今回も演習です。
前回からの進展ですので、笑いどころがあるかどうか…
まだまだ続くよ作者の妄想砲弾&ご都合主義な砲弾!
戦術的なのも書く様な気がするけれど、今回は砲弾だけ。
前回の失敗から芋太郎の要求によって、ビーンは実践する前に理論を説明する為の準備を行っていた。
いつもの的が見える場所に車輪付きの黒板を運び、その他の機材を置いていく。
それらの機材は縮小された弾頭や魚雷が主であったが、中には見慣れない球体も含まれていた。
ビーンは大型な機材の設置が終わったのか、箱に入っていた、その球体を鷲掴みにすると、海と陸の境界線へ歩き始める。
数にして7歩程だろうか、それだけ進むと、ビーンは球体を掴む手を前に突き出した。
「今日の潮の速さはっと」
そう言いながらビーンは球体を離した。
支えを失った球体は重力に従い直下していき、海面にぶつかるとポチャンッと言う音を出した後、浮かび上がってくる。
ビーンはその球体が対岸流によって、少しずつ沖へ向かっていくのを確認すると、他の機材の確認を行うのだった。
芋太郎がしっかりと予告しておいてくれたからか、昨日よりも人数こそ減っているものの、一部の艦娘が今回から始める座学へ参加していた。
「よく来てくれた…そして昨日の件、すまない」
ビーンは詫びながら頭を下げた。
「今回我々が参加したのは提督に頼まれたからだ、今度あのような事態に陥ったら、たとえ提督からの頼みでも、従う気になれないぞ」
「気をつけるよ」
ビーンは長門によって伝えられた事を、鎮守府に溶け込む為の最後のチャンスだと確認すると、返事をしたのだった。
「ところで、始めてしまっても構わないか?」
ビーンはこれ以上集まらないと判断したのか、声をかけた。
ビーンの問い掛けに対して、集まっていた一部の艦娘達は、静かに頷いた。
それを、返事として受け取ったビーンは、黒板に文字や図を書き始めた。
「まずは砲弾の効果からだ、分かりにくかったら聞いてくれ、すぐに詳しく解説する。だが、その効果はお前達が無意識に行ってるようなものだから、難しくはないと思う」
そう言いながらビーンは放物線を現した様な曲線を描き、その両端に円と長方形を組み合わせた人形の様なものを書いた。
「砲撃を行った際に命中すればそれに超した事はない。だが、距離等によって外れる弾があるのは当然のことで、その外れた弾は僅かながら敵に障害を与える事が可能だ。何か分かる者はいるか?」
吹雪が手を挙げる。
「よし、言ってみろ」
「着弾時の衝撃によって発生する水柱による視覚障害でしょうか?」
吹雪は合っているか不安があったのか、最後を疑問形にして答えた。
「正解だ。この例は純粋な砲撃戦のみを想定して考えているため、相手が電探や着弾観測射撃を行っている場合は勝手が違うが、吹雪の言った事で大体合っている」
「視覚障害という事は、発煙弾も関係してくるのか?」
ビーンの言葉から推測したのか、長門は質問を問い掛けた。
「そうだ。だが、煙だけでは効果が無いのは昨日言ったな?ある程度、空からの確認はしにくくなるが、電探に引っ掛かる。そこで、発煙弾の弾子発射と共にコイツも散布する様な砲弾を使用すれば良い」
そう言うと、ビーンは箱の中から銀色の毛玉を取り出しヒラヒラと動かした。
「コレが何か分かる奴はいるか?」
「チャフでしょうか?」
航空機を使う赤城は、過去の知識から答えた。
「さすが艦載機のプロ、赤城が言った通りチャフだ。では実演するぞ、誰か電探を付けてる奴はいないか?」
ビーンは実演を行う為に、ちょうど良い装備をしている艦娘がいないか声を掛けるが、ビーンの呼びかけでは名乗り出るものはいなかった。
「電探なら、響ちゃんが付けていたはずです」
吹雪が前日の演習で響が電探を付けていたのを思い出し、ビーンへ打ち明けた。
それを聞いた響は吹雪のほうを見ると、口を開いた。
「吹雪、君は私を実験台として差し出すつもりかい?」
響は吹雪に対して僅かな嫌悪を含めた視線で睨みつけていた。
この状況を嫌でも止めようとしたのはビーンだった。
最後のチャンスを自らのミスではなく、他人と他人のやり取りで潰されたくなかったからだ。
「そこまでだ」
ビーンは一声掛ける。
その声で吹雪はビーンの方を見るが、響は未だに吹雪の方を見続ける。
ビーンは歩いてお互いの中間地点に立ち、響を見る。
「君の協力無しで実演は出来ない。また、君には電探である一点を観察してもらいたいだけだ、こういう理由なんだが協力しては貰えないだろうか?」
ビーンは言葉で実践する訳ではない事を伝えた。
響は未だ吹雪のいた方向を見ていたので、必然的に目の前にはビーンが立っていた。
溜め息をつき響はビーンを見上げ、口を開いた。
「見るだけだからね」
「それで構わない。早速だが的の方に意識を集中しといてくれ」
響に指示を出したビーンは、無線機を取り出すと通信をする。
「準備完了だ、撃て」
防波堤の端から砲撃音が響き、座学を行っている場所から数十メートル先に白い雲が掛かる。
「響、的は電探に映っているか?」
聞かれた響は驚いた表情で、ビーンを見上げる。
「大きな雲の様な反応はあるけど、その後ろの的は映っていない。これが言ってた電探の無力化…?」
「そうだ、だがまだ穴がある、どこだと思う?」
ビーンは気付かせる為に、問い掛けた。
「着弾観測射撃…つまり空かい?」
ビーンは頷いた。
そして、再度無線に口を近づけ通信を行う。
「続いて、通常三式弾込め。一発ごとに時限信管を一秒伸ばせ」
そのような通信を行うと、無線を仕舞うと赤城の方へ首を向け口を開いた。
「赤城、水偵を一機出してもらえるか?高度は任せるが高度を維持して旋回させておいてくれると嬉しい」
発煙弾の実演が成功したからか、赤城は直ぐに承諾し、偵察機を飛ばした。
ある程度の時間こそ掛かったものの、その偵察機は言われた通り、一定の高度に到達すると巴を描き始める。
「準備は良いな…」
ビーンは無線を取ると射撃の合図を出した。
最初から数発は信管の設定時間が早過ぎたため、偵察機のいる高度に届かず炸裂していたが、さらに数発撃つと、弾子が命中したのか偵察機は炎をあげて着水、爆発したのだった。
「今のは従来の三式弾を使ったモノだが、次は俺が持ってきた信管に変えたものを使う」
そう言うと、三式弾入れ替えの指示を無線で伝え、再度赤城へ声を掛けた。
「手間を取らせて悪いが、もう一機飛ばしてくれ」
もちろん拒否する事無く、赤城は同じ様に偵察機を飛ばしたのだった。
空に広がる一発の花火によって、赤城が飛ばした2機目の偵察機は炎をあげ、空中で爆発・分解したのだった。
それを目撃した一同は少し驚いた表情を見せたが、先ほどの信管と同じ設定で撃ったのだと思うだけに留まっていた。
予想出来ていた事だが、ビーンは皆の様子を見ると溜め息をついた。
理由はやはり反応の薄さだろう、理論・実演を行ってまでして理解してもらえ無いのであれば、残る方法は1つ、実践のみであった。
「実感が湧かないようなので、実践に移る。長門・ビスマルクお前達で実際にやってみろ」
ビーンは二人を指名すると信管を変えてある三式弾が詰まった木箱の方を指差したあと、赤城の方へ振り向き再三にあたる頼みをした。
艦載機を操っている赤城自身はどんな違いがあったのか理解出来ているかもしれないが、1人2人がどうこう言った所で、伝わる可能性は低いと悟ったのか、口を開く事は無かった。
またビーンに同じ事を頼まれた事で、考えは同じだと読んだ赤城は頷き、偵察機を飛ばしたのだった。
しばらく時間が経ち、巴を描く偵察機に戦艦の2人は標準を合わせる。
「さっき使ったので9発しかない。だが時限信管は付いていない、ただ狙って撃て、それだけだ」
ビーンはそれだけ述べると、木箱を椅子にして座り、2人を眺める。
「第一砲塔、目標上空偵察機斉射!」
長門の一声に続き、ビスマルクも砲塔1つを斉射した。
それによって放たれた改造三式弾は計6発、それらは直線に近い軌道を描きながら、目標へ急接近していき、炸裂。
今まで1発で行ってきたからか、今回の砲撃を受けた偵察機は発火する間もなく破片となって海へ落ちていった。
「ビーンとやら、使うのは1発ずつでも良かったのではないか?」
長門は実践には納得したが、コストの方に不満があったのか、ビーンに声を掛けた。
「別にいいんだよ、どうせ理解してもらわなくちゃ使ってすらもらえん代物だ」
ビーンはそう言うと空を見上げた。
その空は三式弾による煙で、花火の終わりを思わせるようだった。
「調子はどうだ?ビーン」
どこからとなく、ある人物がビーンへ呼びかけた。
その呼びかけにビーンはカクンッと首を動かすと声の主へ目を向けた。
おそらく書類を書き終えたうえ、数回の破裂音を聞きつけて駆けつけたのであろう。
そこにいたのは、この鎮守府の指揮官、芋太郎であった。
「今の所、順調だがあまり時間が無いのも事実だ。なんせ、お前が仕事をサボったからだぞ?俺の様に追放されたくなかったら、もうちょっと上の言う事は聞いておくもんだ」
「生憎様このような兄を持ったからな」
芋太郎はビーンの言葉に対して、身内でしか分からない様な発言をする。
「俺も、こんな弟持っちまったからな。配慮くらいしてくれよ」
「お前に配慮なんかすると遠慮の欠片もなくやるだろう?さて、おふざけはここまでにして、今後の予定も聞いておきたい」
身内ネタを断ち切り、芋太郎は予定の話を繰り出した。
「今回の演習は見かけでは上手くいったが、僅かな欠点を見つけた。教えた所で実践に移る事が出来ない奴等がいる。今回の場合は発煙弾という砲塔を持つ奴等なら使える事を教えれたが、後半の三式弾においては戦艦2名しか参加出来ていなかった。まぁ、その演習の補助として赤城に手伝ってもらった訳だが、如何せん効率が悪い」
ビーンは今回の演習の報告ともなる情報を口答で述べると、反応を見る為か黙り、芋太郎を見据えた。
「それで、改善案は見つかったか?」
芋太郎は演習を全て任せると言ったからか、ビーンに訪ねる。
しかし、ビーンは人差し指を振り、口を開いた。
「任せるとは言われたが、全て任しっぱなしは頂けないねぇ。それじゃ欠員が出た瞬間に一気に無力になっちまうよ、提督とはそれほどの存在なんだからな」
「だが、今回長く関わったのはお前だろう?」
芋太郎は事実を述べた。
これを言われては、ビーンも逃れる術がないのか、苦笑いをし口を開いた。
「ほんと、こんな弟を持つと苦労するぜ…次回から、演習を行う前に絶対参加するべき者をリストアップする、よって基本兵装のリストが欲しい。それさえあれば大方解決出来る」
「今夜中に届けよう、他に必要な物は?」
「無いが、例の物は見つかったのか?今回は俺が弄くって何とかやりくりしたがこう何度も同じ様にはいかねぇぞ?」
ビーンの言う例の物とは、電探錯乱機能を持った発煙弾を作れる工場を見つけ、製造ルートの確立と今回三式弾に付けた信管を手に入れる為のルート確保の事である。
「そちらについては、何とか手配出来た所だ。だが、信管の件は上層部に不審がられた」
「不審がられただけで、確保は出来るんだな?」
ビーンにとって手に入るかどうかだけが問題だったのか、上層部について詳しい追求はせず、結果を聞く。
「転用策の模索に用いると報告したら、すぐに了承してくれた」
「そりゃぁそうだろうよ、アイツらに取っては使えないゴミも同然なんだからな」
ビーンは上層部を揺すっていたときからの情報から出していた結論を述べた。
芋太郎はビーンの上層部嫌いを目の当たりにすると、苦笑いを浮かべたのだった。
2人は会話を終えると、周りの視線によって場を弁える。
「重要な話なのは分かるが、待たされる側の事も考えて欲しい物だな」
「すまないな、だが演習は終わりだ。最後にまとめだけ言っておく」
ビーンは一呼吸置いてから、続きを話した。
「今回の発煙弾は強襲を受けた際の防衛策として有効だ。だが、被害を受けないに超した事はないので、実戦で警戒を怠る事だけはするな。また、敵の策的方法もおよそ3パターンに分けられるが、対処法は2つだ。接近もしくは電探により見つかった場合は発煙弾を使え、視覚的に隠れる事が有効なのは当然だろう。また、偵察機に見つかった場合は先ほどの弾で盛大に歓迎してやれ、本隊だったら数が多いから見分けはつくだろう。今回の演習で言える事はコレまでだが、今後行う予定の演習と組み合わせる事を想定して頭に入れておいてくれ」
ビーンはまとめを言い終えると、黒板や機器等にシートを被せどこかへ去っていった。
残された艦娘達はビーンの解散と言う言葉を聞き、解散していったが、一部の艦娘達は提督にご褒美なるものを要求したのだった。
理由は言うまでもなく、演習参加の頼み事が原因であった。
その日の夜、芋太郎はビーンに要求された書類を届けに行ったが、いつもどおりのお出迎えの後、ビーンによって渡された演習予定日と艦名が書かれた紙を受け取ると、皆の目につきやすい食堂の出入り口両面にその紙を貼付けると、自室に戻っていったのだった。
読んでくださりありがとうございます。
今後も続く演習内容は作者の気まぐれ、繋がりがある様な無い様な状態になると思います。
それじゃ解説いきます。
1:三式弾に使った信管について
アメリカが使ったとされる近接信管を想定しています。
もっとも、この世界観では当時のより優れているのは当たり前ですが、これによって三式弾がチート武器と化する様に作ってしまいました。
また、前回の話で通常兵器が効かないとありましたが、あれは上層部が勝手に決めた事であり、ダメージ自体は与える事は可能なのですが、通常の船舶等を使った戦闘を行うと予想つくと思いますが、機動性に劣りすぐさま駆逐艦のエサとなってしまいますので効かないとされているだけです。
さらに、砲弾に関しても海上で発射する機器が無いためゴミ扱いされていると言うだけです。
ゴミと言っても費用対効果が悪いだけですがね…
2:発煙弾によるチャフ放出について
ウィキペディアから赤燐弾の方を閲覧し思いつきました。
この赤燐弾のカートリッジタイプを想像してもらえればどんな放出になるか想像できると思います。
3:ビーンのまとめについて
近接での対処は想像できると思いますが、電探の対処は逆探知で行うと言う訳です、
この逆探知、レーダー等のウィキペディアをみると山城に付けられていたと言う記述があった為、出しました。
視覚は煙によって、電探はチャフによって雲隠れ…とまぁ、私としましてはコレで隠れる事は可能だと思っています。
そして、空は例のアレでドーンッとね。
これで、正面と上はどうにかなるはず…