「死ぃぃねやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バァン!バァン!
「当たらなければどうということはない!」
「反復横跳びで躱しただと!?ならこれじゃぁぁぁぁ!!!」
「チェーンソー!?しかもデカ!?」
「さる世界で見つけた、モース硬度15を誇るケイ素系生命体の外殻を加工。そこに魔術的及び魔法的強化を施し、更にクラレントの増幅機能を模倣した機構を取り付ける事により出力を強化!俺の魔力を与える事で高周波ブレードの働きをしながら、超高速回転で敵を切り刻む対艦チェーンソーだ!!」
「説明長いわ!」
ガキィィィン!ギャリギャリギャリギャリ!!
「爪!吾輩の爪がぁ!?」
「そのまま深爪になりやがれ!」
「なんて地味な嫌がらせだ!」
吾輩は今、モードレッドの猛攻から逃げている。どうしてこうなったのかを説明するには、少し時を遡る。
始まりは些細な事だった。
ホテルに戻った後、吾輩はモードレッドの部屋に向かった。そこで今回の案件には関わらない旨を伝え、モードレッドもそれを了承した。モードレッドの仕事はあくまで護衛であり、グレモリー眷属に手を出されない限りは、三大勢力に何があろうともそうそう動かんだろう。知人が襲われれば、どうかは知らんが。
モードレッドに伝え終えた吾輩は、やりかけのゲーム(絶好のタイミングで電池が切れた)をするために部屋に戻ろうとした。
その時だ。吾輩は床にスマホが置いてあるのを見て、誤って踏まないように親切心でどかそうとした。だが手に持って動こうとした瞬間、足が滑ってその勢いのままスマホが手から飛んで行った。
そしてそのままスマホをお茶の入ったコップにシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!
「「あ」」
直ぐにモードレッドがコップからスマホを救出し、無事か確かめようとした時。
ボフンッ
スマホが煙を上げた。
「「…………」」
ち、沈黙が怖い。
「じゃ、じゃあ吾輩はこの辺で「させると思うか?」オウフ」
背後から物凄い力で肩を掴まれた。骨がミシミシ言ってる。
「………去らば!」
吾輩は服を脱ぎながら変身し、元の姿に戻る。これで拘束から逃れた。その後窓に向かって全力でダッシュし、窓ガラスをぶち破りながら外に飛び出る。
「アイ!キャン!フラーーーーーイ!!」
「てめッ待ちやがれ!」
吾輩が飛び出る直前に認識阻害を使って隠蔽し、割れた窓ガラスが下に落ちる前に回収をしているモードレッド。窓ガラスを直す必要もあるから、少しは時間が稼げるだろう。
キレた時の奴の恐ろしさを知る吾輩は、全力で空を駆けた。死に物狂いで、命を燃やす気で、休む事なく走り続けた。途中で次元の壁みたいなのを破った気もするが、確認する間も惜しんで走った。
その結果、気がついたら異界に居た。
一瞬裏の京都に入ったのかと思ったが、それにしては妖怪が居る気配は無く、生命すら感じられなかった。
「もしやこれは、絶霧の結界空間か?」
だとしたら厄介だな。吾輩としては連中に関わる気は無いが、ここに居たら面倒事になりかねん。さっさとここから出て……
「見ぃぃぃぃぃつけたぞォォォォォォ!!」
「」
モードレッドが空間をぶち破って、どす黒いオーラを纏いながら現れた。
モードレッド が あらわれた !
フェンリル は どうする ?
『たたかう
どうぐ
さくせん
にげる← 』
フェンリル は 逃げだした !
しかし まわりこまれてしまった !
「獣殺しのッッガトリングゥ!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
「痛っ!痛った!何だこれ!?地味にイテェ!?」
「獣殺しの術式を刻んであるからなァ!最終的にはお前限定でギリギリ死なない程度のダメージを与え続ける仕様にしてやる!」
「引くなっ!」
モードレッドは暫くの間ガトリングを撃ち続けるが、やがて弾切れに陥る。その隙に逃げようとしたが、すると今度はハンドガンに持ち替えて撃ってきた。どうあっても逃す気は無いようである。
その後も似たような攻防が続き、冒頭へと至った。
「ええい、しつこい!」
「しつこくて悪いか!」
ビームサーベルっぽい剣と、ビームライフルっぽい銃を構えて迫ってくるモードレッド。何アイツめっちゃ怖いんだけど。
「貴様の毛を全て刈り取ってから、入念に脱毛剤を塗り込んで、ハゲ犬としてネットに曝してくれる!」
「やめろバカ野郎!そんな事したら、もう表に出られなくなるだろうが!」
「知ったことか!寧ろ望むところだわ!」
こんな会話をしてる最中でも、攻撃の手を止めないモードレッド。
外れた攻撃が偽物の京都に直撃。木端微塵に破壊していく。これが本物の京都だったらどれだけの被害が出ていたのだろうか?それを賠償するとなると、考えるだけで身震いしてくる。
流石の吾輩も我慢の限界だぞ。
「いい加減にしろォォォォ!お前はどんだけ破壊を振りまく気だこのキチガイが!!」
「テメェをぶちのめすまではやるさ!という訳で死ね!」
モードレッドの撃ったビームを回避し、一瞬で肉薄。銃身に爪を振るってバラバラにする。
モードレッドは即座に使い物にならなくなった銃を捨て、吾輩に向けた掌から赤雷を放射する。
ビームのように放射された赤雷を無視しながら突っ込もうとしたが、直前でイヤな予感がして後ろに下がる。その際に赤雷を弾いておくのも忘れない。
「チッ、あと少しで仕留められたものを」
そう言ったモードレッドの手には、禍々しいオーラを纏い、不可思議な紋様が刻まれたC4が握られていた。
「おまっ自爆する気か!?」
「違うな。こいつは大量のある念が封じられている概念礼装だ」
「念?」
吾輩が疑問の声を上げると、モードレッドは不気味に嗤いながら言った。
「そう、このC4には込められているんだよ…………散っていった髪たちの無念と、禿げた人の怨念がなぁ!この念に中てられたものは全員禿げる!使用者を除いてな!」
「何てもん作ってやがんだお前はァァァ!!」
「うるせぇ!禿げろクソ犬ゥゥゥ!!」
さて、ここで読者の皆様にお知らせがある。
原作を知っている人なら分かると思うが、この京都において英雄派は、オーフィスの望みを叶える為にグレートレッドを呼び出そうとしていた。その為に特殊なパワースポットである京都の地で、九尾の御大将をグレートレッドを呼び出す術の触媒に使ったのだが、ここの曹操は御大将さらっていない。
その理由としては、三大勢力以外の勢力と本格的に事を構えたくないからの他、オーフィスに自分達が望みを叶えようと動いていると見せておくだけで、実際はグレートレッドと事を構えたくないからだ。
九尾が居ない以上、グレートレッドを呼び出す術は不完全であり、呼び出しは失敗として早々に撤退しようとした英雄派の面々。しかしここで、予想外の一人と一匹が介入した。
一方は世界トップ10の一角。もう一方も神に近しい力を持つ英雄。彼等の戦いが不完全な術に影響を与え、偶然にも完全なものに変えてしまった。
結果。
「GAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
グレートレッド、降臨。
「まずい……ゲオルク、戦闘能力の無い者を退避させろ!各員、竜殺しの術式準備!奴が結界空間から出ようとしたら全力で撃ち込め!絶対に奴を外に出させるな!!」
予想外の事態に焦る曹操だったが、なんとか冷静に指示を出せた。
「いいか!奴を攻撃するのは結界空間を出ようとした時だけだ!下手に刺激はするなよ。もしかしたら、何もせずに帰ってくれるかもしれないからな」
しかしそんな曹操の淡い期待を、バカは容易く打ち砕く。
「うぅぅぅるせぇぇぇぇぇ!!!」
ドゴンッ!
「GYUA!?」
対城宝具級の一撃がグレートレッドに直撃。ダメージは無かったがイラついたグレートレッドは、今の攻撃を行った者に仕返しにかかる。
「みんな纏めてぶち殺したらぁぁぁぁ!」
「このキチガイを止めなければ、京都は破壊しつくされてしまう!」
「GAAAAAAAAAAAAAAA!!」
「民間人に被害を出させるな!此処で食い止めるぞォ!」
ここに、モードレッドVSフェンリルVSグレートレッドVS英雄派の大決戦が始まった。
「ぐふぅ」
「ウボァー」
決戦開始から十秒後、終了。
世界最強であるオーフィスの対となるグレートレッドは、当然なからオーフィス並の実力を持つ。そんな規格外の存在に、たかが神クラスに近いだけの人間と、二天龍程度の強さの狼が、相手になるはずもなかった。
先ずグレートレッドがブレスを放ち、それにギリギリで反応したフェンリルが界王犬を使用。耐久力を限界まで上げて防御の体勢を取った。
フェンリルがグレートレッドのブレスを受けて盾となっている間に、続いて反応したモードレッドが部下を全員召喚。盾を持たせて壁にする。
虚数空間に逃げても無駄と直感し、可能な限りの防御系統の魔法魔術仙術を、竜殺しの術式を組み込んで使用。更に聖王剣を盾代りに構えて、防御の姿勢を取った。
これらにより、五秒の時間が稼げた。
英雄派はこの五秒を使って一時的にこの結界空間から退避、続けて結界空間の強化と維持に全員を費やした。
直後にフェンリルとモードレッドの防御は破られ、ブレスが地面に着弾。偽物の京都を跡形もなく消し飛ばした。
このブレスに結界は耐えきれず、崩壊しかける。これを気に曹操は結界空間の放棄を決定。自然崩壊に任せて撤退を始める。
ブレスを放った後のグレートレッドは、それだけで仕返しに満足して帰っていった。そして崩壊していく結界空間内に、重症を負った者が一人と一匹取り残される。
「…い、生きてるか?」
「なんとか…な」
モードレッドは瓦礫一つ無い更地を見渡して言った。
「…………何か、色々ゴメン」
「いや、もういい。ただ、もう二度とグレートレッドに挑むのはやめてくれ」
「うん。正直、世界最強舐めてたわ」
「……帰って、ゲームしようか」
「うん」
ヒャッハーして調子に乗っていたモードレッドは、割とガチな命の危機に瀕して、ようやく冷静になった。彼は意気消沈しながら、フェンリルを連れて目に見えて崩壊していく結界空間から抜け出す。
その後二人は、揃って京都勢力に事の顛末を一部脚色(モードレッドの暴走等)して伝え、ホテルに帰ってヤケクソ気味にゲームに熱中した。
そして修学旅行が終わり、駒王町に帰ってきたモードレッド達。
今回の事を機に、モードレッドは教師を辞める事にした。規律だのなんだのを綺麗サッパリ忘れて、久々にヒャッハーする事にしたのだ。
いきなり辞めると学園に迷惑がかかるから、使い魔を擬態させて代りに働かせる気満々だったが。