理由の一つとしては、展開が思い付かない事。
ぶっちゃけ今後登場する敵がどうあがいてもモーさんたちと遭遇=即敗北という図式が出来上がるんですよね。
リゼヴィム「俺は神器を無効化できて魔王クラスの強さだぜ!」
モーさん・フェンリル「そうか。俺達は魔王を瞬殺できるぞ」
ユーグリッド「グレイフィアの弟です」
モーさん「だからどうした」聖剣でズバー
リリス「オーフィスと同じ強さがある」
サマエル「速攻で無力化可能」
邪龍軍団「無茶苦茶しぶとくて暴れまくるぜ!」
サマエル「ワンパン確殺余裕」
あかん、サマエルが強すぎる。仲間にしたのは間違いだったか?しかし変態枠かついくら雑に扱っても死なないキャラは書いてて楽しいし、困った。
そして最大の理由として、ぶっちゃけ作者がD×D世界でのお話しを書くのに飽きました。なので今後は別の作品にモードレッド、フェンリル、サマエルの三人をぶちこんでいく一話完結物の話をメインに投稿するかと。
一応このままDDでの話を続けるべきかのアンケを取った方がいのだろうか?
結界空間を脱出し、冥界へと出た俺達。そこで見た光景は、超巨大な怪獣が冥界の主要都市を襲い、建物を次々と破壊していくというものだった。
アザゼルは堕天使達の統率のために一旦グリゴリの本部へ戻り、ヴァーリチームの面々は独自に行動し始めた。俺達は先ず情報収集の為にグレモリー卿の屋敷へ向かい、詳しい状況を把握する事にした。
俺達が結界空間に捕らわれている間に外では既に三日が経過しており、現在までに起こったことを簡単に教えられた。
怪獣は全部で十体。そのどれもが百メートルを超えるサイズで、武人の動きをする巨人に俊敏な四足歩行の狼の様な獣。光線を吐きながら空を飛ぶ怪鳥に、大地を泳ぐ鮫。強酸で出来た不定形なスライム。何千もの魔獣が合体と分離を繰り返して様々な形に変化するモノ。天使に似た造形で、広域に光を撒き散らして悪魔を殺しまくる人型。火や水、風や雷などの属性をもったブレスを吐く八岐大蛇を彷彿とさせる龍。謎の金属で出来たあらゆる攻撃を弾くロボット。実に様々な怪獣が襲っている。
そしてそのどれもが、その怪獣の小型サイズの魔獣を毎時何千という単位で生み出している。
そして十体の怪獣の中でも一際巨大な個体がおり、某怪獣王の様な見た目と能力を有し、一番の被害をもたらしている。
この巨大な怪獣を『超獣鬼ジャバウォック』。そしてそれ以外の個体を『豪獣鬼バンダースナッチ』と呼称する事にしたらしい。
レーティングゲームの上位ランカーや、各地の上級悪魔たち、上級堕天使や天界の天使達までもが総出で攻撃しているが、小型の魔獣を仕留めるのが精一杯で、豪獣鬼を倒すには至らなかった。ランキング一位のディハウザーが状況を好転させるために超獣鬼を倒しに出陣したが、上半身を消し飛ばされても再生して動き続けたらしい。
その後北欧からヴァルキリーや英雄が増援として来たものの、戦線の維持だけで精一杯となり、殆ど進展は無かったという。その話を聞いたとき、フェンリルが物凄く微妙そうな表情をしていた。
更にこの状況を利用して、各地で転生悪魔たちが反旗を翻したため、事態は混沌と化しているのだと。うん、でもそれ自業自得じゃね?今まで不当な扱いをされてた奴等が、その不満を爆発させたってだけの話だろ?
そして最後に英雄派が各所の重要施設を襲っては撤退しを繰り返して、戦力が纏まりにくくなるように画策しているらしい。
話を聞いた俺は、取り合えず魔王セラフォルーの元へ行き、ちょっくら交渉してきた。内容は俺達三人が怪獣を始末するから、相応の報酬をくれというものだ。
俺は魔王城から出て城門の前で待っていたサマエルとフェンリルの二人に話しかけた。
「魔王に話しつけて来た。一体につき一億円の報酬を出してくれるってよ」
「「マジで!?」」
「マジだよ。全部狩れば合計で十億だ、暫く遊びまくれるぜ。んじゃお前等、一狩り行こうぜ!」
「「いいですとも!」」
今他の者が俺達の顔を見れば間違いなくこう言うだろう。金の亡者だ、と。事実俺達は目を$マークにしているに違いない。
交渉を済ませた俺達は、怪獣どもを討ちに向かった。
「デカくても動きが雑だなぁ!」
『ヴォォォォォォ!!』
切れ味よりも重量で押し潰すデザインの無骨な剣。それをを降り下ろした巨人の腕を、俺は駆け上がっていく。
首を目指して駆け上がっていると、腕の各所がボコボコと浮かび上がって人型を形成し、襲い掛かって来る。それらを次々と斬り捨てながら走り、ついには肩まで登り詰める。
すれ違いざまにクラレントとコールブラントの二刀流で巨人の首をかっ斬り、巨人から飛び降りる。しかし斬られた首の傷は瞬く間に再生していき、すぐに塞がってしまう。
「ハッ!そうこなくちゃ面白くねぇ!」
巨人は飛び降りた俺に対して反撃とばかりに剣を振るうが、飛行魔術で軽々と躱わしていく。
「二連、ギガブレイク!」
巨人を正面から×の字に斬り裂き、雷撃によって体の6~7割り程が消し飛んだが、それでもまだ生きている。
「ホントに不死身だな。もっと火力だしていくか!」
両手の剣の出力を上げて振るい、寄って来た魔獣を切り刻んでいく。再生して再び暴れようとしている巨人にクラレントを振り下ろし、塵も残さず消し飛ばす。チラリと二人の方に視線を向ければ、そちらも怪獣を圧倒している。
「肉裂き!肉裂き!肉裂きぃ!紙の方がまだ厚いわぁ!」
フェンリルは狼の姿で四足歩行の獣をミンチにしており、獣を助け出さんと怪鳥が吐き出す光線をものともせず、咬みついて来た小型魔獣を気にも留めない。獣をミンチにし終えたフェンリルは、次に空中の怪鳥に狙いを定め跳び掛かった。一瞬にして怪鳥の翼を捥ぎ取り、背部を蹴って地に叩き落とした。
「肉じゃあああああ!!」
お前それ喰う気か。
「モシャモシャ…不味ッ!」
フェンリルは怪鳥の肉を喰い千切って口に含むと咀嚼を始めるが、直ぐに顔を顰めて吐き出した。唾をペッペと吐き出して足を止めているフェンリルに鮫の怪獣が襲い掛かるが、フェンリルが前脚を振るうと五枚に下ろされて大地に沈んだ。
「魚か……じゅるり」
お前ちっとは学習しろよ。フェンリルは再生を始めた鮫を次の標的に定め、襲い掛かった。
『キュエエエエエエエ!!』
フェンリルが鮫に向かった後、まだ死んでいなかった怪鳥が翼の再生を完了させ、雄叫びを上げながら空へと飛び立とうとした。しかしその瞬間、空から降って来た大量かつ巨大な槍に縫い止められる。怪鳥が動けぬ間に虚数空間からミサイルを引っ張り出して射出。粉々に吹き飛ばす。
「たくっ、ちゃんと仕留めてから別の奴を殺りに行けよなぁ。後始末が面倒じゃねぇか」
怪鳥を槍で縫い止めた犯人は、天使っぽい人型の髪を掴んで引きずりながらこっちへやって来て愚痴った。
「まぁ、しゃあねぇだろ。フェンリルだし」
「そうだな。フェンリルだしな」
「オイ!吾輩だしってどういう意味だ!」
いつの間にか鮫の怪獣を始末していたフェンリルが、こっちへ来て文句を言ってきた。俺とサマエルは顔を見合わせて言う。
「どうもこうも、なぁ?」
「ああ。そのままの意味だしな」
「うわ腹立つ!」
「それよりフェンリル。鮫の味はどうだった?」
「……不味かった」
「「だろうね」」
サマエルが掴んでる天使っぽい奴をフェンリルが咬み殺してミンチにした後、再生できないようにクトゥグアの焔で灰にする。そして次の獲物を仕留めに向かうとした時、俺の直感が囁いた。
俺は即座にサマエルとフェンリルを掴み、直感が警告した方向へと突き出す。
「速攻魔法発動!我が身を盾に!」
「「ギャアアアアアアア!!モードレッドてめぇーーー!!」」
二人を突き出した方向から、八色の光線が飛んで来て二人に直撃。二人は焦げてプスプスと煙を上げるが、俺は無傷だった。
「危なかったぜ」
「危なかった!?俺達食らってんだけど!?」
「でもほら、俺は無傷だろ?お前等も嬉しいだろ?ほら、皆ハッピーだ」
「ハッピーじゃねーし!つーか吾輩達盾にしたのお前だろ!?」
「悪かった、悪かったって。もうしねぇからよ」
「ホントだな?」
「ホントホント。モードレッド、ウソツカナイ」
「信用できねぇ……」
さっきの光線の主を仕留めに行こうとして、また嫌な予感がした。直感に従って見ると、超獣鬼が明らかに放射熱線的なアレを吐き出そうとしていたので、咄嗟に二人を盾にした。
「バカガード!」
「「やっぱりやりやがったなてめぇーーー!!」」
「てへぺろ☆」
ダメージを受けて損傷した二人盾でブレスを防ぎつつ、近くの物陰に身を潜める。二つの光線が飛んで来た方向はバラバラで、一方に行っている間にもう一方から攻撃されそうだ。再生力があるから味方に当たるのもお構いなしに攻撃しそうだし。こういう時は……。
「転移」
わざわざ歩いて近づく必要性は無いと思います。転移で八岐大蛇型の蛇の背後に回り、後ろから攻撃しようとしたら、首がこっちを向いて炎吐かれた。視界を塞ぐ炎を斬って掻き消すと、他の首もこちらを向いて口を開けていた。
「やべっ」
防御の構えを取った瞬間、蛇の体勢が大きく崩れて倒れる。体中に光の槍が突き刺さっており、それが原因だろう。そしてフェンリルが尾の一つを口で掴んでジャイアントスイングの如く振り回し、空へと放り投げた。
「何やってんだよ、しっかりしろ」
「おう、すまん」
フェンリルが投げた蛇は空高くへ飛び、豆粒ほどの大きさしか見えない。俺はふと思った事があったので、サマエルに問い掛けた。
「あれって蛇っぽい見た目だけど、お前の呪いは効かねえの?」
「無理だな。あれは蛇の姿をしているだけで、蛇そのものじゃない。俺の呪いの対象外だ」
「……使えな」
「うおーい!今使えないって言った?言ったよな!?お前助けたの誰だと思ってんだ!?」
「はて、なんのことやら?」
俺は空を見上げて蛇を見つめる。豆粒になるまで高く飛んでいた蛇は、徐々にだがこちらへ向けて落ちてきている。しかもブレスの準備をするオマケ着きだ。
「よし、ここはいっちょアレをやるか」
俺は剣を地面に突き立てて構えを取る。両手首を合わせて突き出し、ゆっくりと腰だめに引いていく。両手に氣を集中させて手の平から出して圧縮。手を再び前に突き出すと同時に放出する。
「か・め・は・め!波ーーー!」
「何か出た!?」
俺のかめはめ波と同時に放たれた蛇のブレスがぶつかり合い、拮抗する。俺の攻撃と拮抗するとは、あの蛇中々やるな。だが俺の全力はこんなものじゃない。
「界王拳!!」
かめはめ波の出力が三倍近く膨れ上がり、ブレスを押し返していく。やがてブレスを打ち消して、蛇に直撃。頭を全て消し飛ばしたが、ものの数秒で完全に再生してしまった。スゲエ再生力だ、クトゥルフにも劣らねぇな。
「ま、関係ねぇけどな」
再生した蛇にフェンリルが超速で迫り、一瞬で首の一つを喰い千切る。その後も宙を蹴って、四方八方から縦横無尽に攻撃していく。フェンリルが通り過ぎた場所の肉は大きく抉れ、再生しきる前に別の場所を攻撃したフェンリルに再び攻撃されて損傷する。蛇の体はみるみるうちに小さくなっていき、一分と経たぬ内に再生もできぬ肉片になってしまった。
「よし、次はっと危ねぇ!」
直感で上体を下げると、今まで俺の頭のあった場所を液体が高速で通り過ぎて行った。液体は近くの瓦礫に当たると、あっという間に溶かし尽くしてしまった。強酸の弾か、てことはスライムだな。
近くに居たサマエルが酸弾を撃ったスライムへと反撃の光の槍を投げつけるが、それも溶かして無効化してしまった。
「うへぇ、光力も溶かす強酸かよ…」
「ありゃフェンリルでも触れたら溶けそうだなぁ。あいつは俺がやるから、お前はフェンリルと一緒に他の奴狩りに行ってくれ」
「オッケー」
サマエルはフェンリルと合流して融合生物とロボットを狩りに行った。さて、コイツはどうやって倒したもんかな?こういう水状の生物を倒すときの定石は、高熱で蒸発させるのが良さそうだが、それくらいの対策はしてそうだしなぁ。かといって物理攻撃は効きそうにないし、どうしたもんか?
「時間かけて深く考えても状況は変わんねぇし、まっ取り合えず燃やすか」
スライムが飛ばして来る酸弾を躱しつつ、剣の切っ先を上空へ向けて魔法陣を描きながらスライムを囲う様に走る。描かれた魔法陣はスライムを中心として上空に拡大展開され、中央へと魔力が集約されていく。
以前フェンリルに使った大火球を二つ生み出して挟み撃ちにする魔法では威力不足かつ脱出が容易だったので、今回は質量を加えてみた。それがこれだ。
「原初の焔よ、エクスプロージョン・ノヴァ!!」
魔法陣から灼熱の溶岩流が怒涛の勢いで流れ出し、スライムを飲み込んでいく。スライムは蒸発して消えるかと思われたが、以外にも溶岩の中で原形を留めている。というかまるで堪えていない。よく見れば寧ろ溶岩を吸収して段々とデカくなっているような……不味くね?
「やっべ魔法中止!」
魔法陣が消えて溶岩流が止まると、そこにはさっきより五倍くらい体積が増えたスライムが鎮座していた。
「これは本格的にアカン。超獣鬼なんぞよりあのスライムの方が数段厄介だ」
高熱がダメなら冷気か?でも凍らせてから砕いても溶けたら再生するだろうし、電気とか他も試してみるか。
そして十数分かけて色々試した結果。
「まったく効かねぇ……」orz
熱も冷気も電気も風も水も斬撃も衝撃も光も闇も効かなかった。あいつマジでどうすりゃ倒せるんだ?割とマジにブラックホールにでもぶちこむしかないか?
「属性が効かない不定形の生物なんて、それこそ魂を直接殺るしか……あ、仙術」
生命力を直接削る攻撃ならいけるんじゃね?ていうかいけて下さいお願いします。
クラレントに氣を練り込んで、あのスライムを斬れる剣へと性質を変えていく。物質を斬るのでなく、霊的な何かを斬る剣へと。
「闘氣の剣。さしずめアルテマソードってか」
氣を練り込み過ぎてあのスライム並みの大きさになっちまったけど、まぁいいか。
「ウオォォォォォォォ!!」
スライムの真上へと跳躍して剣を振りかぶり、全力で振り下ろした。スライムは真っ二つに割れたが、ここまでは通常の斬撃でもできる。問題はこの後だ。今までならこの後何でもないかのようにくっ付いて終わりだが、今回は違った。辛うじて固体といて固まっていたスライムが、完全に液状になってドロドロと流れ出した。
ついでに周囲の建物を尽く溶かしながら。
そりゃそうだよね!体強酸で出来てたんだもんね!死んだら液状になって流れるよね!?ざっけんなよバカヤロー!倒した時の二次被害のがデケェじゃねぇかー!どんだけ傍迷惑な怪獣だよ!?
内心憤慨していると、フェンリルとサマエルが戻って来た。
「モードレッド…その……なんだ…」
「いい、なんも言うな」
「苦労して倒したのに二次被害の方がデケェー!m9(^Д^)プギャー!くっそワロタww」
「なんも言うなつってんだろー!」
「ワギャン!?」
強酸の中にサマエルを蹴落とす。
「あんぎゃぁぁぁ!溶けるぅぅぅ!でも再生するから死なねー!」
「ほっといて残った超獣鬼を討ちに行くぞ」
「お、おう」
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛溶げる゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」
サマエルの悲鳴をBGMに、俺達はこの場を立ち去った。
超獣鬼の後ろへとやって来た俺達。正面に出たら放射熱線吐きそうだから後側に回り込んだ。
さて、こいつをどう料理するか。
「フェンリル、何か案はあるか?」
「無い。吾輩の場合、ただ殴る蹴るするだけでも倒せるから、倒し方なんぞ考えたりせん」
「それもそうか。んじゃ、取りあえず斬るか」
そう言って目の前にあった尻尾を切断する。
『ガアァァァァァァ!!??』
尻尾を斬られた超獣鬼は、悲鳴と驚愕の声を上げながらこちらへ振り返る。そして俺達を視界に捉えると、口から放射熱線を吐き出して来た。俺達はそれぞれ左右に跳んで熱線を回避し、同時に跳び掛かる。フェンリルは左腕を喰い千切り、俺は右腕を斬り飛ばす。しかし着地した頃には既に両腕共に再生しており、尻尾も元通りだった。
「こいつ、再生力だけならクトゥルフより上じゃねぇか。戦闘力は大したことないけど」
『ゴガアアアアアアアアアア!!』
「ん?」
超獣鬼が咆哮すると、全身が僅かに発光して電気っぽいエネルギーが迸り始めた。そして次の瞬間、
カッ!!
超弩級の爆発が発生した。咄嗟に張った結界もあまり意味を成さず、俺は早々に諦めて虚数空間に逃げた。フェンリル?あいつは頑丈だから。
少しして虚数空間から顔を覗かせてみると、辺り一面が更地になっていた。そこにポツンと存在している灰色の物体。恐らくフェンリルだな。
「うっひゃ~こりゃひでえ。多分自爆しやがったんだな?唯一の救いは既に避難が済んでいたことか………あ!あいつ俺達が倒した訳じゃないから金が貰えねえ!」
俺は気絶してるフェンリルを叩き起こし、まだ酸で苦しんでたサマエルを回収して魔王城に行こうとしたが、何故か転移が上手く機能しなかったので、歩いて向かう。
更地を抜けてまだ機能している都市に入ったが、そこではグレモリー眷属、シトリー眷属、バアル眷属が英雄派と激闘を繰り広げていた。とはいっても大分英雄派に押されている模様だが。
「そうら!詰めが甘いな!」
「がぁっ!」
彼らの戦闘を見ていると、目の前に禁手状態の兵藤が墜落してきた。そしてその後を追うように禁手をしている曹操が降りて来て話し始めたので、俺は兵藤に近付いて治療を始める。
「付け焼刃の連携と、100%扱いきれぬパワーを使う君達と俺達とでは練度が違う。なにより、こちらはそちらの手札を知っているが、そちらはこちらを知らないだろう?」
「ぐ…くそっ……!」
兵藤は必死に起き上がろうとするが、体が思うように動かないのか、起き上がれずにいる。曹操はそんな兵藤を一瞥した後、俺達を見て苦虫を噛み潰したような表情をする。
「それにしても、だ。あなた方がこうも早く魔獣達を片付けるとは思いませんでしたよ。万が一の為に用意していた自爆も効果が無かったようですし」
「あの程度で俺達を止められるとは思わない事だな。流石に舐めすぎだぜ」
ホントはちょっとヤバかったけど。
「ていうか兵藤。塔城はどうした?あいつが居ればコイツ等相手にここまで押されないだろ?」
「小猫ちゃんは「塔城小猫は堕天使領を襲っている魔獣、君達で言うところの超獣鬼や豪獣鬼を倒しに行っている」
「何?……そうか、魔獣創造の長所はその物量。ならあれがまだ生産され続けていてもおかしくは無いか」
「そういう事です」
「だがそれがどうした?ここでお前らを倒して、その後怪獣どもを仕留めればいいだけの話だ」
「……ククッ」
「?」
「いや失礼。いかに人類最強と言えども、ここまでは読めなかったようですね。我々の真の目的は魔獣創造による物量作戦ではない。もっと大きなものだ」
そう言って曹操は、槍を持たぬ左腕で空を指差した。正確には、そこに浮かぶ月を。
「ここからは見えぬ月の裏側には、超巨大なブースター装置が付いている。それこそ、月すら動かせる程の物がね」
「おい、お前まさか……」
「ええ。月を、墜とさせて頂く」
その言葉聞いたとき、その場の英雄派でない者全員が愕然とした。なにせあの月を墜とすというのだから、普通では考えられない。
「超獣鬼達は全て誘導の為の囮。三大勢力の大部分をこの冥界に集め、超獣鬼に目が行っているうちに月を止められぬ距離まで接近させる。後は、放っておけば勝手に重力に従って落ちるというわけさ」
「だがそんなもの、転移をしてしまえば逃げられるだろ。自分の住んでる場所を捨てるのはキツいと思うけどな」
「それは不可能ですよ。今しがた、冥界全域で転移を封じさせて頂きました。逃げる事は許されない」
そうか。それでさっきは……しかし、そいつはまた面倒くせぇ事をしてくれたな。
「さて、月が墜ちるまでの間、お相手願おうか。人類最強」
「いいぜ。今度はサマエルみたいな邪魔は入らねぇ、覚悟しな」
俺達はしばし見つめ合った後、同時に飛び出した。一瞬で互いに近付き、武器を交える。左のコールブラントで槍を受け止めつつ、クラレントで斬りつける。曹操は半身になって躱した後、槍を半回転させて石突の部分で打ち上げを繰り出す。一歩下がって躱し、再び斬り掛かろうとする。曹操は俺が斬り掛かる直前に輪宝を差し向けてクラレントの破壊を狙ってきたので、上手く受け流して対処する。しかしこれで片手はワンテンポ遅れてしまう。直後に曹操は刺突を繰り出し、リーチの差からあちらの攻撃が先に俺に当たるのでコールブラントで払う。
居土宝で生み出された人型が背後から迫っていたので、背面に魔法陣を複数展開。そこから武具の形をした炎が射出されて、人型を殲滅していく。
両手の剣の降り下ろしを曹操は引き戻した槍を横にして防ぎ、がら空きになった腹に蹴りを叩き込む。蹴りの勢いで宙を舞った曹操の進行方向に先回りし、地へと叩き落とす。しかし上手く槍で防がれて致命傷にはならず、空中で体勢を整えて着地する。
俺は空から高速で曹操に迫り、連続で攻撃を加える。曹操は徐々に傷を負い後退しながらも捌いていき、時折反撃も加えてくる。
氣や魔力による強化をしていないにしても、死後も成長した俺にここまで付いてくるとは。この男、単純な技量なら生前の俺よりあるかもしれない。惜しいな、この状態でも型月世界なら間違いなく英霊の座にも至れたろうに。まだコイツは発展途上だ。コイツの完成しきった強さを、見てみたくもある。それだけに惜しい。
「そら、終いだ」
「がっ!…ぐっ!ごはぁっ!」
槍を弾いた後、体勢を戻す前に顔面へと肘打ち、ボディへと膝蹴り、止めに飛び回し蹴りを脇腹に叩き込んだ。
吹き飛んだ曹操は、喀血しながらも槍を支えに立ち上がり、まだ戦おうとする。まともな人間らしく打たれ弱い曹操は、もう戦う力は残っていないだろうにも関わらず、気力だけで戦おうとしていた。しかしそれを止めた者がいた。英雄派の女だ。
「曹操、ここは一度退きなさい。大丈夫、逃げる時間くらいは稼いでみせるわよ」
「ジャンヌ!?何を言って……!」
「アンタは、ここで死んで良い人間じゃないの!」
「しかし!」
「行ってくれ曹操!」
「くっ…!すまない、みんな…!ゲオルク、撤退する!」
「…分かった」
曹操とゲオルクの周囲に霧が発生する。絶霧の発動前兆だ。
他の面々はそれを止めようとしたが、俺は止めに入らなかった。そうした方が良い気がしたからだ。結局残った英雄派の構成員が死力を尽くして時間を稼ぎ、彼等の撤退は止められなかった。
この場で最強格の面子であるフェンリルはヘラクレスが掴んで引き止め、サマエルはジャンヌが大量の聖剣で造られたドラゴンで足止めしていた。
死に物狂いで時間を稼いだ彼等だったが、曹操達の撤退完了を確認すると、一人、また一人と生き絶えていった。文字通り、死力だったらしい。残ったのはジャンヌとヘラクレスの二名のみ。その二人も動けそうにない。
一先ず彼等は放っておいて、迫り来る月をどうやって止めるかを話し合わなければ。
「さて…………どうやって月を止めればいいかわかる人ー?」
「ハイ先生!俺に良い考えがあります!」
「はい、学級委員のサマエル君」
「俺が学級委員かよwwありったけの攻撃を撃ち込んで壊せば良いと思います!」
「はい、馬鹿丸出しですね。あんなデケェ物壊すのにどれだけの攻撃が必要だと思ってるんですかね?」
「ハイ!吾輩!ハイ!」
「はい、クラスで飼育されているフェンリル君」
「吾輩ペット!?まぁいいや、この際はそれは置いておこう。以前吾輩を倒したときのあの形態にモードレッドがなって、吾輩といっしょに月を押し返せばいいのでは?」
「良い~案ですね~。でも一つ問題があります」
「問題?」
「あの馬鹿。あ、俺に力を貸してくれる神な。そいつにさっきからコンタクトを取ってるんだが、全く反応しねぇ。寝てるかもしれん。肝心な時に使えねぇな」
「え、じゃあどうすんの?」
「それがわかんねぇから悩んでんだよ」
それから皆沈黙して悩み始め、数分が経った頃に俺はふと思い出した。対クトゥルフ戦で使った戦車砲レールガン。アレを改良&改造を繰り返して、虚数空間に仕舞いっぱなしだったのを思い出す。早速俺は開けた場所に移動し、レールガンを引っ張り出した。
「……でか」
「直径15メートル、超大口径のレールガンだ。限界までエネルギーを溜めて撃てば、月を押し返すことができるかもしれない。……ただ問題が一つ」
「何だ?」
「弾が無い」
「意味ねーじゃん!」
「しょうがねーだろ!弾の材料になる金属が無茶苦茶高けーんだから!!」
「高いって何使うんだ?」
「オリハルコン」
「伝説の希少金属じゃねぇか、そんなもん使うのか……。北欧でも稀少すぎてあまり在庫は無いぞ」
「それしかこの砲の威力に耐えられる物が無かったんだよ。どっかにねぇかなぁ、頑丈で、電気が通って、でっけえ…物体……」
そこまで言った所で、その場の面々の視線が一点に集中した。
「な、何だ?貴様ら全員吾輩を見つめて?」
「…………捕獲ッ!」
「ぬわっ!?き、貴様ら一体何をして、…まさか吾輩を弾丸にする気か!?離せー!吾輩はまだ死にたく「睡眠薬投射」……ぐぅ」
「これで良し。お前ら、ちょっとオーフィス連れて来い」
オーフィスを連れて来るように俺が言うと、グレモリー達は困惑したように言った。
「オーフィスを、ですか?」
「そうだ。有限に落ちたとはいえ、その力は二天龍より上。まだ不安定だから月を壊すには至らないが、エネルギー源としてはこれ以上ない存在だ。あいつに力を借りる。このレールガンには、氣や魔力なんかを電気に変換してエネルギーにする装置が付いているからな」
グレモリー達がオーフィスを迎えに行っている間に、俺はサマエルと一緒にフェンリルに鎧を着せていく。流石に生身で砲弾にするほど俺は外道ではない。実験中の鎧だが、ないよりはマシだろう。原材料には聖遺物を使ってるし。
鎧を着せたフェンリルを早速砲身にぶちこむ。あとはエネルギーを充填するだけだが、オーフィスが来るまでに俺だけでも溜めておこう。レールガンに接続された、こう、大型のポッド的な物の中に入って魔力を全力で放出し、氣も注ぎ込んでいく。あとサマエルも光力を注いでいく。
「うおおおおおおおお!!!」
「先生!」
「おお塔城か!丁度良い所に来た、お前も氣を注げ!」
「はい!」
三人でエネルギーを溜めていると、兵藤がオーフィスを連れてやってきた。
「おうオーフィス、来たか!兵藤、他の奴はどうした?」
「リアスたちは各地の英雄派の対処に向かってます。俺もこれから手伝いに!」
「よーし、こっちは任せとけ!必ず月を止めっからよ!」
「ハイ!じゃあオーフィス、頼んだぞ」
「分かった」
オーフィスもレールガンにエネルギーを注ぎ始める。流石は世界最強のドラゴンと言うべきか、出力は安定しないものの、さっきまでとは桁違いの勢いで力が溜まっていく。
「ぬ、う~ん…………ハッ!?こ、ここはどこだ?つか、せまっ動けなっ!?」
「起きたかフェンリル。丁度良い、今しがたエネルギーが溜まりきったところだ」
「出せえぇぇぇぇ!吾輩をここから出してくれぇぇぇぇ!」
「出しても良いがちっとばかし頼みを聞いてくれねぇか?なあに簡単だ。ちょっと世界救ってきてくれ」
「目標月!照準良ォし!」
「てぇ!!」
「嫌だ吾輩はまだ死にたくなぁぁぁぁぁぁ……………………」
轟音と共にフェンリル弾は発射され、光の軌跡を残して飛んでいく。フェンリルの姿は一瞬にして見えなくなり、後には静寂が残った。
「お前の事は(たぶん)忘れねぇぜ。我々の為に散ってくれた、同士フェンリルに向かって、敬礼!」
「敬礼!」
「けいれい」
「…………さ、各地で暴れてる英雄派を止めて、報奨金をがっぽり貰うぞ。帰ったら焼き肉だな」
「よしきた」
俺達はさっきまでの事は置いて英雄派を止めに向かった。フェンリル?誰ですかそれ?
一方撃ち出されたフェンリルは。
「ぎゃあああああああああ!!!死ぬ!これはマジで死ぬ!冗談抜きで死ぬ!!」
月へ向かって雷速を超える速度で飛んでいた。着せられていた鎧は摩擦熱で真っ赤に燃え上がり、フェンリルの体も蒸発するのではないかと思う程に熱せられていた。
「か、界王犬を…界王犬を使わねば……!十倍、界王犬!」
フェンリルの界王犬の使用。それは思わぬ副次作用を生んだ。本来ならフェンリルの戦闘力を十倍にして終わりだったが、フェンリルの体に蓄積された膨大なレールガンの射出に使われたエネルギー、それも一緒に増幅されたのだ。
結果。
「なんか凄い事になったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
全盛期のオーフィスやグレートレッドにもダメージを与えられるんじゃないの?というエネルギーの塊となったフェンリルが月に衝突。月は木っ端微塵に砕け散った。
「オラオラオラ!どしたァ!?もっと足掻け!」
「がっげふっ!」
「チッ、もうくたばりやがった」
「おーい、こっちに獲物が残ってたぞー」
「え、マジで!?俺も行くからちょっと待てよ!」
暴れる英雄派を痛めつけてから殺していくモヒカン達。それに対抗するかのように、甚振らずに徹底的に駆逐していくスキンヘッドたち。両方とも俺の部下達である。
「ハッ、これだからモヒカンは。俺達の仕事は敵の殲滅。無駄に甚振ってんじゃねえよ戦え」
「ああん?んだとこのスキンヘッド!俺達は楽しんでんだよ、モードレッド卿から許可は得てやってんだ口挟むんじゃねえよ殺すぞ?」
「それにしても限度ってもんがあるだろうがよ。モードレッド卿の手を煩わせる気かあ゛ん?」
「なんだこらやんのかオラァ!」
「やってやんぞオラァ!」
戦闘そっちのけで乱闘をおっぱじめるバカ共。
「いやー、改めて見ると、俺の部下って屑いなー」
「それを率いるお前も屑だけどな」
ドゴォ!
「ぐふっ」
「ハッハッハッこやつめ言いおる」
ボディブローでサマエルを黙らせた後、そろそろフェンリルが着弾する頃かと思い、月を見上げた。その数秒後、一条の光が走り、月が粉々に砕け散った。
「ミッションコンプリート」
俺はそう言って、英雄派の鎮圧に本腰を入れ始めた。それから数時間後。英雄派や反逆を起こした転生悪魔達は鎮圧される。英雄派の一部は撤退したらしいが。
壊れた月の欠片は隕石となって冥界に降り注ぎ、各地に被害を齎したものの、大半は落下途中で撃墜されてさほど特筆する程の被害は出なかった。
こうして、この事件は終わりを迎えた。
「誰かー、吾輩を回収してくれー」
尚、フェンリルの事はすっかり頭から抜け落ちており、宇宙空間を彷徨っていたフェンリルの存在を思い出して回収したのは三日後だった。(もちろん後で半殺しにされた)
あ、そういえば十連でラーマ当たりました。凡庸性の高いタイプのセイバーはぶっちゃけあんま要らなかったけど、声優が沢城さんだったので満足。
ホントは同じ沢城さんでもナイチンゲールが欲しかったけど。