『元』デュエリストが『現』デュエリストになる物語   作:(無言の腹パン)

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今回は沢渡さんと深夜の話です。


病院での出来事

「………で」

 

俺は沢渡シンゴと名乗る少年を、こいつの病室へと連れて行った。というかこいつは重傷患者らしく、戻らないとヤバイやつだったらしい。ならなんでここにいるんだよって文句言いたくなるが。

色々聞いていく内に、こいつはあの次期市長の息子さんらしい。まぁ知らんが。どうでもいいが。

 

「まぁ息子さんだがなんだかはどーでもいい。それより俺が聞きたいのはーーーなんで兄さんの病室を覗いていたかだ」

「…………」

 

沢渡シンゴは黙ったままだ。頭を掻いて申し訳なさそうに俺の目を逸らす。

その行動に俺のイライラが強くなる。

 

「速く言え」

「……………………の」

「あ?」

 

こいつは何か言った。だがそれは小さすぎて聞き取れなかった。

やがて沢渡シンゴは俺に聞こえるほどに言った。

 

「お前の兄さんに世話になった…から」

「………は?」

「………えーと…なんて言えばいいんだ…?」

「………………」

「…………」

 

きまづい。

恐らく、俺の雰囲気が恐ろしい程に漂っている事に、沢渡シンゴは口出せないのだろう。てか俺の顔今どうなってる?こいつが怯える程に怖えのか?めっちゃ酷え顔してんのかな…ちょっとショック。

いや、それはどうでもいい。まずこの沢渡シンゴが言った事に疑問を持った。

世話になった?兄さんに?兄さんはこいつと面識があったのか?そんなの聞いてないぞ?

 

「沢渡シンゴ、お前は兄さんとなんの関係だ?」

「そんな浮気してるだろみたいな感じで言われても‼︎」

「言え、俺は少しでも情報が欲しい」

「お前ブラコン…」

「なんか言ったか?」

「いえなんでもありません」

 

俺は沢渡シンゴを黙らせた。威圧で。

いやなんか変な言葉言ったから?それで黙らせただけだから?俺悪いことしてねえもん‼︎

っと、本題本題…つっても、こいつは喋る気が無さそうな…気がする。

 

「なんだ、喋れないのか?」

「………」

「………まぁいい。このまま待っても俺の方がイライラするだけだ」

 

俺は待たれるのは嫌いだ。イライラする。

沢渡シンゴはホッとしたような表情をした。そんなに喋りたくなかったのか?少し傷つくぞ?

と、俺は時間を見て少し焦った。そのため今から家に帰らなくてはならない。

 

「帰る」

 

俺はその一言を言って帰るつもりだった。

だけど。

 

「あ、ちょ‼︎」

 

沢渡シンゴに止められた。まだ用があるのか?俺の用は済んだから速く帰りたいが…その一心で沢渡シンゴを見た。

沢渡シンゴは普通の質問をしてきた。

 

「あんた、名前は?」

「…………」

 

そういえば言ってなかった。俺は今更思い出し、沢渡シンゴに言った。

 

「如月深夜」

「……そうか、あ、俺のことフルネームで呼ばなくていいぜ」

「そうかい、じゃあな沢渡。また縁があったら」

 

俺はそれだけ言って沢渡の病室から退した。さて、速く帰らなくては。

俺は病院を出た後、全速力で帰宅した。

 

 

ーー

 

 

「………」

 

沢渡シンゴは彼が出て行った扉を見つめていた。

足音が完全になくなった頃で、沢渡は病室を出る。もちろん松葉杖を持って。

向かう先はあの病室。

如月深夜の兄の病室。

やっと見つけた、彼の姿を見たい。

沢渡はその一心で、彼の病室の前へと立った。

深呼吸をして、ゆっくりと…扉を開ける。

そこには、彼の兄がニッコリと笑って出迎えてくれる。そう願ってた。

だが現実はそうならなかった。

沢渡は病室に入って絶句した。

何故なら、

 

そこには、安らかに眠る彼の姿が。

 

点滴には繋がれているものの、他は何もつけられておらず、酸素マスクもつけられていない。

まるで眠り姫のように眠る彼。

『いつもの軽やかな、全てを弾け出したような彼』はではない。

そこで沢渡は考え始めた。

まさか、如月深夜は何故兄がこうなった状態なのかを調べる為に、自分に問いかけたのではないだろうか。片っ端から調べて、原因を探ろうとしていたのではないか。

それだと悪いことをした。今から後悔しても遅い。

あの時言えばよかった。自分と彼の関係を。

 

「……あいつ、あんたの弟だってな」

 

沢渡はポツリと話し始めた。視線は彼に向かっているが、もう一つのものに釘付けに近い。

沢渡はそのものに近づき、手に取った。

 

「それだと、結構信頼してんだな…ここに自分のデッキとデュエルディスクを置くほどに」

 

そう、沢渡が熱心に見ていたのは如月深夜のデッキとデュエルディスクだ。人のものを許可なく見るのは不本意だが、彼はそんなの構わず堂々と如月深夜のデッキを見ている。

 

(……結構強力な効果ばっかりだな。攻撃重視のデッキか?……うわぁ強いやつばっか)

 

かと言って取るわけじゃない。もう身に染みてる。榊遊矢のペンデュラムカードを奪って痛い目を見た…その経験で充分だ。

ただ見て観察。そして新たな戦術を組む。それが沢渡。相手のデッキにあうデッキを組んで、さらに上を行く。それが沢渡シンゴだ。

だがこの戦術を組み立てても、如月深夜と戦う事はないと思う。だからこの戦術は、榊遊矢の為に使わせてもらおう。と沢渡はそう決意して彼のデッキを元の場所に戻した。

その代わりデュエルディスクを手に取った。

真っ黒で、如月深夜の心を思わせるデュエルディスク。彼の…デュエリストの命とも呼べるもの。

そんな大切なものもここに置くとは…よっぽど信頼してるのだろう。

だが意味はない。何故なら、彼の兄は眠っているのだから。如月深夜がデュエルディスクとデッキを置いた事にも気づかないから。

だから『約束』を守るとしよう。

 

「……では、またここに来るかは分かんねえが…いずれ来るぜ」

 

沢渡は深夜のデュエルディスクを持って、自分の病室へと戻ったーーーー。

 

 

ーー

 

 

「兄さん‼︎」

 

暗い闇の中…。

一人の青年が、深夜に背を向ける。

その顔は見えず、ただ前を向くだけ。

深夜は必死に手を伸ばした。

 

「兄さん‼︎兄さん‼︎兄さぁん‼︎」

 

気付いて。お願い、そっちに行かないで。

お願いだから。

俺を一人にしないで。

 

 

「兄さァァああああああああああああん‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

「ッ⁉︎ぅぁっ…」

 

朝。

どうやら深夜はあの後眠ってしまったらしく、さらに次の朝まで熟睡…とまではいかないが、眠っていたらしい。

今日は学校。だが行く気になれなかった…それに、時間を見るともう遅刻確定。

 

「……」

 

サボろう。深夜はそう決めてシャワーを浴びに行った。汗がベタついて気持ち悪いから。

 

 

もう、デュエルディスクも『デッキ』もない。俺は完璧にデュエリストを辞めたんだ。

もう、誰もーーー。

兄さんの病室に行くこともない。暫くは家で大人しくしていよう。

深夜は長ったらしい髪をポニーテールにしてテレビを点けた。

 

『ーーまった舞網チャンピオンシップ‼︎』

 

その言葉だけで次のチャンネルに移った。

 

「…………出場条件、揃ってるんだっけ」

 

深夜は連続6連勝していたので出場資格はある。だが出る気はない。それに出れない。彼のデュエルディスクはもう手元にないのだから。

と、そこまで考えて頭をふる。自分は何を考えているんだ。馬鹿ではないか。もうデュエルから手を引いたというのに。

 

「………………」

 

このままのんびりするか…それとも、外に出て散歩するか。

 

「…………出かけるか」

 

深夜は身支度をして、最低限の荷物を持って外に出た。




中途半端ですんません。
今回は沢渡さんをメインにしたかったんだが…微妙。
まぁ、お兄さんと沢渡さんを絡ませれて私は嬉しい。
それに、沢渡さんとお兄さんの関係が気になったでしょう?ねぇそうでしょう?((ねぇ今どんな気持ちィ?
…さて、おふざけはこれくらいにして。

ついに深夜はデュエルディスクと『デッキ』を手放しました。
さて、ここからどうやって関わるのか。楽しみですねぇ‼︎


…私の作品がつまらないの、展開が早すぎるからだと思うんだ((白目
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