叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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第32話 モーさん達、修行する

俺は今、塔城小猫の修行を見ている。別に問題点を指摘するのでも、技術を教えるのでもなく、ただ見ている。

俺が頼まれたのはあくまで仙術の修行であり、通常のトレーニングに付き合うつもりは無い。

まぁ、ただ見てるだけなのは一時間くらいで飽きてきたから、我流仙術の修行と平行して心眼を習得してみようと頑張ってみる。

 

ここで俺が言う心眼というのは、Fateの心眼(真)ではなく、カンピオーネに於ける心眼だ。

これは作中では光や雷の速度で動く力、神速を使う者に対抗できる数少ない手段で、動体視力ではなく相手の動きを感じとる事が重要だ。それっぽいことなら直感で出来るけど、何か違う。

 

魔術によって雨雲を呼び、俺の周囲二メートル程に豪雨を降らす。さらに雨の落ちる速度を重力増加及び質量増加の魔術で高速化。

鎧着てなきゃ滅茶苦茶痛そう。だってさっきから鎧に当たって起きる音が、雨じゃなくて鉱物なんだもん。ピチャッじゃないよ、ガガガガッだよ。

あと、追加で数体のショゴスを召喚。無数に触手を出させて、ショットガンやマシンガンを大量に装備させる。

 

仙術を使って精神を研ぎ澄まし、氣で体を強化していく。目を瞑り、剣を構えながら、周囲の気配を読んでいく。

降りしきる雨の中、俺は高速で剣を振るい、正確に一滴ずつ、全ての雨を斬る。

ショゴスたちに撃ってくる様に指示を出し、雨と一緒に銃弾を切り落としていく。

時折降ってくる雷を斬りながら、思わず力んで放出しそうになる魔力を押さえ込み、仙術による強化のみで体を動かす。

まだ上手く行かず、最初の頃は何回か鎧に当たるが。時間が経つにつれて当たらなくなっていく。

 

今日1日は、ずっとこの修行だけで終了した。

 

 

 

次の日。昨日の修行を見ていた塔城に相談された。どうやったら俺みたいに強く成れるのかって。

だから俺は端的に、「一歩間違えば死ぬレベルの修羅場を何度も潜り抜けてればこれくらいなれる」と答えて、俺の経験の一部を話してやった。

 

俺がまだここまで強く無い頃、円卓の騎士になる前はマジで何度か死にかけた。

戦場で大怪我するなんてざらに有ったし、円卓の一員になった後も、内乱の鎮圧や侵攻してくるBANZOKUと戦ったり。

クトゥルフとの戦いは、相討ちで死んだからな。英霊になって復活したけど。

ギルガメッシュもあの物量は手強かったし、鞘持った父さんなんて対処法が無ければ敗北必至だ。

 

俺が話を終えたら、塔城が悩みを打ち明けてきた。

自分が眷族で一番弱く、そして役に立てないが、自分が封じてる力を使いたくない事を。

 

「……私は怖いんです。自分が力に飲まれてしまわないか、怖いんです」

 

「…………なぁ塔城、お前は力ってのは何だと思う?」

 

俺の要領を得ない問い掛けに、塔城は首を傾げる。

 

「……?」

 

「俺はな、力は所詮力でしかないと思う。俺は自分の持つ巨大な力を、恐怖したこたぁ一度も無い。生来の気質も有るんだろうが、力を便利な道具位にしか考えた事はないよ」

 

「……でも、それは貴方が強いから」

 

「そうだな。…でもな塔城。別に独りで強くなる必要は無いと思うぞ?」

 

「……え?」

 

「お前さんには仲間がいる。万が一暴走しても、仲間が身体張って正気に戻してくれるよ。仲間は頼る為にあるんだからな。そんで、助けられたら、助けられた分だけ助け返してやればいい。だから、力なんざ仲間を守る為の便利な道具だとでも思っとけ」

 

「……そんな簡単には、割り切れません」

 

「うーん、そうか?…なら、強くなれば良い。力が扱いきれずに怖いなら、制御出来るまで強くなれば良い。脳筋の理論だが、バカには出来んぞ。何気に真理だからな」

 

自分の持つ力が強すぎるから、制御する為に強くなる。バトル物の作品では結構ありがちな事だ。

 

「……私に、出来ますか?」

 

「それは分からん。だが、先ずは自分を信じる所から始めようぜ」

 

「……はい!」

 

 

 

早速仙術の修行をはじめる俺達だが、その前に確認しておくべき事がある。

 

「先ず塔城、お前はどんなタイプの強さを得たい?」

 

「……どんな、タイプ?」

 

「ああ。強くなるにしても、その方向性が見えている方が、強くなりやすいからな。現状のお前さんの基礎能力から今パッと思い付くのは、防御力を上げて、文字通り味方の盾になるディフェンダー。攻防両方を上げて、相手を真正面から無力化していくパワーファイター。攻防はそこそこにして、仙術で味方のサポートをしつつ絡め手で戦うオールラウンダーって所か。勿論選択肢はこれだけじゃない。今挙げた物以外の物もある。塔城、お前はどうしたい?」

 

「……私は…パワーファイターになりたいです…!」

 

塔城は少し迷った後、覚悟を決めた目で答えを告げた。

 

「よし、分かった。それではこれからは俺の事を先生と呼ぶように」

 

「…はい、先生!」

 

「よろしい。では先ず仙術の基礎である氣の生成とコントロールから始める。本当なら長期間かけて習得するんだが、時間が限られているのでこれからお前の中に俺の氣を軽く流し、仙術を扱う感覚を馴染ませる。後は自力で氣を生成。それからコントロールの修行に移っていく。お前は俺より仙術の才能がありそうだから、直ぐに基礎は終わるだろう」

 

俺は塔城の頭に手を置き、軽く氣を流し込んでいく。

 

「……んっ」

 

身体に異物である他人の氣が入り込んできた事で違和感を覚えたのか、少し声を上げる塔城。

 

「身体に流れてく氣を受け入れて、それを意識して動かして放出してみろ。魔力を動かすのと、感覚は似たようなものだ」

 

「……はい!」

 

言うや否や、塔城は恐ろしい速度で氣の扱いが上達し、ものの数十分で俺の氣を体外に放出した。

 

「っは~、ここまで才能があるとは思わんかった。いやマジで。すげぇよお前。俺、氣を体外に放出するのに二日かかったからね?ホント凄いわぁ」

 

「……ありがとうございます」

 

褒められまくった塔城は、照れぎみに頬を赤くしながら応えた。

 

それから暫くはアザゼルの作ったトレーニングメニューを行いながら、基礎固めの修行を続けていった。

 

そして修行開始から一週間ちょい。ちょいと躓いていた。

今やっている修行は仙術で外氣に干渉するのだが、小猫が頻繁に暴走しかけていた。その度に脳天に氣を込めたチョップをして正気に戻しているが。

俺の場合は多少どころか大量の邪気を吸収しても、速効で俺色に染めて制御下に置けるが、塔城は直ぐに邪気に影響を受けてしまうのだ。

 

その時、どうすれば良いのか数分悩んだ俺の脳裏に、ある名言が過った。

 

『パンが無ければ、ケーキを食べれば良いじゃない』

 

つまり

 

『外氣が無理なら、内氣を鍛えれば良いじゃない』

 

外氣に干渉せずに内氣のみを鍛えていき、いずれは外氣を内氣で無理矢理従える事が出来る様になるだろう。

 

修行方針も決まったので、氣で肉体を強化しながらひたすらに模擬戦を繰り返す事で、戦闘技術を鍛えていく。

来る日も来る日も鍛え、食う、寝る、修行のローテーションを続けてたら、気が付いたらいつの間にか舞空術まで身に付けてた。

 

いや、俺は飛行魔術使えるし、その気になればハスターの力を借りてデフォで飛べる様になるけど、塔城はそうはいかん。悪魔の翼って、熟練しないとあんまり速く飛べないらしいし。

だから空戦能力が低いなぁって思って、塔城と色々試行錯誤してたら、いつの間にか空飛んでた。

 

俺達の修行、端から見たら完全にドラゴンボールだよな。高速でぶつかり合い、拳を交えながら時折気功波を放つ。たまにかめはめ波みたいな大技も出すから、周りの被害がとんでもない事になってる。

 

その修行の一部を抜粋すると。

 

 

「遅いぞ塔城!もっと速く動け!」

 

「……はい!」

 

超音速?なにそれ食えんの?と言わんばかりの速度で動き回り。

 

「氣の練りが甘い!そんな攻撃では、倒せるのは上級悪魔くらいだ!」

 

「……すいません!」

 

上級悪魔をぶっ殺せるレベルの一撃を、高速かつ連続で打ち合う。

 

「気功波を撃つときは、もっとエネルギーを凝縮させて、破壊力を高めろ!」

 

「……はい!」

 

「「かーめーはー○ー」」

 

 

 

『『波ーーー!!!』』

 

 

ドゴォォォォォォォォン!!!!

 

 

これは強い(確信)

 

上級悪魔どころか、最上級悪魔に匹敵するぞ。魔王相手にも挑めるんじゃねェの?俺と塔城のかめは○波の激突の余波で、山が3~4個まとめて吹き飛んだからな。ピッコロ大魔王(若)ぐらいの戦闘力は在りそうだ。

氣を読んで広範囲の全ての生命体を探ったり、多少とはいえ仙術で治療も可能。これもうコイツ一人でレーティングゲーム勝てるんじゃないのか?

 

そして修行最終日までこんな日々が続き、俺達の仙術?の腕前が相当上がった。

 

 

 

 

 

所変わってゼノヴィアの修行へ。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

遡ること修行初日。彼女は全力で走っていた。後ろから迫って来る狂戦士達から逃げる為に。

 

『『『ヒャァァハァァァーー!!』』』

 

「逃げんなゼノヴィア!大人しく俺達に殺されゲフンゲフン戦えぃ!」

 

「今殺されって言ったよな!?殺されって!」

 

「気のせいだ!」

 

「とか言いながら対物ライフルを構えるな!」

 

 

 

私の修行はモードレッドさんの部下である彼等と戦い続ける事。私よりも多く戦場を潜り抜け、そして戦闘力が高い彼等との戦いは、確実に私をレベルアップさせるだろう。…生き残れれば。

 

修行開始地点は、ここより大分離れた広い草原。修行が始まるまでは、私も少しは真面目にやろうと思っていた。

だが、開始と同時に自分の脳天目掛けて矢が飛んできて私は悟った。

 

「コイツ等私を殺す気だ」と。

 

初撃は首を反射的に動かす事で躱わせたが、もし当たってたらと思うとゾッとする。

躱して直ぐに私が取った行動は、逃げだった。理由は勝ち目が無いから。

 

武器の質で言えば此方が有利だ。なにせ此方が使うのは、聖剣の中でも取り分け強力なデュランダル。その破壊力は、モードレッドさんの用意した武具を容易く上回る。

いくら強力な魔術礼装でも、宝具クラスの剣と打ち合えば流石に持たない。

 

だがしかし問題が二つある。

 

一つは防具。

彼等が身に付けている防具は、鎧は明らかにヤバそうな代物だし、盾に至っては平然とデュランダルを弾き返したのだ。

自分がデュランダルの担い手として未熟なのもあるだろうが、それにしたって硬すぎないだろうか?一応破壊可能であることは、モードレッドさん自身が示したが(素手で折り曲げた)改めてあの人は化け物だと思う。

 

二つ目は数の差。一対二…いやせめて、一対三までなら戦えただろう。しかし、この数は無理だ。モードレッドさんに教わった魔法や氣で多少は対処できても、直ぐに押し潰される。

 

なので私は正攻法では戦わない。先ずは森か山を探しだし、そこに隠れるのだ。そうすれば上空から狙い撃ちにされる事は無くなり、騎兵はその利点を生かせなくなる。

更に幻術を使って歩兵も撒けば、後は罠を仕掛けてゲリラ戦を仕掛ける。そうすれば私にも勝ち目はある……と思っていた。

 

まさか、馬に乗ったまま木々を薙ぎ倒しながら走ってきたり、躊躇無く森を焼き払うとは思わなかった。

そして最初の逃亡へ至る。私は初日はひたすらに逃げ続け、状況を打開する方法を探った。幸い食事と睡眠の時は何もされなかった(その間ずっともの凄い目で見られた)ため、ゆっくりと食事を取りながら考えた。結局思いつかず、あと二日同じ日を繰り返したが。

四日目の朝、私の精神は限界に達していた。逃げ続けて疲れたのも有るだろうが、なによりも修行開始から全くサブカルチャーに触れてないのだ。その日は何とか逃げ切った。

そして五日目。私の中の何かが壊れた。

 

何故だ?何故私は今漫画を読んでいない?何故アニメを観ていない?答えはコイツ等だ。コイツ等の存在が私の邪魔をする。鬱陶しいことこの上ない。なら如何する?如何すれば至福の日々に戻れる?

 

 

 

そうだ、ぶっ壊せば良いんだ。

 

 

 

逃げるのを止めた私は、狂戦士(バカ)達に対してデュランダルを構える。デュランダル砲もライザーソードも使えない。今の私が使うデュランダルではあの守りを突破できない。

ならば、今の私を超えればいい。私が愛する物の為に、私は今!限界を超える!

 

「邪魔だァァァァ!!」

 

私はデュランダルを振るい、一番先頭の居た騎兵を馬ごと斬り倒す。続けざまにその騎兵の後ろに居た連中を、デュランダルを横薙ぎに振るって纏めて両断する。斬撃と同時に鎌鼬の様に飛ぶ斬撃が出て、更に後方の連中を吹き飛ばしたがどうでもいい。

突如逃亡を止めて、攻撃をしだした私の雰囲気が先程とは違うことに警戒をしたのか、私から距離を取って様子を窺ってくるヤツ等に向かって言う。

 

「どうした?見ているだけか?あの人の部下が聞いて呆れるな。恐れを知らぬ無法者騎士団は、たった一人の少女に臆するのか?かかって来いよ。Hurry!Hurry!!」

 

「…………総員構え!」

 

隊長格らしき一人の老戦士が言うと、それまでバラバラに動いていた面々が、急激に統率が取れていく。まるで司令塔の出来た虫のようだ。それほどに従順に従っている。

 

「かかれぇ!!」

 

『『『ウォォォォォォ!!』』』

 

「来い!!」

 

私は何も考えずに奴等に突っ込んで行く。私の振るったデュランダルは、コイツ等の盾を、熱したナイフでバターを斬る様に容易く切り裂いていく。

私に放たれる凶弾の嵐を尽く回避し、剣を砕いて槍を圧し折り、空を跳んで討ち落とし、殺す度にいつの間にか復活している奴等を何度も殺していく。後になって知ったが、死ぬたびにモードレッドさんが英霊の座から召喚していたらしい。

私は体力が切れるまで延々と戦い続け、ついに力尽きて倒れた。代わりにあちらを全滅させてやったが。

 

その後暫く休んだ後、再びやって来たコイツ等から何故か姐御と呼ばれ、敬われた。私のあまりの無双っぷりに、団員達が満場一致で決めた事らしい。何かこそばゆいな。まぁ、特にデメリットも無いので好きにさせているが。どうせだから顎で使ってやろう。

 

「茶」

 

「はい!ただいま御持ちします!」

 

「ジャンプの最新号」

 

「こちらに」

 

「パソコン」

 

「ただちに御用意致します!」

 

………楽で良いな、これ。

 

ゴォォォォォォォン!!

 

「何だ?」

 

「どうやらこの近くで赤龍帝の小僧が修行をしているようです。今のはタンニーンの攻撃か何かでしょう」

 

「……ふむ」

 

戦ってるうちにいつの間にか兵藤の修行場所まで来てしまっていたのか。

 

「ちょっと様子を見に行くか」

 

私はバカ共を連れて、兵藤の様子を見に行った。

 

 

 

そこで行われていたのは、少し前の私と同じ状況だった。追いかけるタンニーンと逃げる兵藤。対抗手段が無いだけ、兵藤の方が悲惨かもしれんが。

 

「む?貴様はリアス嬢の護衛の……」

 

此方の姿に気づいたタンニーンは、一度兵藤を追いかけるのを止めてこちらに近づいて来た。

 

「どうした、何か用か?」

 

突然だが、私は此処の所全くと言っていいほど趣味をやれていない。さっき色々用意させていたけど、まだ何もしてないしな。だからか、タンニーンの姿を見た私は最早我慢が出来なかった。ゲームの出来事を再現する絶好の機会を。

 

「リアルモンハンだぁぁぁぁ!!」

 

『『『ウォォォォォォォォォ!!』』』

 

「な!?貴様等何をするっ!うわ、やめろ!鱗を剥がすな武器を突き立てるな!貴様等…いい加減に、ぐぁ!?ぬぉぉぉぉぉ!!??」

 

 

 

後にゼノヴィアはこの時の事をこう語る。

 

「深夜テンションって怖い」




ゼノヴィアの獲得品
魔聖龍の鱗×50
魔聖龍の甲殻×10

モードレッドとゼノヴィアの修行によって荒れた土地の修繕費、プライスレス。

そしてバーサーク状態のゼノヴィアの戦闘力は最上級悪魔クラス。


これもモードレッドって奴のせいなんだ。
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