叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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第12話 モーさん、下準備をする

「士郎!」

 

「兄ちゃん?」

 

どうも、あの世から現世へと帰ってきた騎士、モードレッドです。

岸波白野(マスター)(名前はさっき聞いた)を弟さんがいる部屋へ案内すると、弟さんが丁度布団から出た所だった。

マスターは弟さん(士郎)の姿を見ると直ぐさま抱き付いた。事前に俺に生きている事を知らされていたとはいえ、実際に見た事で感極まったのだろう。泣きながら抱き締めている。

それにしても。

 

「(士郎、ね……赤毛の髪に士郎という名前。偶然にしちゃぁ出来すぎてるな)」

 

さっきマスターに召喚当時の状況を少し聞いたが、何も呪文のような物は唱えていないという。

原作Fateに於いて、衛宮士郎が土倉にあった魔法陣で偶然王さまを召喚していたが、あれ自体奇跡の様なものだ。そうそう都合良く、魔術師ですら無い者が描いた魔法陣でサーヴァントを召喚出来るものだろうか?

もしかしたら、アラヤによる介入が有ったのかもしれない。将来守護者になる素質を持つ、士郎という少年を殺させない為に。

 

「あの…」

 

「ん?」

 

考え事をしていたら、件の少年が話し掛けてきた。

 

「助けてくれて、ありがとう」

 

「…どういたしまして」

 

御礼を言われたので微笑みながら返したが、鎧を着ているのでそもそも素顔が見えない事に今更気付いた。

 

「えっと、お姉ちゃんは、正義の味方なの?」

 

……………………今、聞き捨てならない言葉が聞こえた。

 

「士郎君。俺はお姉ちゃんじゃなくて、お兄ちゃんだぞ」

 

「「え?」」

 

おいマスター、お前もか。

 

「でも兄ちゃんが、助けてくれた鎧のお姉ちゃんにお礼を言いなさいって」

 

訂正。マスター、お前が原因か。

 

「マスター、俺は男だぞ」

 

「え、でも声質が…」

 

「これは生まれつきだ。というか顔も見てないのに性別判断するなよ。声が女性並みに高いだけの人だって居るんだぞ」

 

「ご、ごめんなさい」

 

いや、謝られても困るんだが。

 

「何で鎧のお兄ちゃんは鎧を着てるの?」

 

スゲー答えづらい質問してきたな。子供に全部話す訳にはいかないし、テキトーに誤魔化すか。

 

「んー、まぁこれが俺のヒーローとしての活動着だからかな?」

 

「へー」キラキラ

 

凄いキラキラした目で見られてる。ヤバイ、罪悪感ヤバイ。

 

「士郎君。俺はちょっと君のお兄さんと大事な話しがあるから、お外でこの子と遊んでてくれないかな?」

 

そう言って、二人が寝ている間に捕まえ、使い魔にしておいた黒猫を差し出す。

 

「うん、分かった」

 

「そう、ありがとう」

 

士郎は猫を連れて外に出て行った。

 

「モードレッドさん。教えて下さい、貴方が一体何者で、この町で何が起ころうとしているのか」

 

「あぁ、元よりそのつもりだ」

 

俺はマスターに、聖杯戦争について話し始めた。

 

 

 

…………………………

……………………

………………

…………

……

 

 

 

「万能の聖杯。それを巡って殺し合う魔術儀式、ですか……俄には信じられませんが、実際に貴方という証拠が居る」

 

「まぁ信じてくれなきゃこっちが困るけどな」

 

聖杯戦争について、一通りの説明を終えた後、軽く休憩を挟んだ。

 

「しかし、キャスターさんに供給する…魔力、でしたか?そんなもの出している覚えは無いんですが…」

 

「うーん。かなり少ないけどラインからはしっかり魔力は供給されてるし、恐らく両親のどちらかが魔術師の家系出身の血筋なんだろう。本人が知らずに魔術回路を受け継いでいることは無くはないからな」

 

「はぁ」

 

曖昧に頷くマスター。因みに呼び方は真名バレを防ぐためキャスターに統一することになった。

 

「まぁ、マスターには魔術回路を全て開いて貰って、魔力を供給してもらえれば良いさ。足りない魔力は世界中から少しずつ掻き集めるから問題無い」

 

既にセラエノ断章を使ってビヤーキーを大量呼び、大気中だけでなく、世界中の魔術師や死徒(外道ども)から魔力や魔術の素材を奪って来るように命じてある。勿論足が付かない様にだ。

お陰で充分過ぎる程の魔力が溜まっている。

 

それとマスターが聖杯戦争に参加するかどうかだが、俺に頼まれなくても参加したいらしい。どうやら、死んだ両親を生き返らせたいのだとか。……スゲー普通の人らしい使い方で逆に珍しい。

 

「キャスターさん、これからの方針についてですが……貴方が仕切って貰えませんか?俺は戦争の素人ですから」

 

「構わないぞ、寧ろ好都合だ。マスターの言う通り、素人に任せる訳にはいかないからな。だが、何か不服があれば遠慮無く言ってくれ」

 

「はい」

 

「うし、先ず方針についてだが、基本は情報収集に徹する事かな?戦闘が起こっても、何か行かねばならない理由が無い場合は介入しない。それと、士郎君にも言える事だが、絶対にこの寺から出ないように。ここは柳洞寺という寺を魔術的に改造した簡易的な要塞だ。サーヴァントと云えども簡単には入れない。だが」

 

「自分達から出れば別、ですか…」

 

「そういう事だ。まぁ我慢してくれ」

 

そう言うとマスターは少し微妙な顔をしている。聖杯戦争が終わる迄とはいえ、士郎をここに閉じ込めておくのは心苦しい様だ。

 

「取り敢えず魔術回路を開いとくか?かなり痛ぇけど」

 

「はい、御願いします」

 

「そう畏まれても困るんだが……始めるぞ」

 

 

 

「……………」

 

「あの、えっと、キャスターさん?」

 

「マスター、お前マジ何もんだよ…」

 

「え?いや、え?」

 

いや~ビビったわ、うちのマスターマジハイスペック。

簡単な触りを教えた後、魔術回路を魔力ラインを通して開く切っ掛けを与えたが、

うちのマスターは魔術回路を開ける痛みを堪え、声一つ上げなかったのだが、それはまぁ良い。

だがこの魔術回路の数は何だ?メイン50本とか現代人からすればどんな化け物だ……。しかも代続きしていない家系でだぞ。

 

「まぁ良いや、都合が良い事に変わりないし。マスター、俺は色々とやる事があるから、士郎君の説得は頼むぞ」

 

「分かりました」

 

今は第四次聖杯戦争だ、士郎はまだ十歳にも満たない子供。暫くここから出るなと言っても、聞かない可能性もある。

士郎の説得はマスターに任せて、俺は寺の要塞化と情報収集の続行。それと、この寺を魔術工房にしている事自体を気付かれない様にする仕掛けを作る。

 

「これだけで1日終わりそうだ……」

 

気を落としつつも虚数空間からセラエノ断章を取り出し、魔術を行使し始める。

 

 

 

 

「ふぅ、取り敢えずはこんなもんで良いか」

 

造り上げた工房のコンセプトは、『固く、硬く、堅く、難く』という兎に角攻めづらくしたものだ。

 

柳洞寺に元からあった自然霊以外を山門からしか通さない天然の結界。

山門にも大量の魔術的、及び科学的な罠。ぶっちゃけ銃火器とかクレイモア。入手経路は、ビヤーキー達が世界中のテロリストとかから奪ってきた。

境内にも結界50層程、掻き集めた素材で作った魔力炉が一機、猟犬代わりのティンダロス二頭とビヤーキー十数匹(勿論マスター及び士郎は襲わない)、魔術じゃなく呪術による対魔力を無視した罠を多数。一部処か境内のほぼ全てが異界化しております。

更には此処に拠点を作っている事自体を気付かせない様にする結界を張った。

 

ケイネス先生の魔術工房(笑)?知らない子ですね。

 

更に付け加えると、今までに挙げた全ての物が囮であり、本物の工房は地下に作ってある。(地下にも地上とほぼ同じ物を用意)

これ等は全て、マスター達の為に作った物であり、俺が留守の間にサーヴァントに攻められた際、地上にある工房が攻められている間に地下に逃げて時間を稼ぎ、俺の帰還まで耐え抜くというものだ。空間転移は使えないが、虚数空間を通れば数キロ位なら移動できる。

 

令呪使えば良いのでは?とは思うが、数少ない切り札はとって置きたい。

 

言い忘れていたが、元々この寺に住んでいた人々には特に不審な点が無いように、暫く寺を出て行く様に暗示を掛けた。居たら巻き込んでしまうだろう。

 

 

それと、工房作成中にアレを見付けてしまった。fateの原作を知っている人なら誰もが知っているだろうこの聖杯戦争の根幹にあるアレだ。

 

そう、大聖杯を。

 

取り敢えずセラエノ断章に載ってた退魔や対邪悪の呪文を使いまくってこの世全ての悪(アンリマユ)を祓っておいた。

これで冬木の大火災は起きないだろう。

 

 

 

 

 

草木も眠る丑三つアワー。この時、二騎のサーヴァントが戦って…いや、一方によって蹂躙されていた。

一方は、黒い肌に髑髏の仮面を被ったアサシンと思わしき男。

もう一方は、黄金の鎧に身を包んだ、アーチャーと思われる金髪紅眼の王者。此方が蹂躙している側である。

 

アーチャーの背後からばら蒔かれた宝具によってアサシンは瞬殺される。

 

……………ぶっちゃけ八百長だよなこれ。fateの詳しい展開もう覚えて無いけど、どう見ても八百長です。本当にありがとうございました。

 

「(キャスターさんが呆れた顔をしている)」

 

※拠点を作り終えた後、安全だと判断して鎧は脱ぎました。

 

「ん?何だマスター、まだ寝てなかったのか」

 

夜も遅く、士郎は既に寝ている。マスターにも早めに寝ておく様に言っておいたのだが。

 

「いえ、何か手伝える事はないかと」

 

「……マスター。その気持ちは有難い、だが今のうちにハッキリ言って措く。今日まで魔術の存在すら知らなかったマスターに出来る事は、魔力供給だけだ」

 

「……………」

 

「そう悔しそうな顔をするなよ。マスターの魔力は普通の魔術師よりも多いんだ、こんなに贅沢に魔力を使える時点で助かってるよ」

 

「そう、かな」

 

「そうだよ。それに、昼間の工房作りでかなり魔力を使っただろ?だから、マスターには体力を回復して貰うために、しっかり寝て貰わないとな!」

 

「……分かりました。お休みなさい、キャスターさん」

 

「おう、お休み」

 

マスターは寝室として使っている部屋に戻っていった。

…さて、偵察に使ってるティンダロスの猟犬(使い魔)を呼び戻すか。




ティンダロスの猟犬の強さについて。

本作のティンダロスの猟犬は少し弱いです。流石に原作のままだと強すぎるため。

『ティンダロスの猟犬設定』
・強さは低位の幻獣クラス。
・鋭角(90度以内)からなら何処へでも行けるが、低位でも結界が有る場所へは行けない。
・召喚は簡単だが、格上格下関係無く絶対に襲われる。
・従えるには、実力で捩じ伏せるのみ。
・使役に必要な魔力が以外と高い。
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