「はーい皆さん、静かにして下さいねー!」
朝のショートホームルームでこのクラスの良心である山田先生が元気よく声を上げている。
「実は今日は何と、転校生が二人も来ます!」
今明かされる衝撃の真実ゥ!
クラスの女子たちは驚いている。
だがみんな驚くのはこれからだぜ?
「ボーデヴィッヒ、入ってこい」
「はい」
あ、こっちが先か。
「ドイツのラウラ・ボーデヴィッヒだ」
ラウラさん、お前らと慣れ合う気はないオーラ出しまくりやん……
その時ラウラの頭部に織斑先生の出席簿が!
「きょ、教官……」
「もう私はお前の教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ、私のことは織斑先生と呼べ、いいな? あとここは学校だ、軍隊じゃない」
「ですが! ……了解……しました」
そう言ってラウラは下がった。
よかったな一夏、叩かれずにすんだぞ。
「つ、次のデュノア君どうぞー」
山田先生の声で二人目の転校生が教室に入ってきた。
「フランスから来た、シャルル・デュノアだ、よろしく頼む」
男。
間違いようのないほどの男だった。
背は……原作のシャルロットは154cmだったがこいつはどう低く見積もっても180cmはある。
声も低い。
髪は金色。
顔はワイルド系か。
どう見ても中性的ではない。
あ、耳を塞がないと。
「きゃあああぁぁぁーーーっ!」
すげえソニックウェーブ。
哀れ一夏はモロに食らったようだ。
南無。
「こいつがシャルル・デュノアか……」
シャルル・デュノアがIS学園に来る数日前。
俺はISを使って空を飛ぶフランス人の男が映った動画を見ていた。
動画はフランス政府……と言うかデュノア社が公開した映像だ。
転校生の二人までは分かっていた。
シャルロット・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒ。
だが三人目は? となり刀奈に調べてもらった。
そしてこのシャルル・デュノアが見つかった。
「ね? 完全に男でしょ?」
「ああ、これが男装だったらそれはそれで凄いぞ」
シャルル・デュノア。
本来なら、男装したシャルロット・デュノアが使っていた偽名だ。
だがこの世界にはシャルル・デュノアという男が確かに存在していた。
……どういうことだろう?
篠ノ之束との関わりが無さそうだし、俺と同じ神器所有者であろうことは確定だが……
こいつは俺と同じ転生者か?
でも神器のシステムは大昔からある訳だし、本来いない人間がいる可能性はゼロじゃないし……
分からん。
「でも本来イッセーはこの学園にいないんでしょ? もし一誠と同じ転生者なら一誠を見たときに何か反応するんじゃない?」
「確かに……とりあえず本人が来るまで待ってみるか」
「男子! 三人目の男子!」
「また男がうちのクラスに!」
「ワイルド系! 守ってほしい!」
「きたっ! きたわよ! デュノア×織斑の時代が!」
「もうノマカプで妄想しなくていいのね!」
……現実逃避はこの辺にしよう。
「静かにしないか! この馬鹿者共。 なにを期待しているか知らんがこいつは――」
「先生、質問があるんですけど」
「何ですか? デュノア君」
「俺の妹のシャルロットはどこですか?」
シャルルはシャルロットと違い、愛人との間に生まれた子供ではなく、本妻との子供らしい。
シャルロットとは腹違いの兄妹ということになる。
「隣の二組ですけど……?」
「シャルロットはここにいない……? 休み時間になるまでシャルロットに会えない……?」
おい。
なんか震えだしたぞ。
「シャ、」
「デュノア君、どうしたんですか!?」
「シャルロットオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
うぉ!
デケェ声!
耳が痛いぞ。
よく見たら、ラウラもうわぁって感じの顔でシャルルと距離をとっている。
「うるさいっ!」
ドゴォ!
ちふゆのこうげき!
きゅうしょにあたった!
しゃるるはたおれた!
「織斑と兵藤はこいつを適当な席に座らせておけ」
完全に気を失っているぞ。
大丈夫か? これ。
「一夏、俺が右側を持つからお前は左側だ」
「ああ、分かったぜ、でも凄いシスコンなのか? こいつ……」
お前が言えたセリフじゃないと思うぞ、一夏。
休み時間になり、鈴がシャルロットを連れて一組に来た。
シャルロットはちゃんと女子の制服だ。
「凄い声だったわよ?
「お兄ちゃんが迷惑をかけて、どうもすみません……」
「あなたがシャルロット? あなたのお兄様を起こしてくださらない? さっきから動かないのですけど」
まるで死体のようにピクリともしない。
「あ! はい、起こしてきますね、お兄ちゃん? 僕だよ? ねえ起きて?」
「シャルロットッ!」
うぁ!
今度は飛び上がった!
今まで何をしても起きなかったのに。
「ああ、シャルロットじゃないか、何日もあってなかった気がするよ」
凄い良い笑顔だ。
「お兄ちゃん、そんなに離れてないよ?」
「そうだったか? まあいいや、シャルロットがいるってことはもう休み時間か……」
途端に顔が暗くなったぞ。
「また休み時間になったら来てあげるから、ね? その間は真面目に授業を受けるんだよ? クラスのみんなとも仲良くね?」
「シャルロットがそう言うなら……」
いろいろと大丈夫か? こいつ……
「俺は織斑一夏、よろしくな」
「俺が兵藤一誠。 俗に言う二人目だ、よろしくな」
とりあえず自己紹介といこう。
こいつが転生者なら何かしらの反応をするはず……
「ああよろしくな、俺はシャルル・デュノア。 シャルルでもデュノアでも好きなように呼んでくれ」
あれ? 握手を申し込んだら普通に握手してくれたぞ?
典型的な転生者ならなんでお前がいるんだとか、〇〇は俺の嫁だから消えろとか言われると思ったのだが。
転生者では無さそうだし、妹のことを除けば割といいヤツ?
「ただし、シャルロットに手を出してみろ……」
凄い目でこっちを見ている……
「俺には彼女がいるから手は出さないよ」
「なんだ、そうなのか、じゃその彼女さんにシャルロットのことをよろしくな」
多分転生者ではないけど別ベクトルでやばい。
「織斑、兵藤、同じ男子だろうデュノアの面倒を見ろ」
さて女子が着替える前に移動するか。