問題児たちが本気で缶蹴りをするようです。   作:朧気だんぼーる@受験

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書く意欲があるうちに終わらせたい。

この話までは某手書き劇場と似たような展開ですね。
次回から徐々にオリ展開に路線変更していきます。


最強タッグ出撃!

~1回戦目競技場『森林』~

 

・天候:曇り

・競技範囲:半径600m

・競技場概要:競技範囲内の中心半径100mは木々が生えていない草原。森林は草原を囲むようにドーナツ状に広がっている。

 

出場選手一覧

攻撃陣営:

サンドラ=ドルドレイク

混世魔王

ペスト

レティシア=ドラクレア

 

守備陣営:

白夜叉

逆廻十六夜

 

選抜された6人が草原の中心に集まる。

 

黒ウサギ「では守備陣営の方はこの『封印の鎖』を受け取ってください」

 

黒ウサギがギフトカードから50cm程の鎖を数本取りだし、十六夜と白夜叉に手渡した。

 

黒ウサギ「契約書類にも記載されていましたが、この鎖を攻撃陣営全員に巻き付けられれば守備陣営の勝利でございます。鎖の数は御二方にそれぞれ4本ずつ。鎖の数には十分気を遣ってくださいね」

 

十六夜「ああ」

 

白夜叉「分かっとるよ」

 

黒ウサギ「それでは十六夜さん!攻撃陣営代表に缶を渡してください!!

缶蹴りのルールに則り、攻撃陣営代表が缶を蹴ってから10分後に試合開始したいと思います!!」

 

 

黒ウサギの指示を受け、レティシアがリボンを取って大人の姿に変化する。

 

十六夜(何か成長した)

 

レティシア「……主殿」

 

十六夜「ん?」

 

レティシア「改めて宣言するぞ。この戦い、本気で勝たせてもらう。……箱庭の騎士の名に懸けてね」

 

レティシアは不敵な笑みを浮かべて十六夜の前に手を差し出した。

 

十六夜「ハッ、大きく出たじゃねえかレティシア。その強気がどこまで持つかじっくりと見させてもらうぜ」

 

十六夜は半ば叩きつけるようにレティシアの手に缶を押し付け、獰猛に笑う。

 

缶を受け取ったレティシアは屈んで缶を地面に

置き、森林に向かって勢いよく蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

─────Kick the can crew、いよいよ開会!!

 

 

 

 

 

 

白夜叉「とゆーわけで缶を探してきてくれ十六夜君♥」

 

完璧な笑顔で白夜叉が十六夜の肩を叩く。

 

十六夜「……テメエ」

 

白夜叉の壮絶に神経を逆撫でする物言いに青筋を浮かべる十六夜だったが、どちらにしろどちらかが缶を探しにいかなくてはいけないのだ。

白夜叉の「私が缶を探す気なんてさらさら無いんだから!」という表情を汲み取った十六夜は壮大な舌打ちをして渋々森林へと向かう。

 

が、レティシアの尋常外の脚力で蹴られた缶は音の壁さえも突き破る速度で森林に飛ばされ、既にいくらかの細いの木がひしゃげている。

あれだけ大きな痕跡が残っていれば探すのは意外と苦では無いかと見えた。

 

十六夜「……あ、あったわ」

 

森林に入って20m程のところで巨木に缶が突き刺さっているのを見つけ、手間が省けたと十六夜は胸を撫で下ろす。

砲弾並の威力で缶が飛ばされてきたにも拘わらず被害がこれだけに収まっているということは、森林の木々1本1本にある程度の自衛の恩恵が施されていると考えていいだろう。

十六夜はそそくさと缶を引っこ抜いて草原へと戻る。

 

十六夜(しかし丈夫だなこの缶……。レティシアに蹴られて凹むどころか傷一つついてやしねえ)

 

白夜叉「お?早かったのお!流石小僧仕事が早い」

 

十六夜「うっせえロリババア」

 

こん、と十六夜は缶を地面に置く。

辺りを見回すと、既に攻撃陣営の連中の姿はなくなっていた。

今頃作戦会議でもしているのだろう。

 

十六夜(だがまあ、どんなに策を捏ねてきたところで所詮は缶を寄り付く連中を片っ端からぶっ飛ばせば済む話だ。

俺一人でも十分だろうがだめ押しのごとくこちらには白夜叉もいる。

攻撃陣営には不運な対戦カードだったな)

 

白夜叉「……おい小僧。まさかとは思うが……慢心してはおるまいな?」

 

十六夜「!?」

 

余裕が顔に出ていたのだろう。

十六夜がはっと表情を真顔に戻すと、白夜叉が十六夜に厳しい声音で語りかけた。

 

白夜叉「そんな甘い考えはこの缶蹴りにおいては命取り以外の何物でもない。

私でさえ油断は出来ないのだ。こちらも作戦を考えねば負けるのは自明の理じゃぞ」

 

十六夜「……そうだな、悪い。このままやっても正直負ける気はしねえが、確かに本気で挑んでくる相手をいい加減な心持ちで迎え撃つのは冒涜行為だな。軽率だったよ」

 

白夜叉「……よろしい。じゃあまず最初にこの缶をどこに置いて本拠を構えるかだが……おんしならどこに置く?」

 

十六夜「……」

 

突然質問を吹っ掛けられ、十六夜は顎に手を当てて考え始める。

 

十六夜「……まあ、この場所だろうな」

 

やがて十六夜が地面を指差すと、白夜叉がほう?と薄笑いを浮かべた。

 

白夜叉「して、その心は?」

 

十六夜「今回の競技範囲は大部分を森林が占める直径1200mのステージだ。視界の悪い森林の中で1人1人を探し出すなんざ時間の無駄でしかねえし、死角から奇襲でもされたら流石に目も当てられねえ。

最善の手は見晴らしのよいこの草原の中心で攻撃陣営の連中を待ち構えて返り討ちにすることだろうからな。よって缶はここに置くべきだ」

 

白夜叉「……その通りじゃ。分かっておるではないか小僧」

 

十六夜「ハッ、舐めんな」

 

 

 

※※※

 

 

 

数分後

 

黒ウサギ「10分経ちました!缶蹴りを開始してください!!」

 

黒ウサギがマイクを手に試合開始の合図をすると、ドーンと空に大きな花火があがった。

森林を囲む観客席から割れるような歓声が鳴り響く。

 

 

────缶蹴り第1回戦、試合開始!!

 

 

 

十六夜(……やっと始まったか。さあ、どう出るレティシア……!!)

白夜叉が十六夜の背中を見つめ、扇子で口元を隠して小さく笑う。

 

白夜叉「……ふっ、おんしでも緊張はするようじゃな」

 

十六夜「何?俺が?まさか」

 

白夜叉「じゃあその足はなんじゃ小僧?」

 

白夜叉が扇子で十六夜の足元を指す。

つられて十六夜は自分の足元を確認し、思わず眼を剥いた。

 

十六夜(ッ!?)

 

無意識のうちに缶を踏んでいたのだ。

反射的に飛び退くようにして缶から離れる十六夜。

 

白夜叉「うむうむ。万が一それで缶を倒されたらたまったものではないからの」

 

白夜叉が愉しそうに笑う中、十六夜は背中に流れる原因不明の冷や汗に苛立ちを募らせて大きく舌打ちをした。

 

十六夜(……チッ、どうしたってんだクソッタレ……。たかが缶蹴りだろ?何を緊張してやがる)

 

十六夜(観客が自分達に注目しているから?いやいや、そんなわけねえだろ。馬鹿げてる。そんなのはプレッシャーのうちに入らねえ)

 

十六夜(落ち着け……焦ったら勝てる勝負も勝てなくなる。落ち着いて周りを警戒しろ!!)

 

そこまで考えて十六夜はようやく悟る。

十六夜(…………ああ、そうか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────これが『缶蹴り』か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にわかに落ち着きを取り戻し始めた十六夜を横目に白夜叉は朗らかに笑った。

 

白夜叉「……ようやく気づいたようだの。そう、これが缶蹴りじゃ小僧」

 

十六夜「……」

 

白夜叉「確かにおんしらの最初の反応を見るに、おんしらの世界では缶蹴りはただの幼子の戯れに過ぎなかったのかもしれん」

 

白夜叉「しかしおんしは今まさに感じているはずじゃ。

抗いようのない『不安』を。

拭いきれない『焦燥』を。

そして……身体に纏わりつくような『恐怖』を」

 

十六夜「…………」

 

十六夜「……ああ、そうだな。納得した。どおりで箱庭の住民が虜になるわけだ」

 

十六夜「──これは『愉しい』」

 

白夜叉「よし、その意気じゃ!敵はどこでいつ攻撃を仕掛けてくるか分からない、気を引き締めてかかれよ小僧!!」

 

十六夜「当然だ誰に物言ってやがるロリババア」

 

 

 

※※※

 

 

~南の森林の中~

 

ペスト(……あの守備陣営の2人、何を話しているのかしら?)

 

サンドラ(……もう始めていいですか?ペストさん)

 

ペスト(ええ、先制攻撃なのだから思い切りやりなさい)

 

サンドラ(了解です!)

 

サンドラは小さく頷くと、胸一杯に空気を吸い込み始めた。

 

 

 

※※※

 

 

 

 

~草原~

 

白夜叉「……!」ピクッ

 

十六夜(……ん?大気中の温度が上がった……?)

 

十六夜が耳を澄ませて辺りへの警戒をよりいっそう強めると、白夜叉が突然声を上げた。

 

白夜叉「──後ろじゃ小僧ッ!!」

 

十六夜「分かってる!!」

 

異変に気付いた十六夜が背後を振り返る。

刹那、木々の隙間から炎の熱線が迸り、十六夜達めがけて放出された。

 

十六夜「──ハッ、しゃらくせえッ!!」

 

十六夜は接近してくる炎に真っ直ぐ向き直ると、拳を握り締めて熱線を殴り付けた。

熱線は火炎弾となって辺りに飛び散り、草原にあちこちに大きな火柱をあげて燃え上がる。

 

続いて、草原を囲む全包囲から無数の影の刃が空き缶めがけて接近してきた。

 

十六夜「なッ…全包囲!?」

十六夜はすかさず目についた影の刃を片っ端から手刀で撃ち落とすが、流石に全包囲から飛んでくるのでは数が多すぎる。

 

これはまずいと十六夜は急いで缶の元へ駆けようとするが、今度は背後から吹き荒ぶ黒い風に絡め取られ、十六夜の身体は宙に舞ってしまった。

 

十六夜(やべっ!!)

十六夜が宙を舞っている間にも影の刃は音速を超えた速度で缶に近付いている。

 

十六夜(こうなったら俺のギフトで…………ッ!!?)

 

十六夜が光の柱を行使しようと力むが、何故か右手に光が現れない。

 

十六夜(……しまった!!二次的な補正ってこの事かッ!!)

 

白夜叉「やれやれ」

 

十六夜の様子を見ながら缶の側で仁王立ちしていた白夜叉はしょうがないとばかりにそっと空に手をかざした。

 

すると、無数の影の刃は突然白夜叉の手のひらへと方向転換し、黒い球体となって収束していく。

 

やがて秒を跨がぬ間に全ての刃が収束すると、白夜叉は黒い球体を握り潰して完全に霧散させてしまった。

 

十六夜「!?」

 

レティシア「!?」

 

白夜叉「……ふむ、全包囲からの遠距離攻撃とは中々悪くない不意打ちだったがの」

 

おっほっほと扇子を扇ぐ白夜叉。

十六夜は呆れた様子でヤハハと笑った。

 

十六夜「……やっぱチートだわお前」

 

白夜叉「そうでもないぞ?だいぶ補正がかけられていてだいぶ動きにくい。

今の小僧の動揺ぶりを見るに、おんしにも少し補正が掛けられているようだの」

 

十六夜「……ああ。そうみてえだな。チッ、割とハンデでかいじゃねえかクソが。補正どころかギフト自体を封じられるなんて聞いてねえぞ」

 

白夜叉「ここには逃げ場も無い。だからずっと敵の攻撃を凌ぎ続けなきゃいけないわけだが……。どうやら攻めはともかく守りは不得手なようだの?小僧」

 

十六夜「ああ、全く難儀なもんだぜ。困った困った」

 

白夜叉「……だがおんし、そうは言いながらもまだ全然切羽詰まってないように見えるが?」

 

十六夜「とぼけんな、お前もだろ白夜叉。確かに敵は視界の外から好き勝手攻撃できて有利そうに見えるが、それは逆に敵陣営もこちらに大胆なアプローチが出来ないという事を示唆している。攻めあぐねてるのはお互い様ってことだろ」

 

白夜叉「呵々。そう、そういう事だの。今の攻撃は確かにレティシアとサンドラのもの。そして小僧を妨害したのは恐らくペストとかいう小娘の仕業であろう。まだ混世魔王とかいう輩が尻尾を見せていないのが気になるが、今ので一旦攻撃が止んだところをみると……」

 

十六夜「割と本気で開幕から決着を付けに来たが俺達には通用しなかった。……まあ早い話が」

 

 

 

※※※

 

 

~北西の森林の中~

 

レティシア「こんな程度の攻撃ではビクともしないというのは今のでよく分かった。

……ふむ、しかし改めて凄まじい敵と当たってしまったよ。

まさか主殿と白夜叉のコンビとはなあ。小手先だけじゃまるで歯が立たない」

 

混世魔王「ガハハハッ!!冗談言っちゃいけねえよ姉ちゃん、今ので終わっちまったら興醒めもいいところだ」

 

レティシア「そりゃそうさ。めげてる暇はない。さっそく次の作戦と行こうじゃないか。混世殿」

混世魔王「応よ、いよいよ俺様の出番だな……!」




ちなみに時系列はグリムクリモワールの連中が生存している時点で察しですが、1巻と2巻の狭間程度です
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