前回はえらい事が分かりぃの~~~!!
600年の時を超え、敵として戦っていたキャンデリラとラッキューロと再開した空蝉丸。
しかし、改心した二人は戦争で死んでいった人々の墓を作ってあげていた。
そんな二人の案内でスプリットベースに600年ぶりに帰還した空蝉丸。
しかし、そんな彼を向かえたのは氷河期のように凍りついてしまったスピリットベースであった。
一体、何が起こったのか!?
凍りつき凄惨な惨状のスピリットベースに暫し呆然としていた空蝉丸。
しかし、すぐにこの異常事態を解明しようと冷静に努めていた。
「一体、何があったんでしょうね?」
「私達が最後にここに来た時から600年は経ってるけど、変わりすぎよね」
一緒に来たラッキューロとキャンデリラも散策している。
その中で空蝉丸は頭上に居る獣電竜たちを眺める。
凍結してスピリットベースの上で漂っている十体の獣電竜たち。
ガブティラ、 パラサガン、ステゴッチ、ザクトル、ドリケラ、プテラゴードン、アンキドン、ブンパッキー、プレズオン、トバスピノ。
この十体がスピリットベースに居る理由は分からなくはない。
スピリットベースは傷ついた獣電竜たちの傷を癒すことが出来る。
「ベース全体が凍りついていると言う事はブラギガスも凍りついておるのか」
スピリットベースは最大の獣電竜ブラギガスの体内にある。
その事を考えれば、ブラギガスが凍りついているからスピリットベースがこんな有様になったのだろう。
しかし、
「この状態では獣電池のチャージは不可能だろう」
慎重に獣電池のチャージボックスに触れてみるが、ひんやりとした冷たい感触が指から伝わって来る。
同時に空蝉丸の心も凍りつくような気がした。
それからその場に残っていると、本当に心が絶望に凍りつきそうになると、キャンデリラとラッキューロに連れ出された。
「元気出すッスよ、キョウリュウゴールド」
「そうよ、暗い表情なんて似合わないわ。キープスマイリングよ!!」
座り込んでいる空蝉丸を元気付けようと言葉を投げかける二人。
しかし、空蝉丸はそっとして欲しいという雰囲気を出していた。
その時だった。
モービルから呼び出し音が響いた。
それに気が付いた空蝉丸は立ち上がろうとするが、
「コレって、通信よね」
「ちょっと待つでござる」
先にキャンデリラがモービルへと駆け寄り、通信機を操作しようとしている。
それを空蝉丸は止めようとするが、それよりも早くキャンデリラが、
「Hi、どちら様?」
『・・・・あなたこそ誰です?』
空蝉丸の制止を聞かずに通信機に話しかけるキャンデリラ。
その後に通信機から放たれたサラマンディーネの声。
「・・・・・・・」
目の前の光景に空蝉丸は何故か頭が痛くなるのだった。
それから空蝉丸は通信機越しにサラマンディーネと話した。
『・・・そうですか』
何とか誤解を解くことが出来た空蝉丸。
キャンデリラがデーボス軍の幹部でこの街で再開したこと。
街を花で一杯にしたのも彼らの仕業だったことを説明して漸く納得してくれた。
『・・・大丈夫ですか?』
スピリットベースが凍りついてしまっていたことも彼女に話した空蝉丸。
その表情があまりに酷いものだったのか、心配そうに問いかけられた。
「問題ないでござる。獣電池はチャージ出来なかったが、ボックスの中にあった他の獣電池は使えそうでござる」
そう言って、空蝉丸は通信機越しのサラマンディーネに数種類の獣電池を見せる。
チャージボックスは使えなかったが、ボックスが凍りつく前にセットされていた他の獣電池は完全にチャージされていた。
もっとも獣電竜の獣電池は試しに使ってみたが、凍りついた獣電竜が動くことはなかった。
「なれど、ガーディアン獣電池は使えるでござる」
色々な効果を持つガーディアン獣電池。
変身は不可能だが、何とか現状を良く進んでいったことを伝える空蝉丸。
精一杯の笑顔を作る空蝉丸だが、無理していることが伝わっているのか、サラマンディーネの表情は硬いままだった。
「それよりも、サラマンディーネ殿はどうされてのでござるか?」
話題を変えるために彼女に問いかける。
だが、余りにも無理な方向転換だったのでサラマンディーネは苦笑した。
『貴方がそこに足を運んでいることがわかったので心配になって連絡を入れたのです』
「何故、拙者の位置が?」
この場所に向かおうとは思っていたが、サラマンディーネ達は綺麗だが不気味な場所なので近づかない方が良いと言われていた。
なので、この場に来たことは言っていないはずなのだが、
『・・・実はこのモービルには位置が分かるような仕掛けを居ていたのです』
「なるほど。流石に拙者一人を好き勝手にさせるのに警戒するでござるからな」
『そ、そういう訳では・・・!?』
「承知しているでござらぬ。サラマンディーネ殿にも立場がござりましょう」
過去のイレギュラーを好きにさせるには監視することは必要だ。
自分のことを信じてくれているのは知っているが、彼女の立場では断ることは出来ないのはわかっている。
「ゆえに、気になさらないでくだされ」
と、そこで通信が切れた。
真っ黒のなった画面。
しかし、空蝉丸の心はサラマンディーネの話す前よりも晴れやかになっていた。
そんな空蝉丸に対して、サラマンディーネは布団の中に伏せていた。
いや、悶えていた。
「うぅぅ・・・・」
「姫様、失礼します」
ナーガの声が部屋の外から聞こえてくると同時に、襖が開かれた。
当然のように、ナーガとその後ろにカナメが部屋の中に入ってきたのだが、
「ど、どうかなされたのですか、姫様!?」
部屋に入って最初に目にした自らの主が布団の上で悶々としている光景に驚いた。
慌てて駆け寄ったナーガ。
しかし、彼女の驚きの声はサラマンディーネの耳には届かなかった。
「―――ってしまった」
「姫様?」
「やってしまいました・・・」
「どうなされたのですか?」
「・・・空蝉丸殿に嫌われてしまったかも知れません」
カナメの問いかけに漸く答えるサラマンディーネ。
だが、彼女の瞳には涙を溜め込みながら悶えている。
空蝉丸と出会ってから、今までに見れなかった彼女の乱れようにナーガとカナメは何度目になるか分からない驚愕をあらわにした。
それもその悩みが普通の女の子らしいものなのだから尚の事だろう。
「つまり、空蝉丸さんに監視をしていることを教えたわけですね?」
カナメの問いかけに頷いたサラマンディーネ。
「しかし、その程度の事で空蝉丸殿が姫様を嫌うとは思えませんが。彼ならば姫様の立場も理解していると思いますし」
と、フォローの言葉を紡ぐナーガだが、サラマンディーネは全く反応を示さない。
「モービルの方だけですよね」
「・・・(コクン)」
またもカナメの問いかけに頷いて反応するサラマンディーネ。
その事にナーガは不快感を示しながら、カナメの方によって、
「一体、何の話をしているのだ?」
小声で問いかけるナーガにカナメも小声で、
「サラマンディーネ様が空蝉丸さんに与えたモービルには通信機が彼の位置が分かるようにしてあるでしょ」
「ああ」
「それともう一つ、サラマンディーネ様がネックレスをプレゼントしたのも知ってるよね」
「・・・もちろんだ」
確か、姫様が手作りの銀のネックレス。
その事を思い出したナーガは羨まし過ぎて悶えそうになった事をナーガは覚えている。
しかし、
「それ、実は発信機が仕込まれているの」
「・・・え?」
カナメの言葉にナーガは目を丸くした。
「サラマンディーネ様の作ったネックレスって鎖に銀の装飾と緋色の石が付いてるでしょ。その装飾の方が発信機なの」
「・・・モービルだけでは足りないというのか?」
「もしかしたら、モービルから離れるかもしれないし、捕まった場合、すぐに居場所が分かるからだって言うのが姫様の言い分」
「ならば、別に問題ないんじゃ・・・」
「だけど、後になって流石にやりすぎかもって後悔してるのよ。それにもうすぐ大事な時だから、余計塞ぎこみやすいんだと思う」
「な、なるほど」
カナメの説明に納得するナーガ。
しかし、同時にサラマンディーネの悩みに思うところがあった。
「しかし、それはサラマンディーネ様が空蝉丸殿を心配しての事ですよね」
「ええ、そうなんですが」
漸くナーガの言葉に反応してくれたサラマンディーネ。
しかし、折角反応しれくれたのに、彼女の憂鬱な表情は消えない。
そこでナーガは更に言葉を続けて、
「やり過ぎ構わないではないですか」
「は?」
「サラマンディーネ様の心配ゆえの行動は母と同じようなもの。つまり、母性です」
「そ、そうでしょうか?」
「そうですとも」
「ちょっと!!」
強気な口調で肯定するナーガだが、その腹をカナメに小突かれる。
「何、無責任なことを言っているのよっ」
「失礼な。私は自分の価値観を述べただけだぞ」
「それが駄目なんでしょう!!」
小声だが語気を詰めるカナメ。
だが、ナーガは気にした様子も無く、
「それに“アレ”まで日がないのだぞ。このまま姫様の士気が引くままでは当日に差し支えるではないか」
「それはそうだけど・・・」
ナーガの指摘に反論できなくなったカナメは横目にサラマンディーネを見る。
そこには未だに迷走の思いに振り回されている彼女の憂鬱な表情があった。
その表情を見たカナメもため息を付きながら納得をし、
「姫様、そんなに気になるのでしたら会いに行かれてはどうですか?」
「それは・・・」
彼女の気を紛らわせる心算で提案するカナメ。
だが、サラマンディーネは深刻な表情を浮かべる。
彼女にとっては一か八かの心境かもしれないが、空蝉丸の性格を考えれば、恐らくプラスに働く可能性が高いのだ。
その考えがナーガにも理解できたらしく、
「空蝉丸殿も大変な時期で塞ぎこんでいるはずです。姫様が元気付けて差し上げるべきかと」
「・・・・・」
「それに今、空蝉丸さんと一緒にいるのは元は敵の幹部だと聞きました。何か起きないか心配ですよね」
「・・・・そ、うですよね」
カナメの援護の言葉にサラマンディーネは納得した。
不安があったがやはり思い人には会いたいということなのだろう。
その次の日、サラマンディーネは二人の提案を受けて空蝉丸の居る花畑の方へと向かった。
幸いなことに、都から龍神器を飛ばして三時間ほどの距離だったため、サラマンディーネはいつものように食料と弁当を用意して会いに行った。
急な訪問で予定が狂ってしまうのだが、大巫女もサラマンディーネの事を考えてなのか容易に許可してくれたのだった。
そして、サラマンディーネが用意したハ発信機の電波を辿り空蝉丸の位置はすぐに判明し、合流したのは昼食に丁度良い時間だった。
「それで今日は心配だったので様子を見に来たのです」
「そうでしたか、それは心配をお掛けしました」
サラマンディーネの言葉に申し訳なさそうにする空蝉丸。
だが、お互いの表情は思ったほど深刻なものではなく、少し嬉しげに微笑んでいた。
その二人の様子を少し離れた所から窺っていた視線が四つ。
「どうしたの、そんなに顰めた表情をして?」
「姫様が嬉しそうな表情となってくれたのは喜ばしいのだが、少し妬けるのだ」
彼女を元気にすることが出来るのが自分でないことが残念だとナーガ。
予想通り元気になってくれたのは良いのだが。
そうナーガはキャンデリラに語る。
しかし、
「別に構わないじゃない。笑顔が一番。キープスマイリンゴよ」
と、ポジティブに言葉を紡いだ。
その言葉は何故か可笑しく思ったナーガは自然と笑顔になるのだった。
「それにしても、キョウリュウゴールドも隅に置けないッスね」
「もしかして、こういう話って好きなの?」
「もちろんッス!!人間が生きていた頃はこの『少女こずみっく』を愛読してたんッスから」
と、ラッキューロはお腹のポケットから一冊の漫画雑誌を取り出し、カナメに見せる。
それを見たカナメは少し興味を持ったので、
「ねぇ、それ少し見せてもらっても良い?」
「いいッスけど、読めるんッスか?」
雑誌を渡しながら問いかけるラッキューロにカナメはページを開きながら、
「まぁね。姫様のお手伝いで文献の解読をしてるから多少は読めるわよ」
―――それにこれ絵があって分かりやすいし。
と、ラッキューロと漫画の話で盛り上がるカナメであった。
それから一同は思い思いに時間を過した。
最初は異形の生物であるキャンデリラとラッキューロに警戒していたサラマンディーネ達だが、付き合って行くにつれ、彼らの事を理解して行き仲良くなるのだった。
ちなみに、カナメとラッキューロが特に友好を深めることとなった。
ラッキューロが貸した雑誌『少女こずみっく』をカナメが大変気に入り、ファンになったのだ。
そして、幸いなのか分からないが、ラッキューロはその雑誌を世界大戦で発行されなくなるまで全巻大事にポケットの中に保管していたことだろう。
彼のポケットは漫画に出てくる四次元の物なのか大変優秀らしく、雑誌の絵は色あせることなく、完璧な状態で保存されていたのだった。
それはともかくとして、日も暮れていき、サラマンディーネ達が帰還しなければならない時刻が迫っていた。
しかし、サラマンディーネは何故か空蝉丸たちと分かれていたので、空蝉丸は彼女を探す為に辺りを歩いていた。
その時だった。不意に、
「ん?この歌声は・・・・」
空蝉丸の耳に流れ込んでくる歌声導かれるように歩き出した。
すると、そこにはサラマンディーネが瓦礫の上に座り込んで夕日と向かい合いながら歌っていたのだった。
「・・・サラマンディーネ殿」
その姿に見惚れ、暫くの間呆然と眺めていた空蝉丸。
しかし、そんな彼の気配に気が付いたのか、サラマンディーネは歌うことを止め、振り返り空蝉丸を見た。
「空蝉丸殿?」
「申し訳ない、サラマンディーネ殿。邪魔をしてしまい」
「構いませんよ。御気になさらないでください」
と、サラマンディーネが微笑みを浮かべると、空蝉丸も微笑みながら彼女の隣に腰を下ろした。
「良い歌でござったな」
そう素直に褒めれば、サラマンディーネは嬉しそうに笑いながら、
「これは『星の歌』。アウラが教えてくれた歌です」
そして、
「収斂時空砲の起動キーでもあるんです」
「収斂時空砲?」
「私達の龍神器、特に私の焔龍號は絶対兵器ラグナメイルを参考に作った機体なのです」
と、サラマンディーネは空蝉丸にまだ話したことのないことを語りだす。
「それはつまり・・・」
「はい。収斂時空砲はラグナメイルを絶対兵器と知らしめた。この世界を破壊した兵器です」
そう語るサラマンディーネの瞳に悲しみの影が差した。
「二日後、私達はもう一つの地球へと赴き、収斂時空砲の性能実験を行います」
「ついに、戦争が始まるのでござるな」
空蝉丸の問いかけに、サラマンディーネは頷く。
「まず目標はアルゼナルと呼ばれる場所。私達の同胞を殺す為に組織された部隊の前線基地を強襲します」
努めて淡々と語るサラマンディーネだが、空蝉丸の瞳は見逃さなかった。
彼女の腕が僅かに震えていることを。
ゆえに彼女は自嘲気味笑った。
「可笑しいですわよね。アウラを奪還するためならば、どんなことも厭わないといったのに。
いざ、収斂時空砲を使うことになると不安に感じてしまうなんて」
しかし、彼女は知っていた。
調べているからこそ深く理解できていた。
自分が扱う兵器がどれだけ危険なのか、その結果が目の前にある景色なのだから。
使い方を謝ってはならないと。
だが、空蝉丸は彼女の独白を嬉しそうに微笑んだ。
「それは正しいことでござる」
「え?」
「不安に思わず、ただ振り下ろすだけの力はただの暴力でござる。自分のやっていることが絶対に正しいと思ってる人間よりも、
常に自分の行動に不安を感じ葛藤しつつも強い信念を持って行動する人間の方が誤ることは少ない。少なくとも、拙者はそう考えております」
「空蝉丸殿・・・」
「それに、もしもサラマンディーネ殿が間違いを犯そうとしても大丈夫でござる。サラマンディーネ殿には、信頼の置ける臣下が居りまする。
もちろん、拙者も誤った道に進もうものなら力尽くでも止めまする。だから、サラマンディーネ殿はそのまま存分に行動なされよ」
と、空蝉丸が力強く言葉を紡ぐと、サラマンディーネの表情は再び嬉しそうに微笑んだ。
そして、目頭を熱くさせながら、
「んっ・・・」
「んむっ!?」
驚くほど自然に空蝉丸の方に自らの顔を近づけ、自らの唇を彼の元へと触れさせた。
触れたのは十秒にも満たなかったかもしれない。
だが、サラマンディーネの唇がゆっくりと自らのから離れたとき、
「・・・な、何を?」
キスされた。
そう理解するのに多少の時間を要した空蝉丸は呆然と彼女に問いかける。
しかし、彼女は微笑みを浮かべたまま、
「最近、少々気持ちが沈みがちで塞ぎこんでいたんです」
だから、とサラマンディーネは体を空蝉丸に密着させ、背中に手を回して抱きついた。
「今日の最後は最高の気分で終わりたかったんです」
「・・・サラマンディーネ殿」
その意味を問いかけるのは野暮なのだろう。
空蝉丸は未だに回らない頭だが、その意味だけは理解できていた。
「これは私の我侭で、迷惑―――」
少し済まなそうにするサラマンディーネだが、紡がれた言葉はそこで止まる。
空蝉丸も彼女の背に手を回して抱きしめ返したからだ。
それによってサラマンディーネの表情はこれまでにないほど穏やかなものになるのだった。
あとがき
どうして、こうなったのだろうか・・・・
更新が遅くなった・・・本当に申し訳ありません。
その上、
まだ、二人をくっ付ける心算は無かったのに・・・・
海外ドラマの見すぎで影響を受けたため、こうなってしまいました。
でも、一応言っておきますが、二人はここから先にはまだ進んでいません。
ですが・・・・・
サラマンディーネのキャラが可笑しくなってきている気がしてなりません。
少し乙女に書きたかっただけなのに・・・・
アドバイスがありましたらご教授お願いします。
ちなみにですが、次回は物語の重要人物である二人が登場します。
どう絡ませるか考えています。
また可笑しくならないように頑張ります。