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それでは、皆さんに楽しんでいただけますように……。
————夜。
部屋に帰ってきた後、一休憩したときにはもう怪しい二つの月が辺りを照らしていた。
「なんで月が二つあるんだ?」
才人が驚愕しルイズに尋ねたが、ルイズは当たり前のように、
「はぁ? 月は二つ。当たり前でしょ? そんなの田舎生まれの平民の赤ん坊だって知ってるわ」
と、怪訝そうな顔をして答えた。
「いや、俺のいたところじゃ月は一つなんだけど」
才人の言葉を聞いてルイズはますます顔をしかめる。
「……? 意味がわからないわ。才人は一体どこから来たの?」
「日本の東京だよ」
「聞いたことないわ。ロバ・アル・カリイエのことかしら? どんなところなの?」
「こうビルがいっぱいあって車や電車が走ってて、人がたくさんいて……。で、魔法がない」
「魔法がない!? 私をからかってるの? アンタさっき私の目の前でフライを使ったじゃない!」
「そう言われても、ないものはないんだよ」
「百歩譲ってそういう世界があることは信じてあげる。でも、それじゃ矛盾が生まれるわ」
それは、誰もが思う疑問。
「なぜ、平民で魔法がない国から来たっていう才人がフライを使えたのか?」
正直なところルイズは才人が嘘をついているんじゃないかと思っていた。
本当は没落貴族なのではないかのかと……。。
「だから、さっきも言っただろ。よく見たらできたんだよ。ほら、こんな風にな」
しかしルイズの疑いは才人の眼を見たときにどこかへ消えてしまった。
才人の眼には、怪しく光る朱色の五方星。それはどこか、ハルケギニアのメイジの力を司る四大元素、そして虚無を加えたペンタゴンを彷彿させる。
「……才人、その眼なに?」
ルイズは嫌な予感がしていた。
もしかしたら、自分はとんでもないものを召喚してしまったのではないのだろうかと。
「ん? ああ、生まれつきこうなんだ。親には見せんなって言われてるけど、魔法がアリなら別に大丈夫だろ」
「呪いの類ではないのね? その眼はどんなことに使えるの? それが原因でなにか周りに迷惑かけたことない?」
「人より物がよく見えるだけだよ。……迷惑か。ちょっと俺の国では異質だから父さんと母さん(呼び方)に心配かけさせちゃったかな」
「言っとくけど、この国でもその眼、異質よ。念入りに聞くけど本当にそれだけ?」
ルイズは最後にもう一度尋ねた。
「ああ、それだけだよ。でも、俺が魔法を使えたのはこの眼が関係あるんじゃないかなって思ってる」
「……そう。なら、いいわ。で、たぶんだけど、その予想は当たってると思う。というか、現状それしか考えられないもの」
「なあ、この眼についてルイズは何もしらないのか?」
「さっきこの国でも異質って言ったでしょう。そんな不気味なもの知らないわ」
「不気味ってひどいなぁ……」
才人が少し落ち込む。
「悪かったわよ。へこまないでよ。……そうね。明日錬金の授業があるからそこで検証してみましょう。才人の眼が本当に魔法をコピーできるのかどうかね」
「ん、了解」
「じゃ、今日はもう寝ましょう。私、疲れちゃった」
軽く伸びをしながらルイズが言った。
それには才人も同意のようで、軽くうなづく。
「で、俺の寝床は?」
才人が尋ねると、
「それ」
とルイズは床を顎で指した。
「なあ、藁なんだけど……?」
「使い魔がベッドで寝れるわけなんかないでしょ。それから……んっ」
「!? お、おい!」
急にルイズが服を脱ぎだしたので才人は真っ赤になって後ろを向いた。
「男がいるのに急に服を脱ぎだすんじゃねーよ!」
才人の言葉を聞いてルイズは当然のように、
「この部屋にいるのは男じゃなくて、ただの使い魔でしょ。で、これ洗っといて」
ファサリと才人の前に、ルイズの服が放り投げられる。
「はぁ? 俺が洗濯すんのかよ! っていうか、これ、ぱ、パ、パンツ」
「何鼻血なんか垂らしてんのよ気持ち悪い。じゃ、私寝るから。私が起きるまでに洗濯よろしくね」
「気持ち悪いって! ていうか……ああ、もういいや」
才人は面倒くさくなって、自分も寝ることにした。
「……寝心地悪ぃ」
最初こそ文句を言っていたが、疲れていたのか、持ち前の順応性のおかげなのかすぐに才人は夢の世界へと旅立っていったのだった。
誤字、脱字などございましたら、報告いただけますと幸いです。
次の話は、シエスタとの出会い、錬金の授業といった内容になると思います。
ギーシュ戦はその次ですかね。
それでは、一話を読んでお気に入りしてくださった方が二話で離れていかないように切に願っていまして……笑
読んでくださってありがとうございました!