叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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連続投稿です。ご注意を。


番外編 If もしも切嗣がモーさんを召喚したら 後編

「後少し、だな」

 

「あぁ。もうじき、全て終わる」

 

俺は今、アインツベルンの城でマスターと話していた。残るサーヴァント、アーチャーへの対策とアサシンの始末について。

 

「アーチャーを倒した後、アサシンに聖杯を横取りされるのは嫌だからな、先に始末しておくべきだと思うんだが…」

 

「その為には先ず、アサシンのマスターである言峰綺礼を始末しなければならない」

 

「だが、奴は今監督役に匿われている。どうする?教会に襲撃を掛けるか?」

 

「そうだね、それしか無さそうだ。……決行は今夜。アサシンを始末した後、アーチャーを討つ」

 

「了解した。……勝つぞ、マスター」

 

マスターは無言で頷いた。

 

 

 

 

 

深夜0時。俺は冬木教会の前に居る。アサシンのマスターである言峰綺礼が居る事は確認済みであり、敵である以上、監督役を相手に容赦をする必要は無い。

ランスロットは今、アーチャーに戦闘を仕掛けている。俺のあの宝具を使う為だ。

念のため結界を張り、逃げられ無い様にしてから入る事にしよう。

 

ガンッ!!

 

教会の扉を蹴破り、内部に侵入する。入って直ぐに監督役である言峰璃正が居た。

 

「何事かな?教会は中立の場所。この様な行為は、監督役として見過ごす訳にはいかんが?」

 

「ハッ。アサシンの生存は確認済みだ。そして、それを知って匿っている時点で、教会が中立で無い事は明白だ。さっさと言峰綺礼を出せ、そしてアサシンを自害させろ。さもなくば教会ごと吹き飛ばすだけだ」

 

さっさとマスターを殺しても良いが、それでは生き残ったアサシンがアーチャーのマスターと契約する可能性がある。

 

「アサシンが生存?何を言っている。アサシンは既に脱落している」

 

「そう思うなら思っとけ。言っておくがセイバーは此方と組んでいる。監督役の権限とやらで此方に不利になる様にした所で、敵になるのはアーチャーだけ。そしてそのアーチャーもこれから討ちに行く。隠すだけ無駄だ」

 

「むぅ………」

 

「…………あくまで隠すか。ならば仕方ない、早s「待て、バーサーカー」……言峰綺礼か」

 

「そうだ、私が言峰綺礼だ」

 

「綺礼!」

 

「良いのです父よ。これ以上隠す事は出来ません。令呪を持って命ず、自害せよ、アサシン」

 

言峰綺礼から令呪が喪失するのを確認した後、直ぐに踵を返し、アーチャーが居る遠坂邸を目指す。

 

 

 

遠坂邸に着くと既に戦闘は始まっており、アーチャーが放出する無数の宝具を、ランスロットが巧く捌いていた。時には剣、時には槍、時には斧、時には鎚、時には鉄扇と、次々と武器を持ち変えて対応していく様は、圧巻である。

 

俺はランスロットが気を引いている内にアーチャーの背後に廻り、兜を脱ぐ。

この宝具は4つの条件全てをクリアした上でしか使用できないが、決まればほぼ確実に勝てる宝具だ。

 

豆腐の角に頭ぶつけて死ね!(自棄糞じゃぁ!)

 

「な、何ィ!?」

 

全力投球された兜は、アーチャーが展開した無数の防御宝具をすり抜け、躱わし、アーチャーの頭部に直撃した。

 

「ぐはぁ!?」

 

兜が直撃したアーチャーは倒れ、気を失った。俺はそのまま近付いて、アーチャーの口に魔術で辛さを強化した鍋一杯の泰山の麻婆豆腐を流し込んで行く。すると1度ビクンッと跳ねると、死んでしまったのか消えていくアーチャー。

嘗て、こんな無様な負け方をした英雄王が居ただろうか?いや、居ない。

 

「勝ったな」

 

「えぇー」

 

ランスロットが微妙そうな顔をしているが、知ったことでは無い。取り敢えずマスターの元に戻ろうとしたその時、マスターから焦った様な声が聞こえてきた。

 

《バーサーカー!直ぐに来てくれ!》

 

何を……………あっ、この世全ての悪(アンリマユ)忘れてた。

 

令呪でランスロットと一緒に転移した先は柳洞寺だった。マスターはここで聖杯を降誕させる気だったのか。

 

着いて直ぐに目に付くのは、聖杯と、そこから溢れ出た泥。そして上空にも穴がある。周囲にはマスターとアイリスフィール。舞弥に、間桐雁夜が居る。

 

「バーサーカー、これが何なのか分かるかい?」

 

「ふむ、超絶ヤベェという事は分かるな。マスター、残った令呪を使ってあの宝具を使う。ホムンクルス全てを使い潰す気でやれば、浄化出来る」

 

「……衛宮切嗣が令呪を持って命ず。バーサーカー、宝具を持って聖杯を浄化せよ。重ねて命ず、浄化せよ」

 

「あいよ、承った」

 

聖杯に向かって進み出て、宝具を解放する。

 

戯曲・黄衣の王(ザ・グローリー・オブ・ハスター)、発動」

 

ハスターの分霊を召喚。合体して自身を強化。

セラエノ断章を召喚。最も強力な浄化の魔術を検索。発動。

 

1

 

マスターからは魔力を取らず、全てホムンクルスから搾り取る。一体残らず干からびさせる気で、何重にも重ねて浄化の魔術を使っていく。

 

「第四の結印は旧き印(エルダーサイン)!脅威と敵意を祓い、我が怨敵を撃ち破るもの也!」

 

2

 

全力でこの世全ての悪(アンリマユ)を浄化し、祓い、消し飛ばす。タイムアップギリギリで、なんとかこの世全ての悪を倒した。

 

3

 

合体が解け、元の姿に戻る。かなり魔力を消耗してしまった様で、立つことも辛く、その場に座り込む。

 

「ふぅー、終ったー。マスター、さっさと願いを叶えちまいな。俺は後で良い」

 

「あぁ、……バーサーカー」

 

「ん?」

 

「…ありがとう」

 

「…おう」

 

マスターは浄化された聖杯に近付き、触れた。

 

 

 

長い。マスターが聖杯に触れてから、もう既に15分は経った。流石に長過ぎるんじゃないのか?

 

「なぁ、アイリスフィール。聖杯に願うのはそんなに時間が掛かる事なのか?」

 

「いえ、そんな筈無いわ。一体どうしたのかしら?」

 

「……ふむ」

 

俺は立ち上がり、聖杯に近付こうとしたその時。

 

「モードレッド!間桐臓硯です!」

 

「だぁもぉ!この重要な時に来るんじゃねぇよ!」

 

周囲一帯に強力な浄化の結界を張り、近寄れ無い様にする。

 

「しょうがねぇ、アイリスフィール、間桐雁夜。二人の魔力を俺にくれ。さっさと間桐臓硯を殺して、間桐桜を助けてくる」

 

「それは良いが、どうすれば?」

 

「こうする」

 

二人に触れて簡易的なパスを繋ぐ。これで二人からも魔力を分けて貰えるようになる。あまり多くは無理だが。

 

「んじゃ、ちゃちゃっと終わらせて来るわ」

 

 

 

『キング・クリムゾン!!』

 

 

 

何か一瞬、時間が跳んだ気がするんだが。本編とほぼ同じシーンを態々描写すな!って感じで………まぁ良いや。俺は間桐邸に乗り込み、間桐臓硯の本体を浄化した後、間桐桜を回収してさっさと柳洞寺に戻って来た。途中魔術回路の無い人間が二人ほどいたから、臓硯処理した後金持たせて追い出したが、何か問題あったか?桜を助けたら蟲ごと邸を焼いたからな。死ななきゃ安いだろ。

 

で、戻って来たのにも関わらず、まだマスターは願いを叶えてない様だ。何をやってんだ?

 

アイリスフィールがマスターを心配そうに見ているのを横目に、俺は聖杯に触れて、意識をその内側に飛ばす。

 

 

 

聖杯の内部は、何も無い真っ白な空間だった。辺りを見渡してみると、頭を抱えて踞るマスターを見付ける。

 

「マスター、どうした!?」

 

マスターに近付き声を掛けると、マスターはゆっくりと顔を上げ、泣きそうな顔と虚ろな目で此方を見てきた。

 

「バーサーカー、分からないんだ」

 

「?何が、分からないんだ?」

 

「世界を平和にする方法が、僕には分からない……」

 

「何を言って……」

 

「聖杯は、過程省いて結果をもたらせる。それがどんなに困難な事でもだ。でも、その結果が僕には分からないんだ!」

 

「……………」

 

そういう事か。聖杯は無垢だからこそ、どんな願いも叶える願望器足り得る。だが、逆に無垢であるからこそ、方法は使用者に委ねられるのか。

不死身になりたいだとか、金が欲しいとかいった願いなら、簡単に叶うだろう。方法さえ有れば叶うのだから。

 

だが使用者にも方法が分からなければ、その願いはどうやっても叶わない。

 

世界平和という願いに近いものは叶えられるだろう。だがマスターはそれでは納得出来ない。妥協したく無いからこそ、聖杯を求めたのから。

 

「はぁ~、これじゃ俺の願いの分は残りそうに無いな……あのなマスター。マスターは難しく考え過ぎなんだよ。見てな」

 

聖杯が此方に語り掛けて来る。願えと。マスターは俺を困惑した様子で見ている。

 

「聖杯よ、俺の願いを言おう。この世界をギャグ時空にしろ」

 

「は?」

 

「ギャグなら、武器で殺しに掛かろうが、事故に遭おうが誰も死なねぇ。どんな悲劇が起きようが、全て無かった事になる。逆に喜劇は幾らでも起こる」

 

「……………」

 

マスターは声も出ない程に呆然としている。

 

気が付くと元の柳洞寺に戻っていた。聖杯はもう中身の無いカラッポの器になっている。俺の願いは叶いそうにないな。

 

「さて、俺の聖杯戦争はこれで終わりだな。俺とランスロットが脱落したら、また聖杯に魔力が溜まるだろうから、持って帰ったら?必要なんだろ?俺は、次の機会を待つさ」

 

「バーサーカー、君は……」

 

疲れたのか、マスターはふらつき倒れそうになるが、アイリスフィールが駆け寄って来て支える。

 

「堅い言は言いっこ無しだ、俺達英霊には次がある。お前もそれで良いだろ?」

 

「ええ、構いません」

 

「つー訳だ。頑張って幸せになれよ、マスター」

 

兜を外し、マスターに笑い掛けながら、俺は消える。最後に見たのは、泣きながら見送るマスターと、嬉しそうにしているアイリスフィールだった。

 

 

 

衛宮切嗣はその後、満たされた聖杯を持ってアイリスフィールと共に帰還した。

二人はアインツベルンには盛大に迎えられ、数日間宴が続いたという。

 

それから娘のイリヤスフィールと一緒に親子三人+αで日本に移り住み、間桐桜を養子として育てる。

 

世界がギャグに包まれた事で混乱は有ったものの、それ自体がギャグとして済まされる。

戦争をやっても相手を殺せず、環境問題やらなにやらも全てギャグで解決するという御都合主義すら超えた何かによって、世界は急速に平和となった。

 

それを見て衛宮切嗣は終始笑顔で過ごし、天寿を全うした。

 

 

 

 

 

そして我らがモーさんはというと。

 

「む?アインツベルン城?それにお前さんはイリヤスフィールか?」

 

「貴方、誰?」

 

次なる聖杯戦争に望んでいた。




さーてもう一つの番外編を書いて、次の章に突入だ!

番外編の続きは、また何時か。
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