さて、ついに東方キャラが登場です。
第二話です。
第2話 軸路の始まり
ある場所にて……
「うっ……ここはどこだ? たしか俺は鉄パイプに下敷きにされて……」
主人公 古神 界は目を覚ました。目の前には見知らぬ空。赤紫のようにも見えるし、もっと薄いピンクの様にも見える。界は仰向けに寝転がった状態だった。彼の脳裏にはあの時の記憶が僅かながら残っていた。だがそれ以上のことは覚えていなかった。下敷きにされてから、朦朧としていたのか記憶がほとんどなかった。
「お前さんは死んだのじゃ」
「そうか…………俺は死んだのか……って……えっ?」
界はどこからともなく聞こえた声に反応した。だが、真上には誰もいない。界は、ゆっくりと体を起こすと、緑色の芝生とたくさんの花が咲いていた。奥の方には池のようなものもある。
「ここは…………」
まわりには幻想的な風景が広がっていた。そんな中に、小さいお爺さんと背の高い美人の女性が立っていた。
するとその二人はこちらに近付いてきた。
「……あなたは何者ですか? あと、さっき俺は死んだって言いましたよね……ということは……まさかここは」
「ほっほっほ!慌てるな若造よ。ここはワシら神様の暮らす神界じゃ。天国ではない。そしてワシは神様じゃよ」
神様と名乗るお爺さんは杖を片手に笑っていた。界はそんな神様の前で戸惑っていた。
「神……様……?」
「そうじゃ」
「……じゃあ……俺はなぜ神様に?」
「それはな……そちがワシらの監視下にいるからじゃ。」
神様のお爺さんは何喰わぬ顔で界の質問に即答した。界はまたよく分からないことを言われ余計に困惑する。
「監視下?でもなんで俺が……」
「お前さんは朝に体験した妙な現象を覚えとるか?」
界は少し頭で今朝のことを思い出す。
たしか、あの日の朝……
黒い何かが……あぁ……少しずつ思い出してきた。
「…………あの……"くらやみ"……」
「そうじゃ。実際に"くらやみ"と言うのは適切じゃなくての。それはおまえさんの能力が引き起こした現象じゃ。」
「能力!? 」
界は自分に能力があることに驚いた。だが実際のところ能力という実感がなかった。実のところ、界は瞬間移動したり、透明人間になったり、手から炎を出したり、念動力を使ったりというイメージを持っていたため、あれを能力だと思えなかった。
すると、神様は言った。
「能力は君の思うようなものだけではないのじゃ。娘よ教えてやってくれ。疲れたわい。」
そして、神様は空間から椅子を出現させ、地面に置くと、それにゆっくりと腰をおろした。
「神様に代わって私がお話しますね。私は女神です。名前は特にありません。まず貴方の能力についてお教えします。能力名は《あらゆる軸を操る程度の能力》です。」
「……あらゆる軸をあやつる?…………」
界の頭の中では、連想ゲームが始まった。
軸といえば、線。
線といえば、棒。
棒といえば、チ……いや馬鹿か!
棒といえば…………ダメだでてこない。
そもそも軸とはなんだ?芯とか?鉛筆の芯?キャベツの芯?
使い道が見つからないんだけどぉ~
なんて使えない能力を俺は持っているんだ。そもそも暗闇をどうしたら芯や棒を操った程度で作れるんだよ!
界の頭の中は困惑状態だった。
だが、女神はすんなりとこう言った。
「界さん。あなた見方が違います。あなたが高校生だから分かると思ったのですが。この世にはベクトル軸、空間軸、平行軸、時間軸などが存在します。それを操る能力です。」
界は驚いていた。確かに軸といえばそれもあると。完全に忘れていた。界は超能力は理論的なものではないだと考えていたために、数学的に考えていなかったのである。
「あぁ!軸ってそっちか。というか心を読まれた?」
界は驚いて言った。それを女神は微笑みながら言った。
「神様には心を読む力を持っていますから……。さて本題に戻りましょう。」
再び女神の説明が始まった。
「ベクトル軸は物の方向を自由に変えたり、反射できる力、空間軸は瞬間移動、平行軸はパラレルワールドや次元を越える力、時間軸はタイムリープや時間を止めることができる力です。」
界にはあまりのすごさにすべて理解できていなかった。
まず、この能力のすごいところは、瞬間移動と時間停止だ。さらにベクトル変換という第一位の名にふさわしい力を持ってることだ。
さらに女神は話を進めた。
「監視の理由はこの能力が悪用されないように、また暴走して人類滅亡にならないように私たちは貴方がたを監視しているのです。そして、あの"くらやみ"は能力でできた異世界へのトンネルだった訳です。」
「異世界?普通の内陸の日本だったじゃないか。出会った女の子も日本人だし。」
「そうですね。詳しくは分かりませんが、貴方は10年前いわゆる2005年1月の長野県あたりへと移動したようです。あなたの住んでいたα軸の世界からずっと離れたβ軸の世界へと飛んでしまったということです。」
「パラレルワールドってことか」
「う~ん。見たいな異世界と考えてください。」
界は自分がそんな世界へ行ってしまったのだと自覚した。だが、界には聞きたいことがたくさんあった。
「じゃあこれから俺はどうなる」
「私たちは神様の暗黙のルールで下界への干渉はできません。なので、ここで私たちと住むか、あまりしたくないのですが、転生させることしかできません。」
界はいきなり言われて戸惑った。転生なんて普通にあり得るのかと信じがたく感じてしまったからだ。
「転生って生き返れるんですか?」
「まぁできます。ただし私たちは有能な神ではないので、α軸に転生させるのは理論上無理です。貴方の死体があるβ軸になら100%確実に転生できますが、それ以外の世界はランダムです。世界は言ってみれば無限大ありますし、α軸世界に確実に転生できる確率はほぼ0%に近いです。」
「確かに…………そうなるか……」
界は自らの世界に帰りたかった。だが一瞬でその希望が崩れ去っていく。
だが女神はこの後とんでもないことを言った。
「ただ貴方は運がいいことにβ軸世界には幻想郷が存在しています。あなたの好きな東方projectのある世界です」
「は?」
訳が分からなかった。
幻想郷・東方ってそんなのゲームの話ではないかと界は考える。だがよく考えると "世界" には人の理想が形になった世界もあるはずだと界は仮説を立てる。
もしそうならば、無意識に界は東方の世界へ行きたいと現実逃避していたことになるわけだ。それが能力を通じて実現させたということなのだろうか。
では神様は最初から見透かしていたのだろうか。
「ふふっ。あなたの考察は素晴らしいものですね。それでは貴方をβ軸世界へ転生させましょう。」
「ちょっと待った!? 妖怪いるじゃないですか。無理ですよ。あと能力暴走したらせっかくβ軸に転生した意味がなくなっちゃうんじゃ……」
「大丈夫。今さっき能力封印しときましたから。」
「封印!?」
界は驚いた。またよく分からないことを言われ頭がパンクしそうになる。
そして、女神はさらに言う。
「貴方自身の能力を持っていても、今の貴方には瞬間移動さえもできません。力が足りないという事です。代わりに使いやすい別の能力を授けます。もしあなたが強くなって、使いこなせるようになったら解放してあげますよ。」
それを聞いて界は肩を落とした。だが界は正論だと思った。能力さえもできないんじゃ、妖怪には食われて死ぬだけだと。
「それで別の能力はいつもらえるんですか?」
「今、神様が取りに行ってます。しばらく待っててくださいね。」
界は椅子を見ると今さっきまでいた、お爺さんが消えていた。というより能力って持ち運びできるという方が驚きなのだが。
それから待っている最中、界は女神に質問した。
「ちなみにβ軸世界はα軸世界からどれくらい離れてるんですか?」
女神は目を閉じて、しばらく考えていた。たぶん調べているのだろう。すると女神は目を開けて界に話しかけた。
「α軸から約100万も離れた軸ですね。あなたは暴走のせいで一時的に最強の力を使って移動しましたけど、最強にならない限り、α軸に移動するのは難しいと思います。なので諦めるのが最善です。」
界はがっくりとした。やはり、もう帰るところが無いという実感が大きかった。確かに東方の世界に住みたいのは事実だ。確かに現実逃避したのは自分自身だ。だが、やはりいつかは自分の世界へ帰りたい。そんな郷愁の思いが強かった。
そう思っていると、お爺さんがいきなり現れた。お爺さんの手には小さな瓶がある。
「おまえさんはどんな能力がほしいんじゃ?ちなみに一番人気なのはのぉ………《あらゆるものを創造する程度の能力》じゃ。大抵の転生者はこれをほしがるのじゃよ。霊力妖力なんかを作りたい放題じゃしの。チートとしか言えんが。」
「そっか…………」
界は元気がなかった。今から始まる孤独な生活が不安だったからだ。
「あと種族じゃ。古代に転生させるからの、大抵は神とか人外とか妖怪とか選ぶやつが多いが。ただし不老不死は無理じゃ。不老ならば良いがの」
「じゃあ半妖で結構です。そして不老で。能力も一番人気のそれでいいです。」
「本当にそれで良いのか?」
「うん……」
大好きな東方の世界に行ける。嬉しいけど、もう帰る場所はない。普通の生活ができない。そんなモヤモヤした気分だった。なぜ半妖にしたかというと、人間としてのプライドを守りたかったから、そして妖力が欲しかったからである。
神様は界の気持ちを読み取ったのか、界に助言を一つ送った。
「古神 界よ!頑張るのじゃぞ!我ら神はお前を救いたかった。じゃが、すべて叶えられなかった。それでも、お前さんの努力次第で道(望み)は開けるかもしれん。ただ前を向いてこの世界を生き延びるのじゃ。」
界は神様の言葉で少し元気がでた。界の不安はまだ無くなってはいないが、まだ希望は捨てるなと教えてくれた気がした。
「それでは、娘よ!転生をはじめてくれ!」
「わかりました。それでは 古神 界 またいつか会いましょう。ご武運あれ!」
すると急に界の周りが光に包まれていき、みるみる界を包んでいく。そして界は意識を失った。
『新たな古神 界 の試練がここから始まる。』
「うっ……眩しい!」
次に目が覚めた時、自分は森の中に倒れていた。
朝陽だろうか葉と葉の間から木漏れ日が差し掛かっている。
(たしか、神様は古代に飛ばすって言ってたな。いつの時代だろう?森の中じゃ何処かもわからないし。)
界は神様に最後に言われたことを思い出した。あの時、神様に言われた助言だ。
(それなら俺は生き抜いてやる。)
そう硬く決心した。
しばらくして、界は行く場所を探していた。だがいつまで歩いても森の中だ。
「まず空を飛ばなくちゃな。空からなら町も見えるかもしれないし。まず、妖力がいるから妖力を生成して……体内を循環させて、そしたら空を飛………………べないじゃん!飛べないじゃん!飛べないじゃん!」
仕方なく歩くことにした。
しぶしぶ歩いていると 狼に似た妖怪がいた。
「そこのお前、人間の匂いがするが俺に食われるか、殺されるかどっちがいい?さぁ選べ!三分間だけ待ってやる」
「バルス!ってムスカかよ! 残念ながら俺は半妖なんだ」
半妖の特権は妖怪に食べられないことだ。さらに、狼の妖怪は人間と言った。人間を知っているということは近くに人間の町がある証拠にもなる。だが、妖怪の反応は悪かった。
「なんだと、貴様は妖怪と人間の間に生まれし者だと言いたいのか?妖怪の俺にしたら半妖は人間と妖怪を曖昧にするものだ。貴様を殺す!」
そう言って、妖怪はこちらに向かい凄い早さで襲ってきた。界はビックリして回れ右して全力で逃げる。
「死ねぇ半妖!!」
「なななんでだよぉ! くそったれ! 何でもいいから武器でろ!」
すると、現れたのは
界は空中に出現した草薙の剣をあたふたしながら、掴むと方向転換し、妖怪に向かって逆走する。
「なんだとっ!」
妖怪は急な方向転換で攻めてきた界に驚き、急に止まろうとするが慣性の法則によって急には止まれない。
そして界は「だぁぁっ」と狼の妖怪の前方から腹をえぐるように草薙の剣を振り抜いた。
妖怪は赤い血を吹き出し、地面に倒れて動かなくなった。界の見事な剣さばきは、かつての剣道のおかげでもある。
「はぁっ………………勝ったんだよな。」
初めて妖怪を倒したのにあまり嬉しい気がしなかった。半妖だから狙われないと感じていたが、予想外だった。
自分の他はすべてが敵と今実感し、これからこの世で生きていくことの大変さを痛感させられたのだから。
そして界は、森の中をとぼとぼ歩いていった。
しばらくすると、街が見えた。とても工業的で古代とは思えないつくりだった。町にはビルが建ち、東京みたいな感じだった。
町への入り口は一つだけで、あとは城のような城壁に守られていた。界はちゃんと入口から入ろうとしたとき目の前に兵隊が歩いてきた。
「そこのお前!さては妖怪だな!身なりが変だ。」
「いやいや旅のものですよ。」
確かに身なりが変だった。というか制服だった。センターの前だから仕方なかったし、この時代の服なんて分かるはずがない。
「旅だと?怪しいな。ひとまず
「八意様ってそれ永琳じゃ!」
「貴様、八意様を知っているとは。まぁ確かに町の者なら知ってて当たり前か。だが八意様に聞けば分かることだ。貴様が穢れの者か一応機械で調べる必要があるからな。連行せよ。」
そして仕方なく連行されることになった。ここで逃げ出すとかえって怪しまれると感じたからだ。
(この流れ的にいきなりピンチだな……どうしよう)
界がピンチだと感じているのは、穢れ装置だ。これにかけられれば処刑は免れない。界は歩きながらなんとかして、逃げる手だてを考えるしかなかった。
界と兵隊は町の中心街を歩いていく。それによって、町の住人も騒ぎを聞きつけ集まってくる。だが、その騒ぎを聞きつけた中に、あのお方の姿があった。
「あなたたち!何があったの?」
後ろから声が聞こえた。それは、女性の声だった。兵隊の列はたちまち止まり、みんなが頭を下げる。
すると周りの兵隊の隙間から白い髪の若い女性が歩いてくるのが見えた。とても若々しく、美人だった。
するとある兵隊の隊長が、その女性の前に出て報告をした。
「八意様。街の入口にて怪しき者を捕らえて参りました」
「あら、珍しいわね。ご苦労様。それで、そいつを私の前に出してくれないかしら」
「はっ!わかりました!」
強引に兵隊は界を永琳の前につきだした。
(なんとかして、助からねば。だが相手は
「あなたが怪しい者?また可愛らしい子ね。」
「それはどうも。それで俺は旅の最中でして、何故か捕まってしまったということです」
「貴方はなぜ逃げなかったのかしら?妖怪なら簡単に逃げられたでしょうに」
「妖怪じゃないからです。ちなみに、先程の森で妖怪を殺したので帰り血を浴びて妖怪臭いかもしれません。」
そういって、腰にかけた草薙の剣を見せた。剣の刃には少しばかり血が残っていた。
「なるほど。そういって誤魔化す妖怪も昔いたわね。さて、他にはないのかしら。」
「くっ!(永琳なかなか手強い!)」
「あら?言い訳は無いのかしら?それなら貴方をここで処刑するわよ!」
(えっ?永琳ってこんなキャラだっけ?たしかにドSな動画たくさん二次創作であるけど、殺すなんてありえない。)
界はもうヤケクソになりながら、自分の本音を叫びまくる。
「はぁ? 永琳って、てっきり蓬莱の薬とか薬作りする大人しい系お姉さんってイメージだったのに、人殺すってなんだよ!せめてやるなら屈辱プレイまでに抑えろよ!」
「…………貴方…………なぜそれを……」
それをきいて永琳は驚いた。永琳は頭を押さえながら何やら考えている。
「屈辱プレイの話?」
「違います!なぜ私の薬作りのことと、あの薬の名前がでてくるのよ!」
「俺が人間だからかな?」
「あぁ~もう分かったわよ。もともと貴方が人間なのは知ってたわよ。ちょっと試して遊んでただけなのにもぅ!」
この発言で兵隊たちは唖然としていた。開いた口が塞がらないとでも言うのか。
兵隊には分からないだろうが、界には霊力というものがついている。界は兵隊と会ってからずっと体から霊力を出しまくっていた。妖力は出来るだけ抑えていたが。
多分だが、界は永琳が霊力を感じとったのだと思った。
「しっ……しかし八意様大丈夫なんでしょうか?」
兵隊の隊長は心配そうに尋ねた。
「えぇ!私の目には狂いは無いわよ。」
永琳はふふっと微笑みながら、界の近くに来て手を差しのべる。
「私の部下が迷惑かけたわね。お詫びに家に招待するわ」
界は永琳の手を握り立ち上がった。そうして、永琳と共に八意邸に向かったのだった。
途中に永琳に聞いてみた
「さっきの試して遊んでいたのは何でなんですか?」
「貴方があまりにも面白い言い訳をしてくれると思ったからかしら。だけどあの話には度肝を抜かれたわ。なぜあんなことを知ってるのか、こちらが聞きたいわ」
「小耳に挟んだだけですよ。」
「あれは私しか知らない情報よ。本当はなんなの?」
「…………まぁ着いてから話しませんか。」
「わかったわ。」
界と永琳は二人、町を歩いていた。
あと東方辞典を後書き使って書いていこうと思います
種族:月人、蓬莱人
能力:あらゆる薬をつくる程度の能力
「東方永夜抄」の6A面ボス、および6B面中ボス。
のちに蓬莱山輝夜と共に幻想郷の永遠亭に住む。蓬莱の薬は永琳が作ったが、輝夜の永遠の能力を利用して作った物である。のちに自ら蓬莱の薬を飲んだ蓬莱人でもある。
地球にいた時(界と出会った時)は、蓬莱の薬の試作品はできていたが、周りには伝えていなかった設定。
テーマ曲は「千年幻想郷 ~ History of the Moon」