叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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第16話 モーさん、殴り込む

モーさんが今にも襲撃を掛けんとしている冬木ハイアットホテルの一室。

モードレッドの砲撃を受けたケイネスは身体のあちこちに包帯を巻いており、そのダメージの大きさが分かる。咄嗟に月霊髄液の自動防御が働き、身を守る事が出来たお陰で死なずに済んだのだ。

 

「来い、ランサー」

 

「ハッ、お側に」

 

「今宵は良くやった。フィオナ騎士団の一番槍としての実力、存分に見せて貰った」

 

「恐れ入ります、我が主よ」

 

「セイバーの左腕に癒えぬ傷を負わせ、追い詰めたその腕、流石は私のサーヴァントだ。更にはキャスターにやられた私を迅速に救った事も、良くやった」

 

そう、月霊髄液で死なずに済んだものの、重傷であった事には変わりは無く、ランサーの迅速な救助により早期に治療を受けられたのも助かった理由の一つである。

 

「ハッ!有り難き幸せ!」

 

「……時にランサーよ、お前はキャスターについて何か覚えている事は有るか?」

 

ケイネスが深刻そうにランサーへ問う。

 

「……申し訳ありません。それが、奴めの使用した武具はおろか、その姿さえ全く思い出せないのです」

 

「…やはりか。恐らくは正体を知られぬ様にする宝具があるのだろう。私もまた、あの場に於ける奴に関する情報だけが抜け落ちている。唯一分かっているのはセイバー、すなわちアーサー王に所縁の有る英霊だというだけか…」

 

モードレッドについて思い出す事は出来なくとも、セイバーの行動から初対面ではないと判断出来る。

 

ジリリリリリリリリリリリ!!!

 

プルルルルルルルガチャ

 

警報器が鳴り響き、電話が掛かってくる。ケイネスは直ぐに受話器を取り、フロントからの説明を聞く。

 

「……………あぁ分かった。下の階で火事だ、まぁ間違いなく放火だろうが………ッ!ランサー!外だ!」

 

「ッ!!」

 

ケイネスが何気なく窓の外を見ると、すぐそこに自動車が迫って来ており思わず声を挙げる。それに反応してランサーが動き出す。

 

ガッシャアァァァァァァァァァン!!!

 

「ダイナミックお邪魔します!!!」

 

窓から突入した車は、部屋の内装の尽くを粉砕しながらケイネスへと迫るが、ランサーがケイネスを担いで避ける。

 

 

 

どうも皆さん、走り屋のプロ。モードレッドです。

ここからわたす視点でござい。

 

ケイネスに避けられるもそのままハチロクは壁をぶち抜きながら爆走し、フロア内でも比較的広い場所で止まる。魔術工房のトラップ?発動した物の大半は当たる前にその場を離れてますがなにか?仮に車体に当たってもほぼ効きません。対魔力A舐めんな。

序でに通る際に近くにあった魔術的な物を片っ端から対魔力で消して行ったから、魔術工房(笑)から魔術工房(無)に早変わりである。

 

さて、ビルの高層にあるケイネスの部屋まで、車に乗ったままどうやってやって来のか。

答えは簡単。毎度お馴染み、虚数空間で来ました。

先ず強化しまくったハチロクで時速200キロ程出し、ハチロクの前方にケイネスの部屋の窓の外へ繋がる虚数空間を展開。そのまま突っ込んだ。勿論のこと認識阻害の魔術で神秘の秘匿もきっちり行った。

 

俺はハチロクから降りて虚数空間から武器を取り出す。

 

オートマチックとリボルバーの2丁の拳銃だ。

勘の良い人ならもう分かるだろう。そう俺が使うこの二丁には、限定的に旧支配者の力を借りれる様になっているのだ。

 

オートマチックはクトゥグアを、リボルバーにはイタクァをだ。まさしくデモベ仕様である。

しかも元ネタとは違い、この銃はリロードを必要としない。代わりに魔力を膨大に必要とするが……。

しかもこれはあくまでも魔術なので、高ランクの対魔力では防がれる可能性がある。Bランク程度なら問題は無いけど。

 

「随分と舐めた真似をしてくれるな、キャスター」

 

暫く待っていると、ランサーがやって来た。

 

「舐めてないさ、俺は俺なりに全力を尽くしただけだ」

 

そう言って拳銃を構える。え?お前銃使えるのかって?ま、なんとかなるでしょ。

 

手始めに両方の銃から一発ずつ撃つ。クトゥグアはやや下方へ向けて。

ランサーはそれを回避しながら此方に向かって来るが、甘い。クトゥグアの弾丸は着弾と同時に爆裂し、床に大穴を開ける。イタクァの弾丸は直角に連続で曲がり、ランサーを追い掛ける。

 

俺はランサーに向けてクトゥグアを2、イタクァを3発撃つ。

 

「抉れ!破魔の紅薔薇!」

 

クトゥグアは爆裂する前に槍で防がれ消えるが、イタクァは槍を回避してランサーへと迫る。

更に後方から先程のイタクァでランサーの足下を狙う。

ランサーは高速で動くことでこれを回避しようとするが、イタクァは何処までもランサーを追って行く。その間に連続で弾丸を放つ。

 

クトゥグアとイタクァが床や壁に着弾し、その部分を破壊し、凍結させていく。

 

「はぁッ!」

 

カキキンッ!

 

突進して来たランサーの槍を二丁の銃身で受け流し、捌いていく。

刺突を半身になって躱し、銃を撃つ。凪ぎ払いをしゃがんで避け、足払いを掛ける。降り下ろしされた槍を躱し、銃床で殴り付ける。兎に角接近し、槍を満足に振るえぬ様に動く。

距離を取ろうと下がっても、追い縋り距離を詰める。詰めながらも銃を撃って、フロアを破壊し、破壊し、破壊する。

 

「! 貴様まさか!?」

 

ランサーがこちらの狙いに気付いた様だがもう遅い。俺は戦闘中に少しずつ出た流れ弾で、フロアを壊して動きづらくしていったのだ。床はそこら中穴だらけで所々凍結しており、壁一面は完全に凍結して逃げ場は無い。こうも足場が悪くては、ランサーの長所である速度を発揮しづらいのだ。

破魔の紅薔薇で氷を破壊する事は出来るが、後ろを見せれば躊躇無くぶち殺す。

 

クトゥグアの弾丸が爆裂し、ランサーに少なくない火傷を負わせ、イタクァの冷気で身体が即座に冷え、動きを鈍らせていく。

こちらは既に耐熱耐寒の準備はしてある。というか、この鎧はハスターとの合体の触媒として使われたのだ、クトゥグアの焔の余波を遮断する程度の神秘はある。イタクァはそもそも俺には効かん。

 

それでもランサーは懸命に俺とやり合うが、完全にペースを俺に飲まれており、防戦となる。

そして、ランサーが見せた一瞬の隙を突いて黄槍を踏みつけ、イタクァで床ごと凍結させる。

 

「終わりだッ!」

 

ランサーの紅槍が振るわれるよりも速く懐に入り、クトゥグアを脳天に突き付ける。後は引き金を引くだけで勝てる、

 

 

その場に居るのが俺とランサーの二人だけだったなら。

 

 

『令呪をもって命ずる、一度後方へ退き、一気に仕留めろ!ランサー!』

 

ランサーが俺の少し前に紅槍だけを持って転移し、今までで最速の突きを放ってくる。コースは俺の心臓へと。

勝利目前での奇襲だ、普通なら避けられないだろう。それこそ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

俺はランサーの破魔の紅薔薇が当たる前に魔術を行使する。対象はランサーではなく俺に、内容は加重と重力の魔術を。

 

ベキッ!

 

瞬間的に数百トンという重量まで上がった俺の体は、ランサーの槍よりも速く、俺の破壊活動によって脆くなった床を容易くぶち抜いて下の階へ落ちる。

 

着地の寸前に魔術を解き、両銃を捨てる。と同時に虚数空間から剣を引き抜きつつ跳躍する。目標は攻撃直後のランサーだ。

 

「らぁぁぁ!!」

 

ランサーの真下から床を破って切り上げる。俺を確実に仕留める為に全力で突きを放った為に、僅かに出来た硬直を狙って斬り付ける。

ランサー身体を捻って躱そうとするが、避けきれずに深い傷を負う。

 

「ぐっ、く……」

 

ランサーは呻き声を出すが、直ぐに構える。それに対し俺は剣を構える。

今ランサーを斬ったこの剣は、対ランサー用に作った呪術礼装で、斬り付けた相手の敏捷を一時的に下げる効果を持つ。今のランサーの敏捷はB+といった所か。

 

ランサーのマスターの魔術によって傷は癒えて行くも、呪術による敏捷の低下は変わらない。まぁ、回復を待ってやる義理は無いから攻撃するけどもね。

 

バッドステータス付与の剣は能力の代わりに耐久力が無い為、虚数空間に戻して新しい武器を取り出す。

剣で在りながら魔術の触媒としても使え、ブーメランや盾にもなる万能武器。名を、

 

「バルザイの偃月刀!」

 

破魔の紅薔薇に触れたら魔術的な強化が意味無くなる為、ただの剣では打ち合う事も出来ずに壊れるが、バルザイの偃月刀は元からかなりの強度を誇る。破壊される心配は無い。

一息に接近し、高速で打ち合う。敏捷が下がっているからステータスは略同一。後は個人の技量とマスターの魔力に左右される。

その点、俺は魔力が有り余っている為、魔力切れという心配は無く、常に全力で戦える。

 

「はぁッ!」

 

「くッ」

 

キィィィィン!!

 

大振りの一撃をランサーは受け止めるが、俺は剣を片手で持っているので、開いている左腕でボディブローを打つ。

 

「がぁっ!」

 

怯んだ所を蹴り飛ばし、左手にクトゥグアを召喚。そのまま発砲。

 

「イア!クトゥグア!」

 

ダァン!

 

今までで最も魔力を籠めて放たれた弾丸は、ランサーの槍に当たる前に爆発し、このフロア一帯を溶かし尽くす。この部屋の壁一面をイタクァの氷で覆っていなければ、ビルの上階を丸ごと溶かしていただろう。

 

「…………」

 

確かな手応えはあった。破魔の紅薔薇では防ぎきれない、点ではなく面による広範囲への攻撃。確実に致命傷を与えただろう。

ランサーのマスターも序でに死んでいる可能性もある。

 

「う……ぐ……」

 

声のする方へ視線を向けると、ランサーのマスターが恋人であろう人物を抱き抱えて庇う様に踞っていた。辺りに僅かだが水銀が残っている為、これで防ごうとしたが防ぎきれなかったのだろう。恋人共々重度の火傷を負っている。

 

ランサーのマスターの腕から令呪消えている事から、ランサーは完全に脱落した様だ。

 

俺はランサーのマスターに無言で近付き、抱えている者と一緒に治療をしてやる。

 

「これで死にはしない。死にたくなければ早々にこの国を出ろ。セイバーのマスターは脱落者も殺す可能性がある」

 

そう言ってその場を後にしようとすると。

 

「何故、助けた?貴様に一体何の得がある?」

 

と、訊いて来た。

 

「……アンタは既に聖杯戦争の脱落者だ。助ける理由は無いが、だからと言って見捨てる理由も無い。…それだけだ」

 

「………彼女を救ってくれた事、感謝する」

 

俺はその場を無言で立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリアスアレルギーで全身が痒いでつ。

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