Infinite Stratos Also sprach Zarathustra -Re:boot-   作:ゆき

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Act 2: 手袋を受け取る度胸はあって?

Act 2: 手袋を受け取る度胸はあって?

 

「少しよろしいでしょうか?」

 

「ん?」

 

「お?」

 

2時間目の休み時間。

一夏は授業で分からなかった点をロートスに聞いている時にいきなり声をかけられた。

話しかけてきた少女は縦ロールにととのえた長い金髪に透き通った碧眼が特徴の美少女だ。

ドレス風に改造された制服も相まって、どこか気品があり高貴な出で立ちをしている。

 

「聞いてます?お返事は?」

 

「あ、あぁ。聞いているけど要件はなんだよ?」

 

少女はジッと一夏の手元をジロジロ見ると深い溜め息をつき、

やれやれと真は首を振った。

 

「あの「ブリュンヒルデ」の織斑先生で弟と聞いて期待していたのですが...がっかりですわね」

 

「いや勝手に期待されても困るんだけが...というか誰?」

 

「ええええええーーーっ!?!?」

 

話を聞いていた女子達は驚きの声をあげ、金髪の少女はこめかみに青筋をたてていた。

自己紹介は途中で切り上げられてしまったので目の前の少女の名前を一夏は知らないのである。

 

「えっ、なんでみんなそんな驚いてるんだ?」

 

「織斑君...ISの基礎知識を知らないのはわかるけど、セシリアさんを知らないのはちょっと...」

 

「なぁ、ロートス。もしかして有名人だったりするのか?」

 

「英国貴族オルコット家の現当主にして国から専用機を与えられている英国の国家代表候補生の

セシリア・オルコットさん。メディアへの露出も多いから結構な有名人だよ」

 

「ほー。というか詳しいな」

 

いやそれくらい常識だよという視線が向けられるが、

実際に一夏は知らないので見栄をはらず開き直るという選択肢をとる。

 

「ようはエリートってことだよな?」

 

「まぁ、一言でまとめるとそんな感じかな...放課後そのへんについても説明するね?」

 

「おっ、助かるぜ!」

 

「私を差し置いて話を進めないでくれます?」

 

セシリアは机をバンと叩く。

その様子はどこか親にかまってほしい子供のようにも思えた。

 

「色々と言いたいことはあるんだろうけど、後にしてくれないか?

次の授業は千...織斑先生だぜ?このまま会話を続けてもいいけど、出席簿で頭を叩かれて脳細胞

減らしたくないだろ?」

 

「...それもそうですわね。またあとで来ますわ」

 

出席簿で叩かれた姿を見ているセシリアはすんなりと引き下がった。

わざわざ自主的に叩かれたいほどMではないということである。

 

***

 

2時限目とは打って変わって教壇の前には千冬が立っている。

真耶はその後ろに立ち、タブレットに文字を打ち込んでいた。

 

「授業を始める前に再来週行われるクラス対抗戦(リーグマッチ)に出る代表者を

決めないといけないな」

 

クラス代表者とはクラス対抗戦(クラスリーグマッチ)の参加、会議や委員会への出席といった

学級委員長のようなものである。

クラス対抗戦(クラスリーグマッチ)は文字通りクラス代表同士によるリーグマッチのことを指す。

本格的なIS学習が始まる前の、スタート時点での実力指標を図る目的がある。

 

「自薦他薦は問わない。クラス代表者は1年間変更がないので慎重に決めろ」

 

「はいっ!アトラシア君を推薦します!」

 

「私は織斑君を推薦します!」

 

「お、俺っ!?ISの知識もまともに持ってないのにか!?」

 

一夏が狼狽するのも無理はなかった。

ISに関する知識は身についておらず、ISの起動もたった1回だけなのである。

今の状態でクラス対抗戦(クラスリーグマッチ)なんかに出ても1-Aに迷惑をかけるだけだ。

 

「ーー待ってください。そのような選出は認められません」

 

セシリアはその事に対し異議を唱える。

 

「ISの知識すらまともに備わっていない人間をクラス代表者にするなどいい恥さらしですわ。

物珍しいからという理由でクラス代表者にするなど言語道断。私達はサーカスを披露するわけではないんですのよ?」

 

一夏は静かに立ち上がり、セシリアに視線を移す。

その表情はどこか苛立っていた。

 

「さっきの昼休みといいやけに突っかかってくるけどなんなんだよ」

 

「気に入らないからに決まっているでしょう」

 

冷えた声でセシリアが言った。

今までに見せたことのないような冷たい表情で一夏は思わずたじろいでしまった。

 

「あなた、IS学園に入学することがどれだけ大変なことか分かっていますの?」

 

「それは...」

 

「私を含め、IS学園に所属している生徒たちは血の滲むような努力をして高い倍率を乗り越えこの場に立っているのです。

それなのに貴方はISに関する知識もなく「世界で唯一ISを使える男」という理由だけでここに立てているド素人がクラス代表者なんて、私にとって屈辱でしかありませんの...

笑わせないでくれます?」

 

セシリアの指摘はまさにその通りで、一夏も推薦したクラスメイトもぐうの音も出ない。

セシリアは一夏とロートスの足元めがけて手袋を投げつける。

 

「...どういうつもり?」

 

「あぁは言いましたけど、あなた方を推薦した人間がいたのは事実です。

私としては納得がいきませんが、彼女達の希望も無碍にはできません。なので決闘を行い、その勝者がクラス代表者というのはいかがです?」

 

「へぇ、シンプルでいいじゃないか。ロートスやろうぜ」

 

「うん」

 

ロートスと一夏はセシリアの手袋を拾い上げる。

相手が手袋を拾い上げれ行為はすなわ決闘の申込みに対して受諾したことを意味する。

 

「言っておきますけど、もしわざと負けるようなことがあればーー分かっていますわね?」

 

「真剣勝負で手を抜くほど腐ってはいないつもりだよ」

 

「あぁ、相手が国家代表候補生だろうが関係ない。全力で叩き潰す」

 

「話がまとまったようだな。

決闘は1週間後の月曜日放課後、第3アリーナで行う。準備は怠るなよ」

 

「承知いたしましたわ」

 

「はい」

 

「おう...ん?」

 

一夏はとあることに気がついてハッとした。

 

「どうしたの一夏君」

 

「そういえば俺、IS持ってない」

 

セシリア、ロートス、クラスメイトたちはコントのようにずるっと足を滑すべらせて転びかけた。

セシリアは一夏に駆け寄り。

 

「あ、あ、貴方ね!代表操縦者、代表候補生でもない人間が専用ISを持っているわけ無いでしょう!?」

 

「そ、そうなの?」

 

「呆れて物もいえませんわ...。となるとお二人とも訓練機で決闘になるのでしょうか?

そうでしたらハンデ等をお付けしますがーー」

 

「その心配は不要だ」

 

セシリアの言葉を遮ったのは千冬だった。

 

「織斑には倉持技研から専用機が与えられる予定だ」

 

「俺の分だけなのか?ロートスはどうなるんだ?」

 

「僕は篠ノ之博士から事前に専用機もらってるから大丈夫だよ」

 

「篠ノ之博士が直々に制作した専用機と戦えるとは...。

英国代表候補生のこの私、セシリア・オルコットの実力を各国に示すまたのない機会ですわね」

 

「少々時間を押してしてしまったがこれから授業を始める。アトラシア、織斑、オルコット。席につけ」

 

千冬がぱんっと手をたたくと話を締める。

束が直々に開発した専用機とはなにか、身内以外の人間嫌いな束が何故そこまでするのか。

聞きたいことは山ほどあるが一夏はもやもやした感情をいだきながら席についた。

 

 




セシリアの日本軽視発言は丸々カットしました。
このシーンって作品によって展開が異なるので面白いですよね。

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