デッキはオッドアイズシリーズ、エクシーズ・融合は最初から使える設定です。

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遊戯王ARC-V 女好きの遊矢君♪

 質量を持ったソリッドヴィジョンが開発されたことで生み出された新たなデュエル……その名もアクションデュエル。召喚したモンスターの背に乗ってフィールドを駆け巡る。そのデュエルに置いて重要なのはデュエルの勝敗ではなく、観客を笑顔にすること…………でも俺はそんなもの認めない。デュエルは勝つか負けるかのゲーム……人を笑顔にすることが主目的のデュエルなんて認めない……その所為で父さんは……。

 

 

 

 

 

 

 

 桜吹雪が舞うフィールドに図体がやけにでかく、学ランとリーゼント、そして下駄という風貌の俺の友人こと権現坂昇が橋の上に仁王立ちしている。

 その対戦相手である俺こと榊遊矢は欠伸を噛みしめながら俺のターンが来るのを待っている。

「俺は超重武者ワカ-O2、超重武者ソード-999をリリースし、超重武者ビッグベンーKをアドバンス召喚!」

『星8/地属性/機械族/攻1000/守3500』

 はぁ……早く終わんねえかな……この後、真澄ちゃんと遊ぶ予定入れてんだけどな~。

「俺はこれでターンエンド! さあ遊矢! この権現坂と一対一で勝負しろ!」

「え~。俺この後女の子と遊ぶ予定入れてるんだけど」

「お、お前というやつはまた女子と遊ぶ予定を入れているのか!?」

「というわけで終わらせる! 3度の飯より女好き! ストライクゾーンは俺の年齢±3歳! 遊勝塾の女ったらしと言えばこの俺! 榊遊矢様のことよー! 速攻魔法・カバーカーニバルを発動!」

 俺の目の前に3色の体表をしてサンバの格好をしたカバさんが現れ、腰フリフリ揺らしながらセクシーな踊りを披露すると見学に来ている子供たちから笑いが飛び出す。

「どーも! どーも! あ、男は俺の方見んな。さあー女の子たちー! この俺に惚れてくれよ! というか人妻でも惚れることはありだぜー!」

「き、貴様というやつは他の男の奥さんにまで毒牙をかけるか!」

「はっはっは! この世界に存在する半分の女性。その女性は皆美しい! その女性は皆俺の虜になるのさ! そこの人妻だろうが外人だろうが幼女だろうが境界線はナッシング!」

『遊矢! 真面目にやりなさいよ! ってな、なにこれ!? きゃぁ!』

 フィールド内に女の子の声が響いたかと思えば爆発音が鳴り響き、表示されていたソリッドビジョンが不安定になり始める。

『どうした柚子ってあー! 俺のソリッドビジョンがー!』

 デカい叫び声が聞こえた直後に放送が途切れてしまい、ソリッドビジョンは勝手に消滅して桜吹雪が舞うフィールドは元の室内に戻った。

「あーあ。まーた柚子がやっちまったよ……ってことで今日のデュエルはここまで! 俺の魅力に囚われた女性はメルアド教えてあげても良いぞー!」

「遊矢ぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遊勝塾……それが俺が所属しているデュエル塾だ。デュエルが盛んに行われている昨今、デュエルを教える塾が数多くできるようになり、さらにデュエルの活性化につながっている。融合・シンクロ・エクシーズ、これら3つの召喚方法を教えているのはLDSとかいうでかい塾くらいだがな。

「俺のソリッドビジョンシステムがー!」

 頭を抱えながら絶望に打ちひしがれて叫び散らしているのがこの塾の塾長・柊修造。熱血指導を売りにしているらしいけど本当にどっかの元プロテニス選手みたいにめちゃくちゃ熱い。そりゃもう気温が3度は上がるくらいには熱いと思う。

 そしてその先生と対面する形でソファに座っている俺の隣にいるのが俺の幼馴染の柊柚子。ノースリーブでピンク色の髪をした塾長の娘。

「あーあ。どっかの誰かさんが女の子と遊びに行く予定の俺を無理やりデュエルに参加させてなかったら壊れることもなかったのにな~」

 ゴーグルを装着しながらそう言う。

「ま、またあんた女の子と遊ぶ約束入れてたの!? ていうかちゃんと人の目を見て話しなさいよ!」

 振り上げられた手を避けて柚子の首周りに腕を回し、顔を近づけると面白いくらいに柚子は顔を赤くして俺から離れようとするが腕に力を入れて今にもキスできそうな距離を保つ。

「なあ、真澄ちゃん怒って帰っちゃったから俺と遊ぼうぜ、柚子」

「な、な、何言ってんのよー!」

「うわっとお?」

 恥ずかしいの顔を真っ赤にしている柚子がどこからともなく取り出して振り下ろしてくるハリセンを避けると何かに当たった感触がし、後ろを見ると権現坂が怒りに震えた表情で立っていた。

「あれ? お前まだ帰ってなかったのか」

「遊矢……あのデュエルは何だ!」

「何ってお前らが言ってるアクションデュエルだろ。見学に来てた連中笑ってたじゃん」

「っっ! 笑わせるのと笑われるのとでは天と地ほどの差があるわ! お前の父・榊遊勝はデュエルで人を笑顔にしていたんだ。それがアクションデュエルだ!」

「おぉー。男だね~……ほんと暑苦しいくらいにな」

「なんだと!?」

「親父も結局、人に笑われてたろ」

 俺の親父は名前など知らない奴はいないくらいに有名なエンターテイナーだった。アクションデュエルを行えば泣いている子供は笑顔になり、会場全体に笑顔と感動を与えていた……でもそんな親父も大事なデュエルの前に姿を消した。それ以来、親父は笑われ者となり、その家族である俺達に……。

「じゃあな。俺は真澄ちゃんのご機嫌直しにいってきまべ!」

 スキップ交じりに部屋を出ようとした瞬間、突然ドアが開き、眉間に思いっきりぶつけてしまい、しりもちをついてしまう。

「ててて……誰だよ!」

「これは失礼。何かお困りのご様子だったものですから」

「あ、あの貴方は」

「私・現アクションデュエルチャンピオンのストロング石島のマネージャー兼プロモーターをしておりますニコ・スマイリーと申します」

 ストロング石島……親父が闘う前に逃げた相手か。

「あ、こ、これはどうも。お座りください」

「はい」

 そう言い、ニコ・スマイリーとか言う男はソファに座る。

 俺は部屋から出ようとするが権現坂に出口を防がれてしまったので仕方なくソファに座ると1枚のチラシがテーブルに出された。

「ファン感謝デー?」

「はい。LDSのイメージキャラクターを務めておりますストロング石島のファン感謝デーに榊遊矢君をご招待したいと思いましてね」

「はぁ? 俺を?」

「はい。3年前のあの決闘が今、時を超えて行われるのです」

 …………何が時を超えて行われるだ……そんなもの……俺がこの3年間どんな生活してきたと思うんだ。

「ダメだ」

「な、何故です? 塾長。あの榊遊勝の息子が出るとなればお客様も大喜び」

「それがダメだと言っているんだ!」

 塾長は怒りに震えた叫びをあげながらテーブルを強く叩くと置かれていたチラシが床に落ちた。

「この3年間、遊矢がどんな気持ちで過ごしてきたと思っているんだ。貴方はただ単にお客を盛り上げるための要素として考えているんでしょうが遊矢の気持ちを全く考えていない! 申し訳ないがこのお誘いは断らせていただきます」

 ……はぁ。だから嫌なんだよ……だから俺はさっさとこのデュエル塾から出ていけないんだよ。

 親父が失踪した3年間、学校では酷いイジメにあったもんだ。逃げたヒーローの息子として同年代からは嘲笑の的にされ、マスメディアどものあの嫌な笑顔を浮かべながらすり寄ってくるのもいまだに忘れられない。

 でもそんな俺を塾長はかばってくれた…………。

「そうですか……お誘い受けしてくださいましたならレオ・コーポレーション製の最新型リアル・ソリッドビジョンをタダでお渡ししようと思いましたのに」

「っっっ! …………そ、それでもダメだ」

 おい、今の空白はなんだ。実の娘にさえ呆れられてるじゃねえか…………はぁ。この時くらいしか今までの礼を返せる機会はないか。

「そのお誘い、受ける」

「「遊矢!?」」

「ほんとうですか!?」

「ただし……一つ条件がある」

「なんでしょう」

「その最新型ソリッドビジョンと……綺麗なお姉さんと遊べる権利を俺にくれ!」

「こんのおバカぁぁぁぁぁぁ!」

「あびょーん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夕方、夕焼けに沈む大型ドームを見ながら橋の上に立っていた。

「………………久しぶりにお前たちを使う……また力、貸してくれよ」

「遊矢」

 声をかけられ、慌ててデッキを隠そうとするが隣に来た人物が柚子であることを確認し、俺はそのままデッキを隠さず、デッキの中身を確認する。

「……オッドアイズは使うのね」

「まあな……ま、何言われるか分かんねえけど」

「そこで……そこで勝ったら遊矢は」

 こちらを振り向き、その先を言おうとする柚子の唇に手を指を置き、そこから先は言わせなかった。

「柚子……お前だけが俺の理解者であればいい」

「っっっ!」

 そう言うと面白いくらいに顔を赤くし、その赤くなった顔を隠すかのように両手で覆い隠した。

 ほんと可愛い反応するよな……他の女の子も可愛い反応するけど柚子以上の反応を見せる奴は今までいなかったな…………。

 ようやく落ち着いたのか柚子は大きく深呼吸をし、俺の隣に立つとコテッと頭を俺の二の腕の辺りに置き、俺の腕に抱き付いてくる。

「……とにかくふざけない事……あと女の子にナンパせずに会場までくること」

「ナンパはするかもな」

 そう言うとどこからともなくハリセンが出現し、振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、今日の晩良かったら飯行かない?」

「え、あ……そ、その私は彼氏がいるので」

「大丈夫大丈夫。友達と晩飯ってことにしてさ、ね?」

 今日も今日とて俺は女の子を口説く。自慢じゃないけど顔だけは良いと思ってるから今までナンパしてきて失敗したのは真澄ちゃんくらいだ。

 受付のお姉さんは顔を赤くしながら悩みに悩んでいる。

『さあ! いよいよ本日のメインイベントのお時間です! あの榊遊勝の息子である榊遊矢と現チャンピオン・ストロング石島の対決だー!』

「…………ヤバ」

「あ、あの」

「ごめん! やっぱあの話無しで! また会おうね! 可愛い子ちゃーん!」

 取り付けられている大型のモニターにニコ・スマイリーの姿が見え、ようやく約束を思い出して慌てて試合会場であるフィールド内に飛び込むと辺り一面大木が生え、砂のお城がいくつも立っている。

 アクションフィールド・辺境の牙王城か……はぁ。親父に話されたせいで未だに覚えてるわ。

『おっとー! 遅刻してやってきたのは今回のイベントの主役ともいえる存在! 榊遊矢だー!』

「どーも! 3度の飯より女好き! 人妻彼氏持ち幼女から何でもオッケー! 榊遊矢でーす!」

 いつもの自己紹介文を言うがどうやら不評らしく、さっきからブーイングが止まらない。

 その時、俺を覆うほどの大きな影が地面に映り、後ろを向くと2メートルほどの身長の大男がディスクをつけ、俺の後ろに立って睨み付けてくる。

 ……こいつか、ストロング石島とか言うやつは。

「榊遊勝の息子を出せば出てくると思ったが……」

「んなことはどうでも良いって。さあ、始めようぜ」

『では参りましょう! 皆さんご一緒に! 戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が、モンスターと共に地を蹴り宙を舞い、フィールド内を駆け巡る。見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクション』

「「デュエル!」」

『LP4000vs4000』

「先行はチャンピオンからで良いぜ」

「ふん。その調子もどこまで持つか。俺は魔法カード・蛮族の饗宴LV5を発動! 手札の戦士族モンスター2体を特殊召喚する! 現れろ! バーバリアン1号・2号!」

 奴のフィールドに棍棒を持ったサル2匹が特殊召喚されるがカードのデメリットにより、2体とも効果が無効化されている。

 サルかよ……。

「そしてこの2体のモンスターをリリース! 現れろ! バーバリアンキング!」

 その時、背後から大木を押し倒していく音が聞こえ、後ろを振り返るとさっきの2体のサルの2倍以上の背丈の怪物みたいなサルが森の中から出てきた。

 うっはー。攻撃力3000……こいつがエースってわけか。

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。せめてファン感謝祭を盛り上げてくれよ」

「……さあ……盛り上がるかどうかはあんた次第じゃね?」

「なんだと?」

「俺のターン! ドロー!」

 ふぅ……じゃ、行きますか。親父、悪いが俺は誰かを笑顔にするためにデュエルはできない。勝ってなんぼだからな……でも、あんたを追い越す気は十分にある! 俺はあんたが見れなかった先を見つけて手に入れて見せる!

「な、なんだこれは」

 突然、親父から貰った振り子つきのペンデュラムが大きく振れながら眩い輝きを放ち始めるとともに手札にある星読みの魔術師と時読みの魔術師のカードが書き換えられていく。

 な、何が起きてんだよ。

「こ、これは」

「……俺はスケール1の星読みの魔術師とスケール8の時読みの魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!」

 2枚のカードをそれぞれディスクの端にセットすると俺の周囲が暗転し、背後から光の柱が立ち上り、その中を2体の魔術師が空に向かって上がっていく。

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能! 揺れろ魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚! 現れろ、我が手中のモンスターよ!」

 上空に穴が開くとそこから2体の赤き剣士が出現し、剣を交差させる。

「バ、バカな! レベル5以上のモンスターはリリースが必要なはずだ!」

「臆病者の息子と言われた俺の本当の力を見よ! 2体のオッドアイズ・ソードマンでオーバーレイ!」

「な、なんだと!?」

「エクシーズ召喚!」

 2体のオッドアイズ・ソードマンが上空に開いた穴へ自ら飛び込んで言った瞬間、その穴から眩い光の粒子が勢いよく溢れ出してくる。

「暗雲立ち込めし世界に降臨せし2色の眼持ちし剣士よ。その2振りの刃にてその瞳に映りし悪を断ち伏せろ! 現れろ! ランク5! オッドアイズ・ツイン・ソードマン!」

 上空の穴から眩い光に包まれ、2本の刀を背負っている2色の眼を持つ剣士がフィールドに降り立つ。

『ランク5。攻撃力2500』

『こ、これはなんということだー! 最近、LDSが教え始めたという最先端のエクシーズ召喚をまさかの榊遊矢選手が使いこなしているうえに未知なる召喚方法までも! いったい彼は何者なんだー!?』

「エ、エクシーズ召喚。な、何故そんな小さな塾に入っているお前がその召喚を!」

「俺はツイン・ソードマンのモンスター効果発動! オーバレイユニットを1つ取り除くことで相手フィールド上に存在するレベル5以上のモンスター1体の攻撃力を半減させ、その半減した分だけ攻撃力をアップさせる!」

 ツイン・ソードマンが2本の剣を抜き、地面に刺すとバーバリアンキングに向かって赤色の衝撃波が放たれ、それが直撃するとバーバリアンキングの攻撃力が1500ポイント減少し、ツインソードマンの攻撃力が1500ポイントアップした。

「残るオーバーレイユニットも使い、再び効果発動!」

 バーバリアンキングの攻撃力が750にまで下がった。

「行け! ツイン・ソードマン! バーバリアンキングを攻撃! 螺旋・2連斬!」

「ぐぁぁ!」

 ツイン・ソードマンが2本の刀で十字にバーバリアンキングを切り裂いた瞬間、大きな爆発が起きてストロング石島のライフが一撃で0となった。

『き、決まったぁぁぁぁ! わずか2ターンにして決着! 勝者・榊遊矢ー!』

 …………ペンデュラム……召喚……。


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