いくつかのISが追ってきていたが諦めたらしくIS学園へ帰っていった。
『相棒、まだ追いかけてくるISがいるみたいだぞ』
む?
どれどれ?
確かに追いかけてくるISがまだ一つだけいたようだ。
諦めが悪いねぇ。
どこの誰だ?
あれは
会長さんが何かを言っている……?
耳を澄まし、会長さんの声を聞いてみる。
「待って! 赤龍帝! あなたに聞きたいことがあるの!」
待てと言われて待つバカがいるか。
無視しておこう。
「白龍皇はどこ!?」
なに!?
おいドライグ!
聞いたか!?
『ああ、だがどういうことだ!? なぜ更識楯無が白龍皇の名を知っている!?』
俺にも分からん!
いくらなんでもバタフライエフェクトのレベルを超えている!
なぜIS世界の住人である会長さんがD×D世界の白龍皇を知っているんだ!?
これはいろいろと確かめないと……
俺は急停止し、会長さんを見た。
「やっと止まってくれた……」
『これはこれは会長さん、なにか聞きたいことでもあるのかな?』
「赤龍帝、あなたに聞きたいことがあるわ、白龍皇はどこにいるの?」
もしかしたら聞き間違いじゃないかと思ったがそんなことはなかった。
『それは俺が知りたい、あの白いのがいれば闘う相手がいなくてフラストレーションが溜まるなんてことはなかっただろうに』
「そう……あなたも知らないのね」
『こちらが質問に答えたのだからお前も質問に答えろ、どこで白龍皇の名を知った?』
普通、IS世界の更識楯無なら知り得ない情報だ。
「更識家にはある予言があるの、<赤き龍の力を宿した者と白き龍の力を宿した者、二者が出会ったとき世界に大いなる混乱が訪れる>というものよ、赤き龍の力を宿した者は赤龍帝。 白き龍の力を宿した者は白龍皇。 予言を調べてここまでは分かったわ、けどいつこの二人が出会うのかがまだ分からない」
なるほど、だから赤龍帝である俺に白龍皇の居場所を聞いたのか。
……だが予言とはなんだ? そんなものはどちらの原作にもなかったはず……
「私が知っているのはそれだけ」
……これ以上は聞き出せそうにないな。
「もう一つ質問させて、あなたは一体、誰なの?」
ここは正直に答えるわけにはいかない。
『それを知りたければ――追いかけてみせろ』
俺は海へ潜った。
深く、深く、ハイパーセンサーで捉えられないくらい深く。
「しまった!」
いくら水を操る
水圧で潰れてしまう。
それ専用の装備をしているなら、話は別だろうが……今は装備していないみたいだ。
俺?
禁手の鎧は水圧ごときで壊れないし、ドラゴン化した肺なら何十分でも潜っていられる。
要するに問題なし。
こうして俺は追手を巻くことに成功した。
IS学園に泳いで着いた俺は禁手の鎧を解き、何食わぬ顔で混乱する生徒の波に紛れることができた。
そのまま上手く一夏たちに近づいた。
「おい一夏、大丈夫か?」
「イッセー! お前どこにいたんだよ!?」
「ちょっとお腹が痛くなってトイレに行っていたんだよ、そしたらアリーナには入れなくなっているし、なんだか大騒ぎになってるわでこっちも大変だったんだぞ?」
さらっとあらかじめ考えておいた嘘を言っておく。
「大変だったのはこっちだぜ、実はな――」
一夏から、謎の無人機ISが襲ってきたこと、自分たちが苦戦していた無人機をいともたやすく破壊した赤龍帝という謎の赤いISモドキがこちらに襲いかかってきたこと、その赤龍帝がどこかへ行ってしまったことを聞いた。
「そうか……みんなは大丈夫だったのか?」
「わたくしたちにも学園の皆さんにも怪我人は出ていませんわ」
「ありがとうセシリア」
良かった、被害者ゼロに出来たみたいだ。
ちゃんと手加減出来た。
「だが凄く不安だったんだぞ、一夏。 私はアリーナから動かなかったから特にな」
「あれ? 箒はアリーナから動かなかったのかい?」
「ああ、私があの場にいても足手まといだっただろうし、パニックになったクラスの皆を落ち着かせるのに大変だったからな」
へぇ……箒が原作とは違う動きをしていたとはね。
俺の原作知識も役に立たない時期になっているのかな。
「やっぱり俺、もっと強くならないと」
歩いていた一夏が急に立ち止まった。
「一夏? どうしたんだ急に」
「俺はあの赤龍帝に『次に合う時までにもう少し強くなっておけ』って言われたんだ、あいつものすごく強くてさ……俺はISを手にして強くなったつもりでいたんだけど全然違った、このままだと千冬姉を……みんなを守れない」
「一夏、相手は化け物染みた強さだったんだろう? なにも無理に強くなろうとしなくても……」
「駄目だ! 守れなかったら絶対後悔する、それに誰かに強制されてやるんじゃない、俺がやりたいからやるんだ」
一夏は強い目をしていた。
いい目だ。
「ちょっと待ちなさいよ、私たちのこと忘れてない?」
「そうですわ! わたくしたちはただ守られているつもりはありませんわ。 一夏さん、今まで通り一緒に特訓しましょう?」
「クラス対抗戦も終わったし私も一夏の特訓に付き合うわ」
頼もしいな、二人とも。
「一夏、私は別に専用機を持っているわけじゃないから、今まで通り剣道くらいしか教えられない、だけど……私と一緒に強くなってくれるか?」
箒……この箒なら自分から姉に専用機をねだることはなさそうだな。
「鈴、セシリア、箒……ありがとう! これからも頼むぜ!」
愛が、絆が、人を強くする。
愛と絆を手にした一夏なら禁手に至るのも時間の問題だろう。
だって人の思いに答えるISは――神器だからな。
一次移行や二次移行、はたまた三次移行などはISコアと搭乗者が同調することによって発現する能力だ。
神器もまた、所有者の思いに反応して禁手へと昇華する。
こう見るとISコアと神器は似てると思うだろ?
違うんだなこれが、実はISコアは――神器なんだ。
似てるんじゃなくて同じだったと言うことさ。
ISコアは謎のレアメタルによって出来ている。
ISコアが篠ノ之束意外の人物に量産出来ない理由がこれだ。
このレアメタルは一体何か?
多くの科学者たちがこの謎に挑んでいるが未だに答えが出ていない。
そりゃそうだ、だってこのレアメタル、
地球上に存在するものではないのでは? と言われていたが、あながち的外れな意見じゃなかったわけだ。
俺が初めてISに触れたとき、俺の中にある神器、赤龍帝の籠手がISコアと共鳴した。
共鳴した結果、ISが起動してしまい、俺はIS学園に通うことになったわけだが……
ま、それは置いといて、
このことから、俺とドライグはある仮説を導き出した、それは一夏以外の男性IS操縦者は皆神器所有者ではないか? というものだ。
一夏は単純に篠ノ之束がなんかしたからだろう、だが俺やそれ意外の男性IS操縦者は篠ノ之束との接点がないのにも関わらずなぜISを動かせるのか?
恐らく神器所有者だからだろう。
神器所有者はISコアを無理矢理バグらせて動かしているのだ。
言うなれば一夏は製作者篠ノ之束が想定した男性IS操縦者であり、俺を含む二人目以降は篠ノ之束が想定していない男性IS操縦者であり神器所有者なのだろう。
ということは?
『この世界に神器所有者は男性だけでも百名はいるということだな』
おっ、ドライグ起きていたのか。
『相棒、いい知らせだISコアの意識を見つけたぞ』
マジか?
『まあ、生まれたての赤ん坊のようだがな、何も知らない無垢な存在だ』
ISコアから篠ノ之束の居場所を知るのはまだ無理か。
そういえば神器の中に
寿命を削っていたら嫌だぞ。
『大丈夫さ、所詮はかけらのようなものだし、このISコアと赤龍帝の籠手は俺と白いのほど致命的に相性が悪いわけではないからな』
なるほど。
『しばらく俺はこのISコアの意識にいろいろ教えてみることにしよう、どんな成長をするか楽しみだ』
あんまり変なこと教えるなよー
この世界のどこかにある篠ノ之束のラボにて――
「なんだよあいつは! 束さんのISをめちゃくちゃにしやがって! 絶対に許さない、あいつもあの子みたいに手足を破壊してやる……」
「箒ちゃん、待ってね、あんな『赤』よりももっと凄い『紅』を用意して上げるから……」