東京喰種x化け狐   作:カネキ

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とても短めです。


自己欺瞞
苦悩


 

 

 

 

 

 

 何もない真っ白な空間。見渡す限り、遥か遠くまで広がっていて限界が見えない。

 

たしか俺はベッドで眠りについたはずだ。だとするとここは夢か。

 

 

 

「お前は殺したいんだろ?」

 

 

 

 何もない空間に聞き慣れている声が響いた。

 

さっき見渡した時には俺以外誰もいなかったはずだ。

 

 すると真っ白だった空間が真っ赤に染まっていく。そして足場が崩れ、穴に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 目を覚ますと、目の前には椅子に座っている男が居た。男は何も着ておらず、腕を組んでいた。

 

両目は赫眼で男の顔を見間違えるはずがなかった。そいつは俺自身だった。

 

 

 

「自分に正直になれよ。誰かを殺したくてたまらないんだろ?」

 

 

 

 悪魔の囁きだった。

今まで頭で響いていた、「殺せ」という言葉を無視して眠りにつけばこの有様だ。

 

今、目の前にいるのは俺自身。

 

 

 

「殺したいにきまってるだろ! 」

 

 

この世は弱肉強食だ。

弱い人間が喰種に喰われるのは仕方がない。喰種が人間に殺されるのも仕方がない。

 

それでも奪うことは等しく悪だ。でも死ぬから悪いんだ。

 

弱いから奪われるだけで、自然の摂理だ。だから俺は殺すことに罪悪感を感じない。

 

 

喰種が持ち合わせている本能に、今まで従って人間を殺していたが他人を喰らわないのは俺の趣味だ。

 

生物的弱者の人間相手に、調子に乗っている喰種を見ていると、無性に殺したくなった。

 

最初は本能に従って殺していたが、その行為がエスカレートして、今では俺自身では歯止めが効かなくなりつつある。

 

 

 

「じゃあ、あの親子3人、仲良く殺して楽になろうぜ?」

 

 

 

俺の周りに人が、次々と真っ赤な空間から現れて俺に群がった。

 

そいつらは口を揃えて同じことを言う。

 

 

 

「俺達を殺したのに、彼奴らは殺さないのか」

 

 

 

群がる人の顔を見ると、今まで俺が老若男女問わず、殺してきた連中だった。

 

喰種と人間を大勢殺して、死ぬ瞬間の恐怖に染まった顔を楽しんでいた俺が、顔を忘れるはずが無かった。

 

 

 

 

 

「今でも、お前らを殺したことに罪悪感は感じない。でも俺は、もう誰も殺したくない」

 

 

 

これは本音だ。アラタは俺を優しいと言ってくれた。心配してくれた。

 

俺がまた、誰かを殺したらアラタを裏切ってしまう。それだけは絶対に嫌だ。

 

 

 

「なんで本能に抗う? 言う通りにすれば楽になれるのに。後悔するぞ?」

 

 

 

「俺は誰かを殺したくて仕方がない。でも、俺はアラタを裏切るような事はしたくない」

 

 

 

俺にしがみ付いている亡霊共を振り払い、俺は自分の首をへし折った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく嫌な夢を見た。まだ寝てから1時間しか経ってない。頭の中がモヤモヤするから、風呂にでも入りながら脳を掻き混ぜるか」

 

俺はベッドから起き上がり風呂場に向かった。

 

 




次の話もすぐに投稿するのでお待ちください。
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