東方紫瑛界   作:澪海

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今回から新章です。そして、物語の軸となる本編となります。



本章1 古代編
第18話 時間跳躍のアヴニール


 

「……ここは……どこ?……」

 

気がつくと、森の中に倒れていた。ここは深い深い山の中。周りを見渡しても誰もいない。

自分のいる場所がわからない。

頭を打っていて、直前の記憶が思い出せない。

 

(ひとまず、人のいるところにいけば!)

なんとか立ち上がり、頭を押さえながら、ふらふらと歩き出す。

見渡すかぎり山である。自分の知らない景色が広がる。

 

 

しばらく歩いていると人がいた。しかし見た感じかなり貧乏そうな着物を着ている。

あの人たちはなんでこんな古めかしい服なんてきているんだろう。そう感じた。

しかし、その人たちは、自分に気づくと、指を指して、こういった。

 

「妖怪だぁ!?たかが1体だ。みんなで力を合わせれば殺せるはずだ!やろうども、武器を持つんだ!殺せぇぇ!」

 

大柄の男たちは、武器を持って襲ってくる。

 

(よっ妖怪?)

 

だがそんなことを考えられる時間はなかった。

ただ自分の中では「逃げろ!」と危険信号を発していた。

恐怖を感じて、すぐに逃げることしか考えられなかった。

 

それからは、あまり覚えていない。ただひたすら逃げて逃げて逃げまくった。

 

「はっ……はっ……はっ……」

 

あれから何時間走ったのか分からない。

なんとか人からは逃げ切れたようだが、しかし、かなり疲労困憊で、頭も痛い。

 

(もう……動け……な……い。誰……か……助け……)

 

視界がぐにゃぐにゃと曲がり、ついに力尽き意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日のこと。

 

一人の青年が山道を歩いていた。彼の名前は 古神 界 。

あらゆる軸を操る程度の能力をもつ半妖の神だ。

ここ最近は、諏訪地方の旧洩矢王国に住む、建御名方神(たけみなかた)(通称:タケちゃん)、八坂神奈子、洩矢諏訪子の三人と酒宴をかわしたところだった。

 

 

 

回想

 

 

「あ~う~!界はいっつもそんなことばかり言うのがダメなんだよ!」

 

「まぁ界には、いつも助けられてるしな。お陰で三人仲良くいけてるよ。」

 

タケちゃんと諏訪子が言った。

界は聖徳太子いわゆる豊聡耳神子の話を持ちかけた。すると神奈子が興味をもった。

 

「最近の朝廷は、そんなにも緩いのかねぇ~!仏教、道教、神道の争いなんてまたつまらん争いだなぁ!天照大御神の子孫らがこんなことしてて、大丈夫なのかね。」

 

「まぁこっちは神道の部類だよな。神様やミシャクジだし。他の宗教で信仰は取られたくないよな!」

 

「私のミシャクジも今じゃ諏訪地方しか信仰がないんだよ~」

 

「それで、朝廷の皇子様は、尸解仙になったんだよ。尸解仙ってのは、一度死んで、魂と体を分離し、朽ちることない剣や皿なんかに、封印する。そして、長い年月を越えて復活するんだよ。復活したものは仙人と呼ばれ、不老不死を手にいれるんだ。」

 

「それって死を超越してるよ。ありえないよ~」

 

諏訪子を含めみんなが驚いた。

 

 

 

 

 

とまぁ、こんな会話をしながら、半年ほどお泊まりしていたんだが。

 

それで、界は武蔵の国(関東地方)に向けて歩いていた。

界が進む道は基本、人が通らない獣道。妖怪らと話したりして、妖怪をよく知ろうとしていたり。

そろそろ寝る時間帯だ。界は自作の小屋をつくり、夕食を探しに出掛けた。基本野宿の時はサバイバルだが、最悪無かったら、町の市場の食材を能力を使い買いにいくのが普通だ。

 

界が歩いていると前方に中妖怪が集まっている。どうやら夕食の話をしているようだ。

しかし界は妖怪の目線のさきを見た。すると、一人の女性が倒れている。

 

界はとっさに妖怪の前に遮り彼女を守る。

すると妖怪が言った。

 

「なんだ?貴様は食料を独り占めする気か?」

 

「いや、違うな。守ろうとしたのさ。残念だが俺は大妖怪や神様クラスだ。俺の言うことが呑めないなら、たとえ100体いても全員死ぬぞ?」

 

界は妖力を最大にあげる。

 

「…………なっ!?…………すすすすいませんでしたぁ!帰るぞみんな。」

 

 

妖怪は一目散に逃げていく。界は能力を使い小屋に彼女を移動させた。そして、食料は街に行って、栄養の高い物を買ってきた。

 

 

小屋に帰ると、彼女をベッドにねかせる。

あの時暗くて見えなかった顔がよく見える。

彼女の髪は、ウェーブのかかった長い金髪で、顔は日本人寄りだが外国人に見える。そして、何とも言えない美女で、髪からはいいにおいがする。年齢は20歳前後に見える。服は紫を中心としたドレスで、スカートはフリフリである。まず、この時代には存在しない服だ。

 

そう、界の脳内に該当する人物は1人。

それが誰なのか一発でわかった。

 

界の出した結論

 

彼女の名前は

 

八雲 紫 (やくもゆかり)

 

詳しく説明すると、妖怪の賢者と呼ばれる最強の妖怪だ。

しかし、紫というには言い切れない点がある。

それは、全く妖力を感じないところだ。

 

ひとまず、界はその日は眠ることにした。

 

 

 

翌日、界は夕食を食べ損ない、朝食はたくさん食べることにした。囲炉裏には大きな鍋に野菜たくさんの、味噌汁をつくった。

 

 

「うっ…………………」

 

 

界がしばらく一人で朝食をとっていると、八雲紫と思われる女性が目を覚ました。

 

「ここは…………? あれ…………わたし…………」

 

「大丈夫か?ここは俺のまぁ家だ。お前さん森に倒れてたんだよ。 」

 

「あっ……ありがとう…………ございます。」

 

「俺の名前は 古神 界だ。何でも聞いてくれ!」

 

「わっ私の名前は…………マエリベリー・ハーン……と言います。」

 

「……へっ……?」

 

界は驚愕した。

すっかり忘れていたことがあった。

八雲 紫と似た容姿をしている女性がもう一人いたことに。

 

彼女はマエリベリー・ハーン。

通称メリーと呼ばれる女性で、確か宇佐見蓮子という子と秘封倶楽部を大学で立ち上げている未来の人間の少女だ。

 

「あっあの…………蓮子……私の他に同じくらいの帽子をかぶった子見ませんでしたか?」

 

ここは、すべて知らないふりをするしかない。

 

「見てないな。」

 

「そうですか…………あと、一つ聞きたいのですが、なぜ着物を着ているんですか?コスプレでしょうか……?」

 

(どうしよ。未来語キタよ。仕方ない、平安時代風の返答をするしかない。)

 

「コス……プレ???それはなんだ?着物は日常服ですですけど」

 

「コスプレ知らないんですか?おかしいな……。普通誰でも知ってるのに。」

 

(まぁ現代人ならだれでも知ってるよ。普通。あとは彼女にどう平安時代だと認識させるかだ。よし、仕方ない。あれを使うか。)

 

「すまぬが、お前さんの服もおかしいぞ。どこのものだ?平安京には誰もそんな服着てないし、それとも、唐いや今は宋の時代か、そっちの方から来たのか?」

 

「あなた……何を? 平安京?唐?宋?これって……平安時代の始めあたり…………なんで…………?」

 

(やっと気づいたみたいだな)

 

マエリベリー・ハーンは目を見開いて、何も言えない。

 

「それで、君はこれからどうするの?家がないならついてくる?」

 

「えっ…………そうですね……ですが……蓮子っ……」

 

彼女は泣くのをこらえ、しばらく考えてから顔を少しあげた。

 

「それじゃあ…………お願いします」

 

控えめに言った。彼女の目は涙を拭いたせいで赤く腫れている。

 

彼女は未来に帰る方法を探すため、界についていく決心をした。

 

「蓮子…………待っててね…………」

 

それは、界とマエリベリー・ハーンの長い長い幻想時空の狭間で起こる物語

 

 

 

 

 




追記) 少し会話表現をかえました。



マエリベリー・ハーン

種族:人間
能力:境界の境目を視る程度の能力

オカルトサークルの秘封倶楽部のメンバー。
アダ名はメリー。
幻想郷のある世界観はおなじだが、時間がずっと先の未来にすむ。
相対性精神学を大学で学ぶ学生。
積極性は低く、何かと振り回されてばかり。

テーマ曲: 月の妖鳥、化猫の幻

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