鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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どうも、じゃがいもです。
最近の投稿ペースが不定期なのか定期なのか分からなくなってきた所です。
ですが、行き当たりばったりで書いているのも事実なので、こんな感じで書いていきます。

今回の主人公は、お豆さんなのかな?


兄の過去

ビーンが来た後日、芋太郎は彼を連れて食堂へ来ていた。

昨日決めたビーンの紹介を行う為である。

 

芋太郎はビーンを皆の前に立たせると席へ戻っていった。

 

「どうも、近藤提督の兄です。提督からはビーンと呼ばれています」

ビーンは行商人を思わせる口調で自己紹介を始めた。

 

「私がここに来たのは、演習の教官的立ち位置になって欲しいとの提督の要望です。上が絡んでいる事はありませんのでご安心を」

そのような事を言うと、ビーンは一礼をした後、話を続ける。

 

「前回の発煙弾をつかった演習、目の付けどころは悪くありませんでした。事実、私が提督をしていたときも何度か使わしてもらいましたしね。ただ、視覚的に隠れる事が出来ても電探に引っ掛かるそうですね?」

前回の演習からビーンが読み取った情報を話した事よりもビーンが元提督と言う事で食堂はざわつき始めた。

そのざわつきの続く中、なおもビーンは話を続ける。

 

「皆さんはご存知だと思いますが、電探とは波を出してその波の反射によって位置を特定するモノです。ではその波を普通に反射させるのではなく、乱反射させるのはどうでしょう?」

ビーンは知っている対処方法を自ら分からせる為か遠回しに言っていく。

 

「回りくどいな、もっと端的と言ったらどうだ?」

ビーンの話に嫌気がさした長門が話を折るが、話しを折られた当人はニィッと笑い口を開いた。

 

「いいですねぇ、軍はこうでなくちゃ。良いでしょう、もっと簡単に言えば電探を一時的に無力化する方法があるってことですよ。それと煙幕を合わせれば有利になれるかもしれませんねぇ」

ビーンは口調を変えずに前回の発煙弾の改良点を述べた。

芋太郎は軍人では無かったのでそのような事を言われても理解出来ないでいたが、電探の無力化という言葉に食いついたのだった。

 

「今日中にその効果の確認は可能か?」

芋太郎は立ち上がり、ビーンに問い掛けた。

ビーンは真剣な顔つきになると、その問いに答えた。

 

「今日中には無理だな、製造元にも時間の束縛がある。昨日・今日頼んだ所で、物が来るとしても1週間は掛かる。だったら今やれる演習をした方が効率的だ」

芋太郎も発煙弾を急造してもらった時に、それに似た状況だったので頷いた。

そして、今やれる演習とは何かを聞く為に口を開く。

 

「今やれそうな演習でそこまで難しくないのはあるか?」

 

「回避と防御くらいだな、後は俺の手持ちで三式弾の演習10発までならやれる」

 

「10発か…制限数が有ると言う事は貴重な物か?」

芋太郎は三式弾10発までという言葉に興味が沸き、手持ちと言う事でその品が貴重で手に入れにくいかどうかをビーンに訪ねた。

ビーンはポケットに手を突っ込むと、芋太郎に言葉を返した。

 

「旧弾薬庫に腐る程眠ってるだろうよ。ただ、製造はされてないからある意味貴重かもな」

 

「そうか、演習の方は任せる。俺は発煙弾とソレについてあたる。できれば、サンプルとして1つ渡してもらえるか?」

ビーンの答えを、そこまで難しい事では無いと判断した芋太郎は頷き、今日の予定を話した。

 

「想定内だ、ほらよ」

そう言いながらビーンはポケットから円錐状の物体を芋太郎へ向けて投げた。

投げられた物体は緩やかな放物線を描き、芋太郎の方へ飛んでいき、芋太郎はソレを受け止めた。

 

「さすがだな、ビーン」

 

「俺を誰だと思っている?」

ビーンは芋太郎に対して高圧的な態度でそう問い掛けた。

 

「ビーンはビーンだろう?」

 

「ははっ答えになってねぇ、だが良い返答だ、気に入った。適当にやろうと思っていたが本気でやらせてもらうぜ」

ビーンはニヤリと笑い、意気込みを述べた。

 

「よろしく頼む」

芋太郎は先ほどの弾の交渉とビーンから貰った物体をここへ供給する手段を探す為に食堂を後にした。

芋太郎が食堂を立ち去り、ビーンと艦娘だけが残るだけとなった食堂でビーンの声が響く。

 

 

「今日の演習は俺が指揮する。異論が有るものは?」

芋太郎が要件を一任したと認識したビーンは、今日の演習を行う為に艦娘に確認をとる。

食堂はビーンの言葉の後、静まり返っていた。

 

「無言は賛同と取るがよろしいな。本日の演習は回避・防御演習だ。三式弾の方は防御演習時に平行して行う。ついでに効率のいい煙幕の張り方も覚えてもらう」

こうして本日行う演習の目処を立てたビーンは芋太郎に続き演習の準備を行うため食堂を後にした。

 

 

こうして始まるビーンによる演習、まず始めは発煙弾の演習から始まった。

 

「風の方向を確認し、風上に撃て。前方から風が吹いているときは煙に囲まれないよう動け、逆に不利になる」

ビーンの指示により地上で発煙弾が放たれる。

その弾により発生した煙は風に流され広範囲の視界を塞いだ。

 

「発煙弾は問題なさそうだな、続いて回避訓練を行う。煙の中で攻撃を行った長門、お前に回避行動を行ってもらう。使う弾は実弾だ、心して掛かれ」

前日の書類から長門が三式弾の演習を行っていた事を知っていたビーンは長門を指名した。

 

「…任せておけ」

長門にとってビーンはまだ信用に値していない為か、少し遅れて返事をした。

 

「俺の合図の後お前が煙幕を張れ、その後、攻撃を行う。砲撃・空爆の回避、同時に行ってもらう、三式弾を上手く使え」

そう言われた長門は、木箱から発煙弾と三式弾を積み始める。

 

「三式弾はそのままで行くのか?もう少し待てば信管を変えるが」

そう言われた、長門は不機嫌な顔をし、言葉を返した。

 

「前回は時間指定が合わなかったが、今回は当てて見せる」

ビーンはつまらなさそうな顔で信管を投げては手で受け止めるのを繰り返しながら言葉を返した。

 

「別に、コレを使う事を強制はしない。だが、全て自己責任だからな…」

しかし、長門はビーンの忠告を無視して着水、そして前回と同様の位置に着いた。

ビーンは溜め息をつき髪をガシガシと掻きながら、指令をだした。

 

「今回狙うのは的ではない、長門本人だ。攻撃は1回目の斉射と航空攻撃のみとする、手加減はするな、それじゃぁ意味が無い…構え!」

 

ビーンからしたら手加減を加えた演習内容ではあったが、ビーンは最初にしては適正だと思い、斉射と爆撃を行うよう指示を出した。

しかし、今まで仲間を実弾で撃つと言う経験が無かった鎮守府のメンバーの内、赤城が静止の声を掛けた。

 

「ちょっと待ってください!そんなことできる訳が」

「出来る出来ないじゃなくて、やるんだ!敵は攻撃するのを待ちはしない、赤城お前も艦載機の準備をしろ!」

今までで一番大きいであろう声をビーンはあげた。

その声により辺りは静まる。

 

しばらくの沈黙の後、ビーンはコホンと咳払いをすると、口を開いた。

 

「取り乱して済まない。だがコレだけは理解しておいて欲しい。君たちは新しい事をしようとしている、全ての物事を行う時にリスクはつきものだ、君たちはそのリスクにのみ目を当てている状態だということを」

 

「それは…」

赤城は一部を理解出来たのか言い返せないでいた。

ビーンは赤城以外の艦娘を見やるが、皆不安そうな顔をしていたのを確認すると、深く溜め息をつき考える素振りをみせた。

 

数秒間黙って考えていたビーンだったが、すぐに口を開いた。

 

「今回は模擬弾を使え…俺が悪かった…」

ビーンは実弾から模擬弾を使う様にシフトを変更した。

 

「その代わりちゃんと狙え、弾は当たらなければ意味が無いからな」

ビーンが模擬弾の使用を許可し、代わりの案を述べた瞬間、轟音が響く。

音を出した本人とビーンを除く、現場にいたメンバーは驚き、音のした方角を向く。

続いて、ビーンもゆっくりとそちらへ首を向け呟いた。

 

「ほぅ…やれる奴もいるじゃねぇか…まぁ、当てる気は無いようだが」

皆の目線の先には艤装から煙を吐き出すビスマルクが立っていた。

しかし、ビスマルクが放った砲弾はビーンが言った通り当てる気がなかった為、的付近へ着弾した。

 

「ビスマルクさん、急に砲撃するなんて!?」

赤城が当人を問い詰める。

しかし、ビスマルクは腕組みをしたまま顔を背け、話す事はしなかった。

 

「何か言ってくれませんと分かりませんよ?」

赤城は喋ろうとしないビスマルクにさらに詰め寄るが、ビーンに肩を掴まれ、静止されてしまう。

 

「どうして邪魔するんですか?ビーンさん」

肩を掴まれた赤城は振り向き止めた当人をへ突き掛かった。

しかし、ビーンは落ち着いた様子で話し始める。

 

「俺が説明してやるよ。ただ単にアイツは話の硬直を打破したかっただけ」

 

「それだけの為に撃ったと言うんですか?」

赤城はビスマルクに問い詰めていたときより落ち着いた様子で、ビーンに問い掛ける。

ビーンは再度、口を開いた。

 

「お前だったらこの揉め合いどうやって解決した?時間がたてば終わると思ったか?戦場では数分たりとも無駄に出来ないのにか?」

 

「それは…今では状況が違います!」

 

「何が違う!?戦闘を想定して行ってるこの演習と実戦何が違う!」

怒鳴りつけたビーンであったが、すぐに元の調子を取り戻し、無線機へ口を近づけた。

 

「長門、聞こえるか?今日の回避演習はこちら側のトラブルにより中止だ。お前が戻り次第、防御演習の手本を見せる」

 

「トラブルがあったのは的に着弾してから薄々感じていた、私には関係無い事だろう…」

長門は防波堤へ向けて進行を開始したのだった。

 

 

長門が陸に上がるのを確認したビーンは今一度、ここに所属する面々を確認する。

その中で、近接向きな艦娘を見つけると声を掛けた。

 

「天龍・龍田どちらか私に切り掛かってくれないか?」

ビーンはにっこりと笑いながら声を掛けたのだった。

 

「オレは今アンタにムカついてるから、本気で行かせてもらうぜ?」

「天龍ちゃん次第ね〜」

 

二人は意見が合ったのか、ビーンに向けて二手に別れて襲いかかった。

 

「おぉ…怖い怖い」

ビーンは余裕な表情で二人を見やる。

天龍・龍田はほぼ同時に突きを繰り出した、しかもご丁寧にクロスになる形で。

一部の艦娘達は死人が出るかもしれない状況に眼を瞑ったが、悲鳴も何も聞こえなかったからか、ゆっくりと目を開いていった。

 

そこには驚いた表情をする天龍・龍田と2人の後ろに立つビーンが写っていた。

 

「良い突きだった…まるで砲弾のような突きでしたよ」

 

「何が起こったんだ…?当てた感覚はあったのに」

「…砲弾のような突き?」

2人は未だに何が起こったのか理解出来ず、ただ唖然としていた。

 

「そこまでにしておけ」

2人を止めたのは先ほど戻ってきた長門であった。

 

「ビーン、お前のやらせようとしている事は、今ので理解出来た。だが、駆逐艦には酷ではないか?」

長門はビーンのやらせようとしていた所の問題点を指摘した。

ビーンは笑い声を上げ、問題点について話し始めた。

 

「さすがは数多の戦場で旗艦を勤めただけありますね。良い判断です」

 

「そんな事はどうでも良い、演習はどうするつもりだ?どう考えても上手くいきそうにないが」

 

「今回のは身につけといて損はしないモノですが、無理強いはやはりダメですねぇ…本日は解散としときます」

ビーンは書類を抱えると自室へ戻っていった。

艦娘たちもビーンの茶番劇が終わったのを実感すると安堵の溜め息をつき戻っていった。

 

 

その日の夜、芋太郎が戻ってきていつも通り書類の確認をしていると扉にノックが響いた。

いつもの様に声を掛け、来客を迎え入れた芋太郎は、扉の閉まる音と共に首をあげた。

 

芋太郎の目線には辛そうな顔をした赤城が写っていた。

そんな赤城に芋太郎は口を開いた。

 

「どうした、赤城?」

 

「私、ビーンさんの事が嫌いです…」

赤城の言葉は絞り出したような声だった。

それに対して芋太郎は思い当たる節を聞くため口を開いた。

 

「演習で何かあったんだろう?話してくれるか?」

 

「はい…ビーンさんが、回避と防御の演習を行うと言っていたのは知っていると思いますが…」

 

「それは理解している。だがその途中で何があった?」

芋太郎は問い詰めるのではなく、優しく問い掛ける様にして誘導尋問を行う。

 

「実弾で長門さんを撃てと…私にも艦載機を出せとも言われました…」

 

「それで…」

 

「出来る訳ないじゃないですか!」

赤城は机へ両手を叩き付けた。

それでも芋太郎は落ち着いた様子で赤城の話しを伺っていた。

 

「急に来て、戦闘方法の多様化だと言って。いきなり仲間を撃てだなんて…理解出来るわけない…」

赤城は本当に辛かったのか、言い終えると涙を流していた。

 

大体の内容を理解した芋太郎は立ち上がると、部屋を出ようとしたが、すぐ立ち止まった。

 

「話を付けてくる、辛い思いをさせてしまってすまない…」

それだけ言うと、芋太郎は赤城を残してビーンの部屋へ向かったのだった。

 

 

ビーンの部屋へ着いた芋太郎はノックもせずにドアノブを捻った。

ビーンは鍵を掛けていなかったのか、扉はすんなりと開く事が出来たので、芋太郎はそのまま扉を開く。

しかし、開いた瞬間に強烈な閃光と高音が芋太郎に襲いかかった。

芋太郎はあまりの眩しさに両手で目を覆ったが、犯人は分かっていたのでそのまま当人を呼び止める為に叫んだ。

 

「俺だ!ビーン、話がある!」

眩しさこそ治まり視界を取り戻した芋太郎だったが、未だ耳は機能していなかった。

しかし、叫んだことが功をなしたのか、目的の人物は逃げる様な事をせず芋太郎の正面へ向かってきた。

目的の人物、ビーンは芋太郎の前に立つと、自らの耳付近へ手のひらを動かし、芋太郎の状態を伺う。

 

数分間同じ事を繰り返していたビーンだったが、経験から閃光手榴弾の効果時間を覚えていたのか次第に口を動かし始めた。

 

「…るか?」

未だに耳に効果が残る芋太郎は、最後の部分だけ聞き取ると問い返した。

 

「もう一度頼む」

 

「聞こえるか?」

芋太郎はビーンの声を聞き取ると頷いた。

それを確認したビーンは芋太郎に話し始めた。

 

「他人の部屋に入るときはノックするのが当たり前だろう?俺を殺しに来た奴かと思ったぜ?」

何事もなかった様に話し始めたビーンの会話に芋太郎は、疑問をぶつけた。

 

「殺されるって、誰にだ?」

ビーンは口元に人差し指をあてると、もう片方の人差し指で天井を指差したが、芋太郎には理解出来なかったのか、首を傾げながら問い掛けた。

 

「ジェスチャーじゃ分からん、簡単に言ってくれないか?」

そう言われたビーンは溜め息をつきながら呟いた。

 

「警戒心無いねぇ…上だよ上!」

何度となく上、上というビーンに芋太郎は不信感を覚えたが、今話す事ではないと判断し、来た目的を打ち明けた。

 

「今日の演習の事で話がある。お前、彼女達に演習の目的を話してからやったか?」

それを聞いたビーンはしまったと言う顔をして呟いた。

 

「そういや、説明してないな…こりゃ失敗する訳だ。で、どうしたら良いと思うよ?」

ビーン本人は理解しているであろうが、何かしらの思惑があるのか、わざわざ芋太郎に聞くような事をした。

芋太郎の方も、ビーンの思惑が見てとれたのか、言い返す。

 

「わざわざ言わないと出来ないような奴じゃないだろうに…」

それを聞いたビーンはヒヒヒッと笑い、口を開いた。

 

「俺は教師じゃねぇし、そもそも教員免許すらもってねぇよ。それに卓上の理論が上手くいく方が稀だ、現実は甘くない…」

ビーンの経験談だろう、実践こそが至高だと彼は思っているのだ。

そんなビーンに芋太郎は語りかけた。

 

「俺が見たお前の艦隊は、直感で動いてる奴なんかいなかった。目には見えない目的に向けて、何かしらの考えの上で動いていたはずだ。俺が見ていない間にお前は変わったよ…悪い方向にな」

 

「急に何言ってんだ、ポテトヘッド?俺は俺だろうが」

ビーンは言い逃れるように、言葉を並べる。

芋太郎は過去の兄が行った演習を思い出しながら、ビーンへ語り続ける。

 

「何が卓上の理論が上手くいかないだ!今日、お前が教えようとした事は、お前が考え出した上で有効だと自ら証明した戦法だろうが!」

それを聞いたビーンは我に返ったような顔になる。

それでもなお、芋太郎の怒声は止まない。

 

「お前が言っている事は、過去のお前自身を否定しているんだ!お前に関わってきた彼女達もな!」

言い終えたのか、芋太郎は話すのを止めた。

 

 

しばらくの沈黙の後、先に口を開いたのはビーンだった。

 

「お前に何言われようが、俺は変わらんよ」

今までのふざけてるような話し方ではなく、淡々とした口調で瓶は呟いた。

 

「強がるのはよせ、何なら今ここでお前の抱え事を聞いてやる」

しかしビーンは手のひらを上下に振り、否定の意を示す。

 

「今話した所で、お前に理解は出来んよ。同じ土俵に立たなくちゃな…」

 

「そう決まった訳じゃないだろ?」

それでも芋太郎は齧り付く様に、問い掛ける。

 

「いい加減にしてくれ!もう沢山だ、どうして言いたくない事を俺だけが聞かれ続けるんだ!」

ビーンは怒鳴り始める。

 

「お前はまだ経験してないから、そう楽観的に物事が言えるんだ!お前の艦隊のうち誰かでも沈めば嫌でも理解するわ!」

芋太郎はビーンの言葉から、1つの推測を導きだし、声に出した。

 

「沈めばと言う事は…まさかな…」

芋太郎の言葉を耳にしたビーンは堪忍したように俯いた。

言われて、冷静さを取り戻したのか、ふぅっと溜め息をつくと、少しずつビーンは過去を話し始めた。

 

「そうさ…俺は彼女を沈めちまったんだよ…」

ポツリと一言呟いたビーンだったが、急に呼吸が荒くなっていき、目が泳ぎ始めた。

 

「許してくれ…許して…くれ…」

ポツリポツリと呟き始めたビーンだったが、次第に声量は大きくなっていき、仕舞いには発狂し始めた。

 

「すまない!許してくれ!俺に生きている価値なんか無いんだ、殺してくれ!」

 

「落ち着けビーン!」

芋太郎はビーンを押さえ込む。

しかし、ビーンは叫び続ける。

 

「早く俺を殺してくれ!俺があんな事しなければ、彼女は…彼女は!」

ビーンはガリガリと頭を掻きむしり始めた。

 

「許せよ…ビーン」

芋太郎は腕をビーンの首へ回し、締め付けた。

ビーンは死ねると思ったのか抵抗しないでいたが、やがて気絶したのか、手も力なく垂れた。

それを確認した芋太郎はひとまず、今日は話にならないと判断し、ビーンをベッドへ運ぶと部屋を後にした。

 

芋太郎が扉を空けた先には、赤城が立っていた。

 

「わざわざついて来なくても良かったんだが…」

 

「待っていたのですが、戻ってくるのが遅くて、つい心配になってしまって…」

赤城は来ていた理由を打ち明けた。

 

「そうか、それで話は聞こえていたか?」

 

「はい…ビーンさんが誰かを沈めてしまったと言う所からですが…」

 

「明日、またアイツと話をする。今日はもう寝よう」

芋太郎は時間を確認し、詳しく話をするには時間が足りない事を確認すると、寝る事を提案した。

赤城も、演習からの精神的疲労が抜けていなかった為か、欠伸をした後、芋太郎の提案に乗る事にしたのだった。

 

 

次の日の朝、芋太郎は珍しく現役時代の時間に目を覚ますと、昨夜の続きを話すため、ビーンの部屋を訪れていた。

昨夜と同じトラップに引っ掛かり、ノックしろと注意されたが、芋太郎は本題を持ち出した。

 

「昨夜は錯乱していたようなので、戻ったが、今日でハッキリしてもらう。演習は理論から教えると言う事で良いな?」

 

「あぁ、だが条件を付け加える。深海棲艦の戦艦型がでたらその詳細を俺に寄越せ、過去の清算に使いたい…」

 

「それは構わないが、何に使うんだ?」

 

「アイツの最後を見届けるためさ…」

 

「そうか…危険は承知だが、その時は船を貸そう」

 

「漁船で十分だ。それより明日から座学を行う事を伝えといてくれ、俺からだと言い出しにくくてな…」

 

「わかった」

 

後日、理論を含めた上で実践もしくは実演を行うことが決まったのだった。




読んでくださり、ありがとうございます。

ビーンが道化を謳う理由が明かされましたね。
書いてる途中でどうやってまともに話をつけようか悩んだキャラです。
なんせ、捻くれ対応に逆切れ、たまに冷静と浮き沈みが激しい感じがしましたし、過去を引きずって云々と…作者自身書いてて頭痛が…
でも、私自身このような人がいたら、こうなるのも分かるような気がします。

ビーンの口答で沈んでしまったという娘…皆さんなら名前は分からずとも、どんな結末を迎えるか予想がつくかと思います。
深海棲艦となって立ちはだかるのは、もちろんですが。
その後はどうなるんでしょうねぇ…

まだまだ先の事ですが、これからも楽しんでいただければ嬉しいです。
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