ガンダムビルドファイターズ White&Black ChallengerS 作:ケンヤ
ヤクモがノブナガとアンジェリカと共にチームAmazing THE Worldを結成して数日。
学園側にチームの登録を行った事で実習の一部が個人戦ではなく、チーム戦で行う事になっている。
「そっちに行ったぞ! ノブナガ!」
その日もチーム戦の実習でエリカを相手に3人でバトルを行っている。
エリカのセイバーガンダム・エペイストがヤクモのビルドアメイジングガンダムのビームをかわす。
バトルフィールドは森林エリアでビームをかわしたセイバーガンダム・エペイストは着地する。
そこにノブナガの新しいガンプラ、ガンダムヘイルズMk-Ⅱが回り込んでいた。
ガンダムヘイルズMk-Ⅱはガンダムヘイルズ改の改造機だ。
大幅な改造はされておらず、バックパックとライフル、シールドがガンダムMk-Ⅱの物に変更され、頭部にバルカンポッドが追加されている。
ガンダムヘイルズMk-Ⅱはビームライフルを放つ。
セイバーガンダム・エペイストはシールドで防ぎ、その間にディスチャージパッケージを装備したビルドアメイジングガンダムがライフルを持った状態で右腕のバックラーからビーム
サーベルを出して接近する。
「甘いんだよ」
セイバーガンダム・エペイストは上空に飛び上がると、バックパックのアムフォルタスでビルドアメイジングガンダムとガンダムヘイズルMk-Ⅱに狙いを定める。
「させるか」
セイバーガンダム・エペイストが砲撃するよりも先に後方に控えていたマグナガンダムがアグニMK-Ⅱで上空のセイバーガンダム・エペイストを狙い撃つ。
それをセイバーガンダム・エペイストはMA形態に変形してかわす。
「どうする? お前ら」
MA形態で飛行するセイバーガンダム・エペイストをビルドアメイジングガンダムとガンダムヘイズルMK-Ⅱは地上から攻撃するが、ビームが当たる事は無い。
「速い!」
「俺が突っ込む!」
距離を保ったままでビームを撃っても当たらない事に業を煮やしたヤクモが前に出る。
セイバーガンダム・エペイストはMS形態に変形するとバスターソードで迎え撃つ。
「ようやく出て来たか」
ビームサーベルでビルドアメイジングガンダムは切りかかり、セイバーガンダム・エペイストはバスターソードで受けとめるかと思われたが、向かって来るビルドアメイジングガンダ
ムを避ける。
そして、持っていたバスターソードをガンダムヘイズルMK-Ⅱに投げつける。
「しまった!」
「気が緩み過ぎだな」
バスターソードはガンダムヘイズルMK-Ⅱの片足に直撃すると、ガンダムヘイズルMK-Ⅱは尻餅をついてしまう。
セイバーガンダム・エペイストはすぐさまMA形態に変形するとマグナガンダムの方に向かう。
「抜かれた!」
ビルドアメイジングガンダムもすぐさまプラフスキーウイングを展開してセイバーガンダム・エペイストを追いかける。
「前衛は抜いて来たけど、どうする? マスグレイヴ」
「迎え撃つ!」
「行かせるか!」
マグナガンダムはアグニMK-Ⅱを、ビルドアメイジングガンダムはヴァリアブルビームライフルをセイバーガンダム・エペイストに向ける。
そこでヤクモとアンジェリカはある事に気が付く。
ビルドアメイジングガンダムとマグナガンダムはセイバーガンダム・エペイストを挟んで直線状に並んでいると言う事に。
マグナガンダムは砲撃に特化しているが故に機動力は殆ど無く、固定砲台と化している。
このままビルドアメイジングガンダムが攻撃してセイバーガンダム・エペイストがかわせばマグナガンダムは避けきれずにビルドアメイジングガンダムのビームを直撃してしまう。
同様にマグナガンダムが砲撃を行えばビルドアメイジングガンダムに当たりかねない。
ビルドアメイジングガンダムはマグナガンダムとは違い、機動力は十分で自分で避ける事も出来るが、MA形態のセイバーガンダム・エペイストにビルドアメイジングガンダムはプラフ
スキーウイングを使えば真っ直ぐ飛べば追いつけるかも知れない。
だが、砲撃を避けさせた場合、ギリギリセイバーガンダム・エペイストに追いつけずにマグナガンダムを自らの間合いにまで距離を詰められるかも知れない。
ヤクモとアンジェリカは一瞬、迷いが生じてしまう。
その迷いをエリカが見逃す訳もない。
セイバーガンダム・エペイストはMS形態に変形すると、急制動をかける。
最大速度で追いかけて来た上に迷いでヤクモは完全に反応が遅れ、セイバーガンダム・エペイストに追突際に膝蹴りを受けて仰向けに倒れる。
「これで終わりだ」
倒れるビルドアメイジングガンダムにセイバーガンダム・エペイストはソードライフルを向ける。
足をやられて機動力を失ったガンダムヘイズルMK-Ⅱに砲撃すればビルドアメイジングガンダムを巻き込むマグナガンダムはビルドアメイジングガンダムを援護する事が出来ない。
そして、バトル開始から15分が経ち、バトル終了のアナウンスが入る。
「これでバトルは終わりだ。今回のバトルのレポートを提出しておけよ」
バトルは勝ち負けを付ける物ではなく、エリカによる指導のバトルである為、公式戦の制限時間である15分をフルに使った上でバトルの結果を振り返って課題を見つける事までは授
業だ。
傍から見てもチームとしては機能はしていない為、課題は幾らでも出て来るだろう。
ヤクモ達のバトルが終わり、エリカは次のチームのバトルを始めた。
受け持っているチームのバトルを一通り終えたエリカは職員室に戻り、今日のバトルをまとめていた。
生徒達に課題を出したが、自分でも生徒達のバトルを見直して課題を洗い出す必要がある。
「チームを作って間もないってのもあるが、勿体ないな。個人の実力は悪くないってのに」
纏めているとヤクモ達のバトルが目に付いた。
エリカから見てもヤクモ達のAmazing THE Worldは個人の実力は悪くはない。
だが、決定的にチームとしてかみ合ってはいない。
出来たばかりのチームがチームとしてかみ合わないと言う事は珍しい事ではない。
かみ合わず試行錯誤を繰り返し、時にはチーム内で意見をぶつけてチームとして完成して行く。
出来たばかりのチームがかみ合わない要素は細かく分けると無数にあるが、大きく分けると二つある。
一つ目はチーム戦である事を意識しなさ過ぎると言う事だ。
個人戦が長いファイター同士がチームを組むと頭ではチーム戦だと分かっていても、いざバトルとなると個人戦と同じ要領でバトルする事により互いに自分のやりたいようにやって互
いに足を引っ張り合って本来の実力を出せなくなる。
入学時からある程度の実力を持つガンプラ学園では良くある事だ。
もう一つはチームである事を意識し過ぎる事だ。
チームである事を必要以上に意識する事でチームメイト同士がチームメイトの為に動き結果として自分の持ち味を出せなくなる。
ヤクモ達が陥っているのはこちらだ。
チームの中で最も性能の良いビルドアメイジングガンダムを持つヤクモが後方から支援するアンジェリカのマグナガンダムの砲撃の邪魔にならず、いざという時は機動力が殆どないマ
グナガンダムに敵を近づけさせないように普段のバトルよりも前に出ないように心掛けている為、エリカとのバトル時に決定打を与える事が出来ずにいた。
これが普段のように来られていたら、ガンプラの性能差でエリカも手こずっていただろう。
同時にアンジェリカもまた、前に出ているヤクモとノブナガのガンプラに被害を出さないように砲撃の手数が普段のバトルの10分の1も行っていない。
ノブナガも位置取りは良いが、攻撃がビルドアメイジングガンダムに当たりそうな時は一瞬躊躇してワンテンポ遅れる事が何回もあった。
3人がチームメイトの邪魔にならないようにしたせいで互いの持ち味を出せていなかった。
「つってもな……」
今回のバトルだけでも多くの問題点を見つける事が出来る。
それを指導すれば問題点をクリアする事は難しい事ではないだろう。
しかし、それでは意味はない。
チーム戦においては様々なセオリーは存在するが、セオリー通りに戦い事が正しいと言う訳でもない。
どのチームにおいても問題点に対して、どのような答えを出すかによりチームの戦い方は変わって来る。
エリカは指導すれば、ヤクモ達は従うだろうが、それはチームの在り方を決めてしまうと言ってもいい。
出来たばかりで未知数のチームを綺麗に纏めてしまう事がヤクモ達の為になるとは思えない。
ある程度は方向性が纏まっているチームならその方向性に沿った指導をすれば良いが、この手のチームはいつも判断に困る。
エリカが口を出さずともあっさりとチームとして機能する事もあれば、どうやっても上手く機能する事なく、チームとして大成する事も無く消えて行くことも珍しくはない。
「シシドウ先生。よろしいですか?」
「お前がアタシのところに来るなんて珍しいな」
ヤクモ達の指導方針を決めかねていると、ハクアがエリカに話しかけて来る。
エリカはビルダー専攻の生徒とは接点を持つ事は無い。
その為、ハクアとも学園内では殆ど話した事は無い。
「先生にお願いがあります」
「これまた珍しいな」
ハクアがエリカのみならず、学園の教師に頼みごとをする事は余りない。
わざわざそんな事をしなくても、クロガミ家の力を使えば大抵の事はどうにかなる。
「私のチームの練習相手を紹介して下さい」
「アタシに頼むって事は学外って事だよな?」
ハクアはコクリと頷く。
エリカもハクアがわざわざ自分に頼んで来た理由が分かった。
クロガミ家の力でなら、ヤクモ達の練習相手を用意する事など造作もない。
その気になれば世界トップレベルのチームを10も20も用意する事は出来るだろう。
しかし、ガンプラ関連の事になるとどうしても、ハクアの叔父であるマシロの力を借りる事になる。
エリカもハクアとマシロの微妙な関係は知っている。
ハクアはマシロの力を借りたくはないからこそ、学園内で最も頼みやすいエリカに頼んで来たと言う訳だ。
「学園関係の繋がりではなく、先生個人の伝手で、実力は世界レベルである必要はありません。ある程度はナナセ君たちと拮抗しながらも、チームとしての実力は格上で、出来るだけ早
いうちにバトルが出来るように調整して欲しいです」
ハクアは紹介して貰う対戦相手の条件を並べていく。
頼んでおいて色々と注文を付けて来るところは、叔父そっくりだと思うも、それを口に出せば色々と面倒になる事は分かり切っている為、エリカも敢えて口には出さない。
エリカも個人的にも色々なところに伝手を持っており、顔も効く。
その中からハクアが望む練習相手がいないか考える。
「そうだな……アイツのところなんて丁度良いな」
条件が多いが、エリカの中でちょうどいい相手が思い浮かんだ。
エリカはすぐにメモに何やら書いてハクアに渡す。
「明日にでもそこに行って来い。話しの方は私が通しておく」
「ありがとうございます」
ハクアはメモを受け取るとメモの内容を確認すると、一礼して去って行く。
マシロとは違い最低限の礼節は弁えてはいるが、用事が済むと世間話も無くさっさと行動して行く様子はやはりマシロに似て来ていると思いながらも、それを伝える事は無い。
「これで何かがあってくれると良いんだがな」
エリカはそう思いながら、電話に手を伸ばす。
ハクアがエリカに練習相手の相談をした翌日、ヤクモはノブナガとアンジェリカと共に学園から出かけていた。
ハクアは用件だけを使えると、相変わらず情報収集に余念がない。
ヤクモ達もエリカとのバトルで自分達の課題は多少なりとも見えて来たが、未だに具体的な解決案は出せずにいた。
「テレビで見た事はあるけど凄いな」
「僕もここには余り来ないからね」
「設備なら学園の方が充実しているからな」
3人が訪れたのは国内最大級のガンプラ専門店、ホワイトファングだった。
ホワイトファングは数年前にマシロが世界大会に出場する為に静岡地区のファイターの情報を集める為に作った店だ。
現在ではマシロの手を離れてクロガミグループからも独立している。
ヤクモもテレビで紹介された時に見た事はあるが、実際に来たのは今日が初めてだ。
ノブナガも中等部の頃からガンプラ学園にいるが、ここに来た事は無いらしい。
国内最大級のガンプラ専門店だが、ガンプラ学園の方がガンプラ関連の資料やバトルの環境としては整っている為、わざわざ学園からこっちに来る生徒は殆どいない。
「客も結構いるな。それに熱気は凄いのに学園とは雰囲気がまるで違う」
3人は店の中に入る。
店内のバトルシステムの大半は使用中で、店内は熱気に包まれている。
「けど……何か懐かしいな。この感じ」
ガンプラバトルをしているのは子供から大人、老人まで様々だ。
ガンプラ学園は勝つ為に腕を磨く為に必死になっている熱気だが、ここでは勝敗よりもバトルを楽しんでいる熱気を感じる。
それはヤクモが静岡に来る前にいた東京でのバトルと同じだ。
あの頃とは違い、ヤクモは明確に勝つ為にバトルを行い、勝つ為に日々練習に励んでいる。
だが、勝つ為のバトルもヤクモにとってはハクアとバトルを続けないと言う思いからで、方向性は違ってもあの時のバトルと今のバトルは同じバトルなのだろう。
「それで先生が手配してくれた相手と言うのはどこにいる?」
「人が多すぎるからな……」
ハクアから渡されたメモには場所しか書かれていない。
ホワイトファングの店内には多くの客がおり、中高生に絞っても相当な数がいる。
今回はエリカの紹介と言う事で相手は自分達とは同年代とも限らない。
更に言えば、時間も明確に指定されていない為、店内にいるかすら怪しい。
「ちゃんと確認して来てからの方が良かったね」
「だよな」
チームを作ったのは良いが、チーム戦が上手くかみ合わない焦りもあったのか、ハクアに任せきりで碌に相手の事や練習の日取りを確認する事無くここまで来てしまった。
これではハクアと一緒にバトルするのではなく、ハクアに任せきりのバトルでしかない。
「君たちがエリカの生徒だね」
困り果てていたヤクモ達は声をかけられる。
「えっと……」
年は自分達よりも上でエリカと同年代だと思われる男は気の強そうなエリカとは正反対でどこか弱弱しさを感じる。
店のロゴの付いたエプロンをしてる為、店員だと言う事はすぐに分かる。
「もしかして……タチバナ・アオイさんですか?」
ヤクモはその店員に見覚えがあった。
かつて、エリカと共に日本の代表の一人として世界大会に出場していたファイターの一人、タチバナ・アオイだ。
アオイは高校を卒業し、現在はホワイトファングで働いているらしい。
世界大会に出た事もあって、ヤクモのみならず、ノブナガやアンジェリカもアオイの事は知っている。
「うん。そうだよ」
「俺達、シシドウ先生からここに来るように言われているんですけど」
「話しは聞いてるよ。付いていて」
すでにアオイの方にもエリカから話が通っているらしい。
3人はアオイに先導されて店の上に向かう。
「エリカと僕は高校の同級生でね。今回はその関係で、君たちの練習の相手をする事になったんだよ」
「相手ってタチバナさんがですか?」
「それも良いと思ったんだけどね。丁度ウチの子たちも練習相手を探してたんだよ」
エリカが手配した練習相手はアオイかと思われたが、どうやら違うらしい。
「ウチの子ですか?」
「うん。僕はここで働きながら母校のガンプラ部の監督もお願いされていてね」
アオイやエリカの母校蒼雲高校はアオイ達が世界大会に出場したと言う事もあり、ガンプラバトルに力を注いでいる。
その甲斐もあり、去年は全国大会に出場している。
「タチバナさんやシシドウ先生の母校って……」
去年の全国大会出場高と言うだけでなく、そのチームは去年ワンマンチームとはいえカイトを破っているチームだ。
カイトには新人戦で実質的な敗北をしているヤクモは否応なく緊張する。
「紹介するよ。蒼雲高校ガンプラ部、チーム『ブルーバスターズ』」
ちょうど、ホワイトファングのチーム専用ルームに到着する。
ホワイトファングには一部のチーム用に一般客は入れないチーム専用の個室がいくつも用意されている。
ホワイトファングの設備はガンプラ学園を除けば県内だけでなく国内でもトップクラスと言える。
蒼雲高校ガンプラ部も校内に部室はあるが、こちらの方が設備や練習相手に困らない為、普段はこっちで練習している。
「監督、彼らが?」
「そうだよ。僕の同級生がガンプラ学園に勤めていてね。丁度彼らも練習相手を探しているみたいだからね」
チームブルーバスターのリーダーであるシライシ・ソウタがチームを代表して話す。
アオイがヤクモ達を紹介すると、ソウタ達は少し驚きながらヤクモ達を見る。
ガンプラ学園は静岡県内だけでなく、国内でもその名は知れ渡っている。
「彼らが……」
「俺らは今年入ったばかりの1年ですけど」
「それでもガンプラ学園に入れるだけでも相当な物さ」
ヤクモ達からすればガンプラ学園に入学して間もなく、自分達以上の先輩は大勢いると思っているが、外部のソウタ達からすればガンプラ学園に入学できるだけでも実力は十分だ。
「立ち話もなんだからまずはバトルを始めようか」
「分かりました。すぐに準備を始めます」
「俺達もすぐに始めます」
ヤクモ達とブルーバスターズはバトルの準備を始める。
「相手は1年生とはいえガンプラ学園のファイターだ。気を引き締めて行くぞ」
「シシドウ先生が折角組んでくれたんだ。何かを得て帰ろう」
それぞれのチームの準備が整いバトルが開始される。
バトルフィールドは宇宙で比較的にデブリの多いフィールドでのバトルだ。
「まずは様子見で仕掛ける」
ブルーバスターズのリーダーであるソウタのブルバスターガンダムは制動をかける。
ブルバスターガンダムはンダムSEED C.E.73 STARGAZERに登場するヴェルデバスターガンダムの改造機だ。
ヴェルデバスターガンダムをベースに同作品に登場するブルデュエルガンダムを取り入れたガンプラだ。
全体的に青系の塗装をし、両肩にはレールガンの付いた大型のアブソーブシールドが追加され、リアアーマーにはスティレット投擲噴進対装甲貫入弾が6発分内蔵されている。
脚部はブルデュエルの物に変更されている。
「トウヤ、ハルオは回り込んでくれ」
ソウタが指示を出し、チームメイトのトウヤとハルオのブルーデスティニーとジャハナムカスタムがそれぞれ左右に分かれる。
ブルーデスティニーは機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINYに登場するブルーディステニー一号機の改造機だ。
本体に大幅な改造点はないが、バックパックが機動戦士ガンダムSEED DESTINYのデスティニーガンダムのパックパックに変更されている。
ハルオのジャハナムカスタムはガンダム Gのレコンギスタの宇宙用ジャハナム(クリム・ニック機)をベースにバックパックをモンテーロのシールドを流用した高機動フライトユニッ
トを装備し、シールドにはヘカテーのプラズマサイズが装備されシールドに装備した状態でもガトリング砲が使えるようになっている。
手持ちの火器はベース機と同じビームライフルを持っている。
僚機が展開すると、ブルバスターガンダムの肩のビームライフルとガンランチャーがアームで稼働する。
ベース機のヴェルデバスターは固定されていた武器だが、ブルバスターガンダムは本体と火器をアームで接続する事で射角を確保するのと同時にオミットされていた連結機能を復活さ
せていた。
ビームライフルを先に接続し、超高インパルス長射程狙撃ライフルとなる。
「狙いは先頭の……」
超高インパルス長射程狙撃ライフルを肩に構えて、ビルドアメイジングガンダムに狙いを定める。
射程に入り、僚機がある程度距離を詰めた事で引き金を引く。
ブルバスターガンダムが放ったビームはディスチャージパッケージを装備していたビルドアメイジングガンダムのアブソーブシールドに吸収されてしまう。
「ビームが吸収された? アブソーブシステムか……トウヤ、ハルオ! アイツにビーム兵器は使うなよ!」
ビームが吸収されて狙撃がかわされた事は想定外だったが、ソウタはすぐにチームメイトに指示を出す。
同時にブルバスターガンダムを加速させる。
ブルバスターガンダムの狙撃で戦端が開かれてバトルは本格的に開始された。
「いきなり狙撃かよ」
「撃って来たって事は友軍機が近くまで来てるかも知れないよ」
周囲を警戒していると、デブリに隠れていたブルーデスティニーが飛び出してマシンガンを連射する。
ビルドアメイジングガンダムとガンダムヘイズルMk-Ⅱは散開する。
2機が散開した事で射線の空いたマグナガンダムが後方からアグニMk-Ⅱで砲撃を行うが、ブルーデスティニーは回避する。
「やっぱり近くまで来ていたか!」
「ヤクモ君! 前!」
襲撃して来たブルーデスィニーに気を取られている間にジャハナムカスタムが回り込みシールドに付いているガトリング砲をビルドアメイジングガンダムに向けていた。
ビルドアメイジングガンダムはアブソーブシールドから粒子障壁を展開してジャハナムカスタムの攻撃を防ぐが背後にブルーデスティニーが回り込んでいた。
「ヤクモ君!」
すぐにノブナガが援護に向かおうとするが、後方から迫って来ていたブルバスターガンダムが両手の複合バヨネット装備型ビームライフルで妨害する。
「悪いが援護はさせない!」
ビームをかわしながらガンダムヘイズルMk-Ⅱはビームライフルで応戦するが両肩の大型アブソーブシールドでビームは吸収されてしまう。
「振り切れない! アンジェリカさん!」
「こちらかでは無理だ」
ブルバスターガンダムの攻撃はガンダムヘイズルMk-Ⅱを撃墜する事よりも、ビルドアメイジングガンダムの援護に向かわせないように狙って来ている。
機動力では重装備のブルバスターガンダムよりも軽装備のガンダムヘイズルMk-Ⅱの方が高いが、振り切って援護に向かう事が出来そうに無い。
バトルフィールドの後方に控えているアンジェリカのマグナガンダムを2機を相手に混戦状態のヤクモに援護の砲撃を入れれば下手をすればヤクモも巻き込みかねない為、援護の砲撃が
出来ずにいた。
「ヤクモも自力ではあの2機を振りきれないか……ならば」
遠目で見ているだけでもビルドアメイジングガンダムがブルーデスティニーとジャハナムカスタムを振り切れないでいる事が分かる。
アンジェリカは少し考えると機体をヤクモの方へと加速させる。
「ノブナガの方には行かせない気か!」
ビルドアメイジングガンダムはヴァリアブルビームライフルを放つ。
ブルーデスティニーはビームを回避してマシンガンで反撃する。
それをビルドアメイジングガンダムはシールドから粒子障壁を展開して防いでいると背後にはジャハナムカスタムが回り込みビームライフルを向けている。
ジャハナムカスタムの放ったビームをアブソーブシールドで吸収する事は出来るが、それをやってしまうと今度はブルーデスティニーの攻撃をまともに受けてしまう為、ビルドアメイ
ジングガンダムは回避するしかない。
「さっきからこっちを挟み込むように陣取ってる……」
ブルーデステニーもジャハナムカスタムも完成度はガンプラ学園で戦ったガンプラと比べるとヤクモが見ても劣っている。
ファイターとしての実力もだ。
それでも2機がかりで完全にヤクモは抑え込まれている。
常に2機がビルドアメイジングガンダムを挟み込むように位置し、それでいてビルドアメイジングガンダムが攻撃を回避しても互いの攻撃で同士討ちをしないようにもしている。
その上、ビーム兵器を使う事を控え実弾をメインに攻めてビームを使う時は必ずビルドアメイジングガンダムがビームを吸収できない状況で使って来る。
2機の戦い方は2対1での戦い方や対アブソーブシステムの教科書に載っている基本的なやり方だが、上手く連携を取る事でビルドアメイジングガンダムの機体性能だけではごり押しが出
来ずにヤクモも手こずっている。
「ノブナガの援護に行かないといけないってのに!」
ノブナガの方も劣性とまではいかないが、ソウタのブルバスターガンダムに手こずっており、ヤクモは援護に向かおうとしたいのに完全に抑えられている事で焦りが生まれている。
ジャハナムカスタムを牽制していると背後からブルーデスティニーがバックパックの対艦刀「アロンダイト」で切りかかって来る。
それを回避してヴァリアブルビームライフルを向けるが、ジャハナムカスタムがガトリング砲で妨害する。
「邪魔を!」
ビルドアメイジングガンダムはプラフスキーパワーゲートを正面に展開し、ヴァリアブルビームライフルを撃ち込む。
撃ち込まれたビームは拡散して2機を同時に攻撃する。
「やったか!」
射線上のデブリごと攻撃した事でデブリにもビームが直撃し、破壊されたデブリで2機を見失う。
少しするとデブリの影からジャハナムカスタムが飛び出して来てガトリング砲を放つ。
「そこか!」
ビルドアメイジングガンダムはすぐさまジャハナムカスタムにヴァリアブルビームライフルを向けるが、すぐにジャハナムカスタムはデブリの影に引っ込むと、別のデブリからブルー
デスティニーがマシンガンを撃ちながら突っ込んで来る。
ブルーデスティニーを迎撃するが、ブルーデスティニーはマシンガンを捨てるとアロンダイトを抜く。
それと同時に隠れていたジャハナムカスタムもガトリング砲を撃ちながら突っ込んで来る。
ブルーデスティニーの一撃をかわすが、時間差でジャハナムカスタムがビームライフルを捨ててシールドのプラズマサイスで切りかかって来た。
かわす事が出来ずにビルドアメイジングガンダムはシールドで受け止める。
「そんな事で!」
ガンプラの性能差は歴然でビルドアメイジングガンダムはすぐにジャハナムカスタムを弾き返そうとするが、初撃をかわされたブルーデスティニーはバックパックの高エネルギー長射
程ビーム砲を構えていた。
「しまっ!」
「させるか!」
ブルーデスティニーが今まさにビームを撃とうとする時、後方から少ない推力で重たい機体を戦闘宙域まで運んできたマグナガンダムがビルドアメイジングガンダムの戦闘に割り込ん
で来る。
「何!」
「アンジェリカ!」
「超重装備を舐めないで貰おう!」
ビームの発射体勢だったブルーデスティニーは狙いをすぐさまマグナガンダムに変える。
長距離の砲撃なら油断さえしなければ致命傷を受けない自信は彼らにはあった。
だが、ここまで距離を詰められての広範囲攻撃をされるとブルーデスティニーもジャハナムカスタムも一溜りもない。
ブルーデステニーのビームをマグナガンダムは4枚のシールドで自分を覆うように守りながらブルーデスティニーに突っ込んで行く。
「止まらない!」
「違うな。止まらないのではない。止まれないのだ!」
強引に加速して戦闘宙域まで到達したマグナガンダムの移動速度は決して速いとは言えない。
だが、その速度ですら超重装備のせいで重量の並のガンプラよりも重いマグナガンダムはすでに自身の推力だけでは止まれない。
「ヤクモ! 後は任せた!」
ブルーデスティニーのビームに被弾しながらも、マグナガンダムは止まる事なくブルーデスティニーに突っ込む。
相手が止めきれないと悟り回避しようとした時にはすでに遅く、マグナガンダムはブルーデスティニーに突撃した。
超重装備が故の重量は速度は遅くとも、追突時の衝撃はブルーデスティニーに大ダメージを与えるのに十分でブルーデスティニーに直撃し、ブルーデスティニーを巻き込んで大爆発を
起こした。
「ああ……任された!」
ビルドアメイジングガンダムはジャハナムカスタムを弾き飛ばす。
そして、ヴァリアブルビームライフルをジャハナムカスタムに向けた。
今までは2機で連携する事で接近時のリスクを軽減して来たが、僚機のブルーデスティニーはマグナガンダムと相討ちになっている。
一対一の状況でこの距離での射撃をかわす事は出来ない。
ビルドアメイジングガンダムはジャハナムカスタムにヴァリアブルビームライフルを数発撃ち込んで撃破するとすぐさまソウタと交戦中のノブナガの元に向かう。
ヤクモが抑えられている中、ソウタの方もバトルは膠着状態が続いていた。
ソウタはブルーバスターズの中でも飛び抜けた実力を持つエースで、ノブナガはAmazing THE Worldの中でも目立った実力は無い。
だが、ノブナガもガンプラ学園の受験に合格するだけの実力は持っている。
その為、ソウタと一対一で戦ったとしてもそう簡単にやられる事もない。
「ノブナガ!」
「ヤクモ君!」
ビルドアメイジングガンダムはプラフスキーウイングを展開し、ヴァリアブルビームライフルを連射しながらブルバスターガンダムとガンダムヘイズルMK-Ⅱの戦闘に割り込んで来る。
ブルバスターガンダムはビームを回避しながら両肩の大型アブソーブシールドに付いているレールガンでビルドアメイジングガンダムを攻撃する。
その間に両手のビームライフルをドッキングさせて連装キャノンモードにしてガンダムヘイズルMK-Ⅱを狙う。
ビルドアメイジングガンダムと合流した事で、ノブナガも気が緩んでいたのか反応が少し遅れ、ガンダムヘイズルMK-Ⅱはとっさにシールドを掲げるが、ビームはシールドごとガンダム
ヘイズルMK-Ⅱの左腕を吹き飛ばした。
「ノブナガ! この!」
ビルドアメイジングガンダムはヴァリアブルビームライフルを放つが、ブルバスターガンダムは大型アブソーブシールドでビームを吸収する。
「ビームが効かない! いつもは当たり前のように使ってるけど、敵に回して見ると滅茶苦茶厄介だな」
ビルドアメイジングガンダムは胸部のバルカンを連射する。
ビルドアメイジングガンダムの火器は胸部のバルカン以外には手持ちのヴァリアブルビームライフルしかない。
同様にノブナガのガンダムヘイズルMK-Ⅱも手持ちの火器はビーム兵器だ。
どちらも距離を取った状態での撃ち合いではブルバスターガンダムの大型アブソーブシステムで完封されてしまう。
「なら接近戦だ!」
ビルドアメイジングガンダムは右腕のバックラーからビームサーベルを出すと一気に加速してブルバスターガンダムに接近する。
ブルバスターガンダムは迎え撃つ為に肩のガンランチャーとビームライフルをガンランチャーを前にしてドッキングさせる。
ドッキングした対装甲散弾砲でビルドアメイジングガンダムを迎え撃つ。
それをビルドアメイジングガンダムはシールドから粒子障壁を展開して強引に突破する。
ビームサーベルの間合いまで入ったビルドアメイジングガンダムはビームサーベルを振るい、それをブルバスターガンダムは手持ちのライフルのバヨネットで弾く。
「くっ!」
「悪いけど俺のブルバスターは接近戦も出来るんでね!」
ブルバスターガンダムはもう片方のバヨネットを突き出す。
ギリギリのところでビルドアメイジングガンダムはかわすが、刃は頭部の横を掠め、胸部のバルカンの片方が潰されてしまう。
そして、ブルバスターガンダムは至近距離からビルドアメイジングガンダムにミサイルを撃ち込む。
ビルドアメイジングガンダムは後退しながらバルカンでミサイルを迎撃するが、片方のバルカンを潰されている為、迎撃しきれない。
「避けきれない!」
「ヤクモ君!」
ミサイルを迎撃しきれないビルドアメイジングガンダムをガンダムヘイズルMk-Ⅱがビームライフルで残ったミサイルを撃ち落した。
「ノブナガ! 助かった!」
「先に君の方を叩かせて貰うよ!」
ブルバスターガンダムは先にガンダムヘイズルMk-Ⅱに狙いを定めた。
両手のビームライフルと肩のガンランチャーとビームライフルの4つの火器でガンダムヘイズルMK-Ⅱに集中砲火を浴びせる。
「ノブナガ!」
シールドを失っているガンダムヘイズルMk-Ⅱは防御が出来ない為、デブリに当たらないようにかわすしかない。
ヤクモが援護しようとするが、ソウタはブルバスターガンダムの肩の大型アブソーブシールドに付いているレールガンは使わずにいつでもビルドアメイジングガンダムのビームを吸収
できるようにしている為、ヤクモも迂闊にビームは使えない。
「くっそ!」
「このままじゃ持たない……だったら」
ブルバスターガンダムのビームがガンダムヘイズルMK-Ⅱの右腕を撃ち抜く。
右腕を失いながらもガンダムヘイズルMK-Ⅱは大きなデブリに身を隠した。
「こちらの粒子残量は十分に残っている。このブルバスターの火力を持ってすればその程度のデブリなど!」
ブルバスターガンダムはビームライフルをドッキングさせる。
連装キャノンモードのビームライフルは最大火力でデブリをぶち抜く。
デブリをぶち抜いて尚、ブルバスターガンダムのビームは威力が衰える事無く、正確にガンダムヘイズルMK-Ⅱに向かっている。
デブリで姿を隠したが、ブルーバスターズのコーチをしているアオイは世界大会においてもトップレベルの射撃精度を持っていたファイターだ。
そんなアオイの指導を受けている彼らにとってデブリで一瞬姿を隠した程度では狙いを外す事は無い。
「安心したよ。正確な射撃で……ヤクモ君。後は任せたよ」
「ノブナガ!」
ソウタはデブリをぶち抜いた時にビームの威力が落ちる事を想定し、粒子残量が十分な事もあり、高い威力のビームで正確な射撃を行った。
ブルバスターガンダムのビームは狙い通りガンダムヘイズルMK-Ⅱを貫いたが、ノブナガはただデブリに身を隠して相手の射撃から逃れようとしていた訳ではなかった。
デブリに隠れれば相手はデブリを避けて回り込むか、デブリを先に破壊するか、デブリをぶち抜いて狙って来るかをする事は容易に想像がついた。
その中でどれをやって来るかは賭けだったが、ソウタはデブリをぶち抜いて狙って来る事を選択した。
デブリを撃ち抜きガンダムヘイズルMK-Ⅱを破壊する為に高出力のビームを使った事でビームはガンダムヘイズルMK-Ⅱを破壊しても尚、その威力を保っていた。
そして、その先にはヤクモのビルドアメイジングガンダムがいた。
「アレは……まさか!」
ソウタがノブナガの思惑に気が付いた時にはすでに遅かった。
ノブナガがデブリに隠れたのは自身の身を守る為ではなかった。
集中砲火に晒されながらも、機体をヤクモのビルドアメイジングガンダムとブルバスターガンダムの間に入り込むように逃げ続けた。
それに気がつかずにソウタは最大火力を使い攻撃した。
ガンダムヘイズルMK-Ⅱを撃破したビームは今度はビルドアメイジングガンダムに一直線に向かっている。
「アンジェリカ……ノブナガ……確かに受け取った!」
ビルドアメイジングガンダムはアブソーブシールドを掲げてビームを受ける。
デブリとガンダムヘイズルMK-Ⅱを破壊したビームだが、ビルドアメイジングガンダムのアブソーブシールドまでは貫く事が出来ずにビルドアメイジングガンダムはビームを吸収する。
ビームを吸収した事でビルドアメイジングガンダムは十分な量の粒子を蓄える事が出来た。
「今度はこっちから!」
ビルドアメイジングガンダムのバーストモードが発動し赤く光り輝く。
同時にビルドアメイジングガンダムはヴァリアブルビームライフルを構え、プラフスキーパワーゲートをライフルの前方に展開する。
「コイツなら!」
ヴァリアブルビームライフルのビームがプラフスキーパワーゲートを通過し、ビームの威力を高めたハイパーバーストがブルバスターガンダムへと向かって行く。
射線上には多数のデブリが存在していたが、バーストモードで解放された膨大な粒子に加えプラフスキーパワーゲートで強化されたハイパーバーストは射線上のデブリを一瞬の内に跡
形もなく消滅させていく。
「っ! 回避は出来ない……ならば!」
砲撃体勢を取っていたブルバスターガンダムはハイパーバーストをかわすだけの余裕はない。
かわせないと判断したソウタは慌てる事無く、両肩の大型アブソーブシールドを前方に向ける。
威力を増しているとは言ってもハイパーバーストはビームである以上は大型アブソーブシールドで無力化、吸収する事は可能だ。
「このまま押し切る!」
大型アブソーブシールドを2つがかりでビームを吸収しているが、バーストモードを発動した上でのハイパーバーストはそう簡単に吸収しきれるものではない。
次第にブルバスターガンダムはビルドアメイジングガンダムのビームに押され始めていく。
「チームのエースである以上はそう簡単にやられる訳には!」
圧倒的な威力のビームに押され始めるブルバスターガンダムだが、機体を傾ける。
それによりビームが曲がりブルバスターガンダムの大型アブソーブシールドはハイパーバストで押し切られて跡形もなく吹き飛ぶが、ビームがブルバスターガンダムの本体を焼く事ま
では避けられた。
「ハァハァ……まだやれるな」
「くっそ……仕留めきれなかった。けど、まだ何とかなる!」
ブルバスターガンダムは大型アブソーブシールドが破壊された時の余波で両手のライフルが破壊されていた。
その為、脚部に付いているビームサーベルを抜く。
大型アブソーブシールドとライフルを失い本体も無傷とは言えないが、肩のビームライフルとガンランチャーの使用は可能で、粒子もハイパーバーストを吸収していた分だけは使う事
が出来る。
対するビルドアメイジングガンダムはハーストモードとディスチャージシステムの併用で先ほど吸収した粒子に元々蓄積していた粒子の大半を使い切ってまともに戦える状態ではない
。
それでもヤクモはヴァリアブルビームライフルを構える。
「ノブナガやアンジェリカに託されたんだ。諦めて堪るか」
ビルドアメイジングガンダムとブルバスターガンダムは微動だにもせずに睨みあっている。
ヤクモは機体の粒子残量が殆ど残っていない為、迂闊に動けば僅かな粒子も使い切り勝機は完全になくなる。
ソウタもガンダムヘイズルMK-Ⅱを仕留める際にミスをして危うく負けかけた事もあり、ヤクモの出方を慎重に窺っていた。
2機のガンプラが睨みあっていた時間は僅かだったが、二人にはその時間はとても長く感じていた。
互いに慎重になり、硬直状態に入ろうとした瞬間、バトルシステムがバトルの終了を告げた。
「え?」
勝負が付いていないのにもかかわらずバトルが終了した事でヤクモは呆気にとられていた。
始めはその理由が理解出来なかったが、少し落ち着くとバトルの制限時間が無くなっていた事による物だと気が付いた。
バトルに集中していた為、残りの時間など気にも留めてはいなかったが、ヤクモが2機のガンプラに翻弄されて、ノブナガがソウタのブルバスターガンダムから逃げていた時間はかなり
長時間になっていたらしい。
「良いところだったのにな。引き分けか……」
対戦相手のソウタも緊張が解けてそう言う。
「違うよ。残念だけとこのバトルは君たちの負けだよ。ソウタ」
チーム戦の場合、公式ルールでは時間切れの場合、互いに残っていたガンプラの数で勝敗が決まる。
互いに残っていたガンプラは1機同士である為、このバトルの勝敗は引き分けだとソウタは判断するが、それをアオイが否定する。
ヤクモもバトルが引き分けだと思っていた為、アオイの予想外の否定に首を傾げていた。
それを見たアンジェリカが不満そうな声を出した。
「私のマグナはまだあれしきの事でやられる程、軟ではないぞ」
「そう。彼女のガンプラはまだ撃墜判定を受けてなかったんだよ」
バトルをしていた6人のファイターの中でアンジェリカ以外の5人は皆、アンジェリカのマグナガンダムはブルーデスティニーと相討ちになったと思っていたが、アオイだけは見逃して
はいなかった。
ブルーデスティニーと激突した事でブルデスティニーはやられたが、マグナガンダムは装備を全て使用不能となり、自力では動けない状態になったものの辛うじてバトルシステムが撃
墜されたと認定するには至らなかった。
アンジェリカもそんな状態ではヤクモの足手まといにしかならないと思い、戦闘には参加していなかったが、ルール上は虫の息のガンプラでも無傷のガンプラでも残りの機数には1機と
してカウントされる。
その為、ヤクモ達、Amazing THE Worldの残りのガンプラ数は2機としてカウントされ、ソウタ達ブルーバスターズの残りガンプラは1機でヤクモ達が判定勝ちとなる。
「成程……やられたな」
ソウタも説明を受けて納得する。
思いかけず勝利したヤクモ達も素直に勝利を喜べずにいた。
「ヘイズルを仕留めた時もそうだけとソウタは集中すると余り周りが見えなくなるから、気を付けないとね。射撃の腕は良いんだからさ」
「……はい」
アオイはソウタに注意点を指摘する。
ソウタもこのバトルを通じて嫌と言う程、それを思い知らされた。
アオイのアドバイスを受けて、ソウタはヤクモ達の方を向く。
「流石はガンプラ学園だよ。俺も全国に通用するレベルだと自負してたがまだまだのようだ」
「俺達もまだまだですよ」
バトルに勝ったが、その勝利自体運が良かっただけだとヤクモは思っていた。
このバトルでも連携はお世辞にもかみ合ったとは言えず、アンジェリカとノブナガが身を挺してチャンスを作ってくれたからこそあそこまでやらたが、毎回のように二人を犠牲にして
戦う訳にもいかない。
その上、そこまでしても尚、実質的な引き分けだ。
「そうだね。君たち個々の能力はうちのソウタと同等かそれ以上かも知れない。だけど、致命的にチームとして機能していない。エリカから聞いていた通りだよ」
アオイも事前にエリカからヤクモ達のチーム事情は聞いていた。
実際にバトルを見て、個人の実力はあってもチームとしては機能していないのが良く分かる。
「自分の指導しているチームじゃないから、余り色々と言っても仕方がないから、一つだけ。チームメイトの事を考えて行動するのは良い事だけとそれだけじゃチームとしては駄目だよ
」
アオイの言葉はヤクモ達には分かるようで分からない。
アオイもそれ以上は何も言わない。
「後は俺達で考えて見ます」
「うん。そうだね」
「次に会う時は全国大会になる。その時までに互いに実力を付けて全国大会で今日のリベンジをさせて貰う」
「いえ……その時に今日の決着を付けようですよ。俺達も今日のバトルは勝った気がしないので」
結果の上ではヤクモ達の勝ちではあるが、ヤクモ達にとっては今日のバトルは勝ったとは言えない。
「そうか……なら次に会う時は俺達が勝つ」
「俺達だって負けませんよ」
ヤクモとソウタはチームを代表して握手を交わした。
Amazing THE Worldとブルーバスターズが公式戦で戦えるのは全国大会でしかない。
互いのチームは今日のバトルは不完全燃焼で終わったが、色々と考える事が出来た。
「今日はありがとうございました」
「こっちこそ、ありがとう。エリカによろしく伝えて置いて貰えるかな?」
ヤクモ達は練習相手となったソウタ達に礼を言ってガンプラ学園に帰って行く。
ソウタ達と再び戦う為にはガンプラ学園内の学内予選を勝ち抜いて全国大会の出場枠を勝ち取る事が第一歩だ。
そして、それが全国大会を勝ち抜くのと同じくらい困難な道でもある。
ヤクモはソウタとの再戦の約束を胸に学内予選に向けて準備を始めるのだった。