クロスゴールド 雷鳴が奏でる輪舞   作:愛剣

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第十七話

 

 

 

 

獣電戦隊キョウリュウジャー。

前回までは、アンジュとタスクのお陰で彼らの仲間、ノーマと呼ばれる人種と会談をした空蝉丸とサラマンディーネ。

しかし、彼らを統率する司令官のジルの独断によって、空蝉丸は彼女の銃弾に撃たれることで頓挫する事となった。

さらに、そこへエンブリヲの刺客として放たれたキメラの襲撃によって窮地に立たされる事となった。

 

だが、凶弾に傷つき苦戦を強いられるキョウリュウゴールドとプテライデンオーを救ったのは、サラマンディーネと焔龍號だった。

彼女の焔龍號とプテライデンオーが何と!カミツキ合体を果たし、新たなプテライデンオーによってキメラを打とすることが出来るのだった

 

 

 

 

 

 

キメラを倒した後、すぐにプテライデンオーはプテラゴードンへと変形を解除する。

すると、戦場となった島に変身が解除された状態で空蝉丸が転位された。

しかし、地に足をつけた瞬間、右肩を押さえて蹲った。

 

「空蝉丸!!」

 

そのすぐ後に、彼の近くに飛行形態の焔龍號が着陸しサラマンディーネが飛び降りてきた。

 

「だ、大丈夫・・・でござる」

 

サラマンディーネの印象からはとてもじゃないがそうは思えなかった。

右肩からは未だに鮮血が流れ、顔は蒼白している。

すぐに処置が必要な事は一目瞭然だ。

 

(でも・・・・)

 

当たり前だが、治療に必要なものなど持ってなどいない。

 

(あまり良い考えとは言えないが、アウローラに戻るべきだろうか。)

 

それしか方法がないが気が進まない。

そもそも空蝉丸が怪我をしたのはあそこの司令官の所為なのだ。

このまま戻っても果たして治療をしてくれるかどうか。

 

『ウッチー!!サラサラさん!!』

 

そんな事を考えていると、ピンク色のパラメイルと赤いパラメイルが飛行形態で近くに着陸する。

 

「ミィ?」

 

その機体に乗っているのはこの世界でヴィヴィアンと言う名前の少女だ。

 

「すぐにアウローラに戻ってくれ!!大変なんだ!!」

 

「こちらも空蝉丸の傷の具合が良くないのです!!」

 

「・・・確かに、酷そうだな」

 

ヴィヴィアンと共に降りてきたヒルダも空蝉丸の傷を見て険しい表情を浮かべる。

だが、当人である空蝉丸は自分のことは二の次だと言わんばかりに彼女ら二人に目を向けた。

 

「な、何があったのでござる?」

 

「アンジュとモモカが攫われたんだ!!」

 

ヴィヴィアンの言葉を聞いて目を見開き驚く空蝉丸とサラマンディーネ。

 

「それでアンタ等、サリア側にスパイを送っているって言ったよな」

 

「ええ」

 

「なら、一緒に来てくれないか。アンジュを助けるのに力を貸して欲しいんだ」

 

ヒルダの一言にサラマンディーネは少し考える時間を要した。

艦を出て行く際に、ジャスミンという指令を代行した彼女の言葉通り、取引は決裂しているに近い。

いや、サラマンディーネの中ではすでに決裂していた。

しかし、その場合のプランに移行しようにも空蝉丸の治療が不可欠だ。

 

「・・・分かりました。ただ話しは空蝉丸の治療を行ってもらえる事が条件です」

 

「ああ、分かったよ」

 

「了解なのだ!!」

 

不服な事仕方がないのだが、自分の感情よりも空蝉丸の心配が勝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く。よくこんな傷で戦場に出たものだな」

 

ぶっきら棒な口調で空蝉丸の治療を行うマギー。

あの後、サラマンディーネは空蝉丸を焔龍號でアウローラへと運んだ。

到着すると、すでにヒルダとヴィヴィアンが連絡を入れていたらしく、空蝉丸はすぐに医務室へと運ばれ治療を受けることが出来た。

 

「本当に我慢強いなアンタの男」

 

心配そうにするサラマンディーネの隣にいるヒルダが。

その近くにはヴィヴィアンも引き攣った表情をしている。

治療を行っているマギーは呆れた表情で、

 

「しかも、麻酔なしで弾の摘出をさせる人間なんて初めてだよ」

 

そう言いながら、傷を縫って塞ぐマギー。

その間も空蝉丸は布を噛み締めながら微動だにしないで治療が終わるのを待つ。

普通に考えれば、身体の中に残った銃弾を取り出すには最低でもその周囲に麻酔をして痛みを消すものだ。

だが、空蝉丸はそれを拒んだ。

全身麻酔をすれば意識を失ってしまうからだ。

ならば、局所麻酔で肩の周囲の神経だけを麻痺させようとした。

だが、右の肩の動きが悪くなるだろうと、それも拒んだのだ。

 

「・・・・・・・」

 

その理由であるサラマンディーネは申し訳なさそうに治療される彼を見ていた。

彼が頑なに拒んだのは自分を守るためだろう。

意識を失えば、当然のようにサラマンディーネが空蝉丸を守る。

そうなる事を空蝉丸は良しとは思わなかったのだ。

 

「うぐっ」

 

呻き声を挙げる空蝉丸も、サラマンディーネの視線から彼女の考えを容易に察すことが出来た。

だが、

 

―――言えない。

 

と、空蝉丸はマギーの近くにおいてある注射器を一瞥する。

 

(言えないでござる。本当は注射が怖いなどと言う事は・・・)

 

「はいよ。とりあえず、治療は終わったよ」

 

「・・・・かたじけない」

 

「構わないよ。元々、原因はこちらがやった事だからね」

 

包帯はアンタが巻くかい?とマギーがサラマンディーネに問いかける。

当然、サラマンディーネは包帯を手にとって空蝉丸の身体を巻きながら、

 

「ところで、良く司令官殿が許可してくれましたね」

 

「ああ、それなら大丈夫だ」

 

問いかけると、ヒルダが溜息混じりに答える。

 

「司令は艦長室で軟禁中だ。会議のときに司令がアタシ等を捨て駒みたいな事を言ったからな。念のためって事で」

 

「謀反が起こる事が有り得るので?」

 

「念のためだよ。・・・・アンタ等が原因なのにな」

 

少し責めるような視線を二人にヒルダ。

 

「それに付いては申し訳ないと思うでござる」

 

服を着てから謝罪する空蝉丸。

だが、それは違うと言うかのようにサラマンディーネが言った。

 

「こちらとしては彼女の本音を語らせ。乗組員の方々に我々についてきたくれないか打診させる心算だったのですが。まさか、こんな事になるとは思いませんでした」

 

「事実、司令を信じる事が出来なくなって、アウローラの中はガタガタだけどな」

 

げんなりとヒルダ。

サラマンディーネの考えでは、司令官のジルがこちらの取引に応じない場合に備えて、集団ではなく個々を勧誘することを考えていた。

何せ、アンジュは自分と共闘する意を示していたので、彼女が個人に引き込んでくれる事を期待したのだ。

要するに、同盟ではなく、アウローラを侵食して吸収できればと考えていたのだ。

しかし、まさか司令官がこちらに銃を向け、部下全員を捨て駒だと言うとは思わなかったのだ。

オマケに、命令を聞かない駒は不要、死ねとさえ感じてしまうほどの事を言うものだから、現在のアウローラ内はヒルダの言うとおり何が起こるか分からない状況ゆえに、勧誘なんかも出来そうにないのだ。

 

「ジル殿が軟禁ならば、今の指揮は誰が取っているのでござる?」

 

包帯が巻き終わり、上着を着なおしながら空蝉丸が問いかける。

 

「今はジャスミンが司令官だって」

 

と、ヴィヴィアンが。

その事を聞いて、空蝉丸とサラマンディーネは少し安堵した。

強硬なまでに自分たちと相容れることを拒んだジルに対して、最初にこちらとの友好を受け入れたのは彼女だからだ。

少なくとも話しの分かる人間の一人だろうからだ。

 

「それで、アンジュが攫われたという話でしたが」

 

「ああ。もう一つの問題がそれなんだ」

 

問いかけるサラマンディーネに対して、深刻そうにヒルダが説明した。

 

 

―――ヒルダの話によると、

 

サラマンディーネが空蝉丸の元へ駆けた後、アウローラは無事に潜行し安全圏まで逃げる事が出来たそうだ。

それを確認してからヒルダ達は打ち合わせ通り、アンジュが殿となって少し撤退する事になった。

もちろん、当然のように敵の追撃があったのだが、殿のアンジュがそれを一手に引き受けたのだ。

そして、ヒルダ達が十分な距地まで撤退すると、アンジュのヴィルキスの機体が蒼い輝きと共に装甲の色が変化した。

恐らくそれが、アンジュが言っていた撤退の切り札なのだろう。

彼女の話が本当に蒼いヴィルキスは転位することが可能のはずだった。

しかし、転位の直前、突然ヴィルキスが海へと墜落していったそうだ。

 

「マシントラブルが起こったのですか?」

 

サラマンディーネが問いかける。

だが、彼女はすぐにそれを頭の中で否定した。

向こう側の世界でも完全でないまでも調整はしていたし、この艦に入ってからはアルゼナルで整備班長のメイという小柄な少女がヴィルキスを徹夜で整備を行っていた。

恐らく、それも司令官のジルの指示だったのかもしれないが。

彼女の会談での態度を見る限り完璧にしておけと厳命していたのは容易に想像できる。

その点はヒルダも同意していた。

 

「通信で中の様子を聞いていたんだけど、モモカがアンジュを襲ったみたいなんだよね」

 

「モモカ殿が?」

 

ヴィヴィアンの言葉に空蝉丸は首を捻る。

彼女とは日が浅いが、彼女がアンジュの事を慕っている事は明らかだったからだ。

しかし、サラマンディーネは納得したような表情で。

 

「恐らく、エンブリヲの支配を受けたのかもしれません」

 

「支配ですか?」

 

「そんなことができるのか?」

 

疑わしい視線にサラマンディーネは頷きながら説明した。

 

「エンブリヲはマナを使い人間の思考を操作することができます。ならば、その者の思考そのものを消し、エンブリヲの思うままに操ることも可能です」

 

「・・・それって私らにもできるのかい?」

 

「それは大丈夫のはずです。あなた方はマナを扱うことができませんから。ですが、エンブリヲとの接触の際、あの者から直接マナを送り込まれればわかりません」

 

「とりあえず、遠隔で操作されることはないってことだな?」

 

問いかけにサラマンディーネが頷いたことで、ヒルダは安堵した。

アンジュの救出の際、勝手に意識を飛ばして体を操られるなど不愉快で仕方がないからだ。

なにより、それでは救出などできるはずがない。

 

「ところで、タスク殿はどうなったのでござる?」

 

「ああ、あの男か?」

 

空蝉丸に聞かれて思い出したようにヒルダ。

 

「アイツはあたし等の一番後ろ、撤退できるギリギリの位置にいた。それでヴィルキスが墜落していったら一番に助けようと向かったんだが・・・」

 

「エルシャに撃ち落とされたんだ」

 

その瞬間、空蝉丸とサラマンディーネは息をのむ。

最悪の事態を想像する二人。

俯きながら言ったヴィヴィアンの言葉がそれに拍車をかけたが、

 

「安心しな、あの男はちゃんと引き上げたから」

 

ヒルダの言葉に安堵する。

だが、同時に別の疑問が思い浮かび、空蝉丸は周囲を見回してから問いかける。

 

「では、タスク殿は別の医務室に運ばれたのでござるか?」

 

「いや、それが――――」

 

ヒルダの言葉を聞いた瞬間、空蝉丸は飛び出し、サラマンディーネもその後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

医務室から飛び出した空蝉丸は真っすぐジルのいる艦長室へと飛び込んだ。

その後をサラマンディーネも続く。

 

「あんた等・・・・」

 

部屋に入った瞬間、目に入ったのは驚きの表情をしてこちらを見るジャスミンと、

 

「おや、傷の具合は大丈夫なのか?」

 

薄ら笑いを浮かべるジルがこちらを出迎える。

しかもワザとらしい言葉でだ。

彼女の言葉に後ろにいるサラマンディーネが不快そうにする。

だが、ジルはそれを気にした様子もなく、

 

「それで何か用か?」

 

「・・・なぜタスク殿を拘束しているのでござる?」

 

静かな口調で問いかける空蝉丸。

その言葉に静かに事の成り行きを見守る姿勢をとっていたジャスミンが黙り込み、ジルのほうを見る。

彼女の行動からタスクを牢に入れたのはジルの判断なのだろう。

そして、彼女はその判断が全く間違ったものでないと思っている態度で。

 

「何か問題でも?あいつは裏切り者だとしても我々の側の人間だ。処遇についてはこちらが決める」

 

「タスク殿が裏切り者?」

 

本当はお前たちも牢にぶち込みたかったのだがな、と笑うジルに空蝉丸は眉を細めて不快感を露にする。

 

「そうだ。エンブリヲを倒すにはヴィルキスが必要だと教えてくれたのはアイツの父親だ。それなのに奴は仲間たちの思いをふいにしたのだからな」

 

苛立ちを隠すことなく視線を鋭くして語るジル。

彼女の眼には憎悪すらうかがえた。

 

「リベルタスを完遂するにはヴィルキスが必要だった。だから、アンジュを外に出さず、従順にいうことを聞くようにする必要があったのだ。それなのにアイツの所為でヴィルキス諸共アンジュも連れ去られてしまった」

 

そう言って、タバコを咥えたジル。

 

「その結果、リベルタスは破綻した。もはや、我々が勝つ術を失ったに等しい」

 

「だったら、取り返せば良いのではないでしょうか?」

 

その時、後から合流してきたヒルダ。

 

「彼らとの協力があればアンジュを連れ戻すことはできるはずです」

 

司令官への発言ゆえか、丁寧な言葉で進言するヒルダ。

彼女の言葉に一緒に来たヴィヴィアンもやる気を露にする。

 

「無駄だ」

 

しかし、ジルは彼女たちの言葉を短い言葉で、鼻で笑い飛ばした。

 

「例え、連れ戻したとしてもアイツはもう私の言うことなどきかん」

 

まるで死んでしまった人間の話をするように諦めた態度をとるジル。

そんな彼女の態度に空蝉丸は不信感を露にした。

 

「司令官殿にもう一度問いたいのだが、貴女は何故リベルタスにそこまでかけるのでござる」

 

真っすぐに問いかける空蝉丸。

しかし、その問いに対してのジルの答えはなく、

 

「下らん問答はここまでだ。アウローラの進路はアルゼナルへ補給のため戻る。今後のことはその時話すとする」

 

そう言って、ジルは一方的に解散させられることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、空蝉丸とサラマンディーネはヒルダの案内で再び食堂で顔を合わせることとなった。

彼らの周りにはヴィヴィアンの他に途中でロザリーも合流した。

 

「一体、これからどうなるんだよ・・・。リベルタスにはヴィルキスが必要だっているし、そもそも司令が信用できるかどうかも分からねぇのに・・・」

 

と不安そうに語るロザリー。

サラマンディーネとの会談でジルが捨て駒だと言ったため仕方がないのかもしれないが、恐らく、そう思っているのは彼女以外にもいるはずだ。

 

「あの司令官殿の事を考えているのですか?」

 

「はい。どうしても彼女がリベルタスに対する入れ込みがわからないのでござる」

 

サラマンディーネの問いかけに対して空蝉丸は頷きながら、自分の中にある疑念を紡いだ。

 

「彼女はリベルタスの完遂、いや、エンブリヲなるものを殺すことに心血を注いでいる感じでした。しかし、アンジュ殿が囚われてからは諦めの色がありました」

 

普通ならば、アンジュを助けようとするのにそれすらしようとしない。

 

「・・・確かに、司令の態度は矛盾しているよな」

 

そう頷いたのはヒルダだった。

 

「拙者には彼女のリベルタスへの思いは使命感よりも、怨念のように見えて仕方ないのでござる」

 

空蝉丸にも似たような思いがあった時期があった。

600年前、デーボス軍との戦いを繰り広げていた頃、空蝉丸は敵に体を乗っ取られ仲間たちと戦わされていた時期があったのだ。

それに解放されたてからは、その事で敵に憎しみにも似た怒りを覚えたことがあった。

しかし、そこまで考えて空蝉丸は自分の考えを否定した。

彼女が抱えている想いは似ているようで何処か違う気がしてならなかった。

 

「・・・たぶん、アレが関係しているのかもな」

 

と、ヒルダが何処か気になることを口にする。

その言葉に空蝉丸達が気になっていると、彼女は手で自分の方へ寄るように指示する。

すると、空蝉丸達が頭を寄せ合うと、彼女は話し始めた。

 

「実は、ある夜、司令の部屋を通りかかったとき聞いちまったんだ。司令がうなされながら―――」

 

―――ごめんなさい、エンブリヲ様

 

「まるで、譫言のように言っていたんだ」

 

ヒルダの言葉に空蝉丸達は驚き言葉を失った。

その理由を代弁するようにロザリーが声を荒げた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。どうして、司令がそんな事を・・・」

 

「わからないけど、苦しみながらも恋い焦がれる感じだったよ」

 

「なんで、そんな事わかるんだ?

 

ヒルダの言葉に今度はヴィヴィアンが問いかける。

すると、彼女はロザリーの方を向きながら、

 

「ロザリーが私を求める時の声に似ていたからだよ」

 

「ぶっ!!?」

 

突然のヒルダの言葉にロザリーは吹き出してしまう。

だが、それを拾おうとはせず、サラマンディーネは一度咳をして、

 

「では、ヒルダ殿はあの司令官殿がエンブリヲに拐されたとお考えなので?」

 

「・・・あの司令に限って、そんな事があるとは考えたくないけどな」

 

「しかし、そう考えれば辻褄が合わないこともないでござる」

 

「愛欲も裏返れば憎さ100倍って奴?」

 

「ヴィヴィアン殿は難しい言葉を知っているでござるな」

 

「うん。サリアが持ってる本の中にそんなのがあったから」

 

と、嬉々と語るヴィヴィアン。

しかし、周りの空気は何処か重たい。

 

「それでどうするんだよ?」

 

そんな中でヒルダが。

 

「・・・・アンジュ殿を救出するにしても、司令官殿の事をはっきりさせない事にはどうしようもないでござる」

 

「だよな。司令は救出には反対みたいだし。それでどうするんだ?」

 

「では、このようなのはどうでござる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから空蝉丸とサラマンディーネはヒルダ達と別れ、通路を歩いていた。

艦の中を自由に歩くことは好ましいことではないのだが。

ジャスミンの計らいで特別に部屋を用意してくれたのだ。

今はそこまで向かっていたのだ。本当はヒルダ達が案内しれくれるのが一番なのだが。

彼女たちは用事があると言って別れたのだった。

 

「本当に上手くいけば良いのでござるが・・・」

 

「ふふふっ、大丈夫ですよ」

 

不安そうにする空蝉丸に対して、隣を歩くサラマンディーネがほほ笑んだ。

そして、そっと空蝉丸の手を握る。

 

「空蝉丸の策はきっと上手くいきますから」

 

その言葉に空蝉丸は少し気持ちが軽くなった。

すると、サラマンディーネは「ところで」と口を開く。

 

「空蝉丸には驚かされます。会談での口上なんかも感服させられました」

 

「なんの、あんな事は大したことはござりませぬ」

 

と、照れくさそうに空蝉丸。

 

「自分は知り合いの影響で少し齧っただけでござる」

 

「知り合いですか?」

 

「はい。若い男でござった。確か、名は・・・官兵衛?でごあったか」

 

「え?」

 

空蝉丸の言葉に固まってしまうサラマンディーネ。

まさか、と思っていると、空蝉丸が完全に思い出した。

 

「そう。黒田 官兵衛でござった」

 

「・・・・・・」

 

その名前をサラマンディーネも知っていた。

空蝉丸が1200年前の人間と知って、その時代の歴史を一通り調べていたからだ。

そして、その名前は戦国時代、天下統一に一役買った天才軍師の名だったからだ。

 

そんな事実にサラマンディーネが回復するまで暫しかかるのだった。

 

 

 

 

 

 




あとがき

今回はここまでになります。
更新が遅くなっただけでなく、中途半端になって申し訳ないのですが。

思うように話しを進めることができず本当に情けない限りです。

エンブリヲを登場させることに嫌悪感はあるのですが、自分が書きたい場面まで早く行けるように頑張ります。

それなのに少し最後に小話を入れてみました。
別に問題ないですよね。
戦国時代の偉人と知り合いという設定でも。
仮面ライダーキバでは、クイーンがストラディバリの弟子だった設定だったし・・・

では、次回も読んでもらえたら幸いです。


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