時は平安時代。
紫を妖怪にしてから、数ヶ月が過ぎた。
界は紫に空の飛び方を教えた。
紫は妖力に慣れないものの、なんとか一週間かけて空を自由自在に飛べるようになった。
そして、今日からは妖力弾を出す特訓をしている。
「身体中の妖力を手に集めるんだ!そして手から押し出す!」
紫は空を飛べるようになるより、ずっと早く妖力弾をだせるようになった。
まだまだ一個だせるようになっただけだが。
まさかあの最強の大妖怪 八雲紫 を育てるなんて思いもよらず、弱々紫ちゃんは、ひたすら界の言うことを聞いているのである。
「ちょっと~界!疲れたわ~ お昼にしましょ!」
「確かにお昼だな。今日の昼食は、サンドイッチだぞ!」
これは、紫に教えてもらった食べ物だ。いや、あえて知らないふりして、わざと教えてもらったというのが正しいのだが。
「やっぱり貴方の料理は最高ね。幸せだわ。」
紫の顔は、もうフワフワ状態になっている。
「なかなかの出来だろ…………ふんん? っだれだ?」
突然遠くの草むらがガサガサと揺れていた。
人間の気配があった。
「なんなのよ~食事中に……」
紫は文句を言いながら、草むらを見つめる。
しかしすでにその音は、しなくなっていた。
紫は気になって歩いてその辺りを見回した。
すると、紫の顔がみるみる驚愕の顔となった。
紫の目の前には、少女が倒れて気絶していた。
だが、倒れていたことより紫にとっては衝撃を受けたことがあった。
少女は高校生の制服をきている。
とっさに、紫はスキマを開けて彼女を界の前まで運んだのだった。
それから数分後。
「えーと、紫さん。このような状態になりましたが、あなたからは意見ありますかい?」
「いっ……いや……まさか……未来から私以外の人間が来るとか思わないでしょ…………」
「だけど、実際にいるしな。まぁいい。持ち物検査するか。」
「そうね。くれぐれも変なとこ触らないように……ね?」
「は……い」
倒れている少女を紫が運んできて、さらに未来人だと初めて判ったとき、界はとても動揺していた。
まさか3人目なのか?思ったのだ。
この現象には原因があるだろうと考えたのだった。
彼女の容姿は少し赤みのある茶髪で、腰まである長いロングヘアーが特徴的だった。
持ち物はハンカチ程度しかなく、携帯もスマホも財布もない。
手がかりがなく、仕方なく、少女が起きるまで待つことになった。
紫と界は困り果てていた。
「ねぇ……私はあのコが起きたら何をすればいいのかしら」
「とりあえず、様子見だな。名前とか聞いとくといいな」
「判ったわ。貴方は食べ物をよろしくね。」
「材料がないぜ!」
「私が見ているから、探してきてくれないかしら」
「はいはい…………」
うむ…………パシり……女って色々めんどくさい…………
それから、数分後。
界は街の市場に移動して、食べ物を買いにきた。
市場はなかなかに人が繁盛していて、森の中とは、大違いだ。
そんな中、界の少し後ろを歩く人間がいた。
笠をかぶったお年寄りが、界の後ろから突然小声で話しかけてきた。かなりのんびりした口調だ。
「あなた…………妖怪のようですね? 貴方に聞きたいことがあるのじゃが、ちょっと、お菓子でも……食べながらどうです?」
さて、最後のお年寄りって誰なんでしょうかね。