剣士さんとドラクエⅧ 番外編集   作:ryure

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123話の理由。
時系列→ゼシカ再加入直後

?「にしても、女の子なのにあんなにざんばらに髪を切られて、それを周りも放ってて。せめて手入れぐらいしてあげればいいのに」


秋風香る日差しの中で

「ねえトウカ」

「ん?」

 

 杖からゼシカを解放し、さっさとレオパルドを追う。次の犠牲者を出させる前に杖を取り戻し、ラプソーンの思惑通りにはいかせない。

 

 とかいう、まあ至極まっとうな考えもあるんだけど。あるとはいっても常に気を張ってたらどうかしちゃうので私たちは魔物が少ないときはそれなりにのんびりしているし、語ることは少ないとはいえ休みの日だってある。街に買い物に行くことだって少なくないし、遊びに行っている……というにはちょっと真面目だと思うけど、買い物を楽しんでちょっぴり無駄な買い物をしちゃうことだってある。真面目っていうのは、基本的に食料だの薬草だのを買ってるからだね。

 

 というわけでオークニスへ向かう時でも私たちはピクニックをしゃれこむこともあったんだ。

 

 魔物がとっても多いから、そいつら全部蹴散らして丘を確保するのはちょっと大変だったけどね。

 

「その、ドルマゲスに切られちゃった髪の毛……」

「これ?」

 

 食べられちゃったときに髪の毛が溶かされてわりとばらばらな長さになってるね。左側はまだ長いところが一房残っているけど、右側は肩にもつかない微妙な長さだもの。他のところも結構めちゃめちゃ。前髪がかろうじて原型をとどめてて右目を隠すぐらいは出来てるけど、前みたいなサイドテールはとてもじゃないけど無理だし、ククールみたいに後ろで結ぶのも無理だなあ。

 

「ええ。今整えたほうがいいと思って」

「ゼシカが?」

「そうよ」

 

 ……うーんと。これでも私、お抱えの散髪係がついてたんだ。モノトリアはトロデーンの筆頭貴族だからね。で、ゼシカも名家のお嬢様じゃないか。自分で髪を切るとかやってたとは思えないからちょっと出来が怖いんだけど!

 

「別に困ってないからいいよ」

「それ、変と言うより痛々しいのよ?」

「普通にしてたら男にしか見えないから大丈夫だって。一番短いところに合わせて切っちゃうのは勇気がいるし……」

「それもそうね」

 

 そこに合わせたらエルトより短くなるんだよ。それは……ちょっと。せっかく伸ばしたとはいえ、これじゃあどうやっても切らなきゃいけないのは分かってるけど……。

 

「短いところが伸びてから切ればいいんじゃないか?」

「それだ! ラプソーンをとっちめたらちょうどいい長さかもしれないね!」

「……それで……俺が……」

「なあに?」

「……全部終わったら俺が切ってやろうか?」

 

 ククールが? あ、そっか。修道院じゃ自分で切るんだ?

 

「それ、自分でやってたんだね」

「ああ。ドニでやっても良かったがそっちのほうが手っ取り早いだろ?」

「施術料も馬鹿にならないもんね」

 

 しかも私よりもずっとさらさらだ。どんな手入れをしてるんだろう。肩幅や身長ですぐ男の人だって分かるけど、後ろ頭だけ見たらとんでもない美女って感じだ。……というよりは、後ろ姿すら美人だ。性別不詳のほうが正しそう。

 

 私は知ってる。雑誌のモデルみたいにしてもらおうとしても上手くいかないってことを。でも、親しい人にならうまいことしてもらえるんじゃないかってちょっと期待もある。ほら、よく知ってる人なら顔がとんでもないことになってたら言うし。

 

「じゃあお願いしてもいいかな。その時はざっくりやっちゃってね」

「了解」

 

 ククールが一房だけ長いままで残ってる髪をさらっとすくい上げて……うわあ、気障だ。すごい、本物の気障だ! しかも厭味ったらしくないなんて流石だね!

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