鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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どうも、じゃがいもです。
演習回最後の予定です、模擬戦も演習に入っているかもしれませんが、別枠として書く予定です。

*被弾による損傷を受ける場面や艦娘と言い争う場面があります、そのような表現が苦手な方はご注意ください。


敵か味方か

戦艦ならば反射による先導行動と大火力砲を活かした防御さらには攻撃。

空母ならば本来はアウトレンジからの攻撃が基本だが、強襲者(潜水艦)からの緊急防御。

潜水艦には魚雷だけでなく機雷の扱い方を、駆逐・軽巡洋艦には発煙弾による補助と、基本的な攻撃方法に加えこれらのように少しばかり特殊な行動を教えてきビーンだったが、更に自らが持てる戦略はまだ底を尽きていないようで、今日もまた新しい行動の例を教える為に黒板の前に立っていた。

 

ビーンと対面するメンバーは食堂の紙に貼られていた限りでは、空母・潜水艦の2種類だけだったが、何故か長門が彼女らと同様の席に座っていた。

 

「長門、何度目になるか…お前はリストに入っていない、何故参加するんだ?」

 

「旗艦たりえると言ったのはどこのどいつだ?旗艦となれば現地での司令を任される、後続艦の行動パターンを頭に入れておいて損はないと何度言わせるつもりだ」

 

「それは理解している。だが、頻度が多すぎる」

演習があるたびこのようなやり取りが行われていたが、これまで演習に参加してきたメンバーはもう見慣れた風景と言わんばかりに間に立つ事は無かった。

なぜなら、最終的には教える側が折れるのを何度も見てきたからだった。

 

「しかたねぇ…口径あげた防御の演習でもやるか…」

いつもの様にビーンが先に折れ、即席で演習内容を改編していく。

改編途中で思い出したのか、ビーンは遠くの上空を眺めると、口を開いた。

 

「午後は荒れるらしい、赤城の演習だけ先に終わらせるぞ」

そう言うと、ビーンは早速黒板に図を書き始める。

今となってはビーンも手慣れたもので、数秒でその図は完成した。

 

「この図だけで、理解出来るか?」

あいかわらず四角と円を組み合わせた単純な図であったが、ビーンは赤城へ訪ねた。

 

「何とか…」

 

「そうか。大まかな事が伝われば問題ない、早速だがやれるか?」

ビーンは手短に今回やる事を、図説すると実践へ移るよう指示を出した。

最初の頃より口数こそ減ったビーンだったが、数ヶ月の間、演習を行う際に見てきたおかげで、ここに属する艦娘達はビーンの言いたい事が全てではないが理解出来る様になっていた。

 

赤城はいつも使われている的に、艦爆を向かわせ反跳爆撃を行う為、艦爆の高度を下げ水平飛行を行わせる。

そのまま水平飛行で艦爆を向かわせ、距離200程で艦爆から爆弾を投下したが、成功したのは2割程で、残りは自爆という結果に終わった。

 

「自爆したか…100%とまでは言わないが、それに近い成功率までは持っていってもらうぞ、資源は気にするな技術をモノにしろ」

それだけ言うと、ビーンは反跳爆撃の練習を見るのを止め、潜水艦達の指導を行うため赤城から離れていった。

 

 

「伊18伊58潜潜航は得意か?パッシブソナーに掛からない方法は知ってるか?」

その最後の言葉に潜水艦達は答えた。

 

「推進機を止めればいいでち」

「音を出さなければ良いの!」

各々違う様な答えを言ったが、元をたどれば伊19が言った事と同じ答えだったのを聞いたビーンは頷き、口を開いた。

 

「そうだ、お前達は静かに狩るもの、存在を探知されない知識を持ってるのは良い事だ。この端末に潮の流れが映っている、敵に接近する行動として潮に乗る事を慣れておけ」

潜水艦達に行わせる内容を伝えると、次の相手に向かおうと通り過ぎようとしたが、何かを思い出し足を止めた。

 

「機雷も持っていけ、浮遊機雷だぞ。潜航中に流して浮上させろ、敵がいるとして前方にだせれば足止めになる、ましてや底に当てれば1発轟沈も狙える上に、音も無い」

一方的な指示だったが、今までの活動で信用してくれたのか、抵抗する事無く海へ飛び込んでいった。

潜水艦達が指示に従ってくれた事を確認したビーンは先ほどの目標を達成するため、歩を進めた。

そして目的の場所、長門の場所へ訪れたビーンは奇妙な人物を発見し、その人物へ声をかけた。

 

「ビスマルク、お前も演習しに来たのか?」

 

「違うわ、様子を見に来ただけ」

その言葉を聞いてビーンは溜め息をつく。

 

「三式弾の演習しか参加してない訳だが、いつ参加するつもりだ?」

 

「参加するのもしないのも自由でしょ?」

ビーンは過去に自分が言った事を言われ、再度溜め息をついたが、すぐに先ほどと同じ顔になるとビスマルクに言葉を返した。

 

「まぁ、長門がこれから行う所だ、見てけよ」

ビーンはそう言うと、親指で後ろに見える山を指差した。

 

「今日はどこから弾が飛んで来ても対応出来るよう、発射口は隠してある。と言っても元々襲撃されても一時しのぎ出来る様にと配備していたモノだが、それ故に大口径・高威力だがやるか?」

ビーンはいつもの様に砲を向ける事を申告するが、長門は頷くだけだった。

 

長門の同意を得たビーンは先ほど指差した方向へ向けて歩を進める。

結果として、赤城の演習を目にした訳だが、2割の成功率から4割もしくは5割へと増えているのを確認すると、持っている書類へマークをつけ声を掛けた。

 

「言い忘れていたが、戦艦とかにその方法は使えよ。空母なら今まで通りで良い、甲板を燃やせば良いんだからな。くどいようだが状況に合わせて使えよ、極める事は悪くないが他が潰れてちゃ意味無いからな」

ビーンは赤城に教えた事に新たな内容を付け加えると、再度、山を目指し、歩を進めるのを再会した。

 

そうして、ビーンが引き連れて来た場所は山のふもとであり、そこから見える木の幹と言う幹にこれでもかと言う程迷彩ネットが掛けられており、もはやネットではなくカーテンと言っても過言ではなかった。

 

「長門、好きな所に立ってな。いつも通り俺が撃つ」

一言だけそう言うと、ビーンはカーテンの中に入っていった。

ビスマルクはこれから何を行うのか理解出来ていない表情だったが、とりあえず長門から離れ様子を伺う事にしたのだった。

 

ビーンが森の中に入っていってから数分程経った所で砲撃音が響いた。

その砲撃音と共に放たれたであろう砲弾を長門は対応する体勢に入る。

その砲弾は初めて行ったときよりも正確に長門を捉え飛来していたが、内容自体に大きな変化は無いようで、長門はいつも通りの動きで砲弾の横を捉え叩く。

長門と砲弾が触れ合った瞬間、辺りでは装甲と砲弾が擦れたのか、はたまた質量で装甲が軋む様な音が広がり、その音を聞いたビスマルクは驚いた表情で長門に声をかけた。

 

「あなたはいつもこのような事をしてるわけ!?」

 

「こんな事で皆を守れるなら安いものさ。それより近づくな、そろそろ次弾が来るはずだ」

長門が言い終えると次の砲撃音が続いた。

 

「2発!?くっ」

弾速から判断したのか長門は大きめな動きで、それを躱した。

 

「ビスマルクここから離れろ!演習とはいえ危険だ」

長門がビスマルクにそう叫ぶが、射撃音は続く。

本格的な攻撃を想定したものだろう、長門向けて無数の砲弾が飛来し続ける。

また、飛来する弾種も徹甲弾から榴弾、終いには特殊弾までありとあらゆる砲弾が長門を襲うが、長門は適切な方法で弾く、躱すと行動していく。

それでも斉射であり範囲が広く、徹甲弾や榴弾は対応できていたが、特殊弾はその特性上、更に大きな動きをしなければならなかったので、結果として命中してしまう。

 

「この程度でっ!」

長門がそう叫んだ瞬間に特殊弾は炸裂し、その爆音によって、後の砲撃音は止んだ。

砲撃が止んでから、森の中からビーンが出て来た。

何も感じていない顔をしながら出て来たビーンをビスマルクは睨みつけ、近づくとビーンを叩いた。

 

「この人でなし!私たちをこんな目に遭わせるのがそんなに楽しいわけ!?」

ビーンは普段から変わらない様子で口を開いた。

 

「俺をどう思おうがお前の自由だ。だが言っておく、本格的な戦闘を行ったとして、後悔した所で遅いからな、俺はそれを味わったうえでこの演習を担当している。それとも、なんだ?ポテトヘッドが砲撃するなら話は別ってか?」

ビーンはビスマルクに言いたいだけ言うと、黒板がある方へ歩き始めた。

 

「長門、夜間も同様に行う。とりあえず工廠に行っておけ、軽度な被害だろうが障害があると困るんでな」

戻り際に夜間の内容を伝えると、残る皆に解散の指令を出す為か、ビーンは歩き続けた。

 

「ちょっと、待ちなさいよ!」

ビスマルクは呼び止めようと声を出すが、ビーンは聞く耳持たずという様子でそのまま歩を進めていった。

 

「なによ、感じ悪いわね。長門はアイツを信用してるわけ?」

 

「信用と言うよりも理にかなっているから受け入れている感じだな。それに、今はアレでも元は提督らしい…奴には奴なりの考えがあるのだろう」

長門はうっかりと話の続きに、ビーンが言っていた目標の事も話しかけたが、どうにか抑えたのだった。

 

 

その日の夜、長門は言われた通り、夜間演習に向かうため宿舎の出入り口へ向かっていたのだが、そこにはビスマルクが待ち受けていた。

 

「どうした?呼ばれているのは私だけだが」

 

「アイツを見返してやるのよ、あなたに出来た事が私に出来ない訳ないじゃない」

ビスマルクの意思を聞いた長門は、無言で歩き始めると、その後をビスマルクが追従した。

 

 

昼頃、長門が演習を行った場所に訪れた2人は、明かりが点いていた事で、ここで演習を行う事を確認すると立ち止まった。

すると、明かりの無い森から声が聞こえ、ビーンが姿を表す。

 

「お前を呼んだ覚えは無いんだが、どういう風の吹き回しだ?」

 

「長門から話は聞いたわ、アンタを見返そうと思ってね」

 

「…そうか、後悔してもしらんぞ?夜は危険度が高いからな」

ビーンは初めて戦艦用の防御演習を行うビスマルクに忠告をしたが、ビスマルクは忠告に臆する事無く口を開いた。

 

「ネームシップとしての誇りとドイツの誇りを見せてあげるわ!」

 

「勇ましい事で…だが、無謀と勇敢は紙一重ってな…おい、明かりを消せ」

ビーンが叫ぶと協力者がいたのか、点いていた明かりは一斉に光を失い、暗闇と木の葉が揺れる音だけが残った。

 

「擬似的だが、夜戦の世界へようこそヒヒッ」

戦艦2人には見えていないが、ビーンは暗視ゴーグルを着用すると森の中へ入っていった。

 

「長門、手本を見せるためお前が先にやれ」

ビーンが進んでいった方向から本人の声が聞こえた。

 

「あぁ、わかってる」

 

長門が返事をしてから数分経っただろうか、昼間と同じ様に砲撃音が響く、向かう長門が感じたのは、一瞬だけ見えるマズルフラッシュと砲弾の風切り音だった。

それを、日頃の演習で培った技術を頼りに躱し、弾いていく。

しかし、暗闇の作り出す不利な状況に対抗する手段が無く、長門は榴弾を食らう。

その榴弾は榴弾としての役目を果たし、爆煙をあげた。

 

「この程度、どうってこと無いっ!」

少しでも油断すれば、鋭い徹甲弾が装甲を貫くからか、自らを鼓舞しようと長門は叫んだ。

 

ガンッと長門が叫んだ次に何かがぶつかる様な音が響く。

それは、昼間の演習で受けた特殊弾の吸着音であり、その次は炸裂という未だに長門が避けきれない厄介な存在だった。

 

「くぅっ…」

それが炸裂し重心が少しばかり振れたのか、長門は声を漏らした。

そして次の瞬間、徹甲弾が長門の砲塔部分の装甲を抉っていき、そのまま砲塔を抜けると後方で炸裂した。

 

「今のは危なかったな…」

長門が初めて徹甲弾に当たるのを目の前にしたビーンは静かな足取りで森から出て来たが、明かりが点いていないので、2人には見えていなかった。

 

「狂ってる……」

ビスマルクは先ほど目の前で起こった出来事に処理が追いついていないのか、呟いた。

本来なら深海棲艦から攻撃を受け負傷するのは仕方が無いことだと受け入れて来た彼女だったが、守るべき存在であった人類によって身体的に傷つけられた仲間を目にするのは初めてであった為、そのような言葉を呟いたのだろう。

 

「戦闘自体、狂ってなきゃ始まらないっての。で、お前はやるのか?」

 

「このっサディストがぁ!」

ビスマルクは偶然にも砲塔に残っていた照明弾を放ち、光源を確保すると姿を表したビーンに怒鳴りかった。

 

「私たちは戦う為だけの道具じゃない!この前までの平和をアンタ一人の思惑で壊すんじゃないわよ!」

 

「平和だぁ!?自由に海も渡れず空も半分閉鎖されている現状のどこに平和があるって言うんだ!今は類似的な平和が続いているがな、守れるのはお前達だけなのにお前自身が平和ボケとはなぁ!」

ビーンは煽る様な言葉を並べると更に口を開く。

 

「俺がサディストだって?深海棲艦から見たらお前だってサディストだろうよ、相手を沈めて平和を守ったと置き換えている…違うか?」

 

「アンタはどっち側なのよ!」

 

「お前から見たら敵だろうよ、俺自身はポテトに協力してるつもりでもな。だがな敵は深海棲艦だけじゃないぞ?俺だって上に裏切られたからな」

ビーンは具体例を示すため、過去の出来事を口にしたが、ビスマルクはそれを捏造したモノだと捉え、啀み合いが続いていた。

 

「そこまでにしておけ」

啀み合いの続く中、一際大きな声が響き、啀み合いを止めた。

声の主は芋太郎であった。

 

「夜中に許可無く照明弾が上がったので様子を見に来たら、また言い争いか…で、原因は?」

芋太郎は落ち着いた様子で、状況整理を行うため事の発端を聞き出そうと問い掛ける。

 

「コイツが長門を撃ったのよ!しかも、当たった後も悪怯れなく、平然と出て来たわ!」

一方、ビーンはビスマルクに言いたいだけ言わせるためか、黙り込んでいた。

更にビスマルクは主観的でこそあったものの、自らが導き出した原因と思われる事全てを打ち明けていくが、それでもビーンは黙っていた。

 

「ビスマルク、お前の言い分は理解した。次はお前が思っている元凶に話を聞く…おい、ビーン反論することは?」

 

「事実だな、砲撃したのも当てたのも。だが、そうなる事を予め伝え、同意を得た上だが、問題か?」

ビーンは自分に非が無いという内容を述べた。

 

「それは以前から把握してる、それでも何故このような事が…」

 

「俺にもわかんねぇよ、だからこその妥協案だってのにその妥協にケチつけられる俺の身にもなってくれよ」

 

「今後の課題となりそうだな…だが、今日は切上げろ、いざこざを引きずり合うのはあまり良い事ではない。ビスマルクお前に伝える事がある、俺についてこい」

その場しのぎではあったが、芋太郎の機転でその場をなんとか収めると、流れで解散となった。

 

「長門、工廠行っとけよ」

ビーンは状況を説明しながら長門の被弾箇所を確認していたのか、言わずとも良い事をわざわざ口に出した後、森の中に姿を消した。

残った3人、提督、長門、ビスマルクはとりあえず施設の密集地へ向かう事にした。

 

「それで、話したい事って何よ?」

ビーンがいなくなってからか警戒心が解れたのか、いつもの感じで芋太郎から話を聞こうとビスマルクは声をかけた。

 

「あまりお前にとっていい話では無いが…ここは平和に見えても、毎日数十名の死者が出ている訳だ、それも…ここ付近でな。だが、アイツが来てから3割程数値の減少が見られ、現状もその数値を維持している…この意味が分かるか?」

芋太郎も重要な話だからか、普段の体格に似合わない温和な雰囲気は消え失せ、軍人としての立場を弁えた顔つきでビスマルクに問い掛ける。

 

「えぇ…嫌な奴だけど、貢献はしているのね…」

対して、ビスマルクは知らされていなかった現状を聞き、ビーンが何故あれほど実弾を使った演習に拘るのか理解したのか、小さく声を漏らす。

それに応じて芋太郎は更にビーンの話を続けた。

 

「それにだな、アイツは自分の時間をほとんど持っていないんだ、夜は演習の内容考察、朝と夕方は演習指導、そして考察が無ければ夜間の演習…夜の演習と考察点が無ければあの森で対岸の見張りとアイツにとって自分の時間は食事と睡眠くらいなもんだ、それに貢献してると言う訳で、嫌かもしれないが一時的に従う事はできないか?」

 

「それは命令かしら?」

軍人としての顔を保ち続ける芋太郎に、ビスマルクも戦艦と言う名の軍属として、真剣な表情で芋太郎へ問い掛けた。

 

「俺が強要するの嫌いだと知っているだろ?」

それを聞くとビスマルクは笑い始めた。

 

「やっぱり貴方、提督向いてないわよ、命令する立場なのに強要するのが嫌いって、可笑しいわ」

 

「自覚はあるが、任された以上やるしか無いだろ」

 

「それもそうね。でも、現状を話してくれてありがとう、おかげでなんとかやっていける気がしてきたわ」

ビスマルクはそう言うと、先ほど歩いて来た道を引き返していく。

 

「おい!また面倒ごとを掘り起こす気じゃないだろうな?」

 

「違うわ、決心がついたから伝えにいくのよ、アイツに」

そう言うとビスマルクは芋太郎と逆方向の道を歩き続けた。

対して別れた芋太郎は、長門の容態を心配してか、工廠までついていく事にしたのだった。

 

 

ビスマルクが戻った時には人がいる気配は無く、静寂と闇だけが存在を主張していた。

しかし、ビスマルクはビーンがこの森のさほど深くない所で野営していると読み、暗闇をものともせず森の中へ足を踏み入れる。

しかし、数歩踏み入れた所で静寂は破られた。

鳴子が仕掛けてあったのか、ガラガラと音が響く。

その音と共に数名が木の葉を掻き分けている音も続くが、当然ながら陸戦はからっきしなビスマルクはその音を聞き分ける手段は無かった。

 

「動くな…動くと撃つ」

辺りは暗いながらも、ビスマルクの正面から聞き覚えのある人物の声が響いた。

 

「私よ…」

ビスマルクはその人物を刺激しない様、静かに自分をアピールする。

すると、ライトが点けられ、目的の人物とその仲間と言える人員が表れた。

 

「演習終わりで用事は無いはずだが、なぜここに来た?」

 

「用事が無ければこんな所に来る訳ないでしょ、先ほどの演習、私もやらせて貰おうと思ってね」

ビーンはそれを聞くと仲間の1人を呼び寄せ、密談を開始した。

内容は弾数や時間等の問題だったためか数秒で片をつけると、ビスマルクと面向かう。

 

「お前には長門の様に出来る準備が無い、明日には用意させておく。今日は諦めろ」

ビーンの言葉には先ほどのわだかまりによる、攻撃的な面は無く至って冷静な様子で、それだけ言うとビーンは左手をグーにして掲げる、それを確認した仲間数名はそのサインに応じた行動にでた。

結果、森の中は再度、闇に包まれる。

そんな闇の中、ビスマルクはこれだけは言っておきたい事を思い出し、口を開いた。

 

「あなた、情報を隠しすぎなのよ。おかげでこっちも変な勘違いしてしまったじゃない」

 

「時に情報は全てを破壊するんでな、諦めてくれ」

このような会話を続けているうち、ビスマルクは提督から聞いた話と先ほどの行動から、ビーンは嫌な奴ではあるが、鎮守府に対して協力的な味方であると認識したのであった。

 

 

ビーンによる演習に参加の意思を表明したビスマルクだったが、後日行われた演習では被弾数が多く、自らの無力さを実感するだけに終わった。

 

しかし、ビーンはそんな結果に興味は無く、今まで書いて来た書類全てを芋太郎へ押し付けると、演習指導としての立場を辞退することを伝えたのだった。




読んで下さりありがとうございます。
最後の所でビーンは教官的立ち位置を放棄、その思惑は如何に?
ただ飽きただけなのか…それとも…

また、演習回を読み直していて、ビスマルクさんの出番が少ない=ビーンを嫌っている?と捉える事が出来たのでこのような内容になりました。

わだかまりからの言い争いも争いとつく様に戦う事に似ていますし、戦い自体、正義と正義のぶつかり合い?だと作者は認識しています。
内部にも敵となり得る存在がいる可能性があり、外にも深海棲艦という敵がいる…
どうなる事やら…

最後に、思い描いた終わりにたどり着けるか不安です。
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