「それでは、この時間は実戦で使用する各種武装の特性について説明する」
この授業はドン・サウザンド……もといサウザンドウインター氏が授業を担当するらしい。
「ああ、その前に、再来週行われるクラス対抗戦に出る代表を決めないといけない」
あーこれかー。
『相棒はどうするんだ?』
当然パス。
『なぜ?』
勝っても負けてもどうせ結果は変わらんだろうし、何よりめんどい。
「分からない者もいると思うから説明するが、クラス代表とは、クラス長みたいなものだ」
それに個人的には原作通りにこのイベントは進んでほしいんだよ。
『ほう?』
そうしないとワンサマーとチャイニーズツインテールが原作通りにクラス対抗戦で戦ってくれないからな。
「クラス対抗戦は各クラスの実力推移を測るものだ」
あのゴーレムと戦うためにはなるべく原作通りにことを進めないとな。
「今の時点では大した差はないが、競争は向上心を生む、一度決まると一年間変更はないからそのつもりでな、誰かやる奴はいないか? 自薦他薦は問わない」
ここで間髪をいれずに手を挙げて発言しておく。
「はい、織斑君がいいと思います! 織斑君は男子で唯一、教官を倒した男だからクラス代表にピッタリだと思います!」
こうしておけば俺が推薦されることはないはずだ。
『唯一……まあ相棒が負けているのだからそうなるか』
「私もそれがいいと思います!」
よし! 他の女子生徒からも賛同を得られたようだ。
「お、俺!? ちょ、ちょっと待った! 俺はそんなのやらないぞ!」
「自薦他薦は問わないと言った。他薦に拒否権はない。選ばれた以上覚悟を決めろ」
他薦に拒否権はないは酷いよなぁ。
そしてこの瞬間、意味ありげにセシリアの方を見る。
お前さんはこれでいいのか? って感じにな。
「なら、俺はイッセーを――」
そう一夏が言いかけたその時。
「納得がいきませんわ!」
おお!? 来るか?
「そのような選出認められません!男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?実力から行けば、わたくしがクラス代表に選ばれて必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしは、サーカスをしに来たのではなく、IS技術の修練に来ているのです!大体、クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―――」
「イギリスだって大した国じゃないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
今度は一夏君が激おこプンプン丸でいらしゃる誰か何とかして差し上げろ(他人に丸投げ)
「なっ! あなた! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「さきに侮辱したのはそっちだろ!」
ぐうの音も出ないほど正論なんだよなぁ。
「決闘ですわ!」
「いいぜ。四の五の言うより分かりやすい」
とりあえず殴り合いで解決を図る、野蛮の極みじゃないか(呆れ)
どっちが野蛮人かこれもうわかんねぇな、ドライグさ、お前どう?
『淫夢語録もそのくらいにしておけ』
あ、すいませんでした(語録無視)
「言っときますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い、いえ、奴隷にしますわよ」
「真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」
「何にせよ、ちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」
原作通りなら負けかけるんだけどね、オルコットさん。
「それで、ハンデはどのぐらいつける?」
「あら? 早速お願いかしら?」
「いや、俺がどのぐらいハンデをつけたらいいのかなーと」
一夏がそこまで言うと、クラスからドッと笑いが巻き起こった。
「織斑君、それ本気で言ってる?」
「男が女により強かったのは、大昔の話だよ?」
「今、男と女が戦争したら一週間持たないって言われてるんだよ?」
……どうやらクラスの女子生徒たちは本気で笑ってるようだ。
一夏のほうはぐぬぬって感じの顔だ。
やれやれ。
「男と女が戦争したら一週間持たない? ははっご冗談を」
俺の発言で教室が静まりかえった。
「あら、それはどういう意味の発言ですの?」
意外そうな目でセシリアが俺を見る。
女の子にこんなに見つめられるとは、いやー嬉しいね?
「別にぃ? 前提からして大きく間違っていることを恥ずかしげもなくよく言えるなと思っただけさ」
俺は続ける。
「男と女が戦争したら一週間持たないって言われる理由はISは女にしか使えないからだろ? でもそんな考えはもう通用しないぜ? だってもう例外が目の前に二人もいるじゃん? それにISが使える男は俺たちだけじゃないんだぜ、下は5歳、上は80歳といろんな年齢の男がIS動かしているんだ」
「でも――」
「でもクソもない」
俺は「でも――」と反論しかけた隣の席の女子生徒の顔を見ながら告げる。
「もし男と女の戦争が始まったら君は女軍の上官に、君の父親は憎っくき男軍のエリートだから娘という立場を上手く使ってISの近接戦闘用ブレードで刺殺して来いと言われて君は父親を殺せる?」
女子生徒は黙ってしまった。
「出来ねぇだろ? 俺だって母親を殺して来いって言われたらいやだもん、ほら! 前提からして大きく間違っているというのはこういうことさ」
「それは流石に――」
セシリアが何か言いかけたが封殺する。
「今すぐ戦争はありえないってか? 確かに男と女じゃないだろうな。でも国と国ならありえない話じゃないだろう? 例えばイギリスと日本とかさ!」
「あっ――」
セシリアも俺が何を言いたいのか理解したようだ。
「セシリア・オルコット、君はイギリスのエリート、そうだよなぁ? あんだけ声高らかにエリート、エリートって言ってたもんなぁ? じゃあさぁエリートのオルコットさんに聞きたんだけど君の発言はイギリスの公式発表と同じってことでいいよね?」
「それは……」
「なんていっても君は大英帝国が選んだエリートなんだからその発言と意志はイギリスという国が言ったのと同じだ……。 そうだろう? そのはずだよなぁ! セシリア・オルコット!」
俺はセシリアの顔を見ながら続ける。
「え? 極東の猿? 文化としても後進的な国? こりゃおったまげたー、イギリスは日本と今すぐ戦争がしたいらしぜ! 日英大戦争の始まりだな! そしたら大変だ、俺の身柄は一応日本政府にあるんだから敵国であるイギリスのセシリアさんを殺さなきゃいけないかな!?」
ドコッ!
「その辺にしておけ」
痛え。
流石に織斑先生に止められた。
出席簿ってこんな音を出すはずないよな!?
「まあ俺が言いたいのはさ、みんなIS学園に入ったから浮かれている部分もあるかもしれないけど、そもそもISってどんなものだ? ってことさ、ISってのは、今は確かにスポーツの部類に入っているし、元々は宇宙開発用として生まれた、けど今のISの扱いは兵器だ。 兵器なんて物騒な物を扱っているのに、みんな緊張感が足りないんじゃないのかな? ってことを伝えたかったのさ」
クラス中がすっかり黙りこんでしまった。
「まさかファッションショーに出た新しい衣装のことを学ぶのと同じくらいの感覚でISのことを学ぼうと思ってIS学園にきたわけじゃないだろう? ISっていうとても大きくて特別な力を扱うんだからこそ、その重要性を理解する必要があるんじゃないか? って思うし、そもそも力って奴は使い方次第で自分も他人も傷つけてしまう、だから俺たちはもっと深く考えて行動していくべきなんじゃないか? とも俺は思うんだ」
あー、やっちゃったたかなクラス中でのボッチルートまっしぐらかもしれん。
「そうだね」
「軽く考えていたかも」
「うんそうだよ!」
おや?
「ごめんね兵藤くん、不愉快だったよね」
「ごめんなさい兵藤くん、織斑くん」
俺の話は女子生徒たちの心に通じたようだ。
ISという作品に触れて感じた突っ込みどころをぶちまけただけなんだけど、有効だったようだ。
「ふむ、終わったようだな、それでは次の月曜日にオルコットと織斑によるクラス代表決定戦を行う、オルコットと織斑はそれまでにクラス代表決定戦の準備をしておくように」