ガンダムビルドファイターズ White&Black ChallengerS   作:ケンヤ

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Challenge12 「好敵手達」

 ガンプラ学園新人戦1回戦をヤクモは新装備のDパッケージを使い難なく勝利した。

 新人戦への参加は任意ではあるが、新人戦に出場した新入生は大半だ。

 その為、一回戦を会場のバトルシステムで一気に行う事は出来ない。

 すでに勝負の付いて空いたバトルシステムから次つぎと一回戦を始めている。

 

「一回戦突破おめでとう」

「ノブナガのバトルはまだなのか?」

 

 バトルに勝利したヤクモにノブナガが話しかける。

 ノブナガがヤクモのバトルを始めから見ていたと言う事はノブナガのバトルはまだだと言う事だ。

 

「うん。それにしても凄かったね」

「まぁな。俺もぶっつけ本番だったけど何とかうまくできたよ」

 

 今回の新装備の事はヤクモも直前に聞かされている。

 並のガンプラならともかく、元から高性能のビルドアメイジングガンダムの新装備と言う事で、ヤクモも扱うのは苦労させられた。

 だが、ヤクモは何とか扱いこなした。

 ヤクモもガンプラ学園でのバトルの中で腕を上げて来ていると言う事だ。

 尤も、それでも何とか扱えると言うレベルで、完全に使いこなすには更なる実力を付ける事が必要だ。

 

「私はガンプラの調整を部屋でして来るから、ナナセ君は他のバトルでも見ていて頂戴」

「悪いな。何か手伝えることはあるか?」

「ないわ」

 

 ハクアはビルドアメイジングガンダムを受け取ると取りつく暇もなく、部屋へと戻って行く。

 いつも、整備や調整をハクアに任せきりにしている為、ヤクモも何か手伝おうかとも思ったが、ハクアは必要としていないようだ。

 ここまではっきりと言われてしまえば、ヤクモもこれ以上は何も言えない。

 どの道、ハクアの手伝いが出来ない以上はヤクモに出来る事は他のファイターのバトルを見て置く事だ。

 一回戦で勝利したファイターはいずれ当たるかも知れない為、バトルを見ていて損はない。

 ノブナガのバトルが始まるまで、ヤクモはノブナガと他のファイターのバトルを見る事にした。

 

「新入生って言っても皆レベル高いな」

「それはそうだよ。ここにいるファイターは皆、厳しい入学試験を突破したんだからね」

 

 他のバトルを見て、ヤクモは改めて新入生達の実力の高さを感じていた。

 ガンプラ学園のファイターは一部のトップレベルのファイター達がずば抜けている為、そちらの方に目が行きがちだが、新入生も中学時代ではチームのエースを任されている者も多い。

 

「だな……あっちのバトルシステムの方に人が多いな」

「誰か名の知れたファイターがバトルしてるんだよ」

 

 ふとバトルシステムの周りに他よりも多く人が集まっている方に目が向いた。

 ヤクモの時がそうだったように、すでに頭角を現しているファイターは注目されている。

 少しでも情報を得る為に観客の数も必然的に多くなる。

 

「アイツは……」

「確かに彼女も一年生の中では有名だよね」

 

 ヤクモもバトル中のファイターの片方は知っていた。

 入学試験でカイトと共に一緒だったアンジェリカ・マスブレイブだ。

 ヤクモとカイトが合格したようにアンジェリカも合格していた。

 入学後は噂程度で耳にしたことはあったが、顔を合わせる機会は無かった。

 どうやら、観客の目当てはアンジェリカのようだ。

 アンジェリカは涼しい表情でバトルを行い、対する相手は焦っているようにも見える。

 

「バトルフィールドが凄い事になってるよ」

「相手のガンプラは……デストロイ! モビルアーマーかよ!」

 

 アンジェリカの戦っているバトルフィールドは市街地のようだが、一面が火の海となっており、元のバトルフィールドの形状が殆ど分からないように変貌している。

 相手の使用しているガンプラはデストロイガンダムのようだ。

 大型のMA等はその巨体から粒子量が通常サイズのガンプラよりも多く使える事から平均的に高い火力を持つ。

 それ故に公式戦ではサイズが規定値を超えると作中の扱いに関係なく、MAとして扱われる。

 そして、MAは3人で1機の操作となる。

 だが、これは個人戦である為、一人でMAを使っても問題はない。

 

「甘いな。その程度の火力で私のマグナガンダムと正面から戦おうなどと」

 

 バトルフィールドの惨状はデストロイの仕業のように思えたが、アンジェリカの対戦相手は明らかに動揺している。

 

「ガンプラを変えて来たのか?」

「見た感じだとカラミティの改造機のようだけど……」

 

 ノブナガはアンジェリカの使っているガンプラを外見からガンダムSEEDに登場するカラミティガンダムの改造機だと予想を立てている。

 その予想は当たっている。

 アンジェリカのガンプラはカラミティガンダムを改造したマグナガンダムだ。

 ベースとなったカラミティガンダムは火力を重視したMSだが、マグナガンダムは更にその路線を推し進めている。

 両肩にはアビスガンダムから流用したシールドが左右に2枚つづ計4機が装備され、それぞれに小型のスキュラが2門つづ追加されている。

 右腕には2連装のリニアキャノンとビームと実弾を撃ち分ける事が可能な337mmプラズマサボット・バズーカ砲 トーデスブロック改を持っている。

 左腕には実弾のガトリング砲とビームガトリング砲が連結された2連装ガトリング砲にツインバスターライフルが持たされている。

 背部から伸びるベース機の特徴とも言えるビーム砲が改良によって出力が向上したアグニMk-Ⅱとなっている。

 胸部には最大火力となる小型ローエングリンキャノンが内蔵され、脚部には3連装ミサイルポッドが付いている。

 頭部と腰にはいざと言う時の為かバルカンとビームライフルショーティーが装備されている。

 全身に火器を装備したその火力はMAに匹敵するだろう。

 バトルフィールドの惨状はデストロイではなく、マグナガンダムによる物なのだろう。

 対戦相手もまさか、MSにMAが火力で圧倒されるとは思ってなかっただろう。

 デストロイはミサイルを一斉掃射するが、マグナガンダムは肩の4枚のシールドの裏に付いているビーム砲で簡単にミサイルを迎撃する。

 そして、両肩のアグニMk-Ⅱを初めとした火器をデストロイに向ける。

 

「終わりだ」

 

 デストロイも陽電子リフレクターを展開するが、マグナガンダムは圧倒的な火力を持ってデストロイを攻撃する。

 その火力を前にデストロイの防御など意味を成さず、デストロイはマグナガンダムのフルバーストを受けて跡形もなく破壊された。

 

「すっげぇ……」

 

 火力に長けたMAを相手に真っ向から火力で圧倒したアンジェリカの戦いにそれしか言葉が出て来なかった。

 バトルが終わり、観客の中にヤクモがいる事にアンジェリカも気が付いてヤクモの方に歩いて来る。

 

「噂は色々と耳にしていたが、こうして会うのは久しぶりだな」

「そうだな。それよりもさっきのバトル見てたよ。凄かった」

「君のガンプラ程ではないさ」

 

 アンジェリカは謙遜をするが、単純な完成度で言えばヤクモのビルドアメイジングガンダムの方が上ではある。

 だが、ビルダーとしての知識が少ないヤクモからすればアンジェリカのマグナガンダムも相当な出来栄えだ。

 

「君の方はと聞く聞く必要はないだろうな。無論、一回戦は突破したのだろう?」

「新装備で何とかね」

「ほう……新装備か。試験で見た時もとんでもない完成度だったあのガンプラを更に強化して来たか。ますます戦うのは楽しみだ」

 

 アンジェリカの知るビルドアメイジングガンダムも完成度は桁違いではあったが、そのビルドアメイジングガンダムが更に装備を強化して来た。

 普通ならば、圧倒的な性能のガンプラが更に強力なガンプラとなって戦意を喪失しかねないが、アンジェリカは逆なようだ。

 

「私と当たるまで負けるでないぞ」

「俺は俺の出来る事をするだけさ。だけど、当たった時はお互いに全力を尽くそう」

「当然だ」

 

 これから先、ヤクモが順当に勝ち進める自信はないが、アンジェリカとバトルする事になった時に互いに全力を出す事を誓う。

 そうこうしている間にノブナガのバトルの時間となり、指定されたバトルシステムに向かう。

 

「運が悪いな。初戦で彼と当たるとはな」

 

 ノブナガの初戦の相手はカイトであった。

 アンジェリカも面識はないが、入学してからカイトの噂は聞いている。

 今年の新入生の中ではすでに頭一つ抜けて、新入生では最強とも言われているらしい。

 

「けど、ノブナガだって中等部からここに居るんだ。そう簡単には負ける訳が無い」

 

 相手のカイトの実力は入学試験でバトルしたヤクモも良く知っている。

 しかし、ノブナガも中等部からガンプラ学園に通っている。

 そう簡単に負けるとも思えない。

 

「新入生最強の実力を見せて貰うとしよう」

 

 ヤクモが不安げに見る中、ノブナガとカイトのバトルが始まる。

 二人の戦うバトルフィールドは廃墟だ。

 ノブナガのビルドガンダムMk-Ⅱが地上に降り立つ。

 相手の位置が分からない為、慎重に周囲を探りながらビルドガンダムMk-Ⅱは進んでいる。

 すると不意にバズーカの弾頭が飛んで来る。

 ビルドガンダムMk-Ⅱは飛び上がってハイパーバズーカで応戦する。

 攻撃に手ごたえが無く、ビルドガンダムMk-Ⅱが着地すると、背後から再びバズーカの弾頭が飛んで来る。

 

「後ろ! この短時間に回り込んで!」

 

 ビルドガンダムMk-Ⅱはシールドで防ぐ。

 相手は身を隠しているが、どうやら機動力は相当な物らしい。

 次の攻撃に備えていると、建物の影からカイトのガンプラ、ザクⅡFCが飛び出して来る。

 

「黒いザク!」

 

 ザクⅡFCは左腕のガトリングシールドを連射する。

 ビルドガンダムMk-Ⅱはシールドで防ぐが、持っていたハイパーバズーカに被弾する。

 ザクⅡFCは着地すると、ホバーで移動しながら身を隠す。

 

「グフカスタムのガトリングシールドにドムのホバーまで……」

 

 カイトのザクⅡFCはシャア専用ザクⅡ(オリジン版)の改造機だ。

 今までカイトのガンプラ同様に黒く塗装されている。

 脚部は大幅に改造され、ドムの如くホバーで移動が出来るようだ。

 左腕にはグフカスタムの3連装35mmガトリング砲とヒートサーベルの付いたガトリングシールドが装備されている。

 右腕には固定式の小型キャノンと手持ちのラケーテン・バズを持っている。

 バックパックには推力の強化と武装ラックを兼ねたアメイジングウェポンバインダーを2基増設され、リアアーマーにはシュツルム・ファウストが1発とサイドアーマーにはヒートホークが装備されている。

 右肩にはギャンのミサイルシールドが付けられており、一年戦争時代のジオン系のMSの特徴を多く取り入れられている。

 

「相手がホバーで移動できるなら機動力では勝ち目はない」

 

 陸戦においてはホバーで移動できるカイトのザクⅡFCには機動力では勝ち目はない。

 ノブナガは建物を背にして、右腕にビームライフルMK-Ⅱをつけて構える。

 カイトのザクⅡFCはジオン系のMS、それも一年戦争時代のMSの特徴を取り入れている。

 そこまでこだわっている以上、ザクⅡFCの装備の大半は実弾がメインと推測できる。

 機動力では敵わずとも、武装単位での火力ではビーム兵器を持っているビルドガンダムMk-Ⅱに分がある。

 ここは不用意に動かずに相手の出方を待つのが得策と考えた。

 視界は建物で悪いが、逆に建物の影に意識を向けておけば、不意付かれると言う事は無いと思っていた。

 しかし、それは甘い考えてあった事にノブナガはすぐに思い知らされる。

 上空から大量のミサイルが降り注いで来た。

 ミサイルの雨にビルドガンダムMk-Ⅱも回避行動を余儀なくされた。

 頭部のバルカンポッドでミサイルを迎撃しながら、ビルドガンダムMk-Ⅱはミサイルをかわす。

 ミサイルが地面に落ちた時の爆風に紛れてザクⅡFCはビルドガンダムMk-Ⅱに一直線に突っ込んで来る。

 

「ミサイルの本当の目的は目暗まし!」

 

 ザクⅡFCのミサイルの目的は自分を待ち構えるビルドガンダムMk-Ⅱを動かすだけではなく、爆風を目暗ましに使う為でもあった。

 それに気が付いたところでどうしようもない。

 ザクⅡFCはラケーテン・バズからショットガンに手持ちの武器を持ち替えてガトリングシールドを乱射しながら接近する。

 ビルドガンダムMk-Ⅱもシールドを掲げながらバルカンポッドで応戦する。

 ガトリングシールドの弾丸でビルドガンダムMk-Ⅱのシールドは損傷して行くが、シールドの限界よりも先にバルカンポッドがザクⅡFCのガトリングシールドのガトリング部分に被弾した。

 

「良し!」

 

 しかし、カイトはすぐにガトリングシールドの砲身をパージする。

 そして、ビルドガンダムMk-Ⅱに接近すると至近距離でショットガンを撃ち込む。

 何とかビルドガンダムMk-Ⅱはシールドで防御する事が出来たが、ガトリングシールドで損傷していたシールドは一撃で粉砕されてしまう。

 シールドを破壊したザクⅡFCは続けざまにショットガンを撃ち込むが、それはビルドガンダムMk-Ⅱが上空に高く飛び上がって回避された。

 上空に逃れたビルドガンダムMk-Ⅱは両腕のビームライフルMk-Ⅱを連射するが、ザクⅡFCはホバーで蛇行しながら回避する。

 ビームを回避しながら、ザクⅡFCはアメイジングウェポンバインダーから対艦ライフルを取り出して構える。

 対艦ライフルの一撃がビルドガンダムMk-Ⅱの左肩を撃ち抜いて、ビルドガンダムMk-Ⅱは体勢を崩して建物に落ちた。

 

「うあぁぁああああ!」

 

 建物に落ちたビルドガンダムMk-Ⅱに休む間を与えずにザクⅡFCはミサイルシールドを向けてミサイルを建物に対して撃ち込む。

 元々、バトルフィールドは廃墟と言う事もあってボロボロになっていた建物はミサイルにより完全に倒壊して行く。

 建物からビルドガンダムMk-Ⅱが飛び出して来る。

 対艦ライフルによってビルドガンダムMk-Ⅱの左腕が肩から吹き飛び、建物に落ちた時の損傷で所々が損傷している。

 

「何とか距離を取って……」

「逃がすか」

 

 ビルドガンダムMk-Ⅱは距離を取ろうとするが、ホバーで移動できるザクⅡFCは簡単に回り込む。

 シールドに付いているヒートサーベルをザクⅡFCは抜いて構える。

 ビルドガンダムMk-Ⅱも残っているビームライフルMk-Ⅱで応戦するが、ザクⅡFCはギリギリのところでビームをかわしている。

 

「当たらない!」

 

 ビルドガンダムMk-Ⅱの周りを回りながら、ザクⅡFCは3連装ガトリングを撃ちながらビルドガンダムMk-Ⅱを翻弄してジワジワと距離を詰めていく。

 距離を詰めるとヒートサーベルの一閃でビルドガンダムMk-ⅡのビームライフルMk-Ⅱを破壊する。

 火器を失いながらも、ビルドガンダムMk-Ⅱはバルカンポッドを連射しながら大きく飛び退こうとするが、ザクⅡFCはミサイルシールドのミサイルを撃つ。

 ミサイルがバルカンポッドに迎撃されて爆発が起こり、それが煙幕の役割を離して、ザクⅡFCの姿を覆い隠す。

 爆風でザクⅡFCの状態が分からずにいると、爆風の中からヒートサーベルが投げられた。

 ヒートサーベルはビルドガンダムMk-Ⅱの膝に直撃すると膝に突き刺さる。

 膝にヒートサーベルが突き刺さってまともに着地できずにビルドガンダムMk-Ⅱは地面に叩き付けられる。

 

「そんな! これじゃもう……」

 

 ビルドガンダムMk-Ⅱはビームサーベルを抜いて構えるが、片足が損傷している為、陸戦ではまともに戦う事が出来ない。

 遠距離攻撃をするにも残された火器はバルカンポッドのみだ。

 

「降参は……」

 

 まともに動けず火器も残されていないこの状況で勝機はない。

 ノブナガはバトルを降参する事を考えたが、新人戦は公式戦同様にバトル中の降参はファイターが負傷や急病によりバトルの続行が出来ない場合等と言った特殊な状況でもない限り許可されていない。

 勝敗はすでに決しているが、ビルドガンダムMk-Ⅱはまだ動く事は出来る。

 バトルシステムは完全にガンプラが戦闘不能になるまではバトル続行可能と見なしている。

 ザクⅡFCはビルドガンダムMk-Ⅱに近づく事は無い。

 火器はバルカンポッドのみだが、接近戦用のビームサーベルが残されている。

 まともに動けずともビームサーベルを振り回す事は出来るから接近戦をする必要はない。

 ビルドガンダムMk-Ⅱの周囲を移動しながらザクⅡFCは右腕の小型キャノンを構える。

 ザクⅡFCの小型キャノンがビルドガンダムMk-Ⅱのバックパックに直撃する。

 バックパックは損傷し、これではビルドブースターMK-Ⅱを分離させる事も出来ない。

 次に脚部に右腕、頭部と確実にビルドガンダムMk-Ⅱの戦闘能力を奪って行く。

 自分のガンプラが破壊されて行く様子をノブナガは見ている事しか出来ない。

 完全に戦闘能力を奪ったところで、ザクⅡFCは後退して行く。

 アメイジングウェポンバインダーからザク・バズーカを取りだす。

 距離を取ったザクⅡFCはザク・バズーカを構える。

 

「終わりだ」

 

 そして、ザクⅡFCはザク・バズーカを放つ。

 ザク・バズーカの弾頭が満身創痍のビルドガンダムMk-Ⅱに直撃すると周囲を巻き込む程の爆発が起こる。

 ザク・バズーカは元は核弾頭を使う為の武器だったと言う設定があり、ザクⅡFCのザク・バズーカは核弾頭を撃つ事が出来る。

 満身創痍のビルドガンダムMk-Ⅱを前に距離を取ったのは自身が爆風に巻き込まれないようにする為だ。

 ザク・バズーカの核弾頭の爆発を満身創痍のビルドガンダムMk-Ⅱが耐える事が出来る訳もなく、その一撃が決めてとなり勝負が付いた。

 

「想像以上だな」

「ノブナガ……」

 

 ヤクモもアンジェリカもカイトとは入学試験で共に戦っている。

 その際にある程度の実力は分かっていたつもりだが、カイトは入学試験では本気を出していなかったのだろう。

 特にザクⅡFCは過去にカイトが使ったケンプファーアメイジングやズゴックとは性能がけた違いだ。

 その上、勝負がついても尚、油断する事無く確実に勝負を決めている。

 だが、ヤクモにとってはカイトの実力以上にノブナガの方が気がかりだ。

 バトルのルールは公式戦と同じとなっている。

 ガンプラ学園の言う公式戦は全国大会や世界大会を指している。

 新人戦とはいえ、ダメージレベルはAでセットされている。

 ダメージレベルがAともなるとガンプラの受ける損傷はダメージレベルが設定可能となる前と同じで、バトル中に受けたダメージはそのままガンプラが受ける事になる。

 あそこまでボロボロにされた上に確実に勝負を付ける為に核弾頭まで撃ち込まれたノブナガのビルドガンダムMk-Ⅱの損傷はビルダーとしての知識を持たないヤクモでも想像が出来る。

 

「……あそこまでやる必要があったのかよ」

「勝負である以上は仕方が無いだろう」

「だからって……」

 

 ヤクモもバトルである以上はガンプラが傷つく事は仕方が無いと言うのは理解出来る。

 カイトが相手を弄る為ではなく、確実勝つ為にあそこまでやったと言う事もだ。

 それでも、修理不能になる程の損傷を与える必要があったのかと思ってしまう。

 自分のガンプラを作った事のないヤクモも、自分のガンプラが修復不能にまで破壊される気持ちは分からないでもない。

 幾ら勝つ為とは言っても、そこまでやる事は無かったように思える。

 バトルが終わり、カイトはガンプラを回収してバトルシステムから離れる。

 

「このザクであの時の決着をつける」

 

 ヤクモとの擦れ違いざまにカイトはそう告げる。

 あの時と言うのは入学試験での事だろう。

 入学試験でカイトとバトルした時は時間切れで決着をつける事が出来ずに終わった。

 今回の新人戦はその時の決着をつけるには丁度良い。

 カイトはそれだけを告げてどこかへと行った。

 

「やっぱり強いね。全く歯が立たなかったよ」

 

 カイトが去り、残骸となったガンプラを回収したノブナガがヤクモと合流する。

 元気に振る舞ってはいるが、やはりガンプラを破壊されてどことなく元気がない。

 

「ノブナガ……俺が仇を取るから気を落とすなよ」

「ヤクモ君……そうだね。君と君のガンプラなら彼のガンプラにも勝てるかも知れないね」

 

 ノブナガは手も足も出せずに負けたが、ヤクモとビルドアメイジングガンダムならば、カイトとカイトのザクⅡFCに勝てるかも知れない。

 

「盛り上がっているところ悪いが、ナナセもトキワも私が倒す」

 

 今回の新人戦ではヤクモとカイトが頭一つ抜けている。

 だからこそ、アンジェリカも二人を自分の手で倒したい。

 

「俺だって二人に負ける気は無いって」

 

 ヤクモとカイトに勝つ気でいるアンジェリカに負けじとヤクモも自分が勝つと主張する。

 

「その意気だ。それでこそ倒し甲斐があると言う物だ」

 

 アンジェリカも好戦的な笑みを浮かべる。

 その後も一回戦の残りのバトルが進行し、合宿2日目を終えた。

 

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