東方紫瑛界   作:澪海

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第22話 反魂蝶 -五分咲-

さっきまでの和やかなムードから一転、場は一瞬で凍りついた。

 

なんの前触れもなく死という運命が彼女を襲った。

 

紫は目を開けたまま、動かない。心臓は止まっている。

 

「くそっ!なんか手はないのか…………」

 

頭をフル回転して考える。

 

そうして運命に逆らう一つの案がでてきた。

 

「なんとかこれで時間稼ぎになれ!」

 

界は自分の手を紫の首と心臓に置き、能力を解放する。

 

軸をいじり、時間操作を開始する。彼女の脳以外すべての体の部位を過去の体に戻そうとする。

 

これは界の調味料を作るやり方の応用だ。調味料は力を注ぎ、未来に時間操作をする。

だが今回は過去になる。さらに調味料じゃなく人間だ。難易度は跳ね上がるほど難しくなり、遡る年数も少ししか戻れない。

 

紫の体に能力を注ぐと、体は緑色に輝き、しばらくしてから光は消える。脈は戻ったみたいだが、脳に血が回ってなかったために意識がある程度戻らないが。

 

「はっ……はっ……はっ……なんとか……その場はしのいだみたいだな…………!」

 

うしろを振りかえると、膝をつき、ぐったりとした幽々子がそこにいた。

重症だったのはむしろ幽々子のほうだった。

 

「おい!幽々子!お前のせいじゃない。紫はまだ生きている。自分を陥れようとするな!」

 

「……………………」

 

幽々子は何も答えない。

 

「お前は悪くない。」

 

実際に界も頑張って能力を否定した。だが、明らかに幽々子の能力だということはわかる。だが認めたくなかった。

 

「……紫……は……あと3日後に…………死ぬ…………」

 

幽々子は紫の寿命を確認し、途方にくれたまま呟いた。

 

そう……界の応急処置は、頑張った結果、3日前の体まで戻した。いや、これが限界だった。

 

仮に幽々子が今後近くにいなくても、3日後には確実に死が訪れる。タイムリミットが早すぎる。

近くにいたら、より早くなってしまうだろう。

 

 

幽々子はその夜は紫と隔離しなければならなかった。

 

幽々子は自分の部屋にいた。布団にはいり、自分の責任だと、自分をどんどん追い詰めていった。

 

 

対して界は紫の側で、ただ意識が回復するのを見守っていた。

 

タイムリミットは3日もない。

 

最悪3日後に時間操作でさらに過去に戻す。これを続けるのはかなりのリスクがいる。

界には打つ手がなかった。

 

 

 

 

 

 

そうして時は瞬く間に過ぎていった。

 

 

タイムリミット残りわずかとなったその日の朝。

紫はまだ目が覚めない。

界は時間操作をする準備をしていた。二回目は多分3日前にはできない。もっと短くなるだろう。

 

界は外にでた。西行寺家の庭には何本かの桜の木がうえられている。既に満開になり、美しさを醸し出している。

それを、暖かい春風が桜の木をそよいでいて、より一層桜の美しさを引き立てている。

 

そんな中、幽々子の父親が焦りながら走ってきた。

 

「幽々子がいないんだ!たぶん朝早くにどこかに出ていったんだと思う。文を書いたから渡そうとしたんだがいなかったんだ。」

 

「なんだって!」

 

界は嫌な予感がした。

界は父親の持っている文を奪い取り、全力で屋敷を飛び出し、走り出していった。

 

 

 

 

 

 

 

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