叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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連投です。ご注意を。


第40話 モーさん、同士に出会う

英雄派の襲撃から次の日、急遽オーディンが来日した。

 

「ほっほっほ、というわけで訪日したぞい」

 

兵藤の家の最上階にあるVIPルームで、オーディンは楽しそうに笑っている。北欧神話は各勢力の中で、数少ない同盟を渋らなかった勢力だ。ただ条件は厳しくなったらしいが。

今VIPルームには、グレモリー眷属全員と、アザゼルに堕天使幹部のバラキエル。オーディンの護衛のヴァルキリー。俺とゼノヴィアが居る。

 

「どうぞお茶です」

 

グレモリーが笑顔でオーディンにお茶を出す。

 

「ありがとう。しかし、相変わらずデカいのぉ。そちらもデカいのぅ」

 

グレモリーと姫島の胸を交互に見比べるオーディン。ホント、何でこんなセクハラ爺が北欧のトップ何だろう。

 

「もう!オーディンさまったら、いやらしい目線を送っちゃダメです!こちらは魔王の妹君なのですよ!」

 

護衛のヴァルキリーがハリセンでオーディンの頭を叩いた。それに対しオーディンは頭をさすりながら半眼になる。世界広しといえど、部下にぶっ叩かれて軽く流せる主神はコイツくらいじゃなかろうか。そういう意味じゃ神話のトップができるくらいの器ってことにもなるのかね?……いや、ハスターの奴も笑って済ませそうだ。あいつオーディンよりも質悪いけど。

 

「まったく、堅いのぉ。サーゼクスの妹といえばべっぴんさんでグラマーじゃからな、そりゃ、わしだって乳ぐらいまた見たくもなるわい。と、こやつは儂のお付きヴァルキリー。名は―――」

 

「ロスヴァイセと申します。日本にいる間、お世話になります。以後、お見知りおきを」

 

そういやレーティングゲームの時は自己紹介してなかったな。

 

「ちなみに彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ」

 

オーディンがいやらしい表情でそう言う。するとロスヴァイセは酷く狼狽しだした。

 

「そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁっ!わ、私だって、好きで今まで彼氏ができなかったわけじゃないんですからね!好きで処女なわけじゃないじゃなぁぁぁぁぁいっ!うぅぅっ!」

 

ロスヴァイセはその場に崩れ落ちて、床をバンバンと叩き出す。……なんか見てて可哀想になってきた。今度誰か英雄でも紹介してやろうかな?あっ、ダメだ。俺の知り合いの英霊ダメ人間しかいねぇ。

 

「まあ、戦乙女の業界も厳しいんじゃよ。器量よしでもなかなか芽吹かない者も多いからのぉ。最近では英雄や勇者の数も減ったもんでな、経費削減でヴァルキリー部署が縮小傾向での、こやつも儂のお付きになるまでは職場の隅にいたのじゃよ。まぁつい最近、結構な数の英雄が手に入るあてができたがの」

 

オーディンがうんうん頷きながら言う。まるで現代社会だな。アザゼルがやり取りに苦笑しながら口を開く。

 

「爺さんが日本にいる間、俺達で護衛することになっている。バラキエルは堕天使側のバックアップ要因だ。俺も最近忙しくて、ここにいられるのも限られているからな。その間、俺の代わりにバラキエルが見てくれるだろう」

 

「よろしく頼む」

 

言葉少なめにバラキエルがグレモリー達に挨拶をする。

 

「爺さん、来日するのにはちょっと早すぎたんじゃないか?俺が聞いていた日程はもう少し先だったはずだが。今回来日の主目的は日本の神々と話をつけたいからだろう?ミカエルとサーゼクスが仲介で、俺が会議に同席―――と」

 

「まあの。それと我が国の内情で少々厄介事……というよりも厄介なもんにわしのやり方を非難されておってな。事を起こされる前に早めに行動しておこうと思ってのぉ。日本の神々といくつか話をしておきたいんじゃよ。今まで閉鎖的にやっとって交流すらなかったからのぉ」

 

ジジイは長い白ひげをさすりながら嘆息していた。

 

「厄介事って、ヴァン神族にでも狙われたクチか?お願いだから『神々の黄昏』を勝手に起こさないでくれよ、爺さん」

 

「ヴァン神族はどうでも良いんじゃがな……」

 

ヴァン神族じゃない。それで北欧の厄介な奴となると、ロキか?

 

「日本に居る間はモードレッドに護衛を依頼したくての。後で雇用条件を詰めたいのじゃが?」

 

「かまわんぞ」

 

臨時収入ゲットだ。

 

「ま、これ以上はこの話をしていても仕方ないの。それよりもアザゼル坊。どうも禍の団は禁手化出来る使い手を増やしているようじゃな。あれは希有な現象と聞いたんじゃが?」

 

「ああ、レアだぜ。だが、どっかのバカがてっとり早く、それでいて怖ろしくわかりやすい強引な方法でレアな現象を乱発させようとしているのさ。それは神器に詳しい者なら一度は思いつくが、実行するとなると各方面から批判されるためにやれなかったことだ。成功しても失敗しても大批判は確定だからな」

 

「何ですか、その方法って」

 

「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦だよ。先ず神器保持者を世界中から掻き集める。次に強者が多く集まる場所、超常の存在が住まう重要拠点に神器を持つ者を送る。それを禁手に至る者が出るまで続ける事さ。至ったら強制的に魔方陣で帰還させる。これらのことはどの勢力も、思いついたとしても実際にはやれはしない。仮に協定を結ぶ前の俺が悪魔と天使の拠点に向かって同じことをすれば、批判を受けると共に戦争開始の秒読み段階に発展する。自分達はそれを望んでいなかった。だが、奴らはテロリストだからこそそれをやりやがったのさ。最初っから和平を考えない戦略ってのは、テロリスト集団である禍の団ならではの行動ってわけだ」

 

「それをやっている連中はどういう輩なんですか?」

 

兵藤の問いにアザゼルが続ける。

 

「英雄派の正メンバーは伝説の勇者や英雄の子孫が集まっていらっしゃる。身体能力は天使や悪魔にひけを取らないだろう。更に神器や伝説の武具を所有。その上神器が禁手に至っている上に、神をも倒せる力を持つ神滅具だと倍プッシュなんてものじゃ済まなくなる訳だ。報告では、英雄派はオーフィスの蛇に手を出さない傾向が強いようだから、底上げに関してはまだ分からんが」

 

「オーフィスの蛇を使わない、か。まぁ、今は情報を集めていくしかないだろう」

 

その後オーディンはアザゼルと共におっぱいパブへ行くことになり、ロスヴァイセはオーディンが問題を起こさないか見張るため、俺は護衛のために二人を追っていった。

 

 

 

 

 

「日本のヤマトナデシコは良いのぉ。ゲイシャガール最高じゃ」

 

オーディンの来日より数日、今はスレイプニルという八本足の神馬が牽く馬車に乗って夜の空を移動している。馬車の外では、バラキエル、木場、紫藤、塔城が非常時に対応できるように空を飛んでいる。未熟なグレモリー眷属を護衛にするのは、俺は反対したんだけどな。

 

「オーディンさま!もうすぐ日本の神々との会談なのですから、旅行気分はそろそろお収めください。このままでは帰国した時に他の方々から怒られますよ!」

 

「まったく、お前は遊び心の分からない女じゃな。もう少しリラックスしたらどうじゃ?そんなだから男の1人も出来んのじゃよ」

 

「か、彼氏がいないのは関係無いじゃないですか!私だって好きで独り身してるんじゃないんですよおぉぉぉぉぉ!!」

 

「やれやれ、のうモードレッド、おぬし誰か良さそうな英雄をこやつに見繕ってやってはくれんか?」

 

「そうは言ってもなぁ…できる事なら力になってやりたいけど、俺の知り合いの英雄って、基本的にダメ人間しかいねぇし」

 

「そこを何とかならんかのぉ?」

 

「うーん、比較的まともなのが、主の妻を寝取った奴とか、ロリ巨乳好きな奴とかな時点でお察しだと思うが…」

 

俺の挙げた例を聞いてさすがに、と思ったのか、オーディンはそれ以上相談してこなかった。

 

『ヒヒィィィィィン!!』

 

突然スレイプニルが嘶き、馬車が停止する。即座に俺は飛行の魔術を使って外に出る。それに続いて他の面々も外に飛び出した。ゼノヴィアは飛行能力を持たないため、一人馬車の上に乗ってデュランダル砲の準備をしている。今度飛行、若しくは足場形成の魔法を教えよう……。

 

馬車の前方には黒いローブを着た男が浮遊していた。

 

「はっじめまして諸君!我こそは北欧の悪神ロキだ!」

 

「やっぱりロキだったか。てことはアレが居る可能性があるな……」

 

「これはロキ殿。こんなところで奇遇ですな。何か用ですかな?この馬車には北欧の主神オーディン殿が乗られている。それを周知の上での行動だろうか?」

 

アザゼルが前に出て冷静に問い掛けると、ロキは腕を組みながら口を開いた。

 

「いやなに、我らが主神殿が、我らが神話体系を抜け出て、我ら以外の神話体系に接触していくのが耐えがたい苦痛でね。我慢できずに邪魔をしに来たのだ」

 

「堂々と言ってくれるじゃねぇか、ロキ」

 

「ふはははは、これは堕天使の総督殿。本来、貴殿や悪魔逹と会いたくはなかったのだが、致し方あるまい。――――オーディン共々我が粛正を受けるが良い」

 

「お前が他の神話体系に接触するのは良いってのか?矛盾しているな」

 

「他の神話体系を滅ぼすのならば良いのだ。和平をするのが納得出来ないのだよ。我々の領域に土足で踏み込み、そこへ聖書を広げたのがそちらの神話なのだから」

 

「……それを俺に言われてもな。その辺はミカエルか、死んだ聖書の神に言ってくれ」

 

アザゼルが困った顔をしながら頭を掻く。

 

「どちらにしても主神オーディン自らが極東の神々と和議をするのが問題だ。これでは我らが迎えるべき『神々の黄昏』が成就出来ないではないか。ユグドラシルの情報と交換条件で得たいものは何なのだ」

 

「なるほど、爺さん。これが北が抱える問題点か」

 

アザゼルが馬車の方に顔を向けると、オーディンがロスヴァイセを引き連れて馬車から出ていき、足下に魔方陣を展開して空中を移動していく。

 

「どうにもの、頭の固い者がまだいるのが現状じゃ。こういう風に自ら出向く阿呆まで登場するのでな」

 

「ロキさま!これは越権行為です!主神に牙を向くなどと!許される事ではありません!然しかるべき公正な場で異を唱えるべきです!」

 

ロスヴァイセは瞬時にスーツ姿から鎧に変わりロキに物申すが、ロキは聞く耳を持たない。

 

「一介の戦乙女ごときが我が邪魔をしないでくれたまえ。我はオーディンに訊いているのだ。まだこの様な北欧神話を超えた行いを続けるおつもりなのか?」

 

返答を迫られたオーディンが平然と答える。

 

「そうじゃよ。少なくともお主よりもサーゼクスやアザゼルと話していた方が万倍も楽しいわい。日本の神道を知りたくての。あちらもこちらのユグドラシルに興味を持っていたようでな。和議を果たしたらお互い大使を招いて、異文化交流しようと思っただけじゃよ」

 

「……認識した。なんと愚かなことか。――ここで黄昏をおこなおうではないか」

 

「それは、抗戦の宣言と受け取っていいんだな?」

 

「いかように「「でりゃアァァァァァ!!/波ぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

ゴガァァァァァァン!!

 

二人の会話の最中に、ロキに聖なるオーラと氣の波動がぶつかった。ゼノヴィアと塔城が空気を読まずにぶっ放したようだ。良いぞ、もっとやれ。

しかし二人の一撃もロキに対してはあまり効果が無かったらしく、平然と佇んでいた。

 

「ほう、なかなかできるようだな。今のは少し痛かったぞ」

 

木場が聖魔剣を創り、紫藤も光の剣を生み出す。

 

「ふははっ!無駄だ!これでも神なんでね、たかが悪魔や天使の攻撃では効かんよ!」

 

「呪文螺旋!神銃形態!イア・クトゥグアァァァァァァ!!」

 

虚数空間から召喚した超大型ライフルから、極太のレーザーが発射される。さすがにこれを受けるのは不味いと思ったのか、魔術障壁を展開しながら回避する。

 

「チィッ!……そういえば貴様も居たのだったな、人類最強。これはまた面白い限りだ。嬉しくなるぞ。とりあえず笑っておこう。ふははははっ!」

 

「曹操も言ってたが、俺の渾名って人類最強で固定なのか?そうなのか?」

 

「堕天使幹部が2人、天使が1匹、悪魔がたくさん、聖剣使いに赤龍帝。そして人類最強。オーディン、ただの護衛にしては厳重だな」

 

「お主のような大馬鹿者が来たんじゃ。結果的に正解だったわい」

 

オーディンの一言にロキは頷き、不敵な笑みを浮かべた。

 

「よろしい。ならば呼ぼう。出てこいッ!我が愛しき息子よッ!」

 

ロキが高らかに叫ぶと、空間に歪みが生じる。そしてその歪みから一匹の狼が出て来た。狼の体躯は十メートル程で、途轍もない力を感じる。だがそれとは別に、何故か身に覚えのある感覚がする。一応試してみるか?

 

「全員、その狼には手を出すな!そいつは神すら殺す牙を持った、世界でも十指に入る強さを持つ化け物だ!一撃でも喰らえば致命傷だぞ!!」

 

アザゼルが声を荒げながら全員に警告する。

 

「そうそう。気をつけたまえ。こいつは我が開発した魔物のなかでトップクラスに最悪の部類だ。何せ、こいつの牙はどの神でも殺せるって代物なのでね。試したことはないが、他の神話体系の神仏でも有効だろう。上級悪魔でも伝説のドラゴンでも余裕で致命傷を与えられる」

 

ロキがフェンリルを撫でながらそう言うが、微妙に嫌がっている様に見えるのは俺だけか?

ロキの指先がグレモリーに向けられ、言葉を続ける。

 

「本来、北欧の者以外に我がフェンリルの牙を使いたくはないのだが……。まあ、この子に北欧の者以外の血を覚えさせるのも良い経験となるかもしれない。魔王の血筋。その血を舐めるのもフェンリルの糧となるだろう。――やれ」

 

「…………」

 

「……どうした息子よ、何故我の言うことを聞かん?」

 

ロキの疑問を無視して、フェンリルは黙ったまま俺と見つめ合う。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬるぽ」

 

「ガッ」

 

「ちくわ」

 

「誰だ今の」

 

「そんなことより」

 

「おうどん食べたい」

 

「爆ぜろリアル!」

 

「弾けろシナプス!」

 

「「バニッシュメント・ディス・ワールド!!」」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

『…………』

 

沈黙ッ!圧倒的沈黙ッ!そしてそれを破るのは、他ならぬ俺!

 

「貴様同士かッ!」

 

「そういう貴様も、同士の様だな!」

 

「ここは戦闘宙域だ。あちらで語り合おうじゃないか!」

 

「よかろう!」

 

俺とフェンリルがこの場を離脱しようとしたが、それをロキが引き止める。

 

「ま、待て息子よっ!今は戦闘中だ!」

 

「チッ…しょうがない。同士よ、すまんが語り合いはまた今度だ」

 

「しょうがないさ。悲しいけどこれ、戦争なのよね」

 

フェンリルの残念そうな言葉に、俺は嘆息しながら構える。

 

「まったく。フェンリルといい、ヨルムンガンドといい、何故こうも我の息子は言うことを聞かんのだ……」

 

「「お前/親父に人望が無いからだろ」」

 

「ぐふっ…」

 

俺とフェンリルの心無い一言!

 

ロキの心は368のダメージを受けた!

 

「……もう、いいから。取り合えず戦ってくれ」

 

アレ?何かロキさんの目尻に水分が。

 

「ロキ、お主泣いとらんか?」

 

「泣いてなどない!」

 

何か可哀想になってきたので、真面目に戦う事にする。

俺とフェンリルは、馬車を巻き込まない様に距離を取って相対する。

 

「人類最強モードレッド」「神殺しの魔狼フェンリル」

 

「いざ尋常に」「目標を」

 

「勝負!」「駆逐する!」

 

ダンッ!

 

フェンリルが虚空を蹴って接近。俺の知覚を超える速度で、首を食い千切らんと突っ込んでくる。俺は直感の示すままに左足を振り上げ、フェンリルの顎をかち上げて口を閉じさせる。直後に前足が動こうとしているのが感じられ、反射的に剣で受け流す。

 

初手を防がれたフェンリルは楽しそうに笑いながら、そのまま接近の勢いと巨体を活かして突進してくる。

俺はフェンリルの顔面を踏んで跳び、相手の背中を転がって回避した。

すぐに体勢を直し、背中にクラレントを突き立てようとしたが、フェンリルの頑強な肉体的に弾かれ叶わない。というかコイツの毛、剛毛過ぎる。肉体に当たる前に威力をかなり消されるんだけど。

 

「ふんっ!」

 

「のわっ!?」

 

背中から降りない俺に業を煮やしたのか、フェンリルが神速で背中から地面に向かって行く。俺は地面に激突する前に背中から離脱する。

するとフェンリルは地に着く前に宙を蹴って向きを反転。こちらに向かって来る。

 

フェンリルの爪牙と打ち合えば、クラレントが折られかねない為一旦収納し、二振りの剣を召喚する。

 

「ロイガー!ツァール!」

 

双剣でフェンリルの攻撃を防ごうとしたが、直感に従って上体を大きく仰け反らせる。

フェンリルの爪は、まるで熱したナイフでバターを切るかのように、双剣を容易く切り裂いた。

 

「何いぃっ!?」

 

武器を失った俺に対し追撃を仕掛けんとしたフェンリルに、俺は両手を頭に翳して言った。

 

太陽拳(バルス)!!」

 

カッ!!

 

「目が、目がぁ~!」

 

よし!時間稼ぎ成功!同士足るもの、これに反応しない訳にはいかないからな。今のうちに!

 

「ヴーアの無敵の印において──力を与えよ! 力を与えよ! 力を与えよ!力を与えよ!力を与えよ!来いや!バルザイの偃月刀!」

 

俺を中心として数百の偃月刀が鍛造、生成され宙を舞う。

 

「超攻性防御結界!」

 

偃月刀たちが陣を画きながらフェンリルへと迫っていく。しかし偃月刀の刃はフェンリルに傷を付けられず、毛を多少刈るだけに留まる。

視覚が潰れたフェンリルは、その優れた嗅覚で俺の居場所を探しだしていたのか、視力が回復して直ぐにこちらを睨み付けていた。

 

「この程度の刃では、吾輩を殺す事はできぬぅ!!」

 

「ならッこれでどうだぁ!!」

 

宙を舞う偃月刀が魔力の残滓を残しながら飛行し、軌道そのものが巨大な魔法陣となる。

 

「虚空に散りゆき、虚無へ消え去れ!デュアル・ザ・サン!!」

 

魔法陣から、フェンリルを挟むように巨大な焔の球体が出現する。炎熱耐性が無い奴なら、直撃すれば魔王クラスなら消し炭にし、神クラスにも大ダメージを与えうる大魔法だ。

 

「温い!」

 

そんな魔法を、フェンリルはまるで熱さを感じないかのように、火球の中を突っ切ってくる。

俺は両手に偃月刀を構え、限界ギリギリまでの魔力を注ぎ込み、増幅させて迎え撃つ体勢を取る。俺とフェンリルの距離が無くなりかけたその時。

 

『Half Dimension!』

 

フェンリルを中心として空間が歪み、フェンリルの動きが封じられる。だがフェンリルは一瞬にして空間の歪みを、その身体能力だけで強引に引き千切って脱出してみせた。

歪みから脱出したフェンリルは、今の現象を引き起こした人物の方を向いて言う。

 

「吾輩の闘争の邪魔をするとは、死にたいのか?」

 

「まさか半減の力が効きすらしないとは、恐れ入る」

 

そこに居たのは白龍皇のヴァーリだった。ヴァーリはロキの方に向き直ると、堂々と名乗りをあげる。

 

「初めまして、悪神ロキ殿。俺は白龍皇のヴァーリ。貴殿を屠りに来た」

 

「ふむ、二天龍が見られて満足した。今日は一旦引き下がろう!」

 

ロキがそう言うと、フェンリルはロキの側に戻り、ロキは空間に大きな歪みを作り出す。

 

「だが、この国の神々との会談の日! またお邪魔させてもらう! オーディン! 次こそ我が子フェンリルが、主神の喉笛を噛み切ってみせよう!」

 

姿を消す前に、フェンリルがこちらに話しかけてくる。

 

「モードレッドと言ったな。また会おう、同士(とも)よ」

 

「ああ。また会おう、フェンリル。いや、フェン君」




皆さんの意見を聞いて作者の出した結論は、

モーさんにヒロインなど要らぬぅ!

でした。

ただ、モーさんと同レベルで馬鹿な事をやる友達は必用だと思った。その結果がコレである。


追記 モーさん当たったよ!!(狂喜乱舞しながら)
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