刀奈と俺は恋人同士になった。
「でも刀奈、どうして俺が赤龍帝だと分かったんだ? やっぱり鱗を見たからか?」
「それもあるけど、私のことを会長さんと呼ぶのは一誠だけだから」
あの時か……まさかそんなところでバレるとは。
「でもなんで刀奈は俺の横にピッタリくっついているんだ?」
「え? だって一誠分を補給したいんだもん♪」
だもん。 とかいうなよ、可愛いだろうが!
「でもさ一誠もその覇龍っていうのになれるの?」
『相棒は覇龍にはなれんぞ』
うおっ!
ドライグ!
「今までなにをしていたんだよ、ずっと黙り込んでいたんだろ?」
『なに、空気を読んでいたのさ、俺だってそれくらいはする』
「うわー、神器が喋ってる……」
そういえば刀奈にドライグのことを紹介していなかったな。
「刀奈、こいつが俺の神器に封印されているドラゴンのドライグだ」
『よろしく、更識楯無、いや更識刀奈と呼んだほうがよかったか?』
「どっちでも大丈夫だけど……一誠が覇龍になれないってどうゆう意味?」
『覇龍になるためには歴代の赤龍帝たちの怨念が必要だ、だが……』
「だが……?」
「どういうわけだか赤龍帝の籠手の中には歴代の赤龍帝たちの怨念が一つも残っていないんだ」
「それってどういうこと……?」
『恐らくだが赤龍帝の籠手だけではなく神器のシステムそのものにバグが生じている』
「バグ?」
『ああ、赤龍帝の籠手は何故か強制的に初期化された、更識楯無が継承してきた神託の神鏡は最初は継承する力を持った神器ではなかったはずだ』
世界を飛び越えて神器のシステムが流れ込んだ影響か、本来ならありえないことが起きている。
神器が初期化したり、神器を継承することが出来たり、そして――
「神器を持っている刀奈はもう分かっていると思うけどISコアは神器だ、そう他人に使わせる神器」
本来持ち主にしか使えない神器を他人に使わせたり。
「じゃあ、篠ノ之博士は、やっぱり神器所有者だったんだ」
「そういうこと、更識家もそれに気づいていたのかい?」
「確証はなかったけどね、もしかしたらそうなんじゃないかと言われていたの」
「でもドライグさんの声……」
『ああ、アリーナにいた時は相棒の代わりに俺が喋っていたからな』
「俺が喋ったら声でばれるからな」
そんなマヌケな理由で正体バレしたら泣くに泣けない。
「なるほど……でもなんであの時アリーナにいたの?」
「あの時も言ったけど、ISがどれほどの強さを持っているかが気になったから、というのが一つ」
赤龍帝の力がどの程度ISに通用するか気になっていたからね。
「あのままだと本来なら一夏は意識を失うんだ、死ぬわけじゃないとはいえ、怪我とかさせたくなかったというのもある」
「でも、一誠、そのあと織斑君と闘っていたよね?」
「それは……その、なんだ血が滾って、もっと闘いたくなって……」
とんだ戦闘狂だよな俺って。
「なにそれ? 上手く手加減出来ていたからよかったけど、最悪死んでいたよ!?」
「うう、ごもっともでございます」
『歴代の赤龍帝は力に飲まれて戦闘狂になることが多かった、だがそれは一歩でも踏み外すと殺戮者になるということだ。 更識刀奈、相棒が殺戮者にならないように支えてやってくれ、魂だけの俺では止められないからな』
「うん、分かった。 私がいる限り一誠を殺戮者にはさせないから」
頼りになるなぁ俺の彼女。
『なにを他人ごとようにしているのだ、お前自身も殺戮者にならないよう努力しろ』
あっ、はい。
「でもクリフォート? だっけ? そいつらが目指す異世界ってもしかして……」
「クリフォートじゃなくてクリフォトです。 まあこの世界である可能性は高いと思う」
グレートレッドが守護する次元の狭間の先にある世界がここである可能性は凄く高い。
「もしそうなったら……」
「俺と同じ、いや俺以上の強さを持つ連中がわんさか来ることになる」
ただ、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーはまだ生ける屍同然の状態である可能性が高い。
だって兵藤一誠はここにいるし。
異世界の存在が乳神と共に発覚したからリゼヴィムは元気になっちゃった訳だし。
だが他の禍の団は兵藤一誠がいてもいなくてもテロ活動をするだろうし……
「でも今すぐ来る! とは限らないし、大丈夫だよ」
「そうかな、ほらこれを見て」
いつの間にか刀奈の神託の神鏡があった。
鏡には<赤き龍の力を宿した者と白き龍の力を宿した者、二者が出会ったとき世界に大いなる混乱が訪れる>という予言が浮かんでいた。
それだけじゃない。
<白き龍の力を宿した者はこの世界のどこにもいない>
「これって……」
「神託の神鏡はこうやって情報が更新されたことを教えるの、これで白龍皇と赤龍帝のことが分かったんだけど……」
「神託の神鏡って持ち主に情報が更新したことを教えてくれるのか、でもいきなり出てきたら邪魔じゃない?」
「この子もドライグさんほどじゃないけど空気読めるんだよね」
「そうなんだ、だが白龍皇はこの世界にはいない、ということは……」
「そういうことなんだろうね」
白龍皇がこの世界に来る?
異世界からの侵略者、そりゃそんなのが来れば大いなる混乱くらい起こるだろうが……
「だから、いつ来るんだよ」
神託の神鏡は微妙に不親切だった。
「いつ来るのか分からないものに怯える前に、一誠は日本の代表操縦者になる準備をしないとね」
神託の神鏡をしまった刀奈はそう元気よく言った。
あーそう言えば…
「とりあえず、はい!」
え、なにこれ、電話帳が三冊あるんだけど。
「代表操縦者になるなら最低でもこれくらいのISの知識がないと」
「これ全部?」
「当たり前でしょ? 大丈夫! 私が一緒だから」
これほど頼りになる言葉はない。
よし! やるぞ!
「そう言えば……刀奈、もし日本の代表操縦者になるのが間に合わなかったらどうするんだ?
「その時は、既成事実を作って一誠を更識家の婿にするから」
「えっ」