時刻は夕暮れ時。
円蔵山の柳洞寺、その一角に作られた訓練用フィールドだった場所。
神殿に味方と登録していれば、そこに居るだけで優先的に肉体的、魔力的に回復を受けられる場所だったが、今は瓦礫しかなく、結界等も無くなっている。
そこには二人の人物が居り、片方は床に座り込んで息を荒くし、もう一方は地面にヤムチャスタイルで倒れていた。
「っ……ぐぅ………まさか…ここまでとは」
「……ハァ……ハァ」
「ま、…まさか
たった一日で、起源魔術を…完成させる…とは。…マスター、マジ化け物………ガクッ」
モードレッド:死亡
【亡年15歳】
「って勝手に殺すんじゃねーよナレーター!!」
声を荒らげながら飛び起きるモードレッド。まだ死んでなかったのか。それとメタは止めろ。
「たくっ」
「キャスターさん、ナレーターって誰です?」
「あーうん、気にすんな。気にしたら負けだから」
「はぁ…?」
この二人が何故こんな事になっているのか説明するには、少々時間を遡る。
ヤッハロ~、みんなのバカドル。モードレッドだよ~。
つーか前回、俺最初から出てたのに俺の視点一度も無ぇじゃねぇか!!どーなってんだ作者ァ!!
……………コホンッ。
まぁそれは置いておこう。今の時刻は午前7時、訓練用フィールドにマスターを連れて来ていた。
「先ずは魔術を使う上での基礎知識を学んでいく。用意は良いか?」
「はい!」
「うし、先ずは魔力の元になる
マナってのは自然の中に存在する魔力で、そこら中に満ち溢れている物。オドってのは人間が体内で作る魔力の事だ。ちなみに、呼び名が違うだけで両方ともほぼ同じ物だ。出す場所が違うだけでな」
「? あの、両方同じならオドは必要ないんじゃ?マナの方が多そうだし、そっちを使えば…」
「後者は確かにそうだが、前者は違う。マナは魔術師なら誰でも扱えるが、大量のマナを扱うには相応の実力が必要になる。…ん~そうだな、オドが自家発電機で作った電気で、マナが自然の雷だと思ってくれれば良い。同じ電気だが、自家発電の電気は自由に使えるが、雷は専門の知識と技術が必要だろ?」
「…成る程」
少し間が空いたが、なんとか理解出来た様だ。
「次に属性だ。魔術師には必ず属性が存在する。これは簡単に言えば得意分野の事で、火、水、地、風、空の五大元素に、虚と無の架空元素の7つで構成されている。勿論例外は有るが、今は置いておく。それとマスター、昨日渡した本はちゃんと読んだな?」
「え、はい。あの『猿でも出来る起源覚醒シリーズ』ですね」
「そうだ。マスターはまぁ、俺のミスとはいえ、もう起源は覚醒しかけてたから、覚醒は直ぐだったろ?」
「ええ、何というかこう、自分のやるべき事に目覚めた感じです」
「そうか。起源に目覚めた人は、普通の属性の魔術とは相性が悪い事が多い。魔術の特性が起源と同じになる場合が有るからだ」
「じゃあ俺は……」
「あぁ、普通の属性の魔術はほぼ教えない。代わりに徹底して長所を伸ばす。その為に取り敢えず、一通りの魔術を教えるから、マスターに合うのを探す」
「宜しくお願いします」
「…………………」
「…………………」
『…………………』
「…………まさか、強化以外の全ての系統がへっぽことは」
「うぐっ…………ハァッ」
「………ま、まぁそれだけ強化の効率が良いんだから気にすんな!それに辛うじて召喚は出来る方だし、な!」
何とマスター、強化の一点特化型なのだ。それ以外は召喚が多少出来るだけで、他はてんでダメ。
それでも強化の効率は馬鹿みたいに高く、一流魔術師がやった場合の三分の一の魔力で同等の効果を出せるのだ。熟練すればサーヴァント相手に正面から打ち合う事も可能だろう。
更に、マスターの起源である『斬魔』は魔術特性になっており、強化した剣で斬ると魔に属するモノを無力化する事が出来る。
魔術だろうが混血だろうが復元呪詛だろうが、関係無く無力化して斬り倒す。単純明快、かつ強力な特性だ。
強化で身体能力をサーヴァント並にして、斬魔で敵を斬り倒す。これに斬られればどんな再生力を持っていようがその力が魔に属する限り回復出来ず、いかな手段を持ってしても復活は不可能だ。
召喚はちょっとした
「やっぱ起源覚醒すると、強いけどピーキーだな。あの神父もこの先苦労するんだろうな~」
「神父さん?他にも覚醒させた人がいるんですか?」
「あぁ、さっき会ったアサシンのマス………」
あ、ヤベ。
「アサシンのマス?何ですか?」
ヤバイ、マスターの顔超怖い。口笑ってるけど目笑ってねぇ。
「い、いや~実はさっきアサシンのマスターに会っちゃって……」
「勿論、アサシンは自害させたんデスヨネ?」
「あ、あーそれが…………てへぺろ(・ω<)ミ☆」
ブオンッ! ←バールが振るわれた音
パキンッ!←咄嗟に張った障壁が割れる音
ドカッ! ←腹部に直撃した音
「ナポリタン!」 ←俺の断末魔
ドゴンッ! ←壁にめり込む音
「だ、ダメージやべぇ……しかも障壁、無効化しやがった…グフッ」
「(゜ロ゜)………………ハッ!す、すみませんキャスターさん!つい、イラッと来て、大丈夫ですか!?」
すんげぇ衝撃来た。ノーガードだとマジでやべぇ。
謝りながら寄ってくるマスターに、壁から抜け出して応える。
「大丈がふっ…夫だ、問題無い」
「凄く嫌な予感がするんですがその言葉。ていうか大丈夫じゃありませんよね?」
『数刻後』
今はマスターに剣を持たせ、強化を使用しながら振らせている。斬魔に目覚めたからか、剣術の才能がズバ抜けており、徹底的にしごいた結果。僅か半日でブリテンで騎士をやっても問題無い程の実力を身に付けた。但し技術面だけだが。
「マスター、一回全力で起源魔術をやってみようか」
「えっ」
「一度マスターの全力を見て措きたいからな。それによっては、色々と神殿の調整もしないといけないし」
下手すると戦闘時に神殿をぶち壊しかねん。マスターが斬魔の力を使っても良いように改造する為、データを取っておきたい。
「分かりました。ではっ……set!」
マスターの全身に魔力が循環する。50本の魔術回路を総動員して、肉体と剣を強化していく。
「スゥー……ハァー……スゥー……ハァー」
深呼吸をして息を整えつつ、魔力を練り上げて行く。3分後、全ての魔力を強化に費やし終わる。マスターは剣を上段に上げ、一気に振り下ろした。
「スゥ……ハァァァ!!」
ズバァァァン!!
マスターが剣を振り下ろした瞬間、音が消え、大気が裂け、地が割れた。というか訓練用フィールドと一緒に、神殿の一部が消えた。魔術的にじゃなく、物理的に。結界とかトラップとか、その他諸々消し飛んだ。
そしてその斬撃の余波に巻き込まれ、俺も吹っ飛んだ。
「アバーッ!」
こうして、冒頭へと繋がる。
「ぅ、ぐすっ……俺の神殿がぁ……」
「あ~その、…ごめんなさい」
「ぅうう、あぁんまりだぁ……HEEEEEYYYY!あァァァんまりだァァァァ!!」
「(うわ泣き出したよ、面倒くさい)」
何気に酷いはくのんである。
先程の轟音と俺の泣き声を聞き付けたのか、そこに士郎と
《おい、旦那が泣いてるぞ》
《ホントだ、マジかよ…やっぱやべぇわこの人間》
《モードレッドの旦那を泣かせるとか何もんだよ……》
「兄さん、キャスターさん泣かせたの?」
「え!?いや、これはその、違わないけど、でも違うというか、何というか」
「ふぅスッキリした~」
「「《え?》」」
状況が飲み込めず、困惑し、固まる彼等。
「どったの?みんなして集まって?」
「……キャスターさん、さっきまで号泣してましたよね?」
「あれは単に理不尽な状況下に陥った時、号泣したら落ち着くみたいな事を誰かが言ってた気がするから、実践してみただけだお」
「…………ま」
「ま?」
「「《紛らわしい事すんなぁ!!》」」
「グワッー!」
この後滅茶苦茶ボコボコにされた。
この時、直ぐに神殿を修理しなかった事を俺は後悔する。何故なら、結界が壊れたと云うことはすなわち、この神殿の事が他の陣営にモロバレとなるからである。
結果。
「ほほぅ、こんな所に拠点を造って居ったのか」
「ライダーお前!キャスターの拠点に正面から突っ込むとか正気かよ!?」
その日の夜に、ライダーが攻めて来ますた。