ガンダムビルドファイターズ White&Black ChallengerS 作:ケンヤ
ハクアの用意した車で東京から静岡に、そして、ヤクモはガンプラ学園に到着していた。
まずは学園の受付に向かうとそこで、授業で必要な教材が入った段ボールを受け取って指示された寮へと向かった。
道中で回りを見ていたが、以前は部外者である為、この辺りまではこれなかった。
「本当に学校なのかよ」
以前にバトルをしたバトル場以外にも外からは何か分からない建物が多く存在している。
ヤクモも蓮舫学園の高等部には何度も足を運んでいる為、一般的な高校を知っているが、ここは明らかに一般的な学校のようには見えない。
まるで何かの研究施設かと錯覚する程だ。
それでも、自分と同年代の生徒が歩いている辺り、ここも学校なのだろう。
寮もヤクモが想像している物とは違いまるでホテルのようだ。
ヤクモも軽くガンプラ学園の事は調べたが、この寮も実力に応じてある程度は格差があるらしく、新入生であるヤクモが入る寮でこれだと上位のファイターの暮らしている寮はこれ以上なのだろう。
寮に付いてそこでも受け付けに向かって、自分の部屋番号を聞いて向かう。
「ここが俺の新しい……」
ヤクモは部屋番号を確認する。
確かに受付で言われた番号でネームプレートにはナナセ・ヤクモと書かれている。
同時にツキシマ・ノブナガとも書かれている。
ヤクモも寮では一人ではなくルームメイトがいると事前に聞いている為、ヤクモと同室の生徒の名なのだろう。
自分の新しい部屋に入る前に一息つくとチャイムを鳴らす。
「はい?」
「俺、今日からこの部屋に入るナナセ・ヤクモだけど……」
「聞いてるよ。今開けるから」
少しすると中から鍵の開いた音と共に扉が開く。
中からは自分のルームメイトであるツキシマ・ノブナガと思われる少年が出て来る。
ノブナガを見てヤクモは少し以外に思ってしまった。
ヤクモの中でのガンプラ学園の生徒はアドウのように勝利に徹して他者の事は敵としか見ていないタイプやウィルフリッドのように明らかに強いファイターだち分かるタイプ、マキナのような一風変わったタイプと言う印象があったが、ノブナガはどちらかと言えば模型店等にも普通に居そうな小柄な少年だった。
だが、考えてみれば、それらの印象はガンプラ学園の中でもトップクラスのファイター達でそんなファイターばかりと言う訳ではないのも当然の事だ。
「始めまして、僕はツキシマ・ノブナガ。よろしく」
「こちらこそ、ナナセ・ヤクモ。ヤクモで良いぜ」
入口で軽い自己紹介を終えたところで、ヤクモは自室の中に入る。
「荷物はそっちにあるよ」
ノブナガの指の先にはダンボールがいくつも積まれている。
恐らくは事前に送って置いたヤクモの荷物なのだろう。
ヤクモは部屋の中を見渡す。
部屋は意外と質素な物だが、目を引くのは作業台だ。
ガンプラの専門学校と言うだけあって寮の各部屋には二人分の作業台が用意されている。
作業台だけではなく、最低限の工具も揃っているようだ。
「ヤクモ君。後で学園内を案内しようか? これでも僕は中等部からだから学園の事は良く知ってるし」
「良いのか? 助かる」
学園内にはハクアしか知り合いはいない為、ノブナガの申し出は素直に受ける事にした。
ヤクモは軽く荷物を整理する。
「ヤクモ君。出かける前に受付で貰った物の中にGPベースがあるからそれを持ってかないとここでは何も出来ないよ」
「GPベース……あったこれか」
受付で貰ったダンボールを漁るとノブナガの言う通りGPベースが入っていた。
ヤクモがバトルの時に使っていたのはハクアからの借り物でヤクモ自身はGPベースを持っていない。
「それはここでは生徒手帳の代わりにもなるし、他にも部屋の鍵とかにもなるから必ず持っていた方が良いよ」
「へぇ……」
入っていたGPベースはハクアから借りていた物とは少し違うように思えたが、このGPベースは特注の物であった。
学園内ではこのGPベースが生徒手帳の代わりとなっている。
他にも自室の鍵や各部屋の入出時にも必要で個人の認証には必要不可欠の代物だ。
また、このGPべースを使ってのバトルは全て学園側に記録され、内容や結果が成績に関わって来る。
「それじゃ行こうか」
ヤクモが荷物を整理している間にノブナガの方も準備を終えて二人は自室を出て行く。
「一番近いところでここが寮の食堂。規則とかがある訳じゃないけど、僕達はタダな上に24時間利用できるし、学園が雇った専属の栄養管理士がメニューを考えているからね」
「凄いな」
始めに案内されたのは寮の食堂。
ヤクモが思い描いていた物とは違いファミレスのような食堂だ。
見た目こそはファミレス風で気軽に利用出来そうな場所だが、メニューは専属の栄養管理士が考えた物で栄養のバランスが取れた物ばかりだ。
その上、食堂は24時間365日営業している。
想像以上の食堂に呆気にとられるも次の場所に向かう。
「この建物がトレーニング棟。その名の通り、トレーニング関連の施設が入ってる」
ノブナガに案内されて、ヤクモは中に入る。
そこには様々なトレーニング器具が並び、生徒が体を鍛えていた。
「ここってガンプラの学校なんだよな」
「そうだよ。言いたい事は分かるけどね。ちなみに上にはプールや室内スポーツも出来るようになってる」
「何でまた……」
ガンプラバトルがそれ自体がスポーツとして広まっていると言う側面がある事は分かるが、実際に自分が動くのではなく戦うのはガンプラである為、学園側がトレーニングの為の場所を用意する事は余り理解は出来ない。
「まぁ……体は鍛えて損はないから……それにガンプラの制作には細かい作業も多いからね。気晴らしに体を動かすってのも悪くないと思うよ」
「それなら分かるけどさ」
ヤクモも自分でガンプラを制作した経験はないものの、ガンプラを制作する過程は最低限の事は知っている。
仲間内にそこまで手の込んだガンプラを作る事は無かったが、上を目指すのであればガンプラの制作にもこだわりを持つのも理解できる。
そうなるとどうしても細かい作業も多くなり、ストレスも溜まって来る事もある。
そう言う時に体を動かしてストレスを発散すると言うのは理解出来るが、ここまでの施設を用意せずとも校庭で十分のようにも思える。
「ここは使わない人は使わないからね。次に行こうか」
トレーニング棟を後にして、次に連れて来られたのは購買部だった。
購買部は蓮舫学園の高等部にもあるが、ここの購買部は寮生向けの日用品が置いていあるくらいで蓮舫学園の購買部と大して変わりはなく、少しほっとした。
「それで、こっちの方が頻繁に来るかも知れないね」
そう言って購買部の奥に連れていかれた。
普通の購買部で気が緩んだところに、購買部の奥には棚にガンプラが山積みになっていて圧倒される。
「ここには一般に出回っているガンプラは大抵置いてあるよ。申請をすればレアなガンプラを取り寄せる事も出来るけど、出来るのは結果を出している一部の生徒だけどね」
「Gミューズかよ」
ここはガンプラの専門学校であるガンプラ学園である為、購買部にガンプラ関連の物が置いてあるのは当然の事かも知れないが、ガンプラの種類だけでGミューズと同じくらいはおいてある。
それだけではなく、工具の方も大量に置いてある。
寮の作業台にも工具は置いてあったが、人によっては使う工具にもこだわりを持っている。
更にはパーツのみの販売やビルダー科の生徒が制作したパーツや武器まで置いてある。
「ちなみにガンプラは基本的に無料で手に入れる事が出来る。まぁ、常識の範囲内でだけどね」
「マジかよ」
ガンプラは他のプラモデルと比べると比較的安く手に入るが、それでも生徒全員に無料で提供をしていては商売にはならないだろう。
だが、ノブナガはそんな冗談を言うとは思えない為、事実なのだろう。
「噂だけど、ここにあるガンプラはウチの理事長が個人的に所有して積んであったガンプラを提供してるらしいよ」
ノブナガも無料でガンプラを提供してくれると言う事に思う所があるらしく、ヤクモに説明する。
生徒達の間では有名な話だ。
これらは全て理事長であるマシロが個人的に買ったガンプラを提供しているとの事だ。
その確証は無く、噂レベルだが、その噂は事実であった。
かつてのガンプラバトルはダメージレベルが無い為、バトルでのダメージがガンプラに反映されていた。
その為、マシロは練習相手として使うガンプラを大量に購入していた。
今ではその大半が作られる事も無く、積まれている為、ガンプラ学園に提供する事になった。
中には発売されて間もない新しいガンプラもあるが、大半はマシロが提供したガンプラだ。
「中はその内ゆっくり見るとして次に行こうか」
「……そうだな」
自分の中の常識が崩れそうになり、ヤクモは大人しくノブナガについて行く。
「ここは情報棟。ここも結構来る事になるかな」
次に案内された建物の中にはコンピュータが並んでいる部屋がある。
「あのコンピュータの中には過去の公式戦のデータが全て記録されてるんだよ。GPベースをセットすれば自分のバトルの情報も見る事が出来る」
「ハイテクだな」
情報棟と言うだけあって、この棟の中にはガンプラバトルの情報に関連した物がある。
コンピュータの中には過去の世界大会を初めとした公式戦の情報が詰まっている。
昔と今とではバトルも変化をしているが、基本的な部分は変わらない為、過去の一流のファイター達のバトルは大いに参考になる。
物によっては簡単に手に入らない情報もある為、多くの生徒がここを利用している。
「隣は資料室。ガンプラ関連以外にもいろんな資料があるよ」
「資料室って聞くとお堅い印象があるけど……」
資料室にはガンダムのDVDがファーストから全て揃っている。
それだけでなくガンダム作品だけでなく、ロボットアニメのDVDがいくつも置かれている。
他にも書籍関連は古すぎて一般には出回らない貴重な物まで揃っている。
「次行こうか」
資料室に興味はあるが、ヤクモはノブナガについて行く。
「ここが授業棟。授業に関しては後で説明があるから僕からはしないけど、基本的に授業はここで行われるよ」
「中学とは違うんだな」
授業棟は中学のように生徒が教室で待機するのではなく、生徒の方が教室を移動するらしい。
中等部とは勝手は違うものの、授業に関する詳しい説明は学園側から行われる為、説明する事は余りない。
「それで、こっちが制作棟。ビルダー専攻の生徒はこっちにいる事の方が多いね」
「ガンプラって簡単に作れる物じゃなかったのか?」
制作棟の部屋を覗いてみる。
部屋にも作業台があったが、どの部屋も自室の作業台とは違ってヤクモが見た事もない工具を使っている。
蓮舫学園の高等部のガンプラ部の部室にも制作スペースがあるが、次元が違う。
塗装スペース一つとっても、蓮舫学園ではダンボールを使って自作していたが、ここでは空調設備が整った個室がいくつも用意されている。
「なんか……これだけやってんだから全国制覇するのも分かる気がする……」
いくつかの施設を回ってスケールの違いにヤクモはゲンナリしていた。
高等部の先輩達が全国を制覇する為に頑張っている事はヤクモも良く知っている。
しかし、ガンプラ学園はそれの上を行っていると言う事を実感させられた。
高等部の先輩達が授業を受けている間でもここの生徒達はひたすら強くなる為に様々な努力をしている。
ソレスタルスフィアはそんなガンプラ学園の中で勝ち抜いて来たからこそ、あそこまでの強さを得る事が出来たのだろう。
「最後はバトル棟。バトル棟は複数あるから一番近い場所に案内するよ」
バトル棟の一つはヤクモも来た事がある。
あそこは部外者でも使えたが、案内されたバトル棟は生徒専用の場所だ。
中に入ると相変わらずの熱気に包まれた。
「色々と見せられたけど、どうでも良くなって来た……」
「ヤクモ君?」
「取りあえずバトルがしたくなって来た」
バトル棟の熱気に当てられたのか、ヤクモはファイターとしての血が疼いてバトルがやりたくなって来ていた。
ノブナガの案内で色々な施設を見て、今までとは住む世界が違うとも思ったが、最終的にはガンプラバトルに繋がっているんだとこの風景を見て思った。
「つっても、俺ガンプラ持って来てなかった」
バトルをやりたくても、ヤクモのガンプラはハクアが持ったままだ。
学園に付いた事を連絡して持って来て貰うと言う事も考えられたが、早くバトルがやりたくてしょうがない。
「それなら素組だけど練習用のガンプラがあるからそれを借りたら?」
ヤクモが自分のガンプラを持っていないと言う事にノブナガは驚く事は無い。
学園内ではファイター専攻とビルダー専攻の二種類の生徒がいる大抵はどちらの専攻でもファイターとビルダーを兼任しているが、中にはファイター専門やビルダー専門の生徒で組んでいる事も珍しくはない。
そして、学園側から練習用に素組のガンプラが用意されている。
入学試験の時点である程度は実力者に絞られるが、入学後に伸び悩み自分のバトルスタイルを変える生徒も少なくない。
そんな時の為に練習用のガンプラを使う事が多い。
用意されているガンプラは素組だが、素組でもガンプラの特性は違う為、それを使ってどんなガンプラが自分に合っているのかを確認するには十分だ。
「色々とあるんだな……こいつを使って見よう」
ヤクモが選んだガンプラはビルドストライクガンダム。
ヤクモがハクアから借りて使っているビルドアメイジングガンダムの制作者でもあるイオリ・セイが7年程前に制作したガンプラでセイの代表作でもある。
PPSEがセイの許可の元、発売した物だ。
セイがビルダーとして有名になった事やベースとなったストライクガンダムの人気もあって売れ行きは上々だ。
「さて……ノブナガ」
「私が相手をしようじゃないか」
ヤクモはバトルの相手をノブナガに頼もうとするが、遮られる。
「アンタ……」
ガンプラ学園にハクア以外に知り合いはいなかったが、ヤクモも顔は覚えていた。
正確には顔ではなく、一切の肌を見せない奇特な恰好をしているマキナだ。
「……ハクオウ先輩」
中等部からガンプラ学園に通っているノブナガは当然、ハクアの事は知っているようだ。
そして、ハクアが気分屋で公式バトルだろうと気が乗らなければ出ないと言う事も知っている。
「こうして会うのは2度目になるが、初めましてだと言っておこう。ハクオウ・マキナだ。ナナセ・ヤクモ君」
「俺の事知ってるんですか?」
「まあね。入学試験でのバトルは見せて貰ったよ。中々興味深いバトルをしていた」
「あのハクオウ先輩に興味を持たれるってヤクモ君は何者なんだい?」
ノブナガはマキナの噂を色々と聞いている。
実際にバトルをしている姿は見た事は無いが、ガンプラ学園のエースチームの一員でアドウすらも一目を置いているマキナが学園内のファイターに興味を持つ事は今までには無い事だ。
「俺に聞かれても……それで、ハクオウ先輩でしたっけ、俺の相手をしてくれるんですか?」
「ヤクモ君! 考え直した方が良いよ。この人は学園でもトップクラスのファイターだから」
「だろうな。この人が強いって事は俺も知ってる。だから戦うんだよ」
ヤクモも一度だけマキナのバトルを見ている。
自分が手も足も出せなかったアドウのガンダムジエンドと互角以上のバトルが出来るだけの実力を持っている。
今のままでは絶対に勝ち目はないが、だからと言って折角学園最強クラスの一人とバトル出来る機会が巡って来た。
これ逃がす手はない。
「無論、ハンデは付けよう。私も君と同じで練習用のガンプラを使う。そして、君たち二人を相手にバトルをしよう」
「二人って僕も……」
ヤクモがビルドアメイジングガンダムを使えない以上、マキナがシナンジュアメイジングを使えばバトルにすらならない。
そこでハンデとして、マキナも素組の練習用ガンプラを使い、ヤクモとノブナガの二人を同時に相手をすると言う。
「でも……」
「安心するが良い。ダメージレベルはCに設定するから君のガンプラが傷つく事は無い」
「それなら……」
2対1とはいえマキナを相手にバトルを渋るノブナガだが、バトルのダメージレベルがCに設定すると言う事で渋々だが、バトルを受ける事にする。
話しが纏まり、バトルを開始しようとするも、バトル棟のバトルシステムは殆ど埋まっており、空いているバトルシステムを探すのは時間がかかりそうだった。
そこで、マキナが場所を変えようと言い二人はマキナについて行く。
「ここなら待つ事も無くバトルが出来る」
「僕達がここでバトルしても良いんですか?」
「問題はない」
二人が連れて来れたのは先ほどの案内では飛ばした建物だ。
そこはチーム棟と呼ばれ、ガンプラ学園の中のチームでも一部のチームが学園から与えられる個室だ。
同じ学園とはいえ、チーム同士は全国大会の枠を争うライバルである為、他のチームに情報を与えないようにチームに専用の個室を与えて、そこでミーティングや練習、ガンプラの制作が出来るようになっている。
マキナに連れて来られたのはチーム棟の最上階に位置するエースチーム、ソレスタルスフィア専用の個室だ。
普段ならチームのメンバーしか入る事が出来ないが、マキナが良いと言っている以上は問題はないのだろう。
「では始めようか」
「行くぞ。ノブナガ」
「うん」
個室の中央に設置してあるバトルシステムが起動する。
そして、3人は各々のガンプラをバトルシステムに置いた。
ヤクモは先ほどのビルドストライクガンダムでノブナガは自分のガンプラを使うようだ。
ノブナガのガンプラはヤクモのビルドストライクガンダムと同様にセイが過去に制作したビルドガンダムMk-Ⅱのレプリカモデルだ。
通常の装備に加えてガンダムMk-Ⅱのハイパーバズーカにシールド、バルカンポッドを追加している。
一方のマキナのガンプラはザクアメイジング。
PPSEのレプリカシリーズの中でケンプファーアメイジング、ガンダムアメイジングエクシアと並ぶアメイジングシリーズと呼ばれるガンプラの一画を成している。
偶然にもイオリ・セイが制作した2機のガンプラのレプリカが、セイと相方のレイジが目標としていたユウキ・タツヤの愛機の一つであるザクアメイジングのレプリカとのバトルが開始される。
バトルフィールドは宇宙となり3機のガンプラがバトルフィールドに入る。
「どうする? ヤクモ君。先輩のガンプラは素組と言っても油断は出来ないよ」
マキナのザクアメイジングは素組だが、ヤクモのビルドストライクガンダムも素組だ。
ノブナガのビルドガンダムMk-Ⅱはある程度は作り込んでいるが、2人がかりでもマキナを相手に戦えるかは不安だ。
「どうもこうもないってとにかく前に出る!」
ビルドストライクガンダムが一気に加速する。
だが、加速をしようとした矢先に長距離の砲撃を受けてしまう。
「どこから!」
幸い、距離が離れていたのかビルドストライクガンダムの損傷はほとんどない。
マキナが長距離攻撃をして来た為、ノブナガのビルドガンダムMk-Ⅱはビルドストライクガンダムから離れる。
2機が一か所に固まっていてはマキナが狙い易くなる。
二手に分かれればどちらか一方しか狙う事が出来ないからだ。
「教科書通りの動きだな」
ビルドストライクガンダムから離れたビルドガンダムMk-Ⅱの前に先回りしていたザクアメイジングが立ちはだかる。
ビルドガンダムMk-Ⅱはハイパーバズーカを向けるが、ハイパーバズーカを撃つ前にハイパーバズーカの砲身をザクアメイジングが蹴飛ばして向きを変えると、ビルドガンダムMk-Ⅱの胴体に蹴りを入れる。
「ノブナガ!」
「ヤクモ君!」
体勢を崩したビルドガンダムMk-Ⅱをビルドストライクガンダムがビームライフルを連射して援護する。
ザクアメイジングは無理な追撃をする事無く、ビームをかわして後退する。
「大丈夫か!」
「何とか……来るよ!」
後退したザクアメイジングがロングライフルを撃ちながら突っ込んで来る。
ロングライフルの砲弾が2機を分断すると、ザクアメイジングはビルドストライクガンダムの方に向かう。
ビルドストライクガンダムはビームライフルで応戦するが、ザクアメイジングを捕える事が出来ない。
「向こうも素組の筈だろ! 何でこんなにも早く動けるんだよ!」
「スラスターの使い方がデタラメなんだよ。方向を転換してるのに勢いが落ちてない」
ザクアメイジングは素組とは思えない動きをしているが、ガンプラに秘密がある訳ではなく、マキナの操作に秘密があった。
方向転換の際にスラスターを巧みに操り勢いを殺す事無く方向を変えている為、方向転換後の初速が早くヤクモやノブナガには普通のガンプラよりも早く動けているように感じている。
「君の力はその程度の物なのか? さぁ……見せて見ろ。君の力を!」
ザクアメイジングは距離を詰める。
ビルドストライクガンダムはビームライフルを向けるが、ビームを撃つよりも早くザクアメイジングがビームライフルを掴む。
銃身を強く握り締めて銃身を強引に捻じ曲げた。
そして、至近距離からロングライフルをビルドストライクガンダムに撃ち込む。
何とか左腕のチョバムシールドで受ける事が出来たが、一撃でチョバムシールドが破壊された。
これがオリジナルのビルドストライクガンダムのチョバムシールドならセイが薄いプラ版を何層にも重ねて制作した事でプラ版が何枚か破壊される事で破壊の威力を殺す事で高い耐久力を持っていたが、レプリカモデルはそこまでは再現されていないただのシールドでしかなかった。
「まだ!」
ビルドストライクはバックパックのビームキャノンで反撃するが、ザクアメイジングは持っていた銃身の曲がったビームライフルを投げてビームキャノンのビームにぶつけた。
ノブナガのビルドガンダムMk-Ⅱもハイパーバズーカで援護するが、ザクアメイジングはハンドガンで砲弾を撃ち落としながら距離を取る。
「素組のガンプラでもここまで戦えるのかよ」
「本当にね。流石に勝ち目は無いよ」
「だからって引き下がる訳には行かない!」
ビルドストライクは両手にビームサーベルを抜いてザクアメイジングに一直線に向かって行く。
「その心意気は良いが、気合に実力が伴っていないな」
ザクアメイジングはロケットランチャーを全弾発射する。
「さて……どうでる?」
マキナはヤクモの動きを窺っていた。
ロケットランチャーに対して回避するか、バルカンで対応するか、どちらを選択してもマキナは対策を考えている。
だが、ビルドストライクガンダムは避けるでも撃ち落すでもなくそのまま突っ込んだ。
「自棄になったか?」
ロケットランチャーがビルドストライクガンダムに直撃して大爆発を起こす。
「いや……」
「貰った!」
ロケットランチャーの直撃を受けた筈のビルドストライクガンダムがザクアメイジングの横からビームサーベルを振り下ろしていた。
直撃したように見えたが、直撃する直前にバックパックのビルドブースターをパージして身代わりにしていたようで、ビルドストライクガンダムはバックパックを失っている。
そして、爆発に紛れてマキナの目を誤魔化してここまで接近して来たらしい。
ビルドストライクガンダムのビームサーベルが振り下ろされるが、ギリギリのところでかわされた。
だが、ザクアメイジングのロングライフルは破壊する事には成功している。
「ヤクモ君! ここがチャンスだ! 一気に畳み込むよ!」
「おう!」
ビルドガンダムMk-Ⅱがハイパーバズーカを捨ててビームライフルMk-Ⅱで援護射撃を行いビルドストライクガンダムがビームサーベルで接近戦に持ち込む。
ノブナガの援護射撃でザクアメイジングは動きを制限されて、序盤のように動きまわる事は出来ずにいた。
「これで!」
「成程……少々、君たちを見くびっていたようだ。だが」
ビルドストライクガンダムがビームサーベルを振り上げた瞬間に、ザクアメイジングはヒートナタを抜いて一瞬のうちにビルドストライクガンダムの肘の関節を切り裂いて両腕を切り落とす。
「何だと!」
そして、すぐさま片方のヒートナタを手放してビルドストライクガンダムの頭部を後ろから鷲掴みにすると、ビルドガンダムMk-Ⅱの方に投げつける。
「しまった!」
ビルドガンダムMk-Ⅱが援護の為に撃ったビームがビルドストライクガンダムを撃ち抜いて爆散する。
その爆風をザクアメイジングは突っ切ってビルドガンダムMk-Ⅱに向かう。
ビルドガンダムMk-Ⅱは応戦するも、勢いに乗ったザクアメイジングを止める事は出来ずに接近を許してしまう。
ザクアメイジングはヒートナタを振るう。
ビルドガンダムMk-Ⅱはシールドで防ぐが、シールドに切り込みが入り、ザクアメイジングは腰のハンドガンを至近距離でシールドの切り込みに撃ち込んでビルドガンダムMk-Ⅱのシールドを破壊する。
「懐に入り込んでしまえば私の距離だ」
ビルドガンダムMk-Ⅱはバルカンポッドを連射する。
距離が近い為、ザクアメイジングはバルカンポッドの直撃を受ける。
バルカンポッドの直撃を受けて損傷しながらも、ザクアメイジングはヒートナタを振り下ろしてビルドガンダムMk-Ⅱのバルカンポッドを潰す。
同時に更に距離を詰めて、ビルドガンダムMk-Ⅱのバックパックのビームサーベルを奪う。
奪ったビームサーベルからビーム刃を出すとそのままビルドガンダムMk-Ⅱに突き刺した。
ビームサーベルが突き刺さったビルドガンダムMk-Ⅱは爆発を起こす。
爆風からは片腕を失いボロボロのザクアメイジングが出て来る。
ビルドストライクガンダムとビルドガンダムMk-Ⅱが撃墜された事でバトルシステムはバトルの終了を告げた。
「ああ! 負けた! 負けた! ここまでボロ負けすると逆に清々しいな」
マキナとのバトルが終わったヤクモとノブナガは寮に変える道中にいた。
マキナの使っていたザクアメイジングもボロボロだが、マキナは損傷を気にすることも無く攻撃している為、余り喜ぶ事は出来ない。
その気になれば、無傷でも勝つ事は出来たが、自分のガンプラの損傷を気にすること無く戦うと言うのはヤクモも以前にマキナがアドウとバトルしていた時にも見ている。
借りたガンプラを使っていた事で、ガンプラの性能を引き出してなるべく傷つけない戦いをしていたヤクモとは正反対の戦い方だ。
自分のガンプラを傷つける事をいとわない戦い方はどうかと思うが、戦闘不能になるか否かのギリギリを見極めるマキナの実力は本物だ。
「だね。アレがエースチームの実力だよ。僕達とは次元が違う」
「そうか? 確かにあの人は強かったけど、俺達と同年代だぜ? 俺達もここで腕を磨けばいつかは追いつく事が出来る筈だって」
同じバトルでもノブナガは圧倒的な差を見せつけられただけだが、ヤクモはこれだけの差を見せつけられても追いつく事が出来ると思っていた。
現段階では実力差は圧倒的だが、以前にここでアドウをバトルをした時のように絶望的な差を感じる事は無かった。
少なくとも、不意を付いたとはいえロングライフルを破壊する事で一矢は報いている。
ヤクモもこの短期間で同年代のトップクラスを知り、自分の戦い方を知った事で強くなっている。
「……凄いね。ヤクモ君は」
思いがけない収穫にこれからの学園生活に希望を見出しているヤクモにそんなノブナガの声は届く事は無かった。
ヤクモのガンプラ学園の初日は学園最強クラスのマキナとのバトルから始まった。
だが、ヤクモのガンプラ学園での戦いはまだ始まってすらもいない。