インフィニット・ブーステッド・ギア(凍結中)   作:空振り

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第九話

 俺が一夏にISの知識を、箒が一夏に剣道を叩き込んでいるうちに一週間が過ぎた。

 

 「なあイッセー、俺結局この一週間ISに乗ってないんだけど……大丈夫なのか?」

 

 「しょうがないだろ、訓練機を借りれなかったんだから」

 

 バタフライエフェクトが発生したのだから、もしかしたら借りることが出来るのでは? と考えたが、そんなことはなかった。

 

 「でも俺、お前にISの知識を教えてもらったのを除くと箒と剣道しかやってないぜ?」

 

 「いいんだよそれで、ISは兵器というより、武器と言ったほうが正しいからな」

 

 「ISが武器?」

 

 「例えばミサイルみたいな誰が使っても殺傷力が変わらない物を兵器、剣や槍のような使い手によって殺傷力が変動するものを武器、とすると人が乗って使うISはどっちだ?」

 

 「それは……武器の方か」

 

 「ザッツラーイト、その通り、だから一夏、お前自身が強くなってもらわないと折角のISも宝の持ち腐れだ」

 

 もっとも俺の場合、下手にISに乗っても弱体化するだけだが。

 

 「相手のセシリア・オルコットはお前の何十倍以上にISに乗ってもいる、車で例えるならF1レーサーみたいなもんだ、対するお前は免許取りたての若葉マークつけた初心者、逆立ちしたって勝てない相手だ、まあ、がんばれ」

 

 「それって励ましているのか……?」

 

 

 

  

 一夏の専用IS、白式が届き試合が始まった。

 

 「一夏には勝てるだろうか……?」

 

 箒は不安そうだ。

 

 「一応、BT兵器というかセシリアの弱点は教えたけど……」

 

 原作通り、負ける気がする。

 

 

 

 

 負 け ま し た。

 ああ、やっぱり駄目だったよ。

 予想通りすぎて顔中草まみれや。

 

 「まったく! 私が剣を教えたのに……!」

 

 今日は箒さんが激おこプンプン丸だ。

 

 「まあまあ落ち着いて、俺の前はともかく一夏の前で怒っちゃ駄目だよ? 怒りん坊な女の子が好きな男ってあんまりいないよ?」

 

 「それは……わかっているのだが……」

 

 「わかっているのならいいんだ。 責めるのは俺の仕事、褒めるのは箒の仕事、そう約束したでしょ?」

 

 この一週間、俺は箒にいろいろと約束をしている。

 一夏を殴らない、一夏に怒りの感情をぶつけない、などなど。

 お陰でだいぶ改善された。

 

 「そうだったな……」

 

 

 

 「よう一夏、見事に負けたな」

 

 「イッセー……その通りだけどさ、ひどくね?」

 

 「だが一夏は頑張ったと思うぞ、事実上勝ったようなものだ、凄いし偉いぞ」

 

 一夏がものすごいものを見たような顔をしている。

 そんなに意外か。

 

 「だが、『零落白夜』だったか? 白式がお前の専用機である以上、あれを使いこなせないと駄目だぞ」

 

 天狗にならないようしっかり俺が釘を刺しておく。

 

 「だよなぁ、千冬姉は使いこなせていたんだろ? 俺も努力しないと」

 

 「お前が努力するなら、私も手伝うぞ」

 

 「箒、本当か!? じゃあこれからもよろしくな!」

 

 「あ、あぁ、まかせろ!」

 

 なんだかいい雰囲気だ。

 おじゃま虫はこの辺で退散しよう……

 

 

 

 「あなたは……兵藤さん」

 

 「やあセシリア・オルコットさん、ごきげんよう」

 

 俺はセシリアを待ちぶせしていた。

 この辺を通るだろうとあたりを付けたが大当たりだったようだ。

 

 「クラス代表、おめでとうオルコットさん、あれ? なんだか表情が硬いよ?」

 

 「いえ……なんでもありませんわ、こちらこそわざわざありがとうございますわ、兵藤さん」

 

 あの時からセシリアは俺に若干苦手意識を抱いているみたいだ。

 

 「ですが、わたくしはクラス代表になるつもりはありませんわ」

 

 やっぱり惚れているか……

 流石チョロコットさんや。

 セシリアの持つちょろインのフィールはいまだに衰えていないようだ。

 

 「せっかく勝ったのに?」 

 

 「わたくしは一夏さんをお慕いしていますから、一夏さんとお近づきになるにはこれしかないと思いまして」

 

 おいおい、俺にバラしたぞ。 

 箒のときと同じようにカマをかけるつもりだったのに。

 

 「でも一夏を狙うのはオルコットさんだけじゃないぜ?」

 

 「篠ノ之さんのことですか? 恋敵が一人いるくらいでは諦めるつもりはありませんわ」

 

 恋敵は一人じゃないんだよなぁ。

 

 「恋は障害があったほうが燃えますわ……兵藤さんあなたは篠ノ之さんに助言をしていますね?」

 

 「まあ、そうだけど?」

 

 別に隠すようなことでもないし。

 

 「わたくしは篠ノ之さんと違って一人で一夏さんを手に入れて見せますわ」

 

 「一人でか……大変じゃないか?」

 

 「大変になったらあなたの力を借りますわ」

 

 

 

 

 「そう言えば兵藤さんには謝らなければなりませんね」

 

 「俺はもう別に怒っていないぜ?」

 

 「ではせめてお礼を言わせてくださる?」

 

 お礼?

 

 「わたくしは自分の立場というものを理解できていませんでした」

 

 そうだろうね、代表候補生のくせに日本をバカにしまくったもんね。

 これにはどこぞの国辱超人もビックリだろうさ。

 

 「それに気づかせてくれたのは兵藤さんでしたわ、ありがとうございます」

 

 ペコリとセシリアは頭を下げた。

 まさかセシリアにお礼を言われることになるとは。

 これは予想外だ。

 

 「そっか……わかったよオルコットさん、でも俺は名字で呼んで一夏は名前で呼ぶのな」

 

 「いやっその……それは……」

 

 セシリアはあたふたしている。

 これはかわいいけど……なんだろこの感情。

 とりあえず一夏もげろ。

 

 「じゃあ俺のことはイッセーと呼んでくれるかい? クラスのみんなにはイッセーって呼んでねって言ってるし」

 「ではわたくしのことも、オルコットさんではなく、セシリアと呼んでくださる?」

 

 「いいぜ、セシリア、これからよろしくな」

 

 「はい、イッセーさん、こちらからよろしくお願いしますわ」

 

 少しだけセシリアと仲良くなれた気がした……

 

 

 

 そして次の日のショートホームルーム。

 山田先生は一夏がクラス代表になったことを伝えた。

 

 「織斑一夏君が一組のクラス代表……一と一でなんだか縁起がいいですね!」

 

 「山田先生~俺も『一』誠なんですけど~」

 

 「ええっと、それはですね……」

 

 あたふたしている年上のお姉さんはいいっ……!

 そんな中、一夏の疑問の声が聞こえた。

 

 「あの山田先生、質問です」

 

 「はい、なんですか? 織斑くん」

 

 「俺、試合で負けたのに、なんでクラス代表になってるんですか?」

 

 一夏にして見れば意味不明だよな、この状況。

 

 「わたくしが辞退したからですわ」

 

 一夏の質問にセシリアが答えた。

 

 「わたくしはクラス代表を辞退することにしました。 それとこの場を借りて日本人の皆様に謝罪します。 先週、わたくしは一夏さんとイッセーさんを始め、日本人の皆様に酷いこと言ってしまいました。 申し訳ございませんでした」

 

 深々とセシリアは頭を下げた。

 

 「いいよ~セッシー、気にしてないよ~」

 

 という気の抜けた声が聞こえた。

 のほほんさんこと布仏本音さんだ。

 それに同調するように他の女子生徒たちからセシリアを許すという意味の言葉が聞こえてきた。

 よかったよかった、セシリアがクラス中で孤立することはなさそうだ

 

 「日本人の皆様に酷いこと言ってしまったわたくしがクラス代表をやるわけにはいきません、ですから一夏さんにクラス代表を譲ることにしましたわ」

 

 「だけど俺、まだそんなに強くないぞ?」 

 

 「そこは代表候補生のわたくしが一夏さんにIS操縦を教えて差し上げれば、一夏さんのIS操作の技術はそれはもうみるみるうちに成長を遂げるはずですわ」

 

 「一夏にISのことを教えるのは私とイッセーの仕事だ!」

 

 箒も嬉しい事いってくれるじゃん

 でも怒り出すのはよくないな。

 

 「あら一夏さんに剣道しか教えていない篠ノ之さん、わたくしになにか言いたいことがお有りで? 篠ノ之さんは射撃技術にも精通しているのかしら?」

 

 「ぐぬぬぬ」

 

 「落ち着け、箒。 残念だが、本当のことだろう? 適材適所という言葉がある、今は堪えるんだ」

 

 「だが……」

 

 「あとな、キープスマイリング。 いつも言ってるだろ? 怒ってばかりじゃ体に悪いぞ」

 

 「そう……だったな、ありがとうイッセー」

 

 

 

 こうしてクラス代表が一夏に決まった。

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