「想ちゃん、もう寝なさい・・・」
部屋でネットしてた僕にノックして母さんはそう言った。
思ったよりも没頭してたのだろう、時計を見てみるとはじめてから5時間は経っていた。
やっていたのはかの有名な2ちゃんねると呼ばれる日本最大級の掲示板サイトだ。
…やっぱり現行スレを追いかけてるとあっという間に時間が過ぎるな…
「うん、母さん。さすがにそろそろ寝ないとやばいね」
「私はお父さんを送り出してから寝るけど、何か食べておく?」
母さんは僕のことに関して心配性というか、過保護な部分がある。
まぁある程度は仕方ないのかもしれないけど…
「ううん、寝る前に何か食べると寝るとき苦しいから」
母さんを安心させるために精一杯笑いながらそう言う。
時間が時間だ、もう空はうっすら明るくなってるだろう。
早く寝なきゃ…
僕はPCを閉じて部屋のドアの近くにある薄暗い電灯を消すためのスイッチを押した。
色素性乾皮症、別名XP
紫外線にあたると、皮膚の露出部に異常に強い紅斑や水疱が発生し、火傷のようになってしまう。
さらに紫外線によって損傷を受けたDNAが修復されないために皮膚がんになりやすく、皮膚がんが発生する確率は健常者の約2千倍、また皮膚以外のがんの発症率も約20倍といわれている
これが僕の抱えている病気の名前だ。
まぁ一言で簡単に言うと「日光マジ無理、普通の蛍光灯とかも無理なんでちゃんと加工してください…はい」ってことだ。
ふざけてみても絶望的な状況には変化などない。
いや…僕はC型だからまだましなのか…
この病気は重度によってA~Gの7つに分けられてA型の人たちは10歳まで生きられる可能性さえ限りなく小さいのだ。
さぁ寝よう…
そう思ってると、1つのメールが入ってることに気が付いた。
時間は4分前…
母さんと話しているときにでも着信したのかな?
たぶんそのせいで気がつかなかったんだと思った。
そのメールを開いたとき、僕は口がにやけてることに気が付いた。
そこには1行でただこれだけが書いてあった。
おはよう、おやすみ
これに対して僕は
おやすみ、おはよう
と返して、寝床についた。
メールの相手について少し思い出すことにした。
相手の名前は杏、女の子だ。
僕がXPであることを知ってブログに書き込みをしてくれたことから交友が始まって、ブログを閉鎖するときにアドレスを交換して今ではメル友っていう関係になってる。
杏は僕と違って健康を絵にかいたような女の子で毎日のように今日は学校でなになにがあったとか、友達がこんなこと言ってたとか、最初のころは嫌味じゃあないのかなんて思ったりしてたけど、彼女とメールをずっと交換しているとそういう人間じゃあないってすぐわかった。
彼女は単純に外に出ることができない僕のために楽しい話をしてくれてるのだ。
僕の1日は2ちゃんねると彼女でできてるって言っても過言じゃあなかった…
このごろメールの本数が少し減ってるような気がするけど、だからこそ1本1本の価値が高くなっているのだと勝手に自分を納得させていた。
『こないだ全国模試で全国7位だったけどしつもんある?』
VIPERならば誰もが一度は通る道、釣りスレってやつだ。
初心者はよく日本1とか、有名大学の教授だとか、そういう釣をする人間がいるがあからさますぎる。
ばれないようにするためにはほんの少しでも「本当カモ」と思わせる必要がある。
……そう、そのはずなんだが。
なんだよ、この「釣りおつ」の嵐は…
……うわ、荒らしも出てきたし。
嵐と荒らしでもう手が付けられなくなってるし…
手が付けられないなら、手を付ける必要なんてないよね?
そっとスレを閉じてほかの人が立てたスレを見る。
ん?
『彼女がヤンデレすぎてつらい?』
……
とりあえず釣りおつっと、
釣りっていうのはよくないよね。
本気で信じてる人たちを裏切る行為だよ全く!
だいたいヤンデレ?
ここのやつ釣りたかったらメンヘラって言えよ、ここの住人はなぜか元メンヘラ彼女持ち多いから。
いや、真実かどうかは知らないけど…
はぁ、今日はなんかやる気でないな。
よし、もう適当な安価で適当な下ネタ言って寝るか…
2日連続で朝ふかし(でいいのかな?)はさすがに母さんに心配かけちゃうからな…
感想誤字脱字お待ちしてます。