叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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第22話 モーさん、消毒する

時刻は午前10時頃、柳洞寺の一室。そこで三人の人物が向かい合っていた。

 

 

 

ズズー

 

どうも皆さんこんにちは。最近ヒャッハー成分が足りなくなって来ているモードレッドです。

茶を啜り、一息つきながら目の前の人物。バーサーカーのマスターである、間桐雁夜に問い掛ける。重要な事なので、一応マスターも一緒に居る事を明記しておく。

 

「………で?そろそろ返答を聞こうか」

 

「……………本当に、何でもしてくれるんだな?」

 

間桐雁夜の顔色は普通の人と変わらない、健康なものだ。流石はミ=ゴの医学力である。

 

「可能な範囲ならな」

 

「………なら、ある女の子を救って欲しい」

 

「女の子?」

 

「あぁ」

 

間桐雁夜曰く。

御三家の一つ、遠坂には娘が二人いたが、妹の方を間桐に養子に出したのだとか。

ただ養子に出すだけならまだしも、そこが間桐であるなら別だ。間桐の魔術は女を蟲に犯させ、子供を産ませた後は蟲の餌にするという、醜悪なものなのだとか。

詳しい話を聞いている内に、マスターは始めの頃は耐えていたものの、遂には吐いてしまった。

吐瀉物?虚数空間でトイレに直行ですよ。

 

マスターが吐いた事で、間桐雁夜はこちらを、正確にはマスターを信じた様だ。マスターが普通の感性の持ち主である事が功を奏した。

でもゲロで信用を獲得するってやだな。

 

「大丈夫か?マスター」

 

「はい、もう大丈夫です」

 

まだ気分が悪そうなので、マスターの背中を擦りながら、精神を徐々に落ち着かせる魔術を掛ける。

 

「一つ質問しても良いか?」

 

そんな此方の様子を見ていた間桐雁夜が聞いてくるので、特に断る理由も無いから了承した。

 

「キャスターのマスター。君は一体何者なんだ?なんというか、こう、魔術師らしくないんだ」

 

「……マスター、話すかどうかは自分で決めな。流石にこれは、俺が言って良い事じゃないからな」

 

「………俺は、元々は魔術とは関係の無い一般人でした。世間を騒がせていた殺人鬼に殺されそうになった時に、キャスターさんを偶然召喚して助けられたんです」

 

「そうだったのか」

 

………………何か凄げぇしんみりした空気になったな。背中が痒くて痒くて辛いんだが。

 

「バーサーカーのマスター。お前の願いは桜という少女の保護で良いんだな?」

 

「あぁ」

 

「なら、一応聞いておくが、保護した後はどうする?」

 

「どうするって、当然葵さんの元に「戻した所で別の魔術師の家に養子に出されるだけだ」……それはっ」

 

「その桜って子を養子に出したのは、魔術的に何かしらの理由があったからだろう。今回間桐から救いだしても、次の養家がまともである保証なんて無いんだからな。当然お前が育てるのも無しだ。魔術をまともに使えない一般人が、桜を狙ってやって来る魔術師から守れる筈がない」

 

「……っ!」

 

間桐雁夜は悔しそうに顔を俯かせている。自分と魔術師との、差が良くわかっているからだろう。

 

「キャスターさん、何とかなりませんか?」

 

マスターが俺を頼って来るが……

 

「そう言われてもなぁ~。聖杯戦争が終われば俺もいなくなるし、俺に出来る事といえばその子に自衛の為の魔術を教えておく位しかなぁ」

 

「それは駄目だ!桜ちゃんを魔術師になんてさせる訳にはいかない!」

 

「…みたいだし。まぁ正確には魔術使いだけども」

 

教えるにしても、マスターみたいに高い才能でもなきゃ、数日で自衛なんて無理だし。魔術の指南書でも書いておこうかな?

そんな事を考えていると、マスターが意を決した表情で話し掛けて来た。

 

「………キャスターさん。キャスターさんは先に桜ちゃんを救出してください。雁夜さんの説得は俺がします」

 

「良いのか?」

 

「はい」

 

「……んじゃ、任せるわ」

 

俺は部屋から出て、桜を救出しに行く準備を始める。部屋からはマスターが間桐雁夜を説得する声が聞こえる。

間桐雁夜の話を聞くに、間桐臓硯は蟲の集合体であり、本体を潰さない限り死なないらしい。……見つけ出して浄化でもすれば良いか。

 

「さて、行くか」

 

ガチャッ

 

「行くか。じゃねぇよ!何だよそれ!」

 

ライダーのマスターか、喧しいなぁ。

 

「うるせぇなぁ。何だよ一体?」

 

「それはこっちの台詞だ!何なんだよそれは!」

 

「何って

 

 

 

 

 

どう見てもヘリコプターだろ?それ以外の何に見えるんだ?」

 

「どう見てもヘリにしか見えないから言ってるんだよ!」

 

一体何が問題だというのだ。折角廃棄されたヘリを集めて、魔術で改造しつつ作り上げた切り札の一つだというのに。

マシンガン2丁、ガトリング2門に対サーヴァントミサイルを2発、対魔術ミサイルを2発。弾は虚数空間から自動的に装填される仕様。更には接近してきた敵対策に、機体の周囲に電気のバリアを張る事で、ちょっとやそっとでは墜ちない防御力。最高時速600キロ。操縦者の意思一つで、最高速度からの急停止、からの最高速度の切り替えが可能。縦横全てへの移動が可能。

分かりやすい例では、メタルギアのクリサリスみたいな機動が可能な強力な魔術礼装だぞ。

 

「こんな物を飛ばしたら、騒ぎになるだろうが!」

 

「あぁその事か。問題ない、コイツの存在は魔術師やそれに関係のある奴にしか認識出来ないからな」

 

ステルス機能まで兼ね備え、魔術師等以外には認識すら出来ない神秘の隠匿の面でも優れものだ。

 

「んなアホな……」

 

このヘリのスペックを聞き、あり得ない物を見たという雰囲気を出しながら、頭を抱えて俯くウェイバー。

 

「おぉ!こりゃまた凄いのお!キャスター、これもお主の武器か」

 

ライダーが寺から出て来て、興味深げにヘリに近付く。やはりライダーにはコイツの素晴らしさが分かるか。

 

「そうだ、俺の切り札の一つ、超高性能魔術戦闘ヘリ。名前はまだ無い」

 

「そうかそうか、所でコイツ、余にくれんか?」

 

「あげるわけねぇだろ、まだ一回も乗って無いんだぞ」

 

「まぁそう堅いこと言わんで、な?」

 

うーん。コイツ、ライダーだから当然騎乗スキルは持ってるよな?なら運転は任せても問題ないか?

 

「駄目だ。まぁこれから使うから、今回だけなら操縦しても良いぞ」

 

「そうか!では早速行くとしよう!」

 

そう言ってヘリに乗り込むライダー。序でにウェイバーの奴を連れ込んでやがる。

 

「て、おい!そっちは助手席だ!反対側に乗れ!そしてウェイバー、テメーは助手席だ。俺は後ろに乗る」

 

 

 

 

 

バラバラバラバラバラバラバラ

 

「あれ、か。気持ち悪ぃ魔力か充満してんな」

 

ヘリに乗って間桐邸を目指して数分、目標が見えてきた。間桐邸には多くの魔術トラップが有るのが確認出来るが、あの程度なら問題は無い。対魔力が勝手に無効化してくれる。

やがてヘリは間桐邸の上空に到着する。

 

「キャスターよ、この辺りで良いか?」

 

「おう、問題ねぇ。後は……」

 

セラセノ断章を使って遠慮なく結界を作っていく。人払いに認識阻害、音の遮断に逃亡防止用の物まで。これで幾ら暴れても、周りの人間は誰も気付かない。

 

「さてライダー。館そのものには当てずに、一発ド派手に行ってくれ」

 

「うむ、任せておけ」

 

ドゴォォォォォォォォォン!!

 

ライダーは俺の要請に了承すると、ミサイルを間桐邸の庭に向けてぶっ放した。

それを見た後、扉を開けて飛び降りる準備をする。

 

「キャスター、鳥になってこい!幸運を祈る」

 

いや、声優ネタ的にお前が言われる方じゃね?まぁ良いや。俺は無言でサムズアップで応える。

 

「とうっ」

 

ヘリから飛び降りて、庭へと着地する。そして、虚数空間からある魔術礼装をとりだす。

先ずガスマスクを被り、背中に大きなタンクを背負う。そこからコードが繋がった変わった形の銃を構える。

 

ギチギチギチギチ

 

間桐の蟲たちがこちらに向かって来るのを確認すると、ノズルを蟲達に向けてスイッチを押す。

 

ゴォォォォォォォォォォォォ!!

 

「ヒャッハー!汚物は消毒だぁ!!」

 

銃からは灼熱の焔が噴出され、蟲達を灰も残らず焼却していく。これぞ、ネタ兵器兼対間桐用魔術礼装。『火炎放射器(汚物は消毒だぁ!)』である。見た目はアカメが斬る!の煉獄招致・ルビカンテだ。

火炎放射器から出る焔はクトゥグアの焔であり、生半可な防御では防げない代物だ。

え?火事?俺の意思一つで直ぐにでも消せるから問題は無い。

 

「ぞーけーんくーん。あっそびーましょ!」

 

焔を撒き散らしながら間桐邸の壁をぶち破って突入する。家の中も隅々まで燃やし尽くし、突き進む。途中、魔術回路を持たない人間が二人ほど居たので、この家にあった金を数千万円程と一緒に虚数空間にぶち込んで、どっかへ送った。後、魔術的に価値がある物を片っ端から虚数空間にぶち込んで行く。泥棒?いいえ、(永遠に)借りるだけです。

 

「ん~?いないな~。ここかなぁ!」

 

扉を蹴破り、中を見るとそこは蟲蔵だった。蠢く蟲達の中に女の子を発見する。恐らくあれが桜だろう。蟲達はこちらを視認?すると、俺を殺さんと襲い掛かって来たので、残らず焼却してやった。

俺は桜へと近付き、片手で優しく抱き上げ、肉体に異常はないかチェックする。……魔術回路に弄られた形跡が有るが、これ位なら元に戻せる。肉体的には問題無し。

 

「誰?」

 

「わたすか?わたすは間桐雁夜の頼みで君を助けに来た者だ」

 

「雁夜おじさんの?」

 

「そうだ。…HQ」

 

『こちらHQ』

 

「目標確保。これより第2段階へ移る」

 

『了解。目標には最大限の配慮をしつつ、標的を始末せよ』

 

「了解。…………ってお前誰だ!?この回線マスターに渡しておいた通信機に繋がる筈だぞ!?」

 

『てけり・り』

 

「まさかのショゴス!?人語を理解したか!」

 

『無駄口を叩くな。任務を遂行しろ』

 

「……了解(何か納得いかねぇ)」

 

桜は確保したから、次は間桐臓硯を探さねば。結界張ってあるからこの邸から出る事は出来ないし、どっかその辺に居るだろ。多分。

来た道を引き返すのも面倒なので、天井を突き破って外に出る。上空にライダーの操縦するヘリを発見。蟲と戦闘中のようだ。

 

「ファイヤ」

 

ゴォォォォォォォォォ!!

 

鬱陶しい蟲を駆逐して、ヘリ内部へ虚数空間を通って入る。桜を席に座らせ、シートベルトを着けて固定。

 

「ちょっとこの子頼むわ」

 

返事を待たずに再び間桐邸に突撃!

 

「どぉぉこだぁぁぁぁ……出て、来いよぉぉぉ……どこだぁぁぁぁ…どこにいるぅぅぅ!」

 

燃やして燃やして燃やし尽くす。未だに臓硯は出てこない。もしや逃げたか?

 

 

※蟲蔵で始末した蟲の中に居ました。クトゥグア焔で魂ごと燃やされたので瀕死の状態です。尚、モードレッドはその事に気付いていません

 

 

何て逃げ足の速い奴だ。結界があるから出られんから、俺が来るのを感知して直ぐに逃げたしたのか?流石と言うべきか、悔やむべきか、判断に困るな。

まぁ良い、これだけやればもう魔術師としてまともに活動出来んだろう。

 

火を消した後、バルサン焚いて帰ろ。

 

 

 

 

 

「桜ちゃん!」

 

「雁夜おじさん」

 

助けて来た桜と、間桐雁夜が抱き合っている。事情を知ってる人が見れば感動的な場面だけど、そうじゃないと犯罪にしか見えないという事実。

 

「んで、マスター。間桐雁夜の説得は出来たのか?」

 

「はい。何とか納得して貰って、桜ちゃんに魔術を教える約束をしました」

 

「そうか 」

 

さて、間桐雁夜の要望は叶えたからな、次はこちらの要求を呑んで貰おう。

 

「感動の再会中悪いが、間桐雁夜。桜は助けた、対価のバーサーカーを貰おうか」

 

「あぁ、分かっている。だがどうやってだ?サーヴァントの契約はそう簡単には解除出来ないぞ」

 

「問題無い。間桐から魔術関連のアイテムを片っ端から奪ってな、その中に令呪に関しての記述が書かれた魔術書が有った。それを読むに、令呪を俺に移植することが可能だそうだ」

 

押収して(盗んで)おいて正解だったな。こんな簡単に令呪の問題が解決するとは。これが無ければ間桐雁夜にはちょっとばかし激痛に身を委ねてもらわなければならなかった。

 

「面倒臭いからさっさとやるわ。…ほい」

 

間桐雁夜から令呪を俺に移した。これでバーサーカーは俺のサーヴァントとなった訳だ。晩メシ食ったら早速王さまの所に行くとしよう。

 

「マスター、令呪出して」

 

「?はい」

 

マスターから差し出された令呪に、たった今手に入ったバーサーカーの令呪から、二画分け与える。バーサーカーの令呪としてではなく、俺の令呪として使える様にした上でだ。

 

「これ…」

 

「令呪は多いに越したことはないからな」

 

すると、間桐雁夜が思い出した様に言った。

 

「そういえば、ジジイはどうなった?」

 

「ジジイ?…………間桐臓硯か?」

 

「そうだ。殺したのか?」

 

「さぁ?わかんね。結界張って逃げられない様にした状態で邸全体に充満する程バルサン焚いから、死んだんじゃね?知らねぇけど。」

 

「バルサン……」

 

バルサン焚いたら物凄い勢いで蟲が死滅していったからな。逃げてても二度と間桐邸は使えんだろうし、あそこに居たのなら、バルサンで死んでるだろう。

いやーバルサン凄ぇわ。蟲使う魔術師相手にはアレ噴射式の殺虫剤だけで完封出来るんじゃね?

 

「マスター、俺は色々と準備があるからこれで。あ、後、士郎と遊ばせてやれば?歳の近い子同士なら、心のリハビリになるだろ」

 

桜に現状を説明している雁夜と、それを補助するマスター。マスターに一声掛けてから、自室(仮)へ行く。

ヘリの中で聞いた事だが、ライダーは今晩にもアーチャーの奴に挑むらしい。そうなれば恐らく、いや絶対にライダーは死ぬだろう。並みのサーヴァント、凡百の英霊なら一方的に倒しうるライダーだが、アーチャーは流石に別格だ。あれクラスのサーヴァント相手に、どれだけ数を揃えても意味は無い。

虫食い状態の原作知識で知っている事だが、アーチャーの切り札である対界宝具はライダーとの相性は最悪だし、それを使わなくとも、宝具の掃射だけで殲滅出来るだろう。アーチャー相手必要なのは数ではなく、突出した個なのだ。

 

自室で机に着き、執筆を開始する。書くのは今後のマスターの魔術指南に関してだ。

今晩には聖杯戦争が終わるだろう。王さまが勝つか、ランスロットが勝つか。王さまが勝てば、俺は王さまと戦い、勝った後にアーチャーと決戦を行う。ランスロットが勝てば、俺の手で殺すつもりだ。

 

俺がいなくなった後、彼等に魔術を教える人間はいない。ならば、彼等の今後を考えて、今のうちに魔術を指導する本を(したた)めておこう。

マスターと桜だけでなく、万が一の為に士郎と雁夜の分も用意しておく。一度魔導と関わった以上、もうまともには生きられないだろうから。

 

「てけり・り」

 

「お前か……俺がいなくなった後、マスター達を頼むぞ。マスターに使役されているお前と違い、他の連中は俺がいなくなれば還るからな」

 

「てけり・り」

 

言っている言葉は分からないが、任せておけと、言った様なニュアンスを感じた。

 

「そうか、頼んだぞ……………あれ?そういやお前喋ってなかったっけ?」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「て、てけり・り」ササッ

 

出ていった………何だったんだ、あれ。

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