

ガタガタッと音を立てて数人の女子が席から転がり落ちていく。

自己紹介にすらなっていないので真耶もどこか不満げな表情である。

 

「あっ、やっぱり短いですかねーー」

 

「当たり前だ馬鹿者」

 

次の瞬間、一夏は背後から出席簿でいきなり叩かれた。

 

「ーー!?」

 

恐る恐る振り向くと

鋭い吊り目に、黒いスーツと黒いストッキングの似合う長身とボディライン。

組んだ腕。

 

「千冬姉!?」

 

再び一夏は叩かれた。

あまりにも音が大きいため数人のクラスメイトは若干引いていた。

 

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

 

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

 

一夏を叩いたときの低い声はどこにいったのかと思えるほど優しい声だった。

真耶は副担任ですからとどこか誇らしげである。

 

「それでお前は、自己紹介もまともに出来んのか?

同じ男子だ。アトラシア手本を見せてやれ」

 

「はいっ」

 

千冬の指名にロートスは立ち上がり、

クラスメイトの方に視線を移す。

 

「皆さんはじめまして、ロートス・アトラシアといいます。

織斑一夏君と同様に男性ですがISの起動と操縦が行えます。

皆さんより知識や経験量は少ないと思いますのでご指導ご鞭撻をいただけると嬉しいです。

あとは甘いものが好きですね。以上、よろしくおねがいします」

 

ロートスは深々と頭を下げる。

一夏の挨拶はまばらな拍手だったが、今回はクラスメイト全員から歓迎の拍手が起こる。

ロートスは再度会釈すると再び椅子にかけた。

 

「織斑、これが自己紹介というものだ。わかったら席につけ」

 

「はい...」

 

これ以上なにか言っても叩かれるだけだと自覚した一夏は黙って席に着いた

すると千冬は教壇の前に立つ。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。まずは入学おめでとう。

これから一年間、君達が使い物になるように指導するのが私の仕事だ。いいな」

 

学校の教師というよりも軍隊の鬼軍曹を連想させる挨拶だったが、

困惑のざわめきではなく黄色い声援が響いた。

 

「...何故、毎年毎年これだけ馬鹿者が集まるのだ?

私のクラスに集中させられているのかと真剣に考えさせられてしまうな」

 

千冬はポーズではなく心から嫌そうな表情を浮かべる。

生徒の前にそういった表情を浮かべても人気が衰えないのが

「ブリュンヒルデ」 織斑千冬なのだ。

 

「SHRはこれで終わりだ。

諸君らにはISの基礎知識の振り返ってもらう。その後は基本動作と実習に入る。

いいな!」

 

再び、黄色い声援が響いた。

状況を飲み込めていない一夏は深々とため息を付いたのだった。

 

***

 

「ちょっといいか?」

 

「ん?」

 

1時間目のISの基礎知識理論授業が終わって現在お昼休み。

まず声をかけたのは一夏だった。

 

「俺は織斑一夏。よろしくな。

いやぁ、しかし俺以外の男子がいて本当に助かったぜ」

 

「僕はロートス・アトラシア。よろしくね。

確かにこの状態だと1人だったら辛かったと思うよ。うん」

 

現在廊下には他のクラスの女子、2、3年生の先輩達が詰めかけていた。

まるで動物園に飼われている動物のような気分になるのはそうおかしいことではない。

羨望の眼差し、男のくせにと見下す眼差しと三者三様で昼休みなのに全くといって落ち着かないのである。

 

「少し、いいか?」

 

「ん?」

 

「おっ?」

 

周囲の女子がロートスと一夏を遠巻きから見てヒソヒソ話をしている中、

1人の女子が声をかけてきた。

 

「...やっぱり箒か?」

 

「......」

 

少女の名前は篠ノ之箒。

6年ぶりの再開となる一夏の幼馴染だった。

篠ノ之神社の巫女兼篠ノ之流剣術道場の娘である。

髪型は小学生の頃から変わらず長い黒髪でポニーテールにしており、どこか侍のようで凜としていた。

 

「一夏君、知り合いかい?」

 

「幼馴染ってやつだよ。なっ、箒」

 

「あぁ、幼馴染だ。会うのは6年ぶりくらいになるか。

しかし私だとよくわかったな」

 

「ん?だって去年の剣道の全国大会で優勝してただろう?

ネットニュースになってたし、そのとき写真乗ってたしな」

 

箒は一夏の言葉を聞くなり、顔をいちごのように赤らめた。

 

「な、何故ネットニュースなんか見てるんだっ」

 

「えぇ...ネットニュースくらい好きに読ませてくれよ。

でもまぁ、箒だってすぐにわかったぜ。髪型小学生の時のままなんだな」

 

一夏は箒の髪に指をさす。

 

「よく、そのような昔のことを...」

 

箒は一夏に悪態をつくが、どこか嬉しげで長いポニーテールをいじった。

すると昼休み終了のチャイムが丁度鳴り始める。

ロートス達を遠巻きから見ていた他のクラスの女子、2、3年生の先輩達は蜘蛛の子を散らすように去っていった。

クラスメイトも出席簿で叩かれた一夏を見ていたためか足早に席に戻り2時間目の準備を始めている。

 

「次の授業の準備しないと。一夏君...また叩かれても知らないよ?」

 

「いや、それは勘弁してください...」

 

一夏も叩かれるのは御免だと言いながら足早に自分の席に戻っていった。

 

***

 

「ーーということになります」

 

スラスラと手元のタブレットを見ながら真耶は授業を進めていた。

千冬がISの基礎知識の振り返ってもらうという発言通り、

内容は総復習で事前にISに関する学習を行っていた生徒たちからすれば

これとって難しい内容ではない。ないのだが、この授業についていけてない生徒が1人いた。

 

そう織斑一夏である。

IS学園に来る前に入学前の参考書をもらったがあの短時間で全て読破するなど不可能。

それどころかバタバタしており一切読んでいないのだ。

 

「織斑君、どこかわからないところがありますか?」

 

頭を抱えている一夏に気がついたのか、真耶は優しく訪ねてきた。

 

「えっと...」

 

「わからないことがあったら是非、言ってくださいね!

ISの基礎知識について見落としがないかの確認の時間ですので!」

 

真耶は誇らしげにドヤ顔する。

 

「先生!」

 

「はい、織斑君!」

 

「全部わかりません!!!」

 

ISの基礎知識が一切わからないのは事実であり、

知識の知ったかぶりは後々に悪い影響を及ぶすのは明らか。

千冬と比較すると真耶は優しい教師であると踏んだ一夏は素直に現状の自分を吐露した。

 

「えっ、全部...全部ですか?」

 

先程までのドヤ顔はどこへ言ったのか、困惑を通り越して顔を引きつらせている。

ロートスを含めた他のクラスメイトはは面食らったように目をぱちくりとさせた。

 

「えっと、入学前に配られた参考書は読みましたか?」

 

「IS起動させた後はバタバタしていて...すみません」

 

「だ、だ大丈夫ですよ!これから覚えていけばいいんですから!

アトラシア君は...大丈夫ですか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

ロートスは自信ありげに即答する。

 

「では現在、ISの装甲に使われている素材はわかりますか?」

 

「はい、Eカーボンです。

文字通り炭素系素材で、高い強度と加工のしやすさから主にISの装甲として使用されています。

一部の重要施設の障壁にも使用されていますが、加工代が非常に高価なため

貴重なIS関連に優先的に回されているが現状です」

 

「ではEカーボンのEはなんの略でしょうか」

 

「ラテン語で「優れた」を意味するExcelsiorの頭文字を取っています」

 

「素晴らしい。アトラシア君は大丈夫そうですね」

 

問題は一夏である。

IS学園に入学する前に配られた参考書はあくまで自分が身につけた知識が誤っていないか、

忘れている部分はないか再確認するものである。

ISを操縦する上では参考書に書いてある基礎知識を全て把握しているのが絶対条件。

知識がない人間にISを操縦させて事故でもが起きれば責任問題で教師の首が切られかねない。

 

「山田先生」

 

ロートスが挙手をする。

 

「はい、アトラシア君」

 

「僕が可能な限り一夏君にISをの基礎知識を教えるのは駄目ですか?

あとは放課後に山田先生に聞きにくとか...」

 

「それ!それいいですね!いかがですか、織斑君!」

 

「えっと...」

 

一夏にとってそれは願ったりかなったりである。

 

「お願いします...」

 

徹夜で勉強しないとな。

前途多難な一夏であった。




そういえばISって来月の5月で10週年なんですね。
アニメ1期なんてもう8年前と聞いてビックリしました。



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