ガンダムビルドファイターズ White&Black ChallengerS   作:ケンヤ

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Challenge17 「結成」

 ガンプラ学園の新人戦が終わり、全国大会への出場権を賭けた学内予選に生徒達の意識も向いているが、ガンプラ学園内である事件が起きた。

 それはガンプラ学園のエースチーム、ソレスタルスフィアの紅一点であるハクオウ・マキナが突如、学園を退学した。

 マキナがガンプラ学園を退学すると言う事は事前に教師やチームメイトですら聞かされてはいない事で、学園側は退学の理由も含めてマキナに事情を聞こうとするも、マキナは行方を暗ませていた。

 マキナの行方が分からないまま、マキナの退学は理事長であるマシロが受理した事で正式に決まった。

 その事でマシロを問いただそうにもマシロも居場所が掴めず、マキナの退学騒動は有耶無耶のままとなった。

 

「全く。思い切った事をしてくれたものだ」

「あそこにはいる必要もないでしょう」

 

 とあるマンションの最上階、マシロが個人で所有している隠れ家の一つでマシロはそう零す。

 マキナの退学はマキナが独断で行った事でマシロは関与していない。

 マシロはただ、学園側にマキナの退学を正式に受理するように指示を出しただけだ。

 当のマキナはソファーでくつろぎ悪びれた様子もない。

 

「ナナセ・ヤクモと言う逸材が誕生した以上、私があそこにいる必要はないと判断しただけの事」

「それだけか?」

「まぁ、私も先生と同じで足並みを揃えてバトルすると言う事は苦手でね」

 

 マキナは相変わらず悪びれた様子を見せない。

 元々、マキナがガンプラ学園に在籍していた理由の一つにヤクモが新人戦の決勝で見せたアシムレイトを使えるまでのファイターを見つけ出すか、その域まで育て上げる事だ。

 ヤクモがアシムレイトを使った事でマキナの役目は完了したと言える。

 尤も、それ以上にマキナにとってはチームの中にいる事は窮屈でしかなかった。

 マキナも師であるマシロ同様にチームで戦う事よりも一人でバトルする方が好きだ。

 ガンプラ学園に在籍し、チームに属していたのも学内で上位のファイターと接近する為の手段に過ぎなかった。

 チームで戦う以上、チームメイトとの連携なども求められるが、マキナからすればガンプラ学園のトップレベルのキジマ・ウィルフリッドもアドウ・サガも実力不足で足を揃えて戦う事は面倒だった。

 

「で、学園を止める事は別に構わないさ。問題はその後の事だ」

 

 マシロにとってもマキナが学園を退学した事はさして重要な事ではない。

 マキナの言うように最低限のノルマは果たしている。

 

「その事で今日は相談に来たんだよ」

 

 マキナはマシロに今後の事を話す。

 話しを終えてマシロは少し考え込んでいる。

 

「成程……」

「先生も色々と好きにやっているんだ。私もこの程度の事は許されても良いと思うのだが」

「まぁ……兄貴とかに頼めば何とかなるか」

 

 マキナの話しはマキナ個人でもマシロ個人でも難しい事だが、クロガミグループの力を借りれば造作もない。

 話し自体もマシロが止めさせる程の事でも無く、寧ろ率先してやらせても良いと思う事でもある。

 

「流石は我が師匠だ。家の力を使うのに何の躊躇いもない」

 

 マシロにとって自分で動かせる物は全て自分の力だ。

 それが自分の力で得た物でなくとも、使う事に躊躇いはない。

 

「そして、先生よ。まだ頼みたい事がある」

「自分の師の力を使う事に何の躊躇いもないのは流石は我が弟子だ」

 

 マキナもまた、マシロの力を借りるのに何の躊躇いもない。

 

「で、何が欲しい?」

「新しいガンプラをね。以前に貰った奴は私には合っていないようだ」

 

 マキナはそう言って、マシロから譲り受けたシナンジュアメイジングを取りだす。

 シナンジュアメイジングは完成度も高いが、完成度は高く性能の良いガンプラだからと言って誰にも合うとも限らない。

 ガンプラに個性があるようにファイターの戦い方にも個性はある。

 マキナの戦い方とシナンジュアメイジングとでは相性が悪かったのだろう。

 

「まぁ、メイジン用に作られた奴だからな」

 

 マシロはマキナの話しをさも当然かのようにそう言う。

 マキナはマシロからガンプラバトルの全てを叩きこまれている。

 その為、戦い方はマシロの再来と言われているようにマシロの戦い方に近い。

 一方のシナンジュアメイジングはイオリ・セイがメイジンの専用機として制作している。

 メイジンのバトルスタイルは常に相手の全力を正面から受け止めるスタイルだ。

 それを可能にする為にシナンジュアメイジングはあらゆる敵や状況にも対応できる汎用型のガンプラとなっている。

 

「私としては魔王のガンプラ、覇王のガンプラに続く第三の王のガンプラ、帝王のガンプラが欲しい」

「帝王のガンプラか……お前もずいぶんな物をねだるようになったものだ」

 

 帝王のガンプラとはセイが自身の技術の全てを注ぎ込んだガンプラの一つだ。

 魔王のガンプラと呼ばれているビルドアメイジングガンダムは三代目メイジンカワグチ、覇王のガンプラと呼ばれているビルドバーニングガンダムはレイジの専用機として制作されている。

 そして、現在新しく3機目となる帝王のガンプラと呼ばれるガンプラをセイは制作している。

 その帝王のガンプラはマシロをファイターに想定している。

 マシロ用のガンプラである為、マキナとの相性はシナンジュアメイジングよりも良いだろう。

 

「アレはまだ完成してないからな。俺も何度も催促してるんだがな。俺としては超高速にビームサーベルが2本持っていれば十分だし」

 

 マシロの戦闘スタイルは高速白兵戦だ。

 マシロからすればとにかく機動力を重視し、武器はビームサーベルを2本装備させておけば十分だが、セイはそれでは納得していない。

 ビルドバーニングガンダムとビルドアメイジングガンダムの2機のガンプラを制作し、そこから得た物を第三の王のガンプラに反映させて作るとその点だけは頑なに譲る事は無く、制作は難航している。

 

「それでも全国大会が終わるまでには試作品が出来上がるとは言っていたな」

「ふむ……仕方が無い。それまでの繋ぎとして先生の秘蔵コレクションで我慢するとしよう。先生の事だ、何か秘蔵の品を作っているのでは?」

 

 マキナも完成していないガンプラを受け取る事は出来ない為、それまでの繋ぎのガンプラを所望する。

 すでにマキナの中ではセイが制作中の帝王のガンプラを受け取る事になっており、更には師匠である筈のマシロの対しても不遜な態度を取るが、マシロも一々気にした様子はない。

 

「流石は俺の弟子だ」

 

 マシロはそう言って立ち上がると、寝室に向かいベットの下からアタッシュケースを二つ持って来る。

 

「コイツは超激レアなガンプラだ。なにせ、まだ市場に出回るどころか映像化すらしていない代物だ」

 

 マシロはマキナに自慢するかのようにアタッシュケースの中からガンプラを取りだす。

 どちらのガンプラも白一色で、片方はガンダムタイプでもう片方は非ガンダムタイプだが、どちらのガンプラもマキナはベース機に見覚えがない。

 

「見た事もないガンプラだけど、一体これは?」

「見た事もないのは当然だ。コイツはガンダムキマリスにグリムゲルデ。まだ企画段階の奴を独自のルートでガンプラ化して手に入れた奴だからな」

 

 ガンダムタイプの機体はガンダムキマリス、非ガンダムタイプはグリムゲルデと言うらしい。

 マキナが見た事が無いのも当然の事でどちらのベース機もまだ作品として世に出回っていない作品に登場するMSがベースになっている。

 ガンダムキマリスはグリムゲルデよりも重装甲だが、バックパックの大型ブースターや機体各部のブースターで高い機動力を持ち、手持ちの大型の槍や左腕のシールドの裏の他各部に実体剣やビームサーベルを持ち近接戦闘の武器が豊富な格闘戦用のガンプラなのだろう。

 一方のグリムゲルデはガンダムキマリスよりも推力は劣りそうだが、軽装で武装も両腕のシールドに付いている実体剣と手持ちのライフル以外には装備らしき物は無く、軽量で身軽に動けそうだ。

 どちらも機動力を重視し、格闘戦用の機体で白く染め上げている等、マシロが自分好みに改造しているのが見て取れる。

 

「ばれたら面倒な事になりそうだと言うのに、勝手に自分色に染め上げて……流石は私の師匠と言う所か」

「そんなに当然の事を褒めるなよ。ちゃんと手は回してある。で、どっちにする?」

 

 本来ならば公表前の作品のガンプラを大勢の目に触れさせることはご法度ではあるが、すでにマシロは色々な方面に手を回して許可を取ってある。

 マキナはマシロがどんな手を使ったのかは問題ではない。

 ガンダムキマリスとグリムゲルデのどちらを受け取るかの方がよっぽど重要だ。

 だが、マキナは大して考える事も無く、グリムゲルデを手に取る。

 

「色々な武器を使い分けるよりも、二刀流で戦うのが本来のマシロ・クロガミのバトルであるのならコイツを選ぶのが道理なのだろう」

 

 マシロの得意とする近接戦闘において、最も得意とするのが二刀流だ。

 さまざなな武器を使い分けて戦うよりも、本気のバトルでは多数の武器等不要なのだ。

 ガンダムキマリスは普段のマシロのバトルには適しているが、本気のバトルならば手持ちのライフル以外に実体剣が二つだけと言うグリムゲルデの方が近い。

 よって、マキナはグリムゲルデを選んだ。

 

「このガンプラでならもう少しマシなバトルも出来るだろう」

「精々見せて貰うとするか。マシロ・クロガミの再来の真の実力をね」

「期待通りのバトルはさせて貰うよ。先生」

 

 マキナはマシロの挑発とも取れる期待に、挑発的に返す。

 

「では、私は休ませて貰うとするよ。なにせ、私はか弱い乙女なのだから」

 

 目的のガンプラとは少し違ったが、十分に馴染みそうなガンプラを手に入れたマキナはマシロの相手をする気がないのかそそくさと寝室に向かって行く。

 そんなマキナをマシロは何も言わずに見送る。

 

「期待通りね……果たして今のお前じゃ俺の期待に応えられるかな」

 

 マキナのいなくなった部屋でマシロはポツリとつぶやいた。

 その言葉は決してマキナに届く事は無い。

 

「ん?」

 

 マキナが居なくなり、一人になったところで、マシロのPCにメールが届く。

 メールの内容を確認したマシロはにやりと笑みを浮かべた。

 マシロとの付き合いが長い相手が見れば、また何か良からぬことを企んでいるのだと一発で分かる笑みだ。

 

「魔王のガンプラは主を見つけた。覇王のガンプラも目覚めた。そして、ウチの馬鹿弟子にこいつらを含めると今年の全国大会は荒れるな」

 

 ガンプラ学園ではヤクモが完全にビルドアメイジングガンダムの力を引き出した。

 とある場所に眠らせていたビルドバーニングガンダムはマシロの独自のルートで得た情報によれば、その性能を引き出せる可能性を持った少年が手にした。

 他にもマシロの仕込みが色々な方面で動き出している。

 それらを踏まえると今年の全国大会は今まで以上の激戦となるだろう。

 それを思うとマシロはこれから起こり得る事態に笑いが抑えられなくなる。

 

「これから忙しくなるな! クックック……ハァッハッハハハ!」

 

 たった一人の部屋でのマシロの高笑いは寝室で寝ようとしていたマキナにうるさいと止められるまで果てしなく続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マキナがガンプラ学園を突如退学した事で一時期はガンプラ学園は騒ぎとなった物のすでに落ち着き始めていた。

 マキナが居なくなった事で、ガンプラ学園のエースチームであるソレスタルスフィアのレギュラー枠が一つ空く事になった。

 中高生の部の公式ルールではバトルに出られるファイターの上限は3人だが、大会期間中であってもファイターの交代が禁止されている訳ではない。

 その為、チームによっては対戦相手によって出場ファイターを変えたり出来るように控えのファイターが居る事もある。

 当然、ソレスタルスフィアにも控えのファイターは何人か存在している。

 レギュラー枠が空いた事で、あわよくば自分がその枠に入ろうとする生徒も多い。

 全国大会を制覇する最も簡単な方法として始めからそれが可能であるチームに籍を置く事だからだ。

 

「ノブナガ! そろそろ新しガンプラが完成するんだろ? ならバトルしに行こうぜ!」

「最近張り切ってるね。ヤクモ君」

 

 全国制覇の近道を狙う生徒とは裏腹にその日の授業が終わったヤクモはノブナガをバトルに誘う。

 新人戦で完全にガンプラを破壊されたノブナガだが、新人戦後に新しいガンプラの制作に入り、概ね完成している。

 ヤクモも新人戦後は様子がおかしかったものの、今ではすっかり復活し日々バトルに明け暮れている。

 

「まぁな。最近は凄い調子が良いんだよ。だからとにかくバトルがしたい気分なんだよな」

 

 マキナとのバトルで自分がガンプラ学園で強くなって何がしたいのか分かった。

 そのすぐ後にマキナはガンプラ学園を去っている為、気がかりではあるのだが、不思議とガンプラバトルを続けていれば会えるような気がしている。

 

「それは結構な事だが、良いのか? そろそろ学内予選を視野に入れるべきではないのか?」

 

 ヤクモとノブナガとの会話にアンジェリカが加わる。

 合宿が終わってからも3人でいる事が多い。

 新人戦が終わってからと言うもの、マキナの退学騒動で目立たなくなってはいるが、全国大会の出場権を賭けた学内予選が近づいてきている。

 そこで勝ち抜いて全国大会に出る為に個人で動いていたファイター達もチームを作りチームでのバトルを磨いている。

 授業も基本的なバトルの事よりもチームでのバトルに重きを置き始めている。

 

「そうなんだけどさ……」

「新人戦であれだけの結果を出したんだから二人には色々と声はかかってるんでしょ?」

 

 新人戦は新入生たちの実力を見る場として開催されている。

 それは新入生同士で実力を見せ合うと言うだけでなく、上級生に見せる意図もある。

 上級生たちは自分達が全国大会に出場し、好成績を収める為に実力のある新入生を見つけては自分のチームにスカウトを始めている。

 アンジェリカはベスト4に残り、ヤクモはカイトと決勝戦で引き合分けている。

 ヤクモとカイト、アンジェリカの3人は新入生の中でも頭一つ抜けている為、上級生もほっとかない筈だ。

 だが、二人の表情は優れない。

 

「実際の所、私のマグナはチーム戦には向いていないからな。全く声がかからん」

 

 アンジェリカのマグナガンダムは火力以外を切り捨てて火力に特化したガンプラだ。

 チーム戦ならば特化したガンプラの弱点を僚機が補うと言うのはチーム戦の基本とも言えるが、アンジェリカの場合は火力に特化し過ぎている。

 チーム戦で僚機の攻撃に対しても当たり判定がある為、マグナガンダムの火力は味方をも巻き込む大火力だ。

 その為、新人戦でのアンジェリカの評価は敵に回すと厄介だが、味方にはしたくはないと言うのが殆どだ。

 

「俺も誘いは結構来てるんだけどさ……何かこう、しっくり来ないんだよな」

 

 一方のヤクモはビルドアメイジングガンダムの完成度はガンプラ学園のビルダーでも早々作る事の出来ないレベルの物で、装備を換装すると言う特性上、チーム戦には適していると言える。

 新人戦でカイトと激戦を繰り広げたヤクモは多くの上級生や同級生、中等部からも一緒に組もうと誘われてはいるが、ヤクモはどれも断っていた。

 実力で言えば流石はガンプラ学園と言うだけあって申し分はない。

 しかし、ヤクモの中では彼らと一緒にチームを組んで全国制覇を目指したいとは思えなかった。

 尤も、同時に彼らはヤクモの相方であるハクアの眼鏡に適わないらしい。

 

「そうだ! ノブナガもアンジェリカもチームに入っていないならこの3人でチームを作るってのはどうだ?」

 

 不意にヤクモはそう思いつく。

 チームは何も既存のチームに加わるだけではない。

 新しくチームを組む事も出来る。

 今まではチームに入りたいと思えるチームが無かったが、ノブナガやアンジェリカとは仲もいい為、チームを組んでみたいと言う思いはある。

 

「アンジェリカさんはともかく、僕も? 僕の実力だと二人の足を引っ張りそうだよ?」

 

 ヤクモとアンジェリカは新人戦で好成績を残している。

 ノブナガもガンプラ学園の入学試験を通過して入学している為、その辺りの一般のファイターと比べると十分に実力はあるが、ガンプラ学園内での実力は目立たない。

 

「そうか? 俺はノブナガも結構やると思うけど」

「そうだな。確かに個の実力はやや他の生徒と比べると見劣りするが、チーム戦においては個の実力だけでは勝てないからな。バトル中の位置取りや攻撃のタイミング、生存能力は十分に戦力になり得ると思うがな」

 

 ノブナガはヤクモやアンジェリカと比べると個人の技術は劣ると言う事は否定できない。

 だが、授業でバトルをする限り、ノブナガのバトルは二人のように華やかさはないが、相手にとって攻撃し辛い場所に位置取りしていたり、相手にとっては面倒なタイミングでの攻撃、相手の攻撃から逃げる能力などは高い。

 チーム戦では個人の技術が優れていても勝てないと言う事は決して珍しくはない。

 過去の大会でも自分の実力に絶対的な自信を持っていても、一人で全国まで勝ち抜いて来たケースはない。

 大抵は実力が劣っても援護要因の僚機は連れて来ている。

 仮に一人で全国大会まで勝ち抜き、全国で戦おうと言うのであればそれは一人で圧倒的な力を持つファイターで、最低でもソレスタルスフィアのレギュラーメンバーレベルの実力は必要だろう。

 ノブナガの技術はヤクモのような最前線で戦うエースタイプではなく、エースの能力を最大限に発揮させる援護要因としての技術に長けていると言える。

 そして、ガンプラ学園のファイター達の大半は進学前の学校ではエースを張っていたファイターが大半でノブナガのように援護要因としての実力を持つファイターは貴重な人材だった。

 

「だけど……」

 

 今まで自分の実力を評価された事は殆ど無い為、ノブナガも二人の意見には懐疑的だ。

 

「私は賛成よ」

 

 どこからか現れたハクアがヤクモの意見に賛成する。

 新人戦後は全国大会に備えて情報収集に集中し、ヤクモともビルドアメイジングガンダムを受け渡しの時くらいしかハクアとは話してはいない。

 授業後はデータルームに籠っていたハクアが珍しく自分からヤクモの元にやって来た。

 

「珍しいな」

「そろそろチームを作って置いた方が良いと思ったのよ」

 

 ハクアもヤクモ一人で全国大会で戦わせようと思っている訳ではない。

 余りチームを決めるのを遅らせてしまえばバトルに影響が出る事を懸念して、情報収集よりもチームを決める事を優先させたと言う事だ。

 

「話しは聞かせて貰ったけど、自己主張をしないでエースの支援に徹するツキシマ君と自分では禄に動けず砲撃支援に徹してくれるマスグレイヴさんは私の求めるナナセ君のチームメイトとしては理想に近いわ」

 

 言い方はともかく、ハクアもノブナガとアンジェリカとチームを組む事には賛成らしい。

 

「ハクアの許しも出た事だし、俺達でチームを組もうぜ」

「そうだな。私としても一人で戦うと言うのは限界があるからな。是非にとも入れて貰えると有難い」

「……僕もヤクモ君たちがそう言うなら」

 

 ノブナガもアンジェリカもヤクモとハクアとチームを組む事は異論はない。

 話しが纏まると、ハクアはチームの登録用紙を出す。

 そこにはすでにヤクモの名とチームビルダーとしてハクアの名前が書かれている。

 ガンプラ学園ではバトルに直接は参加できず、延長戦時のインターバルにも手は出せないが、学内予選から全国大会が終わるまで参加チームのガンプラはチームのファイターがチームビルダーとしてチームのメンバーとして登録しているビルダー以外は触る事を禁止している。

 ハクアは自分をそのチームビルダーとしてチームに登録するようだ。

 

「準備が良いな。チーム名もすでに書いてあるし」

 

 登録用紙にはヤクモとハクアの名だけでなく、登録するチーム名まで書かれている。

 

「えっと……あ、あめ……」

「Amazing THE Worldよ」

「ああ、アメイジングザワールドね」

 

 登録用紙には英語表記で書かれている為、ヤクモが読むのに少し時間がかかると見るやハクアは見事な発音で読む。

 

「私と貴方は全国程度で終わらない。いずれは世界に轟き世界を驚愕させると言う意味よ」

「世界か……凄いな」

 

 ヤクモはハクアと共にガンプラバトルを続けていたいと思っている。

 その過程で勝ち続けていけばやがては全国大会だけではなく、世界大会と言った世界を舞台に戦う事もあり得る。

 ハクアの中ではすでに全国に留まらず世界まで視野に入れているのだろう。

 

「何か異論はある?」

「俺はないな。なんかカッコいいし」

 

 ヤクモも自分達のチーム名にどうしてもつけない名前がある訳ではない。

 ノブナガもアンジェリカも同様なようでチーム名はハクアが出したAmazing THE Worldで決まりだ。

 登録用紙にノブナガとアンジェリカが名前を書き、ハクアが学園側に提出した事でチームAmazing THE Worldは正式にガンプラ学園のチームの一つとして登録された。

 全国大会の裏でマシロが暗躍している事などヤクモもハクアも知るよしもなかったが、二人は新たな仲間、ノブナガとアンジェリカと共にチームAmazing THE Worldとして動き始める。

 

 

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