Infinite Stratos Also sprach Zarathustra -Re:boot-   作:ゆき

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Act 5: ロートスVSセシリア

Act 5: ロートスVSセシリア

 

そして翌週の月曜日放課後、1-Aのクラス代表者決定戦当日。

第3アリーナには授業を終えた生徒達が観客席に詰めていた。あまりにも人数が多く入場規制が

かけられ、決闘の様子は食堂等でライブビューイングすることが決定した。

その様子を第3アリーナのAピットからロートス、一夏、箒、セシリア、千冬が眺めていた。

そんな光景を見て一夏は顔が驚愕に引きつっている。

 

「授業終わってまだ1時間も経っていないのにもう満席かよ…」

 

「当たり前でしょう。英国代表候補生である私と貴方達との決闘ですわよ。

それに最新鋭のISが見れる機会でしょうし」

 

英国の専用機、束が開発したIS、初の男性用ISを一目見ようとアリーナに詰めているのだ。

それは好奇心からではなく。

 

「多くは視察だろうね。動いている最新鋭機を見る絶好の機会なわけだし」

 

「あっ、そういうことか…って、俺のISまだ来てないんだがどうなってんだ?」

 

一夏はこの1週間、自主的にロートスとISの基礎知識の勉強を1~2時間行い、箒と剣術の練習と筋トレを2時間超。1時間ほどISの操縦に慣れる訓練を自主的に行っていた。

だが、一向に専用ISは手元に来る気配がなく、真耶に聞きに行ってもごたついているため分からないという回答しか帰ってこなった。

 

「お、織斑君!織斑君!」

 

その時第3アリーナのAピットに息を切らしながら真耶が駆け足でやってきた。

どこか転びそうで見ている方がハラハラしてしまうほどの足取りである。

 

「もしかして俺のISが来ましたか?」

 

「はい!ただ、まだ調整が終わっていないので先にアトラシア君とオルコットさんで

対戦していただきます」

 

「ということだ。アトラシアとオルコットはすぐに試合が開始できるようにスタンバイをしておけ。オルコットはBピット、アトラシアはここでスタンバイだ。いいな」

 

「はい!」

 

「わかりましたわ。それではまた後ほど」

 

セシリアは優雅に両手でスカートの裾持ち頭を下げると、頭を下げてBピットに移動していった。

 

「アトラシアも準備を始めろ。フォーマットとフィッティングは終わっているな?」

 

「はい、この1周間ですでに終わらせてあります」

 

ロートスは深い深呼吸を行うと胸ポケットからメガネを取り出し、装着する。

 

「ーーローエングリンR2起動」

 

ロートスの声に応じ、メガネのフレームが兜に変形。

ロートスの全身に光が覆い、それが形をなしていく。

 

「す、すげぇ…」

 

「これはまさにーー」

 

ローエングリンの名を冠するにふさわしく全体的に白色。部分的に金色と青色が使用され、

全身装甲型(フルスキン)を採用し他のISに比べると全体的に細く、甲冑を纏った騎士のような外観をしたISだった。

 

「フロートウィング展開」

 

ローエングリンの背中に搭載された6枚の翼の羽先が青色に点灯。

ローエングリンを纏ったロートスが文字通り浮遊する。

 

「よし、そろそろ試合開始の時間だ。カタパルトに足を固定しろ」

 

「はい」

 

千冬からの指示通りロートスはカタパルトに足を固定し発進準備に移る。

一夏と箒はロートスに近づき。

 

「…ロートス勝てよ」

 

ロートスは一夏と箒に視線を移す。

 

「うん」

 

激励を受けたロートスは笑みで返すと、そのまま正面に視線を戻す。

 

「ローエングリンR2発進!」

 

発進の言葉に続いてカタパルトが射出。

白い騎士が今、飛び立った。

 

***

 

「あら、来ましたのね」

 

腰に手を当てており、セシリアの容姿もあってか様になっていた。

鮮やかな蒼色の機体ブルー・ティアーズ。その外見は特徴的なフィン・アーマーを4枚背に従え、騎士のような毛高さを感じる。そして何より手に持っている長い銃器。

 

『ーー69口径特殊ビームスナイパーライフル、スターライトMk-Ⅲか。どうやら奴は遠距離型のようだな』

 

「そのようだね」

 

となれば背中に搭載している4枚のフィン・アーマーこそが、

遠隔無線誘導型兵器のブルー・ティアーズ。

 

「ーーそれが、あの篠ノ之博士が開発されたISですの?

ローエングリン…白鳥の騎士でしょうか。全身装甲型(フルスキン)とは珍しいですわね」

 

いや、珍しいのは全身装甲型(フルスキン)だけではない。

手足が異常に細く、背中のカスタムウィングも小さすぎる。

 

「篠ノ之博士が直々に開発されたISであれば手心は不要ですわね」

 

セシリアは手に持っているスターライトMk-Ⅲの銃口をロートスに向ける。

 

「それでは第1戦目ロートス・アトラシアVSセシリア・オルコットーー開始!」

 

開始のアナウンスと同時にセシリアは引き金を引く。

独特な音と同時に青い閃光が、ロートスに向かって放たれた。

とっさの判断で一夏は体をひねり直撃を避けたが、左肩の装甲をビームが掠る。

 

『――バリアー貫通、シールドエネルギー減、ダメージレベル低』

 

ISを使用した模擬戦はシールドエネルギーを0にした方が勝ちと言うシンプルなルールを採用している。直撃せずとも、撃沈せずともシールドエネルギーが0になったほうが負けとなるが故に、

高い威力のビーム兵器は掠るだけでも不利になる。

 

「今の攻撃を避けるとは中々やりますわね。

ですがそうでなくては張り合いがありません。さぁ、踊りなさい。

私、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞(ワルツ)で!」

 

再び、セシリアはロートスに向けて正確にビームを放つ。

ロートスは左肘を曲げ。

 

「マーリン!ロイヒテントブレイズを最大展開」

 

『了解!』

 

左腕から六角形の青色のエネルギーシールドが展開されてビームを全て防いでいく。

 

「なっ!スターライトMk-Ⅲのビームを弾くですって!?69口径のビームですのに」

 

『ハッハッハッ、このローエングリンをその他のISと一緒にしてもらっては困るな。

だがこれからどうするつもりなのだマスター。このままではジリ貧だぞ?』

 

「射撃の正確さ、スターライトMk-Ⅲの射程距離を考えれば接近戦をしかける!」

 

ロートスはロイヒテントブレイズを展開したままセシリアに向かって超加速を行う。

 

「接近戦をしかけるおつもりでしょうが…!」

 

セシリアはロートスに向けてビームを何度も放つが、全てロイヒテントブレイズで弾かれてしまう。

このままでは接近を許してしまう。セシリアは一呼吸置くと手に持っている

スターライトMk-Ⅲを量子変換し、ロートスに向けて指をさす。

 

「行きなさい!ブルー・ティアーズ」

 

背中に搭載している4枚のフィン・アーマーのうち2枚が背中から射出され、ロートスに向かっていく。

 

『マスター、あれが…』

 

「来る!」

 

ロートスの上下に回ったブルー・ティアーズが同時にビームを発射する。

両腕のロイヒテントブレイズで防ぐが。

 

「正面ががら空きですわよ?」

 

セシリアは再度スターライトMk-Ⅲを手に取り、ロートスに向けてビームを放つ。

 

『やらせるか!』

 

マーリンがとっさに避けようとするが、脇腹部分に被弾をしてしまう。

そして獲物を狙う猟犬のごとく2基のブルー・ティアーズが態勢を崩したロートスに襲いかかる。

 

「獲りましたわ!」

 

「いいや、まだだよ!シュナイデンハーケン!」

 

両手首からワイヤー式のアンカー「シュナイデンハーケン」をブルー・ティアーズに向けて射出。

2基のブルー・ティアーズを貫き、爆散させる。

 

「ブルー・ティアーズを…!」

 

「いまだ!」

 

ロートスは右足の脛に搭載されたロイヒテントブレイズを展開すると、体を回転し。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

セシリアめがけて空中回転蹴りを浴びせる。

 

「ぐっ…!」

 

もろに空中回転蹴りを食らったセシリアは後方に勢いよく吹き飛ばされるが、一回転をして体勢を立て直し、すかさずセシリアは残りの2基のブルー・ティアーズを展開する。

 

***

 

「はぁぁ、アトラシア君すごいですねぇ。オルコットさんをあそこまで追い込んでますよ」

 

「…確かにな」

 

ISの初起動を行ってから1周間しか経っていないにしては健闘している方だろう。

普段辛口な千冬もこの点は認めざる負えなかった。

 

「……」

 

専用機の調整を終えた一夏もモニターでロートスとセシリアの戦いを見ていたが、

うーんと腕組みをして、黙り込んでいた。

 

「どうした一夏」

 

「いや、少し気になることがあってな」

 

「気になること?」

 

あぁ。と一夏は言い、2基のブルー・ティアーズを指差す。

 

「オルコットはブルー・ティアーズを射出。オールレンジ攻撃で相手を翻弄し、手元のスナイパーで相手を撃ち抜く戦法を採用していることはわかったけどさ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「一夏も気がついていたのか?」

 

「まぁな」

 

ほう。と千冬はニヤリと笑う。

 

「どうしてそう思ったか言ってみろ」

 

「おう。あっ、はい。ブルー・ティアーズでオールレンジ攻撃をしてロートスを翻弄している間にオルコット自体が動き回って狙撃したほうがよくないですか?

両腕のビームシールドでブルー・ティアーズとオルコットの狙撃を防ぐのは難しそうだし…それをやらないならブルー・ティアーズ展開中はISを自由に動かせないんじゃないかなと…」

 

***

 

『恐らく、オルコットはブルー・ティアーズを射出して攻撃している間は移動ができないと見ていい』

 

一夏と同じ結論にマーリンとロートスも至っていた。

つまり、ブルー・ティアーズ展開中にセシリアに攻撃を放っても即座に避けることはできないということになる。

 

「マーリン。ローエンカノーネを発射用意。ブルー・ティアーズごとオルコットさんを撃墜する」

 

『了解!』

 

ローエングリンの両肩に装備されている砲身が開く。

すると獣のような唸り声を上げ、黒い光を纏った青い極太の閃光が放たれた。

 

「まさか粒子ビーム兵器!?このままでは!」

 

セシリアはブルー・ティアーズを呼び戻すのではなく、量子変換することを選択する。

しかしその判断は遅く、ブルー・ティアーズはローエンカノーネに飲み込まれて爆散した。

ブルー・ティアーズが消滅したことでセシリアは自由に動けるようになったが、

 

「避けられない!」

 

避けられるはずもなくローエンカノーネに飲み込まれてしまう。

 

「きゃああああああああっ!!!」

 

直撃をしたブルー・ティアーズはカスタムウィングが消滅、機体各所の装甲も大きく破損。

そのままアリーナの地面に勢いよく叩きつけられた。

 

『ーーバリア貫通。シールドエネルギー残量50。実体ダメージのレベル高。危険域です』

 

ロートスはセシリアを追うようにアリーナの地面に降り立つ。

 

「フロートウィング停止。ランラート起動」

 

青色に点灯していた6枚の翼の羽先の点灯が消え、

両足の足首に搭載されている高速移動用のホイール「ランラート」を展開。

墜落したセシリアのもとに向けて地面を滑走する。

 

「地面を滑走するローラー付きとは奇妙奇天烈なISですわね…」

 

セシリアはスターライトMk-Ⅲではなく接近戦用のショートブレードのインターセプターを手に取る。それはいまだにセシリアが戦意失ってはいないことを意味している。

 

「でもこの戦い…」

 

「オルコットさんの負けよねぇ…」

 

観客の多くはセシリアの負けを予感していた。

ブルー・ティアーズはカスタムウィングが消滅、機体各所の装甲も大きく破損して

まともに飛ぶことさえできない。

それに加え粒子ビーム兵器であるローエンカノーネの威力と範囲を間近で見ればそういった予感もあながち的外れというわけではない。

 

「確かにこの戦いで私の勝てる可能性は限りなく低いでしょう…」

 

セシリアは深呼吸を行うと高らかに宣言をする。

 

「私は次期オルコット家当主、英国代表候補生のセシリア・オルコット。最後まで戦います!!」

 

セシリアは残りのエネルギーを振り絞り、ロートスめがけて特攻を仕掛ける。

 

『どうするんだマスター。ローエンカノーネで薙ぎ払えば終わりだが』

 

「いや、僕はセシリアさんに応えるよ」

 

するとロートスの両手に刀身が2つに割れている剣を展開、

2つに割れていた刀身が合わさり、赤く発光する。

 

「いざ、参る!」

 

「いきますわよ!!!!」

 

セシリアはインターセプターで切り下ろす。

ロートスは手に持つ剣で防ぐがインターセプターの刃をバターのように切断した。

 

「なっ…」

 

「これがメーザー・バイブレーション・シュヴェルト…MVSか。なんという切れ味だ…」

 

「なるほど、高周波振動を利用したブレードですか。なら、ただのショートブレードでは敵わないですわね」

 

セシリアは自嘲気味に呟いた。

この時点でセシリアの負けは決定したが、ロートスはとどめを刺すべくもう片方に持っていたMVSでセシリアを切り伏せた。

 

『試合終了。勝者、ロートス・アトラシア』

 

ロートス勝利のアナウンスと同時にアリーナ上どころかIS学園中に大歓声が響き渡る。

誰もが予想しなかった英国代表候補生に男子が勝利するという結果となった。

 

 

 




ローエングリンのシステムや武装は、
Re:boot前と変わらずコードギアスに登場するランスロットとガウェインを採用しています。

ロートスと一夏の訓練描写は省きましたが行っている設定です。
原作の一夏はセシリアに啖呵切っておこながら自発的に動かず箒に頼りきりな印象だったので一部変更しました。

うーん、やっぱ戦闘描写って難しいですね。
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