ブレイブルー イノセント   作:アルティメット羊羮丸

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第2話です。このサイトの機能を把握しきれていないので中々利用するのが難しい……。
手探りのまま進んでいきますよ。


チーム戦、ニャス!

ラグナ達3姉妹は今日も『ゲームの島イシャナ』にいた。目的はもちろん、

 

「いくぞジン!」

 

「甘いよねーさん!」

 

そう、ブレイブデュエルである。

この前の戦いからすっかりブレイブデュエルに夢中になり、暇を見つけてはこうしてここに来ているのだ。

 

「ユキアネサ!」

 

「くっ……」

 

ジンは氷の刃でラグナを牽制しながら攻撃を仕掛ける。試合はラグナが劣勢の状態であった。

 

「ねーさんもう一度いくよ!」

 

ボロボロのラグナにジンは再び氷の刃を生成しラグナに襲いかかった。

 

「なめるなよ!デッドスパイク!」

 

「なっ…!」

 

ラグナが剣を振り上げると、そこから黒い生物のような物の頭部が現れ、ジンの氷の刃をまとめて噛み砕いた。

 

「そんな!私の攻撃が……!」

 

「もらったぞジン!」

 

「しまっ……!」

 

「ガントレットハーデス!」

 

*

 

「うー……。ねーさんがあんな技持ってたなんて」

 

「いつまでも同じだと思うなよ。負け越しなのは嫌だからな」

 

ラグナとジンは戦うことは多く、現在ラグナは10勝11敗の状態だ。

 

「2人ともお疲れさまー」

 

ラグナとジンに向かってサヤがこちらに駆け寄ってきた。サヤはプロフェッサータイプなのでラグナ達とは戦えないが、団体戦になると大いに活躍する。そのおかげでラグナ達3姉妹は団体戦においての成績は中々のものだ。

 

「そうだジン。今日のカードは何が出たんだ?」

 

「ああ、新しいスキルカードが出たよ」

 

 

「俺のは既に持ってるやつだ…。なあ、このカードと交換しないか?」

 

「そのカードはもう持ってるからいらない」

 

「サヤ」

 

「そのカードわたしと合わない」

 

「むう、何か悔しいな……」

 

するとそこへ、イシャナの店長ミツヨシがやってきた。

 

「いらっしゃい。すっかりウチの常連さんだね」

 

「ああ、ブレイブデュエルは楽しいし強くなれるからな。全然飽きないぜ」

 

「それは何より。そこで常連の君達にちょっとしたお願いがあるんだけど…」

 

「お願い?」

 

「ああ。ほら、こっちにおいで」

 

ミツヨシが後ろから誰かを呼んだかと思うと、そこから1人の少女が現れた。

褐色の肌によく映える白金色の髪。それを三つ編みにし、フードが付いたクリーム色のワンピースを着込んでいる。

 

「俺の遠い親戚でタオカカっていう地方の民族の子なんだ」

 

「……にゃ」

 

タオカカと呼ばれた少女は小さく猫のような返事をした。

 

「はるばる遠い所からこっちに来てくれたんだが店が忙しくてね。常連で信用できる君達となら年齢が近いタオも馴染めると思ってさ、一緒に遊んでほしいんだ」

 

「俺は別に構わないけど」

 

「どっちでもいい」

 

「遊ぶー!」

 

ミツヨシは反対される前提で尋ねたようだが、ラグナ達の中に反対の意を唱える者は出なかった。

 

「それはよかった、それじゃあよろしく頼むよ。タオ、遊んでおいで」

 

「にゃっ」

 

ラグナ達の返事で安心したミツヨシはタオカカを残して仕事に向かっていった。

 

「よろしくな。俺はラグナ=A=マーキュリーっていうんだ」

 

「同じくジンだ」

 

「わたしはサヤ。3人で姉妹なんだ」

 

「……よろしく」

 

タオカカの挨拶は遠慮がちで、結構控えめな性格だと伺える。

ラグナは『向こうの世界』の記憶でタオカカのことを覚えてはいるが、ラグナの知っているタオカカはもっと明るくハチャメチャな性格で、目の前にいる少女とは正反対の立ち位置にいるようなキャラだった。 全員がそのままの性格とは限らないんだなと思ったラグナは、その事を隅に置いて話しかける。

 

「なあ、タオもブレイブデュエルやってるのか?」

 

「……にゃ」

 

ポケットを探ったと思うとそこから何かを取り出した。それはブレイブデュエル専用のローダーとデッキケースだった。

 

「おお! じゃあ早速デュエル…」

 

「おい! そこの3姉妹!」

 

ラグナの台詞を遮るように後ろから呼ばれた声がした。3姉妹というのは比較的珍しい存在なので、3姉妹という呼び方は明らかにラグナ達の事を指していた。

ラグナが呼ばれた方へ振り替えると、プラチナブロンドの髪を左右に大小2つずつ束ねた少女の姿があった。勝ち気な表情からさっきの声の主だと判断できる。

更にその横には少年の姿があり、金髪のショートカットで眼鏡をかけていた。

 

「何だお前?」

 

「この私を知らないだと!? 私はここのゲームセンターのトップランカー、ルナ様だ! そしてここにいるのは私の優秀な部下……」

 

「こんにちは、カルル=クローバーです」

 

「こらあ! 最後まで言わせろ!」

 

カルルはルナと名乗る少女とは違い礼儀正しい少年のようだ。

ラグナは『向こうの世界の記憶』があるので2人の事はもちろん知っている(面識は薄いが)。

 

「で、そのトップランカーが俺達に何の用なんだ?」

 

「お前達の噂はよく聞くぞ。団体戦で今ランキング急上昇のチームだってな」

 

「そうなのか?」

 

「いや全然知らない」

 

「そうなの?」

 

「ズコー! もっと自分に興味を持て!」

 

「まあまあルナちゃん。でも貴方達の噂は本当です。ここら辺では『死神3姉妹』って呼ばれてるんですよ? その動きはまるで命を刈り取る死神のようだって」

 

向こうのラグナの事を知ってか知らないでか、的確な名称だとラグナは苦笑する。

 

「……でだ。台風の目のお前達を倒すためトップランカーの私達が挑戦しに来たんだ。若い芽は早い内に潰すって感じでな。そこんとこよろしく」

 

「面白そうじゃねえか。と、言いたい所だが今日は先約がいるんでな。挑戦はまた今度な」

 

「んな、私の挑戦を断るだと!?」

 

「今日はタオと遊ぶつもりなんでな、約束を破っちゃ駄目だろ。行こうぜ皆、向こうにエンタークンがあったはずだ」

「ぐうの音も出ない正論を〜……。そ、そうだ! 私にいい考えがあるぞ!」

 

ルナがラグナ達を引き止める為、ある提案を示した。

 

「4対4で戦う団体戦はどうだ? そうすればそこのタオカカとかいう奴も入れるだろう?」

 

ラグナとしてはタオカカを含めて遊べればいいのだが、

 

「4対4ていっても、お前ら2人だけじゃねーか。人数はどうすんだよ」

 

「ふ、その点なら抜かりないさ。私のアバターデータを使う。生身と大差無いAIだから文句は無いだろ?」

 

「別にいいけど、アバターを負けた理由にすんなよ?」

 

「大口を叩いてくれるじゃないか…! その台詞、後悔させてやるぞ」

 

お互いにヒートアップした状態で両者陣営はフィールドへ入る。フィールドは闘技場のような円で囲まれた空間だ

ラグナチームはジン、サヤにタオカカを含めた4名。

ルナ達はカルルに、アバターである小さいルナを加えた3名だ。

 

「おい、1人足りてねえじゃねえか」

 

「後で分かるさ。ルールはどちらかのリーダーを撃破すれば勝利の『フラッガールール』にさせてもらうぞ。ゴングが鳴れば試合開始になる」

 

リーダーはもちろんルナとラグナ。両者はリライズしてスタンバイするが、1人リライズしない者がいた。

 

「おいタオ。もうすぐで試合だってのにリライズしないのか?」

 

「……ない」

 

「え?」

 

「リライズ、できない」

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!?」

 

タオカカの衝撃の告白にラグナの陣営は驚きを隠すことは出来なかった。

タオカカのデッキを確認すると彼女のデッキにはN+のカードが1枚のみで、他はリライズには使えないスキルカードがあるぐらいだった。

 

「な、何でN+のカードが1枚しか無いんだ?」

 

「……ついさっき、始めたばっか」

 

「ま、マジかよ……じゃあこれも初プレイってことか」

 

「にゃあ、ごめん。嘘ついてた……」

 

「いや、やってるとは一言も言ってないから嘘なんてついてねーよ。ま、この試合何とかしてみるさ」

 

「ラグナ……いい人……」

 

「でもねーさん、こうなると私達は実質3人だ。どうする?」

 

「そうだな、俺とジンで攻撃、サヤは敵の攻撃を解析してサポート、タオはサヤのそばで待機してスキルカードを使えるタイミングを探してくれ」

 

カァン!

 

頭上で鐘の音が鳴る。試合が始まった合図だ。

 

「何だ? 1人リライズしてないじゃないか。 だけど試合は始まっているから待った無しだ! いけ、ちびルナ!」

 

『おー!』

 

ルナのアバター、ちびルナがラグナに向かって接近してくる。

 

「ねーさんには近づかせない!」

 

その間にジンが割り込み納刀のままチビルナを叩き落とす。

 

「ふぎゃっ!」

 

「このまま一気に倒して終わりにする!『凍牙氷刃』!」

 

ジンがルナ達に向かって氷の衝撃波を飛ばし、衝撃波はルナ達を巻き込む巨大な爆発を起こした。

 

「やったか!?」

 

ジンは勝利と考えたが、突如爆煙の中から現れた影がジンの期待を裏切り、影はそのままジンに向かって巨大な爪を振る。

 

「ぐっ!」

 

ジンはとっさにユキアネサで受け止めるが、細身の刀であるユキアネサでは巨大な爪を対処しきれない。巨大な爪は徐々にジンを追い詰める。しかし、

 

「ジン!」

 

ラグナの剣の一振りでユキアネサを押していた爪を弾き、影を後ろへと下げる。

ルナ達がいた場所の爆煙がようやく引いて、影の正体が明らかになる。

それは巨大な人形だった。紫色の服に銀色の顔。女性と分かるその顔立ちは美しさを連想させるが、腕にある巨大な爪が美しさとは真逆の荒々しさをも連想させる。

どうやらルナ達が隠していた4人目はこの人形のようだ。

 

「なんだあの人形……」

 

「さっきまではいなかったのに!」

 

「驚きましたか? 機械人形『ニルヴァーナ』。僕のデバイスであり姉さんです。今日はあの人達が相手だよ姉さん?」

 

「……」

 

カルルはニルヴァーナに対し、人に話しすように語りかけるが、ニルヴァーナは当たり前だが反応はしない。

その光景にラグナとジンは一種の恐怖を感じる。『一番ヤバイ奴』はルナでもチビルナでもニルヴァーナでもなく、あのカルルだと認識した。

 

「サヤ、あの人形を調べたか?」

 

「うん。アレはカルルくんの魔力をエネルギーにして動く自律型の武器。カルルは見たところプロフェッサータイプだけど私とは真逆のパワータイプかな。自分の代わりにモンスターを召喚して戦わせるスタイル。本人は決して強くはないけどあの人形はとても強い。気をつけて」

 

「なるほど、それじゃあ本体を叩けばいいってことだよな!」

 

ラグナはサヤの話を聞くなり、カルルに向かって突っ込んで行く。ニルヴァーナの戦闘力はかなりのものなので、カルルをダウンさせニルヴァーナを停止させれば2人同時K.Oで状況はラグナ達に有利となるだろうと考えた。

当然ニルヴァーナがラグナの行く手を遮るが、ジンが攻撃することでニルヴァーナの気をラグナから反らしてカルルへの接近を成功させる。

 

「ナイスだジン!カルル、お前には少し眠ってもらうぜ!」

 

ラグナがそう言った時、ピンチであるはずのカルルの表情は笑みを浮かべていた。 そして、その笑みでラグナはこれが罠であることに気づく。

 

「しまった……!こいつは……!」

 

『ラグ兄!そいつの懐……!』

 

「やー!」

 

勢いがついて止まらないラグナに対し、カルルの懐からチビルナが現れた。

 

「ドリームサリー!」

 

チビルナが構えた杖から巨大なシャボン玉が飛び出し、たちまちラグナの全身を包み込んだ。

ラグナは脱出を試みるが、シャボン玉は想像以上に弾力があり、剣を叩きつけても弾かれてしまい割れはしなかった。

 

「まんまと罠にかかったなラグナ!お前には少し大人しくしてもらうぞ!」

 

「このぉ……!」

 

「うあぁっ…!」

 

「ジン!」

 

ジンの悲鳴が聞こえ、ラグナがその方を向くと、ジンはニルヴァーナに対して苦戦を強いられていた。

ニルヴァーナの身体はとても頑丈で傷一つ付かず、繰り出される豪腕はジンの防御を無視してダメージを与える。

 

「あっちは勝負がつきそうだな。さて、あとは……」

 

ルナが向けた視線の先には、ラグナやジンを心配するサヤとタオカカの姿があった。

サヤはサポートに特化させたデッキで攻撃する方法を持たない。タオカカのデッキには攻撃カードが入っているが、初心者故に標的にされたことで慌てており、カードを使うまでの思考には至っていない。

 

「プロフェッサータイプには早々に消えてもらおうか!」

 

ルナが杖を構えると、先程のシャボン玉ではなく可愛らしい顔の付いたミサイルが現れた。

 

「ファイヤー!」

 

ルナの掛け声と同時に複数のミサイルがサヤ達に目掛けて真っ直ぐと突き進む。

 

「にゃ……!」

 

「タオちゃん!危ない!」

 

サヤはタオカカを庇うように飛んでくるミサイルに対して防御の魔法陣を展開した。

 

ズドォン!!

 

「きゃああああっ!!」

 

「小さい人!」

 

サヤは索敵特化のプロフェッサータイプのため、攻撃に加えて防御の方も決して高くはない。ミサイルはサヤの防御魔法陣を突破するも、ギリギリでタオカカには至らなかった。

 

「小さい人!」

 

「うぅ…タオちゃん…大丈夫…?」

 

「何で、何で小さい人はタオを助けたの…?」

 

「タオちゃんに……ブレイブデュエルを、嫌いになってほしくないの……」

 

「にゃ……?」

 

「まだ、リライズも何も知らないでやられて……それで嫌いになっちゃうのはとても悲しいよ……。だから、それまでに……タオちゃんにブレイブデュエルを嫌いになってほしくない……。もっと楽しんで欲しいの……」

 

「小さい人……!」

 

「わざわざリライズしてない奴を守るだなんて変な奴め。勝つならそいつは見捨てるべきじゃないか」

 

「てめぇ……!」

 

ラグナはルナの言葉に怒りを覚えるがこの不利な状況、何を言っても負け惜しみになってしまう。

 

(どうする……この状況を打破するにはどうする……!)

 

頭を巡らせていると、ラグナは一つの考えに至った。

 

それはラグナがダブらせたスキルカード。そのレアリティは……。

 

(やれるか……!? スキルカード、『通信(コンタクト)』!)

 

なす術無い状態のタオカカの頭の中にラグナの声が響く。

 

『タオ! 聞こえるか! 』

 

「にゃ……!いい人!?」

 

『お前に今からカードを転送させる! それでリライズをするんだ!』

 

「にゃあ……でも……」

 

『でももクソもねえ! タオ! ブレイブデュエルを楽しみたいなら、まずは勝つんだ!』

 

タオの手元に1枚のカードが転送される。それはレアリティがN+のカードで丁度タオカカがリライズできるものだった。

タオカカはそのカードを掴み、泣きそうだった顔を引き締めて戦う表情になる。

 

「いい人、氷の人、そして小さい人。……ありがとう」

 

「なっ……!? ここでリライズだと!?」

 

「リライズ……アップ!!」

 

タオの身体を光が包み、そこにリライズして姿の変わったタオカカの姿が……無かった。

 

「た、タオ……?」

 

「いない?どういうことだ?」

 

ラグナとルナ達が困惑する中、1つの異変が発生した。

 

ズガァン!!

 

「姉さん!?」

 

ジンを攻撃していたニルヴァーナが大きく吹っ飛ばされた。ニルヴァーナは自動的に索敵を行うがそれ以上のスピードで何かがニルヴァーナを攻撃し続ける。

 

「くっ!『ラ・カンパネラ』!」

 

カルルが何かを唱えると攻撃され続けていたニルヴァーナが突如として消失し、カルルの元へと再び現れた。

本来はカルル本体へ攻撃を仕掛けた相手への不意打ちを行う技だが、今回は遠くのニルヴァーナを避難させる技として応用した。ジンへの追撃が止まったのは致命的だがニルヴァーナの損失が後の行動に支障をきたすとカルルは判断したのだ。

高速で動いていた何かは目標の喪失と共に動きを止める。それはリライズしたタオカカだった。

頭から尻周りは腕まで隙間無くクリーム色のコートが全身を包み込み、猫の足のブーツを履いている。顔はフードで見なくなっており、そこから真っ赤な2つの眼が光っていた。一言で言うなネコのような姿をした人間。それは紛れもなく、ラグナの知っているタオカカの姿だった。

 

「タオ! リライズに成功したのか!」

 

「アオアオア〜オ!!身体がフワフワ〜のビュンビュンニャス!!」

 

「……は?」

 

「いい人、今からこのタオが助けに行くニャスよ!」

 

目の前のタオカカのテンションにラグナは困惑した。あれはさっきまで口数少なく無口だったタオカカだ。ラグナは『向こうの世界』のタオカカの事は記憶していたのだが、まさかここで本来の性格に戻るとは予想して無かったのだ。

 

「キャラが変わったからって強さが変わる訳じゃないからな!」

 

杖の先端をネコの頭に変形させたルナがちびルナと共にタオカカに接近する。

杖を振り回しタオカカへダメージを与えようとするがタオカカは難なく避ける。

 

「ちび!」

 

『マミーサーキュラー!』

 

ルナの合図でちびルナがタオカカの懐へと迫り、ハート型の乗り物による突撃でタオカカの姿勢を突き崩す。

 

「フニャッ!?」

 

無防備となったタオカカへルナが手をかざすとハート型の器がタオカカを閉じ込めた。

 

「これならば避けられまい!『ドラマティックサリー』!」

 

ルナが指を鳴らすと爆発するトラップ魔法。これで終わりかと思いきや突如ハート型の器が切り裂かれた。

 

「何ぃ!?」

 

「シャキーン! ツメツメアターック!」

 

タオカカの布に包まれた両手から鋭い3本の爪が伸びており、これを使ったことでルナの技を破ったのだ。

技を破られたことで動揺したルナはタオカカの目の前で大きな隙を晒した。もちろんタオカカはそれを逃さない。

 

「しまっ……!?」

 

ここでタオカカがルナへ攻撃を与えればラグナ達の勝利……の、はずが……

 

「モミモ〜ミニャス」

 

「ちょ!? 何処に触ってるんだ!!」

 

あろうことかタオカカは爪を引っ込めルナの胸をまさぐり始めた。

 

「馬っ鹿タオ! 何してんだ!?」

 

「何って乳を確かめてるニャス」

 

「目に見えて真っ平らなもんを確かめなくてもいいだろ!」

 

「お前!ルナ様の胸を真っ平らだと!?ルナ様だって将来は母さんのようなダイナマイトボディに……」

 

「うーん、将来性の無い絶望的なまな板ニャス」

 

「うがぁー! どけー! 離せー!」

 

「スキだらけですよ猫さん」

 

「ニャンと!?」

 

タオカカがルナの胸をまさぐっている間にカルルはニルヴァーナでタオカカをがっちりを捕まえた。

 

「ルナちゃんが隙を作ってくれたおかげで捕まえることができました。これなら自慢のスピードも形無しですね」

 

「ふぎぃぃぃ〜……で、出れないニャス……」

 

タオカカの装備はライトニングタイプというスピードに特化した装備で、相手を翻弄することができるがその反面、防御などの他のステータスが低く設定されている。

タオカカの攻撃はスピードを乗せた突進によるもので破壊力を生み出すのだが、そのスピードが出せない今、機械であるニルヴァーナの剛腕から抜け出せずにいる。しかも装備が服同然の為にニルヴァーナの締め付けがタオカカを徐々に苦しめていた。

 

「も、もう駄目ニャス〜…」

 

「これで後は閉じ込められたラグナ=A=マーキュリーだけ。この勝負、僕たちの……」

 

ガキィン!!

 

「……っ!? そんな!?」

 

タオカカを締め付けていたニルヴァーナの腕が突然力を緩めた。なぜならシャボン玉から脱出したラグナがニルヴァーナの腕に剣を叩きつけたからだ。

 

「な、何でお前がここに!?」

 

「ありがとよジン。おかげで壊しやすかったぜ」

 

ルナとカルルがラグナを閉じ込めていた場所を見ると、そこには力尽き倒れているジンと大きな穴を空けて凍っているシャボン玉があった。

ラグナの大剣は『斬り刻む』より『叩き斬る』性質が強い武器だ。そのせいで魔力を込めたシャボン玉のような衝撃を吸収する物に弱い。しかし、ジンが残り僅かな力を使ってシャボン玉の表面を凍らせたことでその性質を無くし、シャボン玉を破壊することに成功したのだ。

 

「い、イイ人……」

 

「タオ、よくやってくれた。後は俺にまかせろ。お前はジンとサヤを頼む」

 

「ニャス……」

 

「時間稼ぎされたのは、どうやらテメーらのようだな」

 

「くっ!姉さん!」

 

「……!」

 

「今更くらうか!」

 

「ならこっちはどうだ!ファイヤー!」

 

「効かねえぞ!!」

 

ルナとカルルの攻撃は烈火の如く攻めてくるラグナには殆ど効果がなかった。ニルヴァーナの攻撃も、ルナのミサイルやハンマーもすべて弾き返す。

 

「くぅっ…!戦闘力がここまでだったとは聞いてないぞ!」

 

「もう終わりか? 悪ぃが、そろそろ終わりにさせて貰うぜ」

 

ラグナは漆黒に染まった右腕を前方に構え、力を開放する呪文を口にする。

 

「第666拘束機関解放、次元干渉虚数封陣展開!」

 

「『ブルイブルー』…起動!」

 

ラグナの右腕の甲から紋章が浮かび上がると同時に衝撃波が放たれる。その衝撃波はホログラムである空間の壁にヒビが入るほどだ。

 

「この威圧感…! カルル! 時間を稼いで!」

 

「わかりました!」

 

ルナはラグナから放たれる魔力に危機感を感じ、強大な技を放つ為にカルルに時間稼ぎを頼んだ。それはカルルからしても勝つためにはそれが最善だと判断できるものだった。

 

「この一撃を!『ゲネルバウゼ』!」

 

ニルヴァーナがラグナ目掛けて腕をゆっくり回転させ、溜め込んだ力を拳に乗せて一気に放つ。ニルヴァーナが持つ技の中で最強の一撃だ。くらってしまえば意識を保つことはできない。

しかし今のラグナにはニルヴァーナの攻撃は通用しない。黒いオーラを纏った右腕を前方に突き出し、片手でニルヴァーナの豪腕を受け止めた。

 

「そんな!通じて無い!?」

 

「その程度か? なら今度はこっちの番だ!『デッドスパイク』!!」

 

「う……うわあああああ!!!!」

 

ジンとの組み合いの時とは比べ物にならない巨大な獣の顎がカルルとニルヴァーナをまとめて飲み込み、カルルはそのままダウンになってしまった。

 

「ルナ! 次はテメェの番だ!」

 

ラグナがルナの方に向くと、ルナが勝ち誇るかのような顔をしていた。どうやらカルルが稼いだ僅かな時間で、魔力を大量に充填したようだ。

 

「カルルを倒したみたいだけど、少し遅かったな。魔力は十分に溜まった!」

 

ルナが自分を包むように魔力を膨らませると、ルナの手足の装飾品が形を変え、更に腰の羽が翼のように巨大化した。杖の先端からはとてつもない量の魔力を感じさせていた。

 

「ラグナ=A=マーキュリー、戦ってみてお前達の強さがよりよく伝わってくる。だからこそ! 今ここで倒させてもらう!」

 

「生憎、そうやすやすと勝ちはゆずれねえ性格なんだよ!!」

 

「私の全身全霊を込めて放つ! 消し飛べえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「おおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

ルナの放出した巨大な魔力の渦はラグナへと迫ってくるが、ラグナの大剣が切っ先を向けてルナの攻撃を受け止める。

 

「そんなものでこの攻撃が防げるか! そのままやられろ!!」

 

「この……!ナメんじゃねえええええええええええええ!!!!!」

 

ラグナの身体から溢れる黒いオーラが更に膨れ上がると大剣の切っ先が魔力の渦に沈み、そこからルナの攻撃が2つに割れ出した。

 

「な、何だこの攻撃は……!? 魔力が喰われている……!?」

 

「おおおおぉぉぉおおおぉぉぉぉ!!」

 

オーラが相手の魔力を喰らいその分だけ強化される。これがラグナのパーソナルデータが生み出した変則型アーマーナイトタイプ、『ブレイブルー』なのだ。

 

「『カーネイジ・シザース』!!!」

 

戦いはファンファーレと共に終わりを告げた。それはラグナ達の勝利をも意味していたのであった。

 

*

 

「イイ人!」

 

「タオ…ってうぉっ!」

 

ラグナの元にタオカカが駆けつけ、飛び込むように抱き付いて来た。

 

「イイ人ありがとう。タオ、イイ人とぶれーぶデュエルができてとても嬉しい!」

 

「そ、そうか。ところでお前やる前と比べると随分明るくなったな」

 

「何でだろ? これもぶれーぶデュエルのお陰かな」

 

リライズしてからのハジケっぷりが強すぎた為か大人しかったタオカカにある程度のフィードバックがされているようだ。

そしてラグナの前方からの人影、ルナとカルルの2人がラグナの前に現れた。

 

「ふんっ、1度勝ったからってこのルナ様を侮るなよ。次はお前らをけちょんけちょんにしてやるからな!」

 

「僕も同じです。次は負けませんよ」

 

「いいぜ、それでも俺達が勝つからよ」

 

「減らず口を〜……! 私に勝ったところでショップチャンピオンには勝てないだろうけどな!」

 

「ルナちゃんそれ完全に小物のセリフですよ……」

 

「ショップチャンピオン?」

 

ラグナが疑問を抱いたその時、ゲームセンターの入口で大きな歓声が上がった。

 

「ショップチャンピオンだ!ショップチャンピオンがやって来たぞ!」

 

「噂をすればか!」

 

「あっ! おい! 話は終わってないぞ!」

 

ルナ達を置き去りにし、人混みを掻き分けてショップチャンピオンの姿を一目見ようとするラグナ。ようやくして目撃したショップチャンピオンの姿にラグナは驚きを隠せなかった。

 

「お、お前は……!」

 

2つに束ねた金髪のツインテール、黒いゴシック服から漂うバラの香り、そしてバラよりも赤い2つの瞳。その姿をラグナは間違えるはずがなかった。

 

そう、ショップチャンピオンと称えられていたのはまごうことなき、レイチェル=アルカードだった。

 

「あら、貴方は……」

 

 

 




この物語を書くとき、好きなキャラであるタオカカを出そうと思っていて、どうすれば違和感を少なく出せるかと試行錯誤した結果こうなりました。キャラが崩壊している気がしますが、素人の二次創作ということでご勘弁ください((((;゜Д゜)))
また次回お会いできることを願っています。
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