「それで、単独行動させて欲しいと?」
「あい」
どうも、前回パワーアップフラグを立てたモードレッドです。
現在キャメロットにて王さまにクトゥルフへの突貫許可を得るため、交渉中です。
「………本気で許可が出ると思っているのか?」
王さまが眉間を抑えながら言う。
それに対し俺は
「うん!」
サムズアップしながら、清々しい笑顔で答える。
バキィ!
「アベシッ!」
無言でグーで殴られた!心なしか三倍ガウェインのパンチより痛い!
「馬鹿なのか貴公は」
「バカですが何か?」
ドグッシャァッ!
「アザラシッ!」
殴られた左頬を抑えながらドヤ顔で肯定したら今度は右頬を殴られた。
「二度も
アッパーカットだとぉ!
「う、うぅ。…だ、だが王さま、王さま自身もなんとなく分かっているんじゃないのか?円卓の中で一番強い俺を、本丸に行かせなきゃならないって」
「……………」
王さまは何も言わなかった。いや、言えなかったのだろう。俺の言っていることが正しいと、直感でそう感じてしまったから。
「………いいだろう。貴公の単独行動を認めよう。」
「え、マジd「ただし!」?」
「必ず、生きて帰って来い」
了承以外の返答を許さぬと言わんばかりに真剣にこちらを見つめてくる王さま。
「………了解だ。必ず帰ってくる」
さて、王さまに許可は取ったから、部隊の奴等にも話しておくか。
「おーい、バカども&ユーグ卿~いるか~」
俺が向かった場所は物資の搬入所だ。
「モードレッド卿!丁度良い所に来てくれました。アイツ等がまた喧嘩を初めて、作業が進まなくて困ってたんですよ」
「ん、そいつはすまんかった。すぐ止めさせるから案内してくれ」
「分かりました、こっちです」
案内された場所では二人のモヒカンと三人のハゲが言い争っていた。
「どぅわーかーらー!モヒカンこそが至高だって言ってんだろうがこのハゲ!」
「何を言っている!貴様らにはこの頭の良さが分からんのか!あとハゲでなくスキンヘッドだ!!」
「……………」
何やってんのコイツ等。
「……………」ザッザッザッザッ
「おお!モードレッド卿、モードレッド卿もこのハゲどもに何か言ってやってくださいよ。このモヒカンの素晴らしさを!」
「フンッ!モードレッド卿はこのスキンヘッドの良さが分かる御人だ、モヒカンなどに味方するわけなかろう」
「……………」チャキ
「あんだとゴルァ!」
「殺るのかキサマァ!」
無言で近づき剣を構える俺だが、バカどもは気付いていない。野次馬達は早々に距離を取っている。
「
『『何とか言ってください!モードレッド卿!』』
「
ズバンッ
『『ギャァァァァァァァ!!!!』』
「ふぅ、これで良し。取り合えずコイツ等はその辺に捨てとけ」
「は、はい」
「そういや、ユーグ卿は何処行った?こういうの止めるのが彼奴の仕事だろうに」
「それが丁度別の所で騒ぎが起きまして、そちらの対処に…」
「そうか、ならしょうがねぇな。………スゥ…作業中の俺の部隊の人間は全員集合しろ!!これから重要な話をする!!」
搬入所から離れた邪魔にならない場所で集合をかける。
すると、ぞろぞろと集まって来た中にはユーグ卿の姿も見える。
「よーし、全員集まったようだな。今から言うことに対する異議申立ては一切聞かんから、そのつもりで」
ザワザワザワザワ
途端に騒がしくなる部下達。まぁ無理もない。俺は基本的に自分が間違っていると思えば素直に部下の諫言を受け入れるから、一切の意見を聞かないというのは珍しいのだ。………今そこ狂ってるのに意外とまともだな、とか思ったろ。
「静まれ!………今回の戦、俺は単独で直接敵の大将を討ちに行く。その間、部隊の指揮は全てユーグ卿に執って貰う」
ガヤガヤガヤ
「ど、どういうことですか!?モードレッド卿!?」
焦ったように聞いてくる部下。
「どうもこうもない、今言った通りだ。もちろん王さまの許可は貰っている」
「………卿。それはもう決まった事なのですな?」
「あぁ」
「そうですか……。分かりました、その間の事はお任せく下さい」
「ユーグ卿!?」
簡単に了承したユーグ卿に驚く部下達。こういうときユーグ卿は深く聞かずに察してくれるから助かる。
『な、何だアレは!?』
『何か此方に飛んでくるぞ!?』
『敵襲か!?』
突如、物資を運んでいた人々が空を指差し声を上げる。
そちらを向いてみると、遠方から巨大な何かがこちらに向かって飛んできていた。
敵か?いやしかしクトゥルフの眷属に空を飛ぶ奴っていたか?
「ん?……待てよ」
その時俺の脳裏にハスターの言葉が過った。
『移動手段についてだが、問題は無い。高速で飛べるヤツをそっちに送る。つかたった今送った』
「じゃあアレがそうか?」
目を凝らしてこちらに飛んで来る物をよく見てみる。
真っ白な身体に、赤い鶏冠、孔雀の様な物と二本の長い緋色の尾。その姿は鳳凰を彷彿とさせる。
どう見てもドラクエⅢのラーミアです、本当にありがとうございました。てことはハスターが殺したのってまさかのレティスかよ。
「お~い!こっちだぞ~!」
俺がこちらに誘導するような発言をすると皆一様にラーミア?への興味を失い、仕事に戻った。その時の全員の心情は恐らく
『また、モードレッド卿の仕業か』
である。コイツ等も大分毒されてきたなぁ。
『ピョーーー!!』バサッバサッ
ラーミア?らしき鳥が俺の前へと降りてくる。
「お前さんがハスターの言っていた奴か?」
「……………」コク
「ふ~ん。んで、名前は?」
「ラーミア」
そのまんまか、おい。
「お前は俺に仕える事になる訳だが、そうなれば今まで通りの生活は出来ん。それは承知しているな?」
「元より死ぬはずだったこの身、貴方に仕える事が奴の思惑通りとはいえ、いずれ奴に一度でも一矢報いる事が出来るのならば、是非は有りません」
「堂々と俺相手にハスターへの敵対を宣言しおったな。…うん。気に入った!特にハスターをボコろうって所に!」
《そこかよ!?》
全力でサムズアップしながら答えると、何か聞こえた気がしたが無視する。
「とりま、行こうか。
そう言ってラーミアの背に乗る。
「んじゃ、任せたぞユーグ卿。お前らもちゃんと卿の言うことを聞けよ」
ラーミアが翼を広げ、ゆっくりと高度を上げていく。
大体高度四百m程の高さまでくると、上昇を止めて移動を開始する。
「いってきま~す!!」
「体感で大体時速一万キロってところか、随分早いな。これなら二時間もしないで着くな」
「……一つ、…訊いても良いですか?」
ルルイエを目指して飛び始めて数分、ずっと黙っていたラーミアが話しかけてきた。
「何だ?」
「どうして貴方は、奴に従うのです?貴方ほどの力が有れば奴に関わらなくても生きて行けたはずです」
「どうして、か」
どうして、どうしてときたか。それはもちろん。
「退屈しないからかな」
「退屈ですか?」
ラーミアは俺の答えにどこか信じてないような雰囲気で返してきた。
「あぁ、アイツは毎度毎度面倒事を持ってくるから退屈しないんだよ」
「たったそれだけですか?」
「それだけだ」
「理解出来ません。それだけで奴に従うなど………」
「一応訂正しておくけど、俺とアイツはあくまで友人だ、従ってるわけじゃない。…それにアイツはあれで結構まともな奴だからな。これまで少なくない数の星を侵略してきたらしいが、支配した星の統治に関しては真面目だし。お前も心当たりが有るんじゃないのか」
「……………」
沈黙は肯定と取るぞー
「ま、ハスターに復讐したいならすれば良い。多分アイツの事だから本気で命の危機にでも陥らん限り笑って済ますだろうけど」
「………それでも、止めません。母の敵ですから」
「そうけ」
「………(変わった人。狂人のようにも見えるけど、賢人にも見える。だけど、不思議とこの人になら仕えても良いと思える)」
急に黙りおったな。着くまで暇だし武器の手入れでもしておくか。あとハスターの分霊召喚の準備も。