ドラグメイル戦記   作:郭尭

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第六話

 

 

 レデ砦内に設置された無数のテント。常備兵たちはちゃんとした宿舎があるとして、臨時徴用された地元民による正規兵や、外から雇い入れられた傭兵たちの臨時の住まいとして設置した物である。

 

 その多くは、その組織を表す旗を掲げたテントを中心に放射線状に広がっていく。

 

 そんな中、自身の旗を持たない集団もある。例えば規模の小さい集団。力ない組織がこれ見よがしに旗を掲げても嘲笑の的となる。もしくは、故あって所属を隠している場合。この場合、相手の出自を知ることは厄介事を呼び込むことになる。

 

 故に命の遣り取りが行われる立場の人間は、互いの過去を無暗に詮索しない。己を守る処世の一種だ。

 

 だが、それでも敢えてその厄介事に首を突っ込まねばならない立場というものもある。砦の一切を取り仕切る立場にある、ガニンダンが正にそれである。

 

 更に言えばその集団のトップとは一応知らない仲ではない。出来れば関わり合いを持ちたい類の相手ではないが、だからこそ好き勝手させるのが怖い相手でもある。

 

「一体何用ですかな、エリザベート殿下」

 

 ボリュームのある淡い栗毛を、少々雑な三つ編みにして腰まで伸ばしている。

 

 女性にしては長身で、それに見合った豊満な体付きをしている。戦場のテントに似つかわしくない、胸元を露出した豪奢なドレスの上に医者が身に着けるような白いコートを羽織っている。

 

 だがその容貌も表情も見えない。まるで鳥の頭のような、ペストマスクで顔を隠しているからだ。錬金術師や医者が好んで身に着けるマスクは一種独特な存在感があり、表情が見えないこともあり威圧的にも見えた。

 

 エリザベート・フェイ。ブリテン北部に広大な領地を持つ、ブリテン最大の領土を持つ大貴族、フェイ公爵であり、現ブリテン国王リチャード・ペンドラゴン=ブリテンの妃の一人である。

 

 国内でも有数の魔導師にして錬金術師、機甲巨兵の技師でもある、その分野では知らぬ者がいない正に天才と表現すべき人物である。

 

 そんな人物が、身分を名乗らずに自身の戦場に罷りこして来たのだ。妙な政争に巻き込まれるのは、ガニンダンは御免だった。

 

 テントに入って、エリザベートに軍礼で挨拶を済ませたガニンダンは、貴族らしい遠回しな物言いなどはせず、単刀直入に彼女に問い質した。その実直な態度にエリザベートは言葉を探すように、何事かを考えているような仕草を見せる。

 

 その間、立ったままであるガニンダンに、エリザベートの横に侍っていたゴブリンの召使が背の低い椅子を運んでくる。人が座るには不向きな低さは、明らかにゴブリンやドワーフなどの小柄な種族たちのために用意された物だった。

 

 ガニンダンが座ったのを見計らったかのように、エリザベートは呟くように一言。

 

「フェイの将来を見据えた布石の一つ、とでも取ってくれていいわ」

 

「政治のゴタゴタを戦場に持って来てほしくないのですがな」

 

 ガニンダンは不満を隠さない。剛毅なる老ドワーフは政治の視線で戦に口出しされることを嫌う。

 

「ブリテンに属する限り、ブリテンの政治に振り回されるのは必然よ」

 

 軍事とて政の一環である。そして政を動かすのがエリザベートたちを肇とした貴族たちである。

 

「それに、腕の良い機甲巨兵技師が四十人、魔術師二十人。兵士は護衛くらいしか連れてこなかったけど、充分役に立つ」

 

 エリザベートの言葉はガニンダンの癇に障った。人の上に立つ、ある意味貴族らしい上からの言葉。

 

「腕の良い、ですか。フェイにドワーフは少ないと聞いておりましたが」

 

「別にドワーフだけが良い工匠というわけではあるまい?それにドワーフだけでは機甲巨兵を造れない」

 

 ドワーフの多くは優れた工匠である。効率よく機甲巨兵を運用したいのならドワーフを一定数確保することが好ましい。だが、機甲巨兵の製造に関しては、ドワーフだけでは絶対に造れない。故に他の種族の技師も必要となるのである。結果、割合こそドワーフに劣るものの、技能では彼らに迫る工匠などは一定数存在するのである。

 

「魔法に嫌われたドワーフでは建造も、鋳造もできるけど、泥銀の化合だけはできない」

 

 泥銀とは、機甲巨兵の人工筋肉やドラグメイルの可変部装甲に使われる液化特性を持つ金属の素材であり、他の金属と化合させることでその硬度や弾性、重量が大きく変わる特殊な金属である。

 

 その泥銀の化合過程で魔法による加工が必要になるのである。ドワーフは体質として魔法が扱えない。そのため、この部分では必ず他種族の魔術師や錬金術師の助力が必要となる。

 

「まあ、優れた戦士も兼ねる者が多いドワーフが、いざという時、より便利なのは認めるけど」

 

 技師と戦士を両立できる人間はそうはいない。また、通常の整備で泥銀を弄る機会はほとんどない。そのため傭兵団などや、財源に乏しい領地の騎士団などは、雇用に伴う金銭的な理由で専業の技師よりドワーフの工匠を好むのだ。

 

「……兵を無為に死なせることだけは、勘弁願いたいものですな」

 

「弁えろ、ガニンダン・ドルニストン=ヘント辺境伯。仮に此度の我らフェイの介入で犠牲が増えたとて、無為であるものか。貴様に下らなく見えたとて、それは国家の未来に必要なことである」

 

 決して激さず、されどその言葉には人を縛る重さがあった。人の上に立つことを当然の責務として来た者だけが持てる重みが。

 

 更には、エウロペの貴族に於いて、正式な式典など以外では余り呼ばれることのない家名まで使って。儀礼的なことだが、この意味は軽くない。

 

「権力闘争が切っ掛けで滅んだ国は一つや二つではありますまい」

 

 だが、ガニンダンも部下たちの命にかかわることであり、安易に退くわけにはいかない。

 

「見識が浅いぞ、辺境伯。権力闘争の起きていない組織など存在しない。国家であろうが、小さな組合だろうが、それが複数の人が集まる場所なら必ず起きる。そして権力闘争で滅んだと言われる国は、実際のところ、既にどうしようもなく終わったからそれが表面に見えるようになったに過ぎん」

 

 建国以来、王国に於ける最大の版図と権限を有する貴族という地位を維持し続けてきたフェイ家。妬みと野望の矛先でもあるその地位を三百年も守り続けてきた者たちである。権力というものに対する理解は、一介の辺境伯とは深さが違う。

 

「権力闘争が国を滅ぼすきっかけになることはあろう。だが事の本質はそこではない。国の政から無能な者を排除し、国家を前に進ませるために不可欠なものでもあると心得よ」

 

 然るべき能力を持っている者がいないから、誰も権力を掌握できず、政治が止まる。相応の能力を持っている者がいれば、権力を掌握するなり、適当な妥協点を見つけ他者と協調するなりするものなのだ。それができる程度の人物がいないのなら、どちらにしろその組織はすでに終わっているのだ。

 

 寧ろ権力闘争の存在は、互いの足を引っ張るために相互監視し、結果的に自浄作用となる場合さえある。

 

「それは、私に殿下に与しろと仰っておいでか?」

 

「馬鹿な。リチャード陛下が貴方を重用しているのは貴方が政治に関心がないことも一因だ。自分たちの利益を考えて、国益を蔑ろにしないとな。それを私が捻じ曲げてしまえば、陛下の覚えが悪くなってしまう」

 

 一定の軍事力を常備した歴戦の勇士は、確かに魅力的な駒である。だが、王との関係の悪化は割に合わない。

 

「引き続き貴方は政治に無色でいればいい。ただ、参加しないのなら、我々の邪魔をするな。目の前の条件の中で、ブリテンとペンドラゴンの王権を守るために最善を尽くせ」

 

 それはガニンダンには思いもよらない考え方だった。或いは、それも一理あるのかもしれない。だが、それは権力闘争に参加している者の理屈である。それでも上位の者の言葉を、無視することはできない。

 

「優先順位は変えられません。その上で、やってみましょう」

 

 戦を穏便に終わらせ、可能な限り兵を生かして帰す。その目的に沿う範囲で、ガニンダンは彼女の行動を黙認するほかなかった。

 

「それでいい。励みなさい」

 

 鷹揚に、マスクの王妃は頷く。エリザベートに対し、ドワーフの老将軍はそれ以上何かを言うことはなかったが、同時に不快感を隠すこともなかった。黙って軍礼を執り、テントを後にした。

 

 テントがひしめく広場を離れ、砦にある自身の執務室に向かう。フェイの連れてきた魔導師をどの部隊に配置するか、検討する必要がある。だが、その前に砦の廊下で、見覚えのある顔に出会った。

 

「貴様は……楔の団の頭目だったな。ここで何をしている」

 

 重厚な鎧に身を包んだ人間の戦士、フーゴ・チャンドス。砦に着いたばかりの傭兵団の頭領。広場で宿営しているはずの傭兵が何故砦の建造物の中にいるのか。

 

「呼ばれまして。辺境伯殿にわざわざ報告するような事柄ではありません」

 

 そう言って、フーゴは早急に立ち去った。だが、フーゴがある部屋から出てくる様子を、ガニンダンには見えていた。それはヘンリー・スウィンドンに宛がわれている部屋だった。

 

「どいつもこいつも、戦場に余計なものを持ち込みたがる」

 

 問い詰めるべきことが増えた。ガニンダンは頭が痛くなった。

 

 

 

 夜襲朝駆けなどの例外を除き、戦争に於いて戦う時間には暗黙の了解が存在する。エウロパの場合、まずは日の出の鶏の鳴き声を目覚ましに、身支度と朝食を済ませる。そして諸々の用事を済ませ、それぞれが配置に着くまでにおおよそ二時間前後使う。

 

 相対する二つの陣営は、例えどちらかが先に配置を終えても、相手の陣が整うまでは攻撃をすることはない。これは戦争を指揮する立場にある、『お貴族様』の名誉の問題であり、延いては保身のためである。

 

 こっちは奇襲をしないからそっちもするなよ、と。

 

 雇われの傭兵や徴用された兵士たちでそんなものに価値を見出す者は少ないが、貴族にとっては疎かにできることでもない。

 

 そして双方の準備が整ってから漸く攻撃許可のラッパが吹かれ、戦端が開かれる。と言っても双方突撃入り乱れ、ということはそうそう起きない。若干の弓矢の応酬と、指揮官同士の挑発合戦に終始し、時折散発的に小規模なぶつかり合いが起きるくらいである。

 

 そして日が傾いてきた頃に撤収の鐘が鳴らされる。日暮れの鐘による撤退は、原則的に追撃を行われない。そして砦などの拠点に戻った兵士たちは食事の支給を受け、武器防具の手入れなり、他の楽しみを見つけて疲れを癒すなりするのだ。

 

 このように、戦場は無秩序な命の狩場ではない。効率な兵力運用と貴族の体面、加えて戦後の生産力の回復などの諸々の事情を鑑みた、暗黙の了解によって一応の秩序が存在しているのだ。

 

 無論、必ずも守られるわけではないから奇襲というものが存在しているわけなのだが。

 

 そんなわけで兵士が剣や槍を振う機会はイメージほど多くない。むしろ距離を置いて攻撃できる弓矢などの方が出番が多い。

 

 ロッサたち楔の団の担当することになった陣地もその辺りは変わらない。ハピスと呼ばれる大盾と簡易的なバリケードで前面を防御している陣地に於いて、彼女たちの操る機甲巨兵はそのサイズに見合った大盾を構え、時折降り注ぐ矢から味方の歩兵を守っていた。

 

 ただ、持っている盾はちゃんとした物ではなく、木の板をつなぎ合わせた物に鞣した獣の革を張りつけたもので、あくまで歩兵を守るための物に過ぎない。ちゃんとした盾は高価なのもあるが、乗り手三人とも盾を片手に構えて、というスタイルの乗り手がいないのだ。

 

 尚、機甲巨兵の背後には長柄の武器がそれぞれ突き立てられている。これは携行性に劣るが一撃の重さに秀でた長柄が集団戦闘に適しているため、必要あらばすぐに持ち替えられるようにという措置であり、同時に寄り掛かって休めるようにというものである。

 

『ったく、ビシュビシュ撃ちやがって、矢だってタダじゃないだろうによ』

 

 予想より元気よく矢を射続けてくる敵に、ロッサは苛立った。人間の射る矢など、機甲兵器には脅威足り得ない。だがそれでも生身である歩兵たちにとっては充分に危険である。如何に機甲巨兵やハピスがあっても、彼らに当たる可能性は0ではないのだ。

 

 敵味方が対峙しているのは、レデ砦の森を出た草原のすぐの場所である。幸いブリテン側の陣地の付近はそれなりに木々が密度を保って生えている部分が多少ある。多少は起伏もあるため身を屈めれば、接近するまで見つかり辛いルートもあるだろう。

 

『ドラグメイルも、惜しげもなくよ』

 

 だが上空には敵過多のドラゴン形態のドラグメイル。断崖や大樹の森があるならともかく、この地形では完全に動きを把握されているだろう。

 

 無論ブリテン側とて敵に自由にやらせる心算はない。牽制のドラグメイルを飛ばし、敵の近づける距離を制限している。そのため陣形や配置が丸裸ということはないが、それでも最前線にいる楔の団などの部隊は監視下にあると言っても過言ではない。

 

 楔の団はこの戦場に参加してまだ初日、積極的な攻勢に出ることはない。理由は冬が近いからだけではない。斥候を放ち、独自に周囲の地形を調べなければいけないのだ。

 

 通常、その地域の精密な地図は軍事機密であり、市場に出回る地図はかなり大雑把に作られている。少なくとも地形を利用して戦うには、とても使えた物ではない。

 

 辺境伯の元には当然精密な地図はあるだろう。なにしろ自分たちの管理下にある砦の周辺なのだ。だが、それが傭兵団に提供されることなどありはしない。

 

 万が一外部に流出すれば事であるし、情報を得た傭兵団が先走り、雇い主の意向を無視して暴走する可能性を少しでも下げたい。対して傭兵側は自分たちの受ける被害を抑え、手柄を立てて報酬を吊り上げようとする。

 

 故に人員に余裕のある傭兵団は団員を使って周囲の地理を調べ、そうでない者たちは金で他の傭兵団や酒保商人たちの描いた地図を買ったりする。

 

 楔の団は比較的人員に余裕があり、人を出して周辺の物見に出していた。取り敢えずは近場の地形を把握し、奇襲に備えるために。少なくともその間は大人しくしているのがセオリーである。

 

 彼らが大人しく陣内で矢を射ち合っているのは、何も辺境伯からの命令だけではないのだ。

 

 だが、そうと分かっていても、ロッサは苛立ちを募らせている。敵の攻撃が妙に積極的なのだ。いくら機甲巨兵と盾で防いでも、矢の数が多ければ負傷の可能性は上がる。こちらが射返しても、矢の数が多くないのと敵も機甲巨兵が盾となっていることもあって、あまり効果を見せていない。

 

『羽振りいいの見せつけてくれちゃって』

 

 苛立ちを紛らわせるための言葉。だがそれもすぐに引き攣った笑い声に変えられた。敵の機甲巨兵の一機が、盾を手放し携行型バリスタを手に取ったのである。

 

『金掛けすぎだろ!採算取れんのかよ!』

 

 本来攻城兵器であるバリスタを機甲巨兵用に転用した遠距離攻撃兵器。機甲巨兵とは比べられないが、これも維持コストの高い兵器である。そんな物まで、しかもこんな城攻めでも決戦でもないタイミングで持ち出すなど。

 

 攻城兵器相手には流石に役に立たない木の盾を捨て、マラディザンドは突き立てられている長柄を手に取る。

 

 四メーターを超える柄に、それと同等の長さを持つ片刃のブレード。若干湾曲した刀身の、内側に刃があるロンパイアと呼ばれる大刀である。

 

『下がれ!』

 

 彼女の乗機、マラディザンドを盾にしていた付近の味方に対し叫ぶ。ほぼ同時に敵の機甲巨兵が構えたカタパルトから矢が放たれる。矢は正確にマラディザンドに向かい、

 

『のりゃ!』

 

 その矢を叩き落とした。それでも本来城壁に向けられるべき攻撃は強烈な衝撃となり、マラディザンドのパワーと自重だけでは受け切れず、振り下ろしの勢いと矢の衝撃で腰の引けたような姿勢になってしまう。そして体勢を立て直す前に、敵陣の機体が構えていたバリスタを持ち替えたのが見えた。当然、矢の準備が終わっている物だ。再び放たれる矢を、今度は叩き落とすことはできないと判断し、柄で受けて逸らす。だが不完全な体勢だったため、完全に上体が泳いでしまう。

 

 実際のところ、バリスタの直撃を受けたとて余程近距離でなければ、機甲巨兵の装甲を貫通することはない。それでもその衝撃は機甲巨兵を転倒させるだけの威力はある。その隙は戦場に於いて致命的なものである。

 

「上から来るぞ!」

 

 叫んだのは誰か。恐らくマラディザンドの周囲の歩兵の誰かだろう。その声に反応し頭上を見上げたロッサの視界に映ったのは、味方側のドラグメイルを振り切り、急降下してくる敵側のドラグメイルだった。

 

 急速に高度を下げてくるドラグメイルは空中で機兵形態に変形し、腕を振り上げる。その手に握られているのは取っ手状の握りを持ったハンマーだった。

 

 急降下からの変形、質量兵器の投擲。ドラグメイルの対地攻撃としてはポピュラーな手段である。広範囲に対しての攻撃ならば、また違った攻撃方法があるが、とにかく良く使われるほどに有用な攻撃方法である。

 

 避けるのは不可能。崩れた体制ではそれほどの動きは出来ない。咄嗟に左腕で薙ぐ。腕の追加装甲が抉れて変形してしまったが、なんとか直撃を避けることはできた。

 

『んにゃろっ!』

 

 投下された攻撃を捌き、この時初めてロッサはちゃんとドラグメイルの姿を確認できた。

 

 鈍色の装甲、角のないトカゲ染みた竜頭。そして特に印象に残ったのが右側の背に吸着させた、片手剣のような長い穂先を持った短槍だった。

 

 投擲を行ったドラグメイルは空中で再度ドラゴン形態に戻り、旋回して自陣に戻っていく。そして楔の団が相対している陣地に機兵形態で降り立つと、マラディザンドに向けて槍を突き出す。数打ちのジャイグメイルとは明らかに違うマラディザンドとそのメイルライダーに対するあからさまな挑発。

 

 ロッサはフーゴの駆るゴライアスに目を向ける。場合によっては追って反撃に出ることも考えて。

 

 だがフーゴはそれを手振りで制した。楔の団は戦場に出てまだ初日。地形の把握も、相手の戦力も把握できていない。無暗にぶつかるのはリスキーではあるとの判断である。

 

 それに、ドラグメイルの存在で、相手の大凡の正体も掴めた。どこぞの、恐らくフランク帝国支配下の地を領する小領主などが率いる傭兵騎士団。通常の傭兵にはない、安定した財源により、平均的な傭兵団と比べ充実した装備と練度を有する兵士たち。

 

 厄介な敵の前に立たされた。これだから冬の戦は碌なことにならない。心中で八つ当たりじみたことを吐き捨てながら、ロッサは舌打ちした。

 

 




 妙な軌道を描くらしい台風が近づく今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?どうも、郭尭です。

 今回はファンタジー物でよくでる亜人系異種族に関する内容を少し掘り下げることができました。他にも色々ありますが、今後も描写できればと思います。

 後は政治に関して、正直上手く描写できているかという不安があります。色々見ながら一応勉強してはいるのですが、文字だけの知識でどこまでやれるか、多少の拙さはご容赦いただければと。

 尚、本作のドワーフは描写の通り自力で魔法が使えません。理由?昔ドラゴンエイジが面白かったので。

 それでは今回はこの辺で、また次回お会いしましょう。

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