インフィニット・ブーステッド・ギア(凍結中)   作:空振り

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第十九話

 「なあ刀奈、俺ってIS学園の外に出てもう大丈夫なのかな?」

 

 「こっそりとならもう大丈夫だと思うけど……どうしたの?」

 

 本日のIS座学の時間が終わり、刀奈が用意してくれたココアを飲みながら、俺は刀奈に外出していいか聞いていた。

 

 「いやその……映画を見に行かないか?」

 

 「えっそれって……もしかして……デ、デート?」

 

 予想外の言葉に驚き、嬉しそうな表情の刀奈。

 刀奈はやっぱり可愛い。

 

 「……俺さ、刀奈の彼氏なのに刀奈に何もしてない、それどころか刀奈にISのことを教えてもらってる」

 

 「それは私が好きでやっているだけで……」

 

 「いや、それじゃ俺が俺を許せない、だからせめてデートくらいは……」

 

 「一誠、私はね、あなたと一緒にいるだけで幸せなの、これ以上幸せになったら、私おかしくなっちゃうよ……」

 

 刀奈と目が合った……

 俺と刀奈の距離が徐々に縮んでいく。

 唇と唇が重なりそうになったとき……

 

 『おい! いい加減にしろこのバカップル! 俺の話を聞け!』

 

 うおっ!

 ドライグ!

 

 『さっきから呼んでいるのに無視するんじゃない、まったく紹介したい子がいるのに……』

 

 すまん、すまん。

 だか、今回は思ったより復活が早いな。

 3日も気を失っていたんだぜ?

 

 『あの子の前であまり無様な姿は見せられないからな』

 

 「あの子? あの子って誰ですか?」

 

 [わたしのことです! 奥様]

 

 !?

 女の子の声だ……

 親方ー神器から女の子の声が!

 

 「ドライグ、お前いつの間に変声期になったんだ?」

 

 『変声期なわけあるか! ほら、自己紹介をしなさい』

 

 [はい、お父様! わたしはミナコと言って主様のISである赤打鉄のISコアをやっています!]

 

 !?

 

 「え、ちょっと待って、一誠、この子自分のことISコアって言ったよね!?」

 

 「ああ、言ったな……ドライグこれって…」

 

 [はい! わたしはお父様ではないけれど代わりに答えますね! わたし、コアナンバー375はお母様、篠ノ之束に創りだされたISコアです! 今現在は日本政府が所持し、主様のISとしてがんばっています!]

 

 そう言えば俺神器の中にISコアをぶち込むんでいたわ……

 彼女が出来たりしていろいろあったから忘れてたよ。

 

 『……というわけでISコアとコンタクトがとれたぞ相棒』

 

 「いやいや、待て待てお父様ってなんだお父様って」

 

 [お父様はお父様ですよ? お父様がいなかったら、わたしはここまで流暢に喋るようになるのに何年もかかっていたはずです。 お父様がいなかったら今のわたしはいません]

 

 「……慕われているなドライグ」

 

 『いろいろ教えているうちに懐かれてしまってな……』

 

 「一誠、どういうことなのこれ?」

 

 「刀奈、実はな……」

 

 

 

 

 「なるほどね、そんなことを……でもミナコちゃん、私のことを奥様って言わなかった?」

 

 [仲の良い男女のことを夫婦と言うのではないのですか?]

 

 「そうだけど……まだ気が早いというか……最終的にはそうしたいというか……」

 

 顔の赤い刀奈も可愛い。

 ……でも気が早いのは確かなんだよな、俺たちはまだキスより先はまだおっぱいを揉むくらいしかしてないし……

 アレをしてしまったら妊娠まったなしである、ということをお互いに重々承知しているので、せいぜい二つあったベッドを一つにして手を繋いで寝ることぐらいしかここ数日していない、それ以上は無理、俺の理性が持たない。

 生徒の規範であるべき生徒会長が妊娠しましたなんて笑い話にもならん。

 ゴム? そんなもん女子高だったIS学園にあるわけないだろ。

 そのため俺は理性がどんどん削られていき、性欲ばかりが溜まっている。

 それを気合と根性でなんとか我慢しているのだ。

 

 「ミナコ、聞きたいことがあるんだ、篠ノ之束はどこにいる?」

 

 [お母様ですか? 今は……太平洋上空にいるみたいですね、移動式のラボにいるんだと思います]

 

 「捕まえるのは難しいか」

 

 福音事件が起きる前に捕まえておきたいのだが。

 

 [はい……そうだと思います……主様。 お父様……眠いです]

 

 おいおい大丈夫か?

 なんだか眠そうだぞ。

 

 『まだまだ未熟な心ということさ、ミナコ、おやすみ』

 

 [おやすみなさい……お父様]

 

 『ミナコが眠ってしまったし、(相棒がおっぱいを揉む前に)神器の奥に逃げるとしよう』

 

 いつもおっぱいを揉んでいるわけじゃないから……ってもういない。

 

 

 

 

 「そう言えば……篠ノ之博士が福音事件の原因なんだっけ」

 

 「九割九分、篠ノ之束が福音事件の原因のはずだ」

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が無人なのか有人なのかは分からないが、どちらにしろそんな事件は起こさせん。

 

 「でもその前にシャルロットとラウラ……だっけ? が来るんでしょ?」

 

 「ああ、シャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒだな、刀奈、学園のほうになにか情報は来ているのかい?」

 

 「一応来ているけど……転入生は三人みたいなんだよね」

 

 「三人? おかしいな原作通りなら二人のはずだ」

 

 「またバタフライエフェクトじゃない? 神器のシステムは大昔からこの世界にあるわけだし」

 

 そうなんだよな、歴代の楯無が神器を受け継いできたということは神器のシステムは大昔からあることになる。

 大昔からあるんだから本来いない人間がいたりするのもありえない話じゃない。

 むしろ今まで原作通りに進んだことのほうがが奇跡的かもしれない。

 

 「まだ5月だし、6月になるまで様子見かな……」

 

 

 

 

 「あのね一誠、デートの話だけど……私見てみたい映画があるの」

 

 「どんな映画?」

 

 「これ……」

 

 刀奈の手には少女マンガの単行本があった。

 マンガの帯には映画化決定! と書いてある。

 なるほど……これか。

 

 「もう公開しているみたいだし、明日の土曜日なんかちょうどいいんじゃないか?」

 

 「やった! 私いろいろ準備してくるね!」

 

 もの凄い勢いで部屋を飛び出して行った。

 外出許可でも取りにいくのかな?

 

 

 

 

 

 次の日。

 俺は刀奈と一緒にモノレールに乗っていた。

 人工島にあるIS学園から本土に移動するには基本的にこのモノレールを使う。

 今日は土曜日ということもあり、結構な数の生徒が乗っていた。

 

 「そう言えば一誠っていつの間にか私に敬語使わなくなったよね」

 

 「確かに……敬語に戻したほうがいいですか? 楯無さん」

 

 「あ、それなんかやだ。 距離を感じるし、今まで通りでいいよ」

 

 モノレールの中で暇な俺は刀奈と話をしていた。

 ……好奇の眼差しが凄いな。

 IS学園は女子高だった。

 そのため色恋沙汰なんて無縁だったわけだが……

 そんな恋バナが大好物な年頃の娘たちが俺と刀奈の関係を知らないはずがなく。

 一日も立たないうちに学園全体に話が広がっていた。

 

 「昔はみんなメイクなんてして無かったのにね」

 

 「そうなのか?」

 

 「うん、寮の中に男の人は来ないから、みんなノーメイクだったの」

 

 「へー、俺と一夏が来た影響か」

 

 「そー、一誠と一夏くんが来てからみんな寮の中でもメイクするようになったんだよね」

 

 男の目があるのとないのでは違うということか。

 

 「まあ、楯無はメイクなんてしなくても十分綺麗だし可愛いけどな、あ、メイクするとより綺麗で可愛くなるぞ」

 

 「いきなりそれは反則だよ……」

 

 やっぱり刀奈は可愛い。

 が……

 

 「キャー!」

 「いいなぁ私もあんなこと言ってくれる彼氏ほしいなぁ」

 「やっぱり人前で見せつけるようにキスをする男は違う……! 私の彼氏もああだったら良かったのに」

 

 うるさい。

 

 「なあ、楯無、今ここでキスしたらどうなるかな」

 

 「私が恥ずかしくて死んじゃうから止めて!」

 

 

 

 

 モノレールを降りたあと電車に乗り換え、映画館のある繁華街に到着した。

 ここまでくると流石にIS学園の生徒もいないようだ。

 ちなみにデートについてドライグからは、

 

 『俺はミナコと一緒に今日一日神器の奥にいるから楽しんでこい、リア充』

 

 との言葉をもらっている。

 

 「じゃあ映画を見るか?」

 

 「うん!」

 

 

 

 「隊長! ターゲットが映画館の中に入って行きます!」

 

 「よし、バレないようそのまま尾行を続けろ」

 

 

 

 少女マンガが原作なだけはある。

 かなり甘ったるいラブロマンスだった。

 ブラックコーヒーが無かったら即死だった。

 

 「楯無どうだった?」

 

 「原作ファンの私的には端折られたシーンがあって不満もあったけど……概ね楽しめたかな♪」

 

 「そっかよかった……もうお昼か、隣のレストランでなにか食べよう」

 

 

 

 「隊長……もう駄目です……」

 

 「あれほどブラックコーヒーを用意しておけと言っただろう! アルファはしばらく安め、ベータ、レストランに入って尾行を続けろ」

 

 「了解です」

 

 

 ここのレストランはハンバーグが売りらしい。

 

 「じゃあこのハンバーグオムライスを……」

 

 今日はせっかくのデートなんだから特盛り系は控えよう。

 

 「超特盛りハンバーグアンドステーキセット一つ」

 

 「楯無っ! いいのか?」

 

 「私は一誠が幸せそうにいっぱいご飯を食べるのを見るのが好きなの、交換すればちょうどいいでしょ?」

 

 本当に俺にはもったいないくらいの彼女だ……

 

 

 

 「隊長……私には無理です……」

 

 「なぜ同じものを頼んだ! ええい、ガンマ、次はお前だ!」

 

 「かしこまり!」

 

 

 

 次はどこに行こうか……

 

 「ねえ、一誠あそこのゲームセンターはどう?」

 

 ゲーセンか……

 そういえば最近行ってないな。

 

 「私、ゲームセンターに行ったことないんだ、ね、行こう?」

 

 よし行こう。

 すぐに行こう。

 

 

 

 「楯無ってゲーセン行ったこと無かったんだな」

 

 「うん、私と簪ちゃんは更識家で大事大事に育てられてきたから、あんまり外に出してもらえなかったんだよね、私がけんだま遊びを好きなのもその影響だと思う」

 

 「そうだったのか……おっ、このクレーンゲームの猫のぬいぐるみ……」

 

 「わぁー可愛い」

 

 「やっぱり好みだったか、取ってあげようか?」

 

 「いいの!?」

 

 「まかせな」

 

 

 

 「あ、ターゲットは猫のぬいぐるみを抱えてゲーセンから出ました」

 

 「そうか……む? ガンマお前は何をしている?」

 

 「今、スコアタに挑んでいるんです! あとちょっとで世界記録を超えられるんです! 邪魔しないで下さい!」

 

 「この馬鹿者がっ! ええい、もういい私が行く!」

 

 

 

 おや? 

 あんなところに移動式のクレープ屋がある。

 

 「あそこのクレープ食べないか? って楯無?」

 

 刀奈はどんどんクレープ屋に向かって歩いていく。

 そんなにクレープが好きなのだろうか?

 いやでもそんな感じじゃ無かったような。

 

 「いらっしゃいお嬢ちゃん、おすすめはイチゴカスタードだよ」

 

 クレープ屋の親父は、バンダナにサングラスとかなり怪しい出で立ちだ。

 どこぞの不審者とは逆で口元ではなく頭に巻いているが。

 

 「お父さん! なにをやっているの!」

 

 なに!?

 お父さん!?

 

 「ち、違うよ、ワタシ、クレープ星からきたクレープ星人だよ」

 

 「お 父 さ ん !」

 

 観念したクレープ星人(笑)はバンダナとサングラスを外した。

 ……!

 刀奈と同じ水色の髪、赤い瞳。

 やっぱりこの人は、刀奈の父親である先代楯無だ!

 

 「な に を し て い る の ?」

 

 「いや、その、なんだ、更識家に兵藤一誠を守れという依頼がきたわけだし、赤龍帝がどんな男か調べる必要もあったし……」

 

 「…………」

 

 無言で刀奈は父親を見つめている。

 まあ更識家には俺が赤龍帝であることを教えたけどさ。

 

 「はい……正直に言います、娘と付き合っている男がどんな男なのか知ろうとしました」

 

 父、弱えー

 更識家のヒエラルキーが垣間見えた気がする。

 

 「みんな出てきて、いるのは分かっているから、これは当主命令です」

 

 刀奈がそう言うと様々な世代の人々がぞろぞろと出てきた!

 

 「先代ーだから言ったじゃないですか、お嬢様はその車を見慣れているんですから一発でバレるって」

 「そうですよ、ああようやく胃が楽に……」

 「俺のスコアタが上手く行かなかったのもその車のせいですよ!」

 

 老若男女、本当にいろいろといるな。

 これ全員更識家に関わりのある人間か……

 

 「みんな帰って!」

 

 刀奈がそう叫ぶとみんな帰って行った……

 

 

 

 「まったくもう!」

 

 「とんだ初デートになっちゃったな」

 

 「許してあげなさいよ、あなたのお父さんも悪気があったわけじゃないんだから」

 

 誰だ?

 後ろを振り向くと、刀奈に似た女性がいた。

 髪の色は違うが顔のつくりがよく似ている。

 

 「お母さん! なんでお父さんを止めなかったの!」

 

 やはり母親か……

 

 「私が気づいた時にはもう殆ど準備が終わっていたのよ」

 

 「でもさ、初デートだよ? 初めてのデートはこれが最後なんだよ?」

 

 「だったらこれから先、いっぱいデートすればいいじゃない、あとね刀奈、これ私とお父さんから」

 

 刀奈は母親から謎の小袋を受け取ったようだ。

 なんだあれ?

 

 「これは……!」

 

 「がんばりなさい、刀奈」

 

 中身を見た刀奈が驚いたが……

 なんだろう?

 

 

 

 

 

 「なあ、楯無」

 

 「今日はもう刀奈でいいよ……」

 

 「じゃ遠慮無く、刀奈、あの袋はなんだ?」

 

 「これ」

 

 刀奈の手の上には小瓶があった。

 中身はドロッとした液体のようだ。

 ……ローションかな?

 

 「これはね虚ちゃんにあとでこっそり渡してもらうつもりだったの」

 

 「そうだったのか……でこれはなんだ?」

 

 「そ、その更識家秘伝の……媚薬」

 

 媚薬!?

 

 「別称、更識の女壊し、って言って――女の子を性的な意味で狂わせるの、処女でも容赦なく狂わせる……」

 

 可愛い。

 顔の赤い刀奈可愛い。 

 

 「なんでそんな物が……」

 

 「更識家には自分と同じ血を引いた人間に神器を継承させることが出来るの、だから更識の血を欲しがった女の間者がいっぱい来て……」

 

 「だからこんなのが生まれたのか……でもなんでこんなものを?」

 

 「これね、避妊の効果もあるの……」

 

 なるほどそうゆうことか。

 これの正しい使い方が分かった、最初は大量に使って狂わせて、お前が狂ったのはこの薬のせいだと伝える。

 あとは徐々に薬の量を減らして……子供が出来ている頃には身も心も更識家の物になっているわけだ……

 えぐっ!

 これは確かに女壊しだ。

 一夏は女泣かせだが、一夏がかわいく見えるレベルだぞこれ。

 

 でも刀奈がこれを用意した理由は……

 

 「避妊と破瓜の痛みの緩和のためだよな?」

 

 「うん……こっそり虚ちゃんに持って来てもらうつもりだったのに……」

 

 「俺たちの仲って両親公認か……」

 

 凄い複雑だ……

 

 

 

 「あー嫌ならもう帰ろうか、学園に」

 

 俺が刀奈のことを考えこう言った。

 

 「……! あのね一誠、私ね、外出許可じゃなくて外泊許可を取ってきたんだよ? こんな薬を用意したんだよ? 一誠は理性が削られてやばいって言ってたけど、私だって性欲が……あるんだよ?」

 

 俺は刀奈を抱きしめていた。

 

 「刀奈、これ以上はもう我慢出来ないぞ? 本当にいいのか?」

 

 「いいよっ! 一誠になら私の全部をあげてもいい! ……一誠、いつか君が言った据え膳だよ?」

 

 ああ、刀奈そんな目で、そんな顔で俺を見ないでくれ。

 限界だ。

 

 

 ブチッ

 

 

 俺の理性の紐が千切れる音が聞こえた気がした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『おはよう相棒、ゆうべはおたのしみでしたね?』

 

 おはようドライグ。

 まあ、裸で一緒に寝ていたら分かるか。

 なあドライグ。

 

 『どうした?』

 

 俺さ刀奈のことが凄い好きで、大切なんだ。

 多分自分の命より。

 でも白龍皇とかが来て闘いの日々になったら……俺は刀奈を守りきれない。

 俺が無事でもそれじゃ意味が無いんだ。

 

 俺は刀奈を守る力がほしい。

 一夏のただ漠然とした中身のない『守る』じゃなくて、俺は刀奈だけを守る力がほしい。

 そうなったら刀奈の笑顔を守るついでで世界を守ることになるんだろうな。

 

 『世界より、一人の女を取るか! はははっ! 実に相棒らしくていいじゃないか』

 

 ん?

 神器が光っている……

  

 『相棒、お前の思いに赤龍帝の籠手が、いやミナコも答えたのさ』

 

 ミナコも……?

 それって赤龍帝の籠手とISのダブル禁手みたいなもんか!?

 

 『そういうことだ』

 

 [そういうことですよー主様]

 

 なんとなくだが新たに得た力の使い方が分かる……

 確かにこれなら刀奈を守れる。

 

 

 「一誠、どうしたの?」

 

 「刀奈、俺、お前のことが大好きだ」

 

 「うん、私も一誠が大好き」

 

 

 

 俺たちは唇を重ねた――

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