叛逆の騎士ですがなにか?【永久凍結】   作:くずもち

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投稿後に編集ミスというか記入漏れに気付いて一度消しました。

すみませんでした。


第42話 モーさん、久々に本気で戦う

オーディンと日本神話との会談当日の夜。会談の会場である都内の高級ホテルの屋上にて、俺たちはロキを待っていた。シトリー眷属は周囲のビルに待機しているが、匙だけはグリゴリの施設で特訓を受けているらしい。遅れて来ると言っていたが、恐らくは間に合わんだろう。

屋上に待機しているのは俺、ゼノヴィア、グレモリー眷属、バラキエル、タンニーン、ヴァーリチーム、ロスヴァイセ。アザゼルは会談の仲介役として出席しており、ここには居ない。

 

「小細工なしか。恐れ入る」

 

ヴァーリが苦笑しながら空を見た直後、ホテル上空の空間が歪んで大きな穴が開く。穴から姿を現したのは、ロキとフェン君だ。

 

「目標確認。作戦開始」

 

バラキエルが通信機を通してそう言うと、巨大な魔法陣が展開されるが、ロキは抵抗もしないで不敵に笑んでいる。光に包まれ、俺達は戦場となる採石場跡地へ転送された。

 

「逃げないのね」

 

リアスが皮肉げに言うとロキは笑う

 

「逃げる必要は無い。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末した上であのホテルに戻れば良いだけだ。遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」

 

「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

 

「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと……元はと言えば、聖書に記されている三大勢力が手を取り合った事から、全てが歪み出したのだ」

 

「話し合いは不毛か」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!』

 

「これは素晴らしい!二天龍がこのロキを倒すべく共同するというのか!こんなに胸が高鳴る事はないぞッ!」

 

ロキに二天龍が向かっていくのを見届けた後、俺はフェンリルと向き合った。

 

「行くぞフェン君!」

 

「来い!モードレッドォォォ!」

 

俺はコールブランドを振るってフェンリルの爪牙を捌きながら、この場から離れていく。

 

「先ずはお互い、準備運動といこうや!」

 

俺とフェンリルを囲むように周囲一キロに渡って虚数空間を散見的に展開。それら全てからガトリングや戦車の主砲が複数顔を出した。

 

「金ぴかの戦法から思い付いた技だ、取り合えず牽制にはなんだろ!」

 

イブン・ガズィの粉薬をふんだんにあしらった弾丸を、ガトリングによって360度全方向から豪雨の様に降り注がせ、戦車の主砲からは濃縮された俺の赤雷がビームの様に放たれる。

 

「痒いな!」

 

並みの奴ならあっという間にミンチになる攻撃を、フェンリルはそよ風でも浴びているかのように無視している。この程度では牽制にもならないか。

 

「イア・クトゥグア!イア・イタクァ!」

 

「神の力は吾輩の格好の獲物だ!」

 

瞬時に持ち替えた拳銃から放たれた二つの弾丸は、ロイガーとツァールの時の様にフェンリルの爪によって容易く引き裂かれて消滅した。神殺しの魔物と言われるだけあって、やはりフェンリルには神に対する特攻がある様だ。

 

「だったら剣で斬るだけのこと!」

 

右手にコールブランド、左手にクラレントを構えると、フェンリルが連続で宙を蹴って三次元的に突進してくる。フェンリルはすれ違いざまに牙か爪で攻撃しながら、神速で動き回っている。鋭角に軌道を変えて来るから対処がしづらい。直感で動きを読みながら受け流し、時に反撃を加えていく。

 

「やはりやるな。吾輩の動きにここまで反応できたのは、トールくらいだ」

 

「そうかい。そいつは光栄だ……ねッ!」

 

弾かれて地に着いたところに正面から突っ込んできたフェンリルを、二本の剣をクロスさせて受け止め、地面を削りながら止まる。勢いが完全に無くなると同時に互いにバックステップで距離を取る。

 

「どうやら親父は相当押されているようだな」

 

フェンリルに釣られてロキの方を見てみれば、言葉通り相当押されているようだった。いくら神とはいえ、二天龍に堕天使幹部、上級悪魔クラス複数人、最上級悪魔クラス複数人を相手にするのはキツイらしい。

 

「仕方無い。スペックは劣るが、出てこい!スコルッ!ハティッ!」

 

ロキが叫ぶと同時に二ヶ所の空間が歪みはじめ、フェンリルを小さくした様な灰色の狼が二匹現れた。

 

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの二匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。充分に神を、貴様らを葬れるだろう」

 

巨人族の女と言ったところで、フェンリルが顔を青くして震えていた。直ぐにそれは収まったが、何か嫌な思い出でもあんのかね。

 

「情報にあったフェンリルの子供か。ホントに連れて来ているとはな……」

 

「む?知られていたのか?」

 

「フェンリルがネットで暴露したらしいぞ」

 

「フェンリィィィィィィィィル!!お前は!また!そうやって重要な情報を!!」

 

「ムシャクシャしてやった。反省はしている。だが後悔はしていない」

 

「チィッ!ならついでだ!こいつらの相手もしてもらおうか!」

 

ロキの影が大きく広がり、そこから細長いドラゴンが十匹現れる。

 

「量産型のミドガルズオルムか!奴等の相手は俺がしよう!」

 

タンニーンが量産型ミドガルズオルムの吐いたブレスを同じくブレスで相殺し、間髪入れずに仕留めにかかった。一方フェンリルは自分の子供たちに注意をしていた。

 

「お前たち!咬んでもいいが悪魔や堕天使を飲み込むんじゃないぞ!糞不味くてお腹壊すからな!」

 

「「はーい!」」

 

「あら素直」

 

「ホント良い子達なんですよ。祖父がアレだけど」

 

「ホント、祖父がアレじゃなきゃねぇ」

 

「聞こえているぞ貴様らァ!!」

 

「煩い!無理矢理に産ませといて子育てを手伝おうとすらしない奴が口答えするな!そんなんだから母に逃げられるのだ!」

 

「ぐあぁぁぁぁ!人が気にしていることをぉぉぉぉ!」

 

「よそ見してんじゃねぇ!」

 

ロキの気が此方に向いている隙に、兵藤がロキを殴りつけた。殴られてロキが怯んだの隙を、ヴァーリが追撃する。

子フェンリルにはヴァーリチームとグレモリー眷属がそれぞれ対応し、ゼノヴィアは偶に子フェンリルに攻撃しながら、ロスヴァイセと共に量産型ミドガルズオルムと戦っている。

 

「さてフェンリル。そろそろこっちも本気でやろうか」

 

「ああ。見せてみろ、お前の奥の手を」

 

「いくぞ、『戯曲・黄衣の王(ザ・グローリー・オブ・ハスター)』」

 

先ずハスターの分霊を降霊、そして肉体に憑依させる。

 

「変神ッ!」

 

『どーもどーも、読者のみんなは覚えているかな?ハスターさんですよー!』

 

「行くぞフェンリル。この姿だと加減がしにくい……死ぬなよ」

 

ガンッ!

 

「ガフッ!」

 

俺はフェンリルに一瞬で接近し、顔面を殴った。フェンリルは血を吐きながら吹っ飛ぶも、空中で体勢を整えて即座にこちらに向かって来る。その速度は今までのそれとは比べ物にならない程速く、ずっと手加減されていたのがありありと分かる。だがそんな速度も、今の状態なら容易く対処できる。

 

ガッ!

 

俺を咬み砕こうとしたフェンリルの口を上下の顎を掴んで押さえ、そのまま投げ飛ばした。フェンリルは地面を何度もバウンドしながら飛んでいき、大岩をいくつもぶち抜いた後、壁にぶち当たって止まった。

 

「かつてクトゥルフと戦った時よりも、俺はこの力をよりコントロールできるようになっている。あの時はただぶっ放すしかできなかったが……ハァァァァァァァ!!」

 

両手を打ち合わせ、両手の間に球状の雷を発生させる。雷球は瞬時に膨張し、フェンリルを軽く飲み込めるほど巨大になる。膨張した雷球を頭上に掲げ、さらに力を込めていくと、球状か細長い槍の形に変化していく。

 

「形状変化もお手の物だ!」

 

片手に持った雷槍をフェンリルに向けて全力で投げつける。雷槍は周囲の大地を消し飛ばし、大気を焼き尽くしながらフェンリルへと迫る。フェンリルは即座に横に飛びのくが、雷槍は左足を掠めていく。左足からトールのそれすら超える電撃がフェンリルの体に流れ込み、掠った後ろの左足は一部炭化している。

 

「…グゥッ!」

 

回避された雷槍は勢いを衰える様子を見せずに直進していき、偶々射線上に居た量産型ミドガルズオルムを消し飛ばし、地平線に消えていった。そのうち地球から飛び出して宇宙空間を飛んでいくだろう。そのうち消えるんじゃないかな。多分。

 

「恐ろしい威力だ……直撃すれば死にかねんな」

 

フェンリルは自らの傷を見てそう言った。

 

「この力がたったこれだけだと思うなよ」

 

手のひらを空に向けると虚空から雷雲が発生し、空を覆っていく。次第に風が吹き荒れて雨が降り、雷が落ち始める。

 

「天候の操作……煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)や天候神の様な力だな。気配からしてもしやとは思ったが、どこぞの神をその身に宿したか」

 

「なんだ、怖気づいたか?」

 

「まさか。このフェンリルを舐めるなよ。吾輩は主神を喰い殺す魔物。神を屠る狼。その神諸共、喰い千切ってくれる!!」

 

「威勢が良いのは結構だが、今のお前では俺には到底及ばんぞ」

 

「分かっている。故に見せよう。親父も知らぬ吾輩の切り札。100%中の100%」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「界王犬、10倍だ」

 

ゴウッッッッ!!!

 

一瞬にしてフェンリルの纏う雰囲気が変化した。赤いオーラに全身が包まれ、威圧感が増大する。

 

「これが吾輩の全力だ。貴様の喉笛を咬み切ってやろう」

 

「よかろう、やってみろ。このモードレッドに対して!」

 

ダッ!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!!!」

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァ!!!」

 

俺の拳とフェンリルの爪牙が激しく凌ぎ合い、衝撃波を撒き散らしていく。互いに一旦距離を取って今度は空中戦闘へ。空を神速で駆けて何度もぶつかり合う。

俺は牽制の為に空から神でも即死する雷撃を降らせながら、左右から大気の壁でサンドイッチの様に押し潰した。フェンリルは雷撃を受けながら大気の壁を障子紙の様に引き裂き、こちらに肉迫する。

振るわれたフェンリルの爪を受け流し、一回転しながら裏拳を横っ面に叩き込む。が、反撃に足を咬まれた。

 

「あぁぐッ!…ッェエヤァ!!」

 

俺は両手を組んで雷を纏わせ、ハンマーのようにフェンリルの脳天に振り下ろした。頭をぶっ叩かれたフェンリルは、脳にまで衝撃がいったのか咬む力が少し緩む。その隙に魔力放出で口を強引に開けさせ、足を引き抜くと同時に回し蹴りを叩き込む。

フェンリルを引き剥がした俺は、直ぐに傷の治療にかかる。脳天に打ち込んだ際、更に深く牙が食い込んでしまった為か、辛うじて繋がっている状態だが問題はない。完全に千切れていなければ再生可能だ。

 

足の治療が終わったのと同じ頃にフェンリルも脳天に負ったダメージを回復させたらしく、流れ出た血で額が濡れているものの傷は塞がっているようだった。

 

俺は再び雷球を作り出し、複数に分裂させて自分の周囲に浮遊させる。それから雷球全てを槍の形に変化させ、フェンリルに向ける。こうすることで一本一本の威力は落ちるが、命中させやすくなる。さらに追加で特大の不可視の真空の槍を作り出して待機させておく。

ここが誰も居ない海上とかだったらなんの躊躇いもなく大規模破壊技が使えるんだが、そうもいかないからな。

 

「行けッ!」

 

雷槍をフェンリルに向けて連続で発射する。フェンリルは上下左右に軌道を変更して雷槍を躱しながら接近してくる。

 

「こんなこともできるのさ!」

 

ギリギリまで接近させたフェンリルに、雷撃をネット状にした物を投げつける。フェンリルはそれに一瞬面食らうも、身が焼かれる事も厭わずにネットを咬み千切りながら目前に迫る。

攻撃が当たる直前に足元から魔力を噴出させ、残像と複数の俺の幻影を残しながら高速で背後に回る。俺はフェンリルの左後ろから、先程雷槍が掠って負傷した場所を狙って蹴りを繰り出す。即座に本体を見破ったフェンリルは、負傷している筈の後ろ足で蹴り飛ばそうとしてくる。蹴りと蹴りがぶつかり、弾き飛ばされたのは―――俺だった。

 

「な!?もう回復したのか!」

 

フェンリルの脚部を注視してみれば、炭化している様に見えるのは毛だけで、肉は既に回復が終わりかけていた。凄まじい回復力だ。桁外れだな。フェンリルに追撃のチャンスを与えないため、待機させておいた真空の槍を発射する。本能的に危機を察知したのか、即座にその場を離れて回避する。お陰で追撃されずに済んだ。

 

ちらりと他のメンバーの方へ視線を向ければ、もうじき戦闘が終わりそうな雰囲気だった。

 

「ギガブレイク」

 

フェンリルとの闘いは楽しかったが、これ以上長引かせても無意味と判断した俺は、右手に剣を召喚して『全て断つ稲妻の剣』を発動。それを放出せずに剣のサイズに押し留めた。それから俺は、フェンリルに決着を促すために話しかけた。

 

「さてフェンリル、いい加減に決着をつけようじゃないか。彼方もそろそろ終わりそうだしな」

 

「そうだな。流石に吾輩の子供たちとはいえ、あれだけの手勢を相手にするのは無理があるだろう。早々にお前を倒して加勢しなければならんな」

 

「抜かせ、勝つのは俺だ……ついでに訊いておくが、ロキは心配しないのか?」

 

「あんなの心配する価値もない」

 

どんだけ慕われてないんだ、アイツ。

 

「限界越えだ。界王犬、12倍!」

 

フェンリルも決着をつける為にさらに力を上げて来る。表情が苦痛に歪んでいることから、10倍以上は相当体に負担がかかるのだろう。

 

俺はフェンリルが行動に移る前に動き出した。手始めに、ギガブレイクを細長くすることで疑似的に刀身を伸ばしながら、右へと剣を降り抜く。振り抜かれた剣の軌道にそって、一直線に雲が消し飛んでいく。

 

フェンリルは跳躍して回避し、壁を蹴るように宙を駆けて来る。フェンリルから機動力を奪うために、俺は足を狙って剣を振るう。フェンリルの狙いは俺の腕だったらしく、腕を狙って振るわれた爪と剣が激しく凌ぎ合う。

連続で互いの得物をぶつけ合いながら、隙を窺い合う俺達。

 

「こういうのはどうだ?」

 

虚数空間を利用した連続単距離空間移動で翻弄し、背後から斬りかかる。当然の如くフェンリルは俺の動きに反応してくるが、回避行動を取ると予測して次の一手の算段をする。しかし、フェンリルに予想外の方法で止められた。

 

ガギンッ!

 

「咬んで止めただと!?」

 

体を捻って剣を躱そうとしたように見せたフェンリルは、途中で動きを変えて、剣に側面から咬みついて止めた。咄嗟に剣を手放して対応しようとするが、それよりもフェンリルの方が速かった。

 

「捕らえたぞ!」

 

「ッァ!」

 

銜えた剣を放り捨てながら片足で胴を押え込み、背中から一気に地面に叩きつけられる。続けてもう片足で顔と右腕を含む上半身を引き裂かれた。咄嗟に魔力の障壁を張ってガードしたお陰で致命傷には至っていないのが幸いか。仕留めきれなかったのならもう一度とばかりにフェンリルが前足を振るうが、今度は左手で爪を掴んで押し留める。

 

「これで終わりだ!」

 

フェンリルは空いている口で俺を喰い千切らんと牙を剥く。それに対し俺はボロボロの右腕に竜巻を纏わせながら言った。

 

「片腕はくれてやる、持っていけ!代わりにテメェの内臓を貰うがな!」

 

開いたフェンリルの口の中に腕を突っ込み、内部でフルパワーの竜巻をぶっ放した。

 

「ッッッッッッッッ!!!!!!!!」

 

ブチィッ!

 

フェンリルは突っ込まれた俺の腕を咬み千切りながら後退し、血反吐と一緒に俺の腕を吐き出した。

 

「ゴバァ!!」

 

ビチャビチャと音を立てながら、口から血が流れ出ている。今の一撃でフェンリルの体内はズタズタになっていて、立っているのもやっとの筈だ。だというのに奴は、フェンリルは倒れなかった。フラフラとよろめきながら、尚も闘志を燃やしている。

 

対して俺は、上半身はボロボロ。右腕は肩口から無くなっており、出血が激しい。辛うじて左腕は無事だが、利き手じゃないだけに今まで通りとはいかない。幸いにして治療に使えるだけの余力は残っているが、そんな暇を与えてくれるような相手じゃない。

 

「ハァ……ハァ……ハァ…」

 

「ハァ……ハァ……ハァ…」

 

――――――次で決める

 

互いにそう思ったのか。俺たちは同時に走った。左手にクラレントを呼び出し、駆けながら魔力を籠めていく。膨大すぎる魔力にクラレントが悲鳴を上げるが、壊れるギリギリ限界まで力を籠める。

 

 

 

「ギガ、ブレイィィィィィク!!!!」

 

「15倍だァァァァァ!!!!」

 

 

 

互いの全霊をかけた一撃が激突する直前。

 

 

「ぐわあああああああああ!!」

 

「ァァァァッうわらばっ!?」

 

全身から煙を上げて僅かに帯電したロキが吹っ飛んできて、フェンリルに激突。それが決定打となってフェンリルがぶっ倒れた。ロキが飛んできた方向を見てみると、ゼノヴィアがミョルニルを野球のバットのように振り切った体勢で持っていた。

つまり、ゼノヴィアがロキにミョルニルで止めをさし、その勢いのままフェンリルまでぶっ倒されたということか。

 

「…………ないわー」

 

静かになった戦場に、俺の呟きが静かに木霊した。

 

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