『ドイツ・アインツベルンの城』
ここで、一つの召喚儀式が行われていた。
「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公」
「降り立つ風には壁を、四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「
「繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
「告げる」
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者」
「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
魔法陣から膨大な魔力と光が発せられ、そこに人形が現れる。全身甲冑を身に付けた、人とは明らかに違う雰囲気を持った存在が。
「サーヴァント、バーサーカー。召喚に応じて参上した。問おう、アンタが俺のマスターか?」
ここに、最強の騎士が召喚された。
【CLASS】バーサーカー 【真名】モードレッド
【ステータス】筋力A+ 耐久A+ 敏捷A++ 魔力 A+++
幸運C 宝具EX
※幸運がキャスター時より低いのは切嗣がマスターだからです。
更にここに魔力放出による強化も加わり、化け物染みた戦闘力になります。
雪に包まれた森の中で一人の男性が少女と戯れている。マスターである衛宮切嗣と、その娘のイリヤスフィール・フォン・アインツベルンだ。
「マスターも、ああいう風に笑うんだな」
「意外だった?」
「まぁ、初対面であの扱いだったからな」
思い出されるのは召喚直後の事。
『おーい、聞いてる?マスター?』
『………ええと、確認したいのだけれど、バーサーカー、と言ったのよね?』
『おう、そうだが?それよりアンタ誰?』
『私は貴方のマスターである衛宮切嗣の妻。アイリスフィール・フォン・アインツベルンよ』
『ん、了解した。で、マスターは何で黙ったまま何だ?』
『……………』
『え、無視?酷くね?』
結局あれから一言も言葉を交わさなかった。英雄嫌いとかそういう感じか?
聖杯戦争中の作戦についてはアイリスフィールを通して聞いてるから問題無いが、魔術での支援がし辛いんだが。
「しゃーねぇ、いっちょ腹を割って話すか」
イリヤスフィール寝かし付けた後、アイリスフィールと二人でいるマスターに話し掛ける。
「マスター、話がある」
「………」
「話したくねぇんなら別に構わねぇよ、こっちが一方的に言うだけだ。聖杯の仕組みについては理解した、俺ならアイリスフィールが死なない様に出来るが、どうする?」
「!?」
仏頂面だったマスターが初めて俺の前で表情を変えた。それは聖杯についてか、それとも妻の生存の可能性についてか。
「俺にはキャスターの適正もあるのは話したし、俺がホムンクルスである事も言ったな。視れば、大体の事は理解出来る」
「……………」
「どうするかはマスターの自由だ、俺の基本方針は外道以外はマスターに従う。だからな」
俺は霊体化してこの場を去ろうとするが、マスターに止められる。
「待て!」
「……何だ?」
「…………本当に、可能なのか?…僕は、妻を失わずに済むのか?」
「可能だ。マスターが望むのなら、俺は全力でマスターに手を貸そう。その為にはまず話し合いからな」
「…あぁ」
さぁ、楽しいお話しの時間だ。
「先ず必要なのは魔力だ。今は消費量を限界まで抑えているが、俺がまともに戦えば、マスターの魔力では数秒ともたない。戦闘の度に令呪を使う羽目になる」
「ならどうすれば良い?」
「簡単だ。ここの家系はホムンクルスを造っているんだろう?俺なら廃棄されたホムンクルスを造り直して魔力タンクに出来る」
「分かった、明日にでもアハト翁に掛け合って許可を得て来よう」
「よし、なら次は武装だな。マスターは基本、何を使って戦っている?」
「僕が使うのは、銃やナイフといった現代兵器だ。何か問題でも?」
「いや大丈夫だ、寧ろ都合が良い。マスター、俺が最高の銃器を用意してやる。サーヴァントを殺せるレベルのをな」
「それは頼もしいな」
「あぁ、大船どころか戦艦にでも乗った気でいてくれ。あ、後出来ればで良いが、戦闘機だとかの乗り物も有れば良いな。俺が改造すれば、サーヴァントを相手にも使える」
「流石にそれは厳しいかな…」
「そうか、残念だ…」
そんなこんなで次の日。
「取り敢えず試作で造ってみた。イブン・ガズィの粉薬…霊体にダメージを与えられる物を使っているから、サーヴァントにも有効だ」
完成した礼装を切嗣に渡し、調子を確かめさせる。
「……成る程、これなら僕でも使える。こちらも、アハト翁から廃棄されたホムンクルスの使用許可を貰ったよ。君のステータスを知ってか、快く受け入れてくれた」
「そいつは良かった。これで魔力不足も何とかなるな。向こうに行く際は、ホムンクルス達を虚数空間に入れて運べば良い。魔力不足が解消出来たら、手始めに魔獣どもを送り込んで偵察に使うさ」
「……後は、アイリの中の聖杯を」
「そっちはこれからだ」
「…そうか」
「安心しろ。アンタら二人は必ず、俺が生かして帰す。任せとけ」
「頼んだよ」
『日本・アインツベルンの城』
俺はアイリスフィールと共に日本に着いて直ぐに、アインツベルンの城に向かった。城を要塞化させ、安全を確保する為だ。
「今日一日は城の神殿化に時間をかけるから、観光はまた今度にしてくれ」
「そう、残念だけれど、仕方ないわよね…」
明らかに落ち込んだ様子で話すアイリスフィールに少しばかり罪悪感が沸くが、そこは堪えて言葉を掛ける。
「聖杯戦争が終わった後に、親子3人でまた来れば良い」
「……フフッそうね、そうしましょう」
それからアインツベルンの城を改造に改造を重ね、森を含めた全体が神殿と化した。これならあのアーチャー相手でも時間を稼げる。
森の至る所に速射砲を設置しており、空中の敵にも対応可能だ。
《バーサーカー、倉庫街で戦闘が始まった。直ぐに来てくれ》
「了ー解。アイリスフィール、倉庫街で戦闘だ。敵マスターの目を惹き付ける為に、これから介入しに行く」
「分かったわ」
虚数空間による空間移動によって倉庫街に着くと、5騎のサーヴァントが居る。セイバーにランサーにアーチャーにライダー。近くのクレーンにアサシンも居るな。
てゆーかあのセイバー、ランスロットじゃね?
状況的に、ライダーがアーチャーをキレさせたらしいな。
「《マスター、アサシンはどうする。あの場所ならティンダロスで仕留められるが》」
《そういう事なら、頼めるかい?》
「《おう、合図を来れれば何時でも行ける》」
《分かった。それと、サーヴァント全員のステータスを伝えておくよ》
マスターに連絡をして簡単な作戦を決め、アイリスフィールを連れて戦場に突入する。位置的にはセイバー、ランサー、ライダーの3騎とアーチャーとで三角になる場所に。当然連中の目は俺に向く。
特にランスロットのアホがアホ面晒して俺を凝視してる。
「アイリスフィール、可能な限りアーチャーの射線には入るなよ」
「分かってるわ。バーサーカー、どうか、私達に勝利を」
アイリスフィールの言葉にサムズアップで応えて、アーチャーに突撃する。
「おう!任せとけ!……俺も混ぜろやぁぁぁ!!金ぴか!その
「狂犬が、王に対するその態度。不敬にも程がある!」
アーチャーから放たれる2つの宝具。その両方を弾いて急接近。魔力放出で敏捷を更に強化、一気に跳躍。そしてそのままドロップキック!
「成金死ねぇ!!」
「チィ!」
惜しい。ギリギリで回避された。そのまま両者は着地。
「痴れ者がッ……天に仰ぎ見るべきこの我を、同じ大地に立たせるか!!」
アーチャーげきおこナウ。背後に宝具を大量に展開する。そしてその全てが俺に向けられている。
「その不敬は万死に値する!そこな雑種よ、最早肉片一つも残さぬぞ!!」
プライドに泥塗りまくって、怒らせてやったぜ。さぁ、かかって来い!
「貴様ごときの諫言で、王たる我に退けと?大きく出たな時臣」
来るかと思った瞬間、アーチャーは明後日の方向を向いて喋りだした。
「命拾いしたな、狂犬」
誰が狂犬だ。キ○○イと呼べ。
「雑種ども、次までに有象無象を間引いておけ。我とまみえるのは真の英雄のみでよい」
そう言って去って行ったアーチャー。特に追わずに見送る。さて、次は。
「死ねアホォ!!」
「くっ!」
ガキィン!
茫然としているランスロットじゃあ!思いっきり斬り掛かるも、アロンダイトで防がれる。でもアロンダイトの能力は使ってない様だ。
「このおバカ!このおバカ!このおバカ!アンタって人はァァァ!!」
「やはりッ…!貴方はッ!」
「そうだこの馬鹿!アホ!ワカメェ!」
地力も技術も此方が上。魔力も贅沢に使える俺は、どんどんランスロットを追い込んで行く。
だが突然、文字通り横槍を入れられる。その為俺はバックステップで距離を取りつつ、アイリスフィールを守れる位置に移動する。
「戯れはそこまでにしてもらおうか、狂戦士。セイバーの首級をあげるのは俺だ。断じて貴様では無い」
「あぁ、そう…かい!」
「ッ!不味い!」
ランスロットだけは俺が何をしようとしているのか気付き、急いで離脱を開始する。それを見たライダーが、ただ事では無いと思ったのか、空に退いて行った。
ランサーだけは此方を仕留めんと向かって来た。が、遅い。全員のステータスはマスターに確認済みだ。ランサーは俺より遅い。
「
ズバンッッ!!
火力より派手さを優先した
《今だ!》
《殺れ!ティンダロス!》
タァン!
簡易版全て断つ稲妻の剣を受けて尚、生きていたランサー。やっぱほぼノーチャージじゃ駄目か。
だが、アサシンはティンダロスで殺し、その後マスターがランサーのマスターを殺したからもう長くは無いだろう。
傷を負い、魔力も無いにも関わらず、ランサーは俺を仕留めんと向かって来た。騎士の矜持といった所か?
だからといって負けてやる義理は無いので、すれ違い様に一刀両断して容赦無く殺した。
「先ず、1騎」
その時、マスターやサーヴァントを探させていた魔獣から連絡が有った。キャスターを見付けたと。
《マスター、使い魔からだ。キャスターを見付けた》
《そうか、どんな様子だ?》
《一般人の子供を大量に連れているらしい。黒魔術を使うのかもしれないな。丁度拠点に戻る所を見付けたようだ》
《……早めに討っておいた方が良いか。バーサーカー、直ぐに撤退して、キャスターを討ってくれ》
《了解》
「アイリスフィール、使い魔からの情報で、キャスターを見付けたそうだ。これから討ちに行く」
「分かったわ………切嗣の指示ね」ボソッ
「そうだ」ボソッ
虚数空間を展開し1度アインツベルンの城に行き、アイリスフィールを置いて行く。流石に拠点攻略に連れて行く訳にはいかないからな。
その後、キャスターが居る拠点の近くの路地裏に移動する。
「あれか……何か身に覚えのある魔力だな」
魔力の性質が気になりつつも、キャスターの拠点である地下水路に突入する。
張ってあった結界は破壊せずに、侵入を覚らせない様に細工してから侵入しよう。逃げられたら面倒臭いし。
「うわぁ…またコイツ等か」
少し奥に進むと、警備用であろう魔物が居た。しかも凄く見覚えが有る奴が。嘗て殺したクトゥルフの配下に居た、海魔が。
面倒だからショゴス呼んで喰わせよう。
「好きに喰って良いぞ」
「「「てけり・り」」」
ショゴスを数匹召喚して、海魔どもを喰わせる。その間に俺は、魔力放出で一気に奥まで駆け抜けた。
数秒走るとキャスターとそのマスターとおぼしき二人を確認。その周りには、まだ何もされていない子供達と、ナニカに改造された子供達の遺体が散乱している。
「まぁ何だ。取り敢えず死んでおけ!」
「なッ!何者でsスギャァ!」
「旦那ァ!?」
「テメェもだ!」
キャスターを走って来た勢いのままに一刀両断し、そのマスターは血飛沫が子供達に掛からない様に虚数空間に引き摺り込んでから殺した。
キャスターが死んだ事で、眠っていた子供達や、暗示を掛けられていた子供達が意識を取り戻した。
「うわーん!」「おかあさーん!」「ここどこー!」
「いたいよー!」「えーんえーん!」「パパぁ!」
「よろいのひとこわいー!」「たすけてー!」
仕方がない。1度眠らせた後、監督役に後処理を頼むか。
……取り敢えず怖がらせない為に鎧を脱ごう。←地味に傷付いた
「ほーら怖く無い、怖く無いぞー」
後遺症が残らない様に、一人ずつ優しく眠らせよう。
《マスター。キャスターとそのマスターを仕留めた。それで、キャスター組が拐ってきた子供達や殺された子供達に関して、監督役に後処理を頼みたいんだが》
《……分かった。こちらで何とかしよう》
《頼む、流石にこの子達全員を家に返すまでやる訳にはいかないからな》
「………来い、ミ=ゴ」
ミ=ゴを呼び出し、重傷の子供達を治療させていく。せめて、一人でも多く助かってくれれば良いが。
そう思いながら、ミ=ゴに治療後は直ぐに帰還する様に言い、その場を後にした。