鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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お久しぶりです。じゃがいもです。
スランプ状態でアイデアが浮かばなかったのですが、どうにか立ち直ることが出来ました。
何度か陥る事になるかもしれませんが、更新する度に失踪してなかった!と思っていただければ嬉しい限りですね。

さて、今回は訪問者(新キャラ)が来るそうですよ。
ですが、艦娘の出番は…人と人の問題なので許してください。
どう考えても、絡ませると厄介な方向(書きにくい)にしか事が転ばなかったんです。


訪れる老兵

本日は例の合同演習の件で新人提督である芋太郎元へ本部から人が派遣されてくる日であった。

これは、書類プロフィールだけでは完全に把握出来ないからというのがあり。

ましてや、派手でこそ無いが内輪揉め、もとい派閥間の睨み合い状態にある海軍において敵となるのか味方となるのかの判断材料が欲しいというのもあった。

 

その書類を目にした芋太郎は何ら動じること無く、机へ放る。

如何せん内情に疎い芋太郎は最低限の伝達・報告しか受けていなかったので。

自らの裁量では判断しがたいという心境が現れているのだった。

 

そんな書類を放り投げてから、僅かの時間に外で砲声が響いた。

これを、いつもの訓練によるものだと判断した芋太郎は、書類を纏め机の中にしまうと、来賓を迎え入れるべく、身支度を整え始めたのだった。

 

そうして身支度を整え終えた芋太郎は、正面玄関にて、その人物を迎え入れようと一人佇んでいた。

その姿は折り目の入った純白のズボンに、同じく純白の上着、そして帽子と特に提督として見るには普通だが、他の提督と比べると見劣りする部分が多々あった。

それは、肩に当たる部分、そして胸部に当たる部分のことで、目立った戦果も無く、活動と言っても資源運搬、回収が多かったため勲章なんてものは所持しておらず、更には正式な階級章を回されるのが遅れているためだった。

 

また、階級認定が遅れているというのも、芋太郎が提督になる事自体が上層部の完全な想定外だったことも理由の一つとして含まれているのもあり。

今回の訪問はそれの補完も含めたうえでの訪問であった。

しかし、階級や規律に疎く、繋がりが無かったからこそ好き勝手に出来たというのもあり、そのおかげで少なからず彼女達との信用を築けたのは大きかった。

その、反動として本部から資金流用や資源活用の件で目を付けられる事もあったが、現状は想定外の新人参戦と言った感じで黙認されているのだった。

 

 

芋太郎が待ち始めてしばらく立っただろうか。

彼の目先に黒い車が見え、見張りが要件を訪ねているのが見えていた。

そして、今日訪れる客人が搭乗していると思われる車は、見張りの者から敬礼を受けながら、芋太郎の方を目指し進行、数メートル直前で停止、響くエンジン音を消すと、後部座席から二人の人物が顔を覗かせた。

一人は老人、もう片方は女性。

見た感じ艦娘とその上官と言ったところであった。

 

「出迎えご苦労、貴官が近藤提督で間違いはないか?」

 

「えぇ、私がここの提督を勤めている、近藤和太郎です。立ち話も何ですのでこちらへ」

案内のため無難な対応で迎え入れる芋太郎だったが、ある言葉を聞き立ち止まる。

 

「つまらん…」

 

「何と?」

 

「奴らの言いなりにならぬ新人だからと期待していたが。つまらん案内だと思っただけよ…まぁ私の我儘だ、気にすることはない」

客人は、本題とは関係ないところにガッカリとした様子を見せたが、すぐに正すと、何かを思い出したかのように口を開いた。

 

「名前を聞いておきながら、名乗るのを忘れていたな。私は黒田正一、ただのロートルだ」

 

「中将!」

その自嘲に怪訝そうな顔で言葉を発したのは、紛れも無く追従する女性であった。

彼女の言葉を黒田は若干迷惑そうに受け取りながらも、確かな感謝の意を表情に見せながら理由を述べる。

 

「この程度良いではないか、事実なのだから。老兵ただ去るのみ、それを無理やり留めさせたのは奴らだろう?」

 

「それはそうかもしれませんが…私は貴方のことをお慕いしています。だからこそ、ご自身を嘲笑うような言葉を言って欲しくは無いのです」

芋太郎には理解しかねる内容で、更には本題とは関係が無かったためか、咳払い。

 

「すまぬな、案内をつづけてくれ」

少しばかり申し訳ないと言った表情で、案内を促された芋太郎は、頷くと、歩くのを再開した。

その再開からすぐに、砲声が響く。

当然、老体でありながらも黒田は聞き逃すようなことは無かったようで、芋太郎へ尋ねた。

 

「今の音はなんだ?」

 

「我が艦隊の訓練音でしょう」

しかし、その言い方と責任者たる芋太郎がここにいることから、何かしらの疑問が生まれたのか、黒田は追求を続ける。

 

「訓練か…貴官が見据えなくても良いのか?」

 

「私では寧ろ妨げになるでしょう、なんせ専任が担当しているので」

 

「ふむ…」

黒田は半ば強引に自身を納得させたのか、髭をさすりながら芋太郎の後を続いた。

 

 

そうして、目的の場所…提督室へ黒田中将とその随伴者を招き入れた芋太郎は、客との対話用に設置されたソファへ中将を先に座らせると、その反対側へ腰を下ろした。

 

「それで、今回の訪問目的はなんでしょうか?」

 

「合同演習についてと、階級認定と言った所か」

そう要件を伝える老人は何か裏があるといった含み笑いを浮かべたが、芋太郎は気づくこと無く会話を続ける。

 

「それで、どちらから先に終わらせる予定でしょうか?」

 

「そんなもの決まっている、手早く終わる方だ。大鯨…いや、今は龍鳳だったか、例の物を」

 

「はい」

龍鳳と呼ばれた艦娘は、持っていた小さなアタッシュケースを開けると、机の上へ中身が見えるように置くと、元の位置へ戻っていった。

そして、置かれたケースの中身は階級章もろもろが入っており、その階級章が示す階級は少佐であった。

 

「おめでとう、これで君も正当な立場を得たわけだ、存分に活躍してくれることを願う」

黒田中将が決まり文句とでも言える言葉を述べ、次の目的へ移行しようとしていたその時、部屋の扉へノック響く。

そのノックにそこそこ重大な会話途中だった芋太郎は、不安を感じながら中将の方へ顔を向け、確認といった感じの行動を取る。

その行動に中将は手を振り、良いといった意思を示し、その良心に芋太郎は感謝するように頭を下げると口を開いた。

 

「入れ」

その短い返事で、先ほど音のした扉は開かれ、その反対側にいたのは相変わらずの格好をしたビーンだった。

ビーンは特に慌てることもなく、来室した理由を話す。

 

「長門の奴が何を血迷ったか、例の訓練で弾くんじゃなくて当たりに行きやがった」

 

「被害の程は?」

 

「軽微だ、といっても艤装破損だがな。本体に被害は無い」

実戦における武器の制限は致命傷となる、それを踏まえての報告だった。

 

「訓練如きでそこまで報告する必要は無いだろう、破損というのも、どうせ模擬弾の当たりどころが悪かっただけだ。そして、君が訓練の専任かね、見たところ陸軍所属のようだが?」

 

「あっ?」

報告に口出しをしてきた見知らぬ声にビーンは少しばかりの苛立ちからか、相手の姿を確認せず、喧嘩腰な言葉を吐き出し。

対する中将は、その言葉に聞く耳持たずといった感じで、堂々とした様子で腰掛けているのだった。

そして、ビーンは言葉の主へ視線を移すと固まる。

その表情は苦手なモノが出てきたと言った表情だった。

 

「じじぃ…」

 

「私を知った立ち振舞に、この呼び方…一か、そして、現提督と同姓…なるほど、なるほど」

中将は自らの記憶から、現状を整理したのか、髭を擦りながら、どこか目的を果たしたといった顔を見せる。

 

「中将、ご無礼を…」

 

「いや、良い。お前がここにいたとは、懐かしいな」

 

「そっちは随分老けたな」

 

「そうだな、引退したいんだが、そうはさせてくれん」

 

「だろうな」

過去の付き合いからの、会話に芋太郎が入る余地などなく、蚊帳の外と言った様子で、ただ二人の会話を聞いているだけだった。

そして、中将に付いてきた龍鳳も同じようで、困った表情をしていた。

方や高階級、方や身分を伏せてこそいるが民間人。

その二人がなんとも言えない雰囲気で探りあっているのだ。

あまり関係の無い二人からして見れば、たまったものでは無かった。

 

「中将、誰なのですか?」

痺れを切らした龍鳳が、現状を打破しようと中将へ助けを求めるように、質問をする。

それによって、中将は意識する相手を変え、その質問に対する答えを言うため、龍鳳へ向かう。

 

「コイツはなぁ…」

「お喋りは止めてもらおうか」

中将の言葉を静止したビーンの手には、拳銃が握られており、その射線は真っ直ぐに中将へ向けられていた。

その表情は、睨みつけているのも相まってかなりの敵対心を含んでいる様子で口を開く。

 

「他人の思い出したくもない過去を、ベラベラと喋る趣味とは頂けないな」

 

「そう言うお前は随分変わったな…名前と私との関係なら良いか?」

 

「良いだろう…」

中将ながら現状が現状なので、当人の許可を得ると、落ち着くためか一呼吸。

 

「こいつは近藤一、今ここの提督を務める者の兄にあたり、私の教え子といったところだ」

中将はどこか満足した様子で髭を擦る。

対するビーンはこの程度の情報だけで無骨に嫌な顔をしているのだった。

 

「今、私が言えるのは、ここまで」

中将は出だし…しかも続きが気になるような所でわざとらしく、話を切る。

当事者がいることで場をわきまえた判断だろう。

彼もまた、ビーンの過去を知る者の一人で、それも立場上・関係上、今まで打ち明けた人物以上に明細な情報を持っているのだ。

それを、理解しているからこそ手荒ながら、ビーンは口を封じようとしたのだろう。

だが、話の終幕を聞いたことで、拳銃を納めていた。

 

「で、じじぃがなんでこんな辺鄙な所へ?」

 

「片方は済ませたが、もう片方の件もお前が居る…わざわざ言う必要も無いだろう」

 

「ほう、ではお帰りで」

 

「そうだな、戻った所でやることもない訳だが…どこか、おすすめの宿はあるかね?」

唐突に宿の話を繰り出した中将、その目線はビーンへ向いており、何かしらの合図を送る。

それが、アイコンタクトによるものなのか、もしくは指の動きや形を模したものなのか…はたまた、音によるものなのか。

今、部屋に居る四人の内、理解できるのは中将とビーン二人だけだった。

そして、中将から何かしらの情報、もしくは予兆を得たビーンは真剣な顔つきで口を開く。

 

「ちょいと中将殿と話したいことを思い出した、出てってくれ」

 

「奇遇だな、私も一君と過去の栄光について話したいと思ったところだ、従ってくれると助かる」

またもや、部屋中に広がるピリピリとした空気。

芋太郎はその空気よりも、ビーンの意思に従い退室。

龍鳳もこの空気は苦手という様子もあったが、それよりも上官にあたる中将の言葉に従い退室。

そして、残された二人は立ちすくんだまま、向かい合い、無言。

その沈黙を打ち破ったのは、中将だった。

 

「予想外だったが、まぁ…これで捌け口が出来たわけだ。しかし、その格好…よほど海が嫌いになったか?」

 

「どうでもいい…それより情報は?まさか、本当に過去の栄光について話す訳じゃ無いだろうに」

ビーンは目を細め、笑うように中将の言葉を皮肉っていく。

その皮肉を真に受け止め、中将は鼻で笑うと口を開いた。

 

「合図に気づいたお前を、褒めてやりたいよ、これを教えたのもあの時だからな」

 

「まーだ勿体ぶるか…過去なんてものは、次に活かす手段を覚える為のもんだろ」

 

「そうだな…ところで良い宿を教える気はないか?」

 

「宿なんてもの、興味は無いが…野営地ならある。もしくはココに泊めてもらいな」

ビーンは未だ本題へと入らない中将へ、苛立ちにも似た感情を持ちながらも、相槌をを続けていた。

これが師弟関係からの信用か、それとも確立した情報網だからこそかは、不明だが。

何かしらの繋がりがあるからこそ、ビーンは待ち続けていたのだった。

 

「さて、録音の準備はできてるか?」

 

「大丈夫だ、マイクなら俺が持ってる。それにココは完全防音、窓さえ無ければな」

 

「そうか、では伝えるとしよう。墓地にて骨が動き出す」

比喩された表現であったが、これもまた警戒心からくるもので。

経験談など過去の事柄から命名した作戦や標的・危機を関係者、当事者へ手短に伝えるためであり、部外者には理解できないようにされたものであった。

 

その言葉を聞き、ビーンはピクリと反応を示し、溜息をつき、中将と顔を合わせた時以上の表情を見せた。

その様子は、完全に苦虫を噛み潰したと言ってもいいほどの苦笑いを浮かべているのだった。

 

「骸か…いつか来るとは思っていたが、お早いことで」

 

「だが、やられた本人の事だ、既に手は打ってあるんだろう?」

中将はその様子をニヤニヤしながら、問いただす。

 

「過去のヘマは確実に回避するのが定石だろ」

ビーンは笑うように言葉を返した。

それに対し、中将も釣られるようにして声を出し笑い、部屋には二人の笑い声が響いたのだった。

そして、一通り笑い終えた中将は、まだ詰まる所があるのか、口を開いた。

「いや、久方ぶりに笑った。して、私はどこに泊まろうか?」

 

「2度も聞く必要あるか?」

 

「そうだな。では、世話になるとしよう」

方針を決め、話すことも無くなった中将とビーンは、部屋を退室。

芋太郎は、律儀にもその扉の反対側で佇んでいた。

 

「本日は、ここに泊まることにした。龍鳳の部屋を用意してくれると助かる」

 

「中将はどうされるおつもりでしょうか?」

 

「私は森に行くことにしたよ」

こうして中将は自ら鎮守府の施設に泊まるのではなく、わざわざ野営地へと足を運んだのだった。

 

 

その日の夜、時間にして深夜。

中将はビーン傘下の部下たちによって設営されているテントの一張を譲り受け、随伴者の龍鳳は鎮守府の艦娘達同様の部屋にて宿泊していた。

その環境は、流石野営地というばかりで、将校クラスが望んで泊まるような環境ではなかったが、黒田は環境よりも策略を優先するタイプの人間だったようで、問題という問題は起こっていなかった。

しかし、これから起こりうる問題があったからこそ、野営地を選択したのであり。

その問題がいつ勃発するのかを、内心ワクワクしながら愛読書、孫氏の兵法を不味いコーヒーを啜りながら読んでいたのだった。

 

彼の宿泊しているテントには、もしもの時を考えられビーンの部下2名が見張り行っていたが、部下たちは中将に興味を持つこともなく、ただ命令によって防衛を行っているだけだった。

また、中将の話し相手として相応しいと思われるビーンは、急用が出来たと言い、野営地深部…武器庫の方へと部下を多数を引き連れ、こもっていた。

そんな静かな時間もいずれは終わりを迎える。

 

「中将、来ました…」

 

「案内を」

その短いやり取りで、状況は動き出す。

中将が待ちに待った、問題が訪れたのだった。

 

 

森から数百メートル離れたところの防波堤にて、数名の影が蠢いていた。

その数・時間帯からして、夜間行動を得意とする特殊部隊の班と思われ。

彼らが脱ぎ捨てたウェットスーツの下から、湿った暗色を基調とした服装見え。

小さく1つに纏められた背嚢らしきモノからは、行動を起こすべく装備が入っているようで。

それらに群がるようにして、準備を整えている様子だった。

 

「おはよう諸君、ようこそ網の中へ」

軍靴とコンクリートにより発生する音を立てながら、彼らに向けそのような言葉が放たれた。

彼らは声のした方角へ他の装備を整える事もせず、角を持つ箱から短機関銃本体とマガジン1本を取り出し装填、唯一の中距離武器となるソレを構える。

その銃口の先には、防波堤へ設置された外灯によって照らしだされる2名の人物がいたのだった。

その片方は、中将本人で、これから起こりうる事を想像できているのか、愉悦の表情を浮かべており。

その後方へ続く付添は、マスクに顔を隠し、その様子をただ見守っているのだった。

 

「私に銃口を向けるとは、いい御身分だな」

中将は笑顔にも似た顔で、彼らを煽るような口調の言葉を続ける。

 

「黒田中将!?予定ではお帰りになられている時間では?」

 

「気が変わってね…それよりも、私がここに居る意図を察してもらいたいものだが…」

 

「意図?」

分隊隊から隊長と思しき人物が首を傾げる。

 

「どうして、私の周りには恍けるような奴らしか集まらないのか…三文芝居は止めたまえ、ミミック。今をもってして君の班は全滅となる」

 

「あぁ、成る程」

言われた当人は、重心を動かし転回、中間に当たる隊員へ銃口を向ける。

 

「隊長!どういうつもりです」

当然ながら混乱した隊員は、纏め役であったが銃口を向ける隊長、もといミミックと呼ばれる人物へ状況説明を要求する。

そんな隊員を余所目に、ミミックの背後から、笑うようにして中将が顔を覗かせた。

 

「君達はまんまと嵌められたわけだ」

そう言われた瞬間、隊員の一人は瞬時に敵の区別を付け発砲に移ろうとしたが、遠方から銃声が響いた。

そして、何かが壊れる音が響き、行動へ移そうとしていた隊員は銃を支えていた方の腕を抑えていた。

 

「黙らせれば遂行できると思ったか?言っただろう、網の中へようこそと」

 

「アンタって人は大人げないねぇ。まぁ、今回の弾、全部ゴム弾なんすけどね」

 

「隊長、どうして裏切るような事を!」

残りの内、一人がさらなる抗議の言葉をあげる。

 

「裏切るぅ?聞き捨てならないなぁ、俺はこの日の為だけに送られた工作員だってのに」

 

「そう、全ては仕組まれた事というわけだ」

中将はミミックの肩を叩きながら、戸惑う隊員へ結論を叩きつけた。

それでもなお、隊員は抵抗を試みようとするが、2回目の銃声が響き、武器を持つものは残り一人だけとなった。

しかし、先ほど言われた通り、マガジンの中身はすべてゴム弾であり、一望は未だケースに収まるハンドガンのみと思われるが、ケースを開ける余裕なんてものは存在しなかった。

 

「こちらが用意しているのは紛れも無い実弾なのだよ。投降するのを勧めるが、抵抗してくれるのなら、これまた一興だがね」

中将は尚更といった様子で、心理的に負担を与えるであろう言葉を投げかける。

これによって、完全に心が折れた隊員は武器を地面へ投げ捨てると両手を上げ降伏の意思を示す。

 

「中将、おつかれさまです」

今まで一度も言葉を発さなかった付添いが、問題の収拾がついたと思われた時、初めて言葉を発した。

そんな人物をミミックは声で判断したのか、無愛想に声を掛ける。

 

「副官がこんな所にいて良いのか?」

 

「命令ですから…それよりも拘束するの、手伝ってもらえます?」

 

「へいへい」

ミミックは二つ返事で返すと、今となっては過去の仲間が持ち寄った背嚢から手錠を取り出すと、無慈悲に拘束。

そのまま、3人へ拘束具をつけると引き連れるようにして、防波堤を歩き始めるのだった。

 

「さて、今宵の一興も終わりを迎えた。ミミック、君は手筈通り合流しサポートせよ」

 

「へーい」

手を振りながら進行を続け、返事を返したミミックだが。

何かを思い出したのか、口を開く。

 

「合流地点はどこにあるんだ?それと、上官…いや、隊長はどこに?」

 

「合流地点は向かいの森の中に、隊長なら今頃…」

 

「なんだ?もったいぶって」

 

「いえ、今頃。公道を走ってる頃でしょうかね?」

マスク越しだったが、副官は含み笑いを浮かべているのだった。




読んでいただき、ありがとうございます。
久しぶりの更新なので、誤字脱字・不審な点があれば報告頂ければありがたいです。

ついでに解説という名の設定公開、いきましょー。

黒田正一(くろだ しょういち)

 階級中将(本望ではない)なビーンの師匠様。
ビーンの弄れはここから来てるかもしれない、作中にある通り、策略を策略で返すのが好き。
今回の場合、ビーンがいたから気が変わった気まぐれ中将?
上層部に所属こそしているが、内部を芳しく思っていない。
夜間の顔は決して艦娘へ向けたことが無い模様。


*作中に出せない設定等。
 深海悽艦との戦争が始まってから提督となった、艦娘の司令官1世代目。
当時の二つ名は「戦闘狂」。
開戦初期に艦娘と同様の戦場へ足を運んだことから(同僚は後方指揮だった模様)



ミミック
 本名無し(考えていない)特技 他人の振り、もしくは初見の振り
語源の意味である擬態から、骸と総称される特殊部隊へ入り込んだ黒田の手先、もとい工作員。
本文では触れていないが、骸の中でもエリートだった。

エリートたる所以としては、敵を倒すのと変わりない心理状態で入隊試験に望んだため戦闘能力が、ずば抜けていたから。

ビーンが監獄にいる間に黒田によって、ビーンを支援するよう命を受けており、本人は写真でしか本人を見たことがない。
*ビーン隊の初期人材は黒田から派遣された者が大半(主に人員削除による退役陸軍)


骸(むくろ) *総称(かっこいい部隊名なんて思いつかなかった)
 設立当初は憲兵の上位に当たる部隊だったらしい。
例えるなら、感度のとても高い火災報知機(煙式)
当初から不審な動きに敏感過ぎた部隊。
よって、更送された人員は多く、社会的に抹消された人物が多いことから「墓地にて骨が動き出す」という言葉は骸が動いているという合言葉にあたる。
実際には暗殺など行ってはいないが、強行的な行動力から、冤罪も多かったらしい。

今現在では、腐敗に煽られ上層部の邪魔者・イレギュラー排除部隊となっている模様。 
 
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