鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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どうも、芋です。
読み返してて思った、タイトル…書き終えた雰囲気で特に意味が無いと…

今回も確かに反逆してるといえばしてますが…皆さんからしてどちらが反逆者となるのか、それとも当てはまらないのか…作者としてはそこが楽しみなところであります。


二人の反逆者

施設の制圧を終えたビーン達は集めた人々の中から目的の人物とその他数名の高官を連れ、会議室に閉じこもっていた。

目的の人物は、現提督も担う石井輝中将で、秘書官にあたる艦娘も同行することを懇願し、会議室には現在、多数の人間と艦娘一人という状態。

ビーンは座らせている人々の中から目的の人物を見つけ出し、椅子の後方に立つと、耳元で囁くようにその人物へ声を掛けた。

 

「久しいな、ハイエナ野郎」

 

「この声…一か、どうしてこんなことを?」

 

「とぼけんなよ、反逆者が!」

旧知と再開した第一声が罵倒であった。

 

「我々に銃を向けるお前らこそ反逆者だろう」

ビーンと輝中将とのやり取りのなか、別の高官が口を挟むと、銃声が響いた。

 

「餌は黙ってろ、静かにしてれば危害を加えたりはしねぇからよ。俺はコイツに真実を聞きたいだけだ」

その怒声と先ほどの銃声で、巻き込まれた人々は黙りこむ。

 

「先ほどからハイエナとか反逆者だとか訳がわからないぞ?」

 

「まだとぼけるか…まぁ、急に言っても分かりにくいってのは同意だ、昔話でもするか…」

 

――ビーンが一という名を、自ら名乗り、提督として現役だった頃。

輝は彼の親友とでも呼べる存在であった。

当時、准将であった黒田正一の元で、同じく指導の程を受け、独特な戦略思想を学び、時に演習、時に卓上であれはどうか、これはどうかと話し合い、実践をし現在ビーンが彼女たちへ教えてきた戦法の基礎を築いてきた仲でもあった。

しかし、その基礎が確立してきた頃、一中佐は繰り返す小さな戦果で地道に出世をしていき、結果的に准将となり。

提督として同等の立場となった善人准将と居ることが多くなったのだ。

そのころからだろうか、輝は嫉妬にも似た感情を持ち始めていたのだった。

 

その、悪心は時が経つにつれ大きくなっていき、輝は誰よりも自らを優先するようになった。

もちろん、過去の付き合いからと一の方から声を掛けられることも多々あったのだが、無難な受け答えで流し、

自らが有利になる策略ばかりを考えていた。

そして、気がついた時には一准将、一歩手前という階級まで上り詰めた所で、例の転機が訪れたのだ。

 

『南西諸島一角を足がかりとすべく、制圧せよ』

作戦内容はは南西諸島の一角を二箇所の基地が、連携し制圧を行うという内容であった。

最短ルートを通り、一艦隊が突入、例の戦法を用いて敵艦隊と長期戦闘を行う最中、別働隊として輝艦隊は群島の隙間を通り敵の真横、もしくは後方を取り敵艦隊殲滅を行った後、合流。

敵基地を数をもってして攻め落とすという算段となっていた。

もちろん航海途中、敵基地から発進されるであろう、航空機や道中の哨戒との戦闘も考慮されており、一艦隊は後続に軽空母三名を借り受け対空警戒も厳としていた。

そして、それらの条件をもってして推測された勝率は、現地でのトラブルを吟味した上で80%を上回る数値が弾きだされ、一の基地へ所属する艦娘達も悠々と出撃していき、目標突撃地点の侵攻を開始したのだった。

 

しかし、まるで意図されたかのように輝艦隊へトラブルが振りかかる。

出撃直ぐにはぐれ艦と遭遇、これを撃沈。

さらに進行をするも、新たな艦隊を発見、強襲を受ける可能性があるため、戦闘開始。

このような事に時間を奪われ、一艦隊の勢力は突撃という特性上、どんどん劣勢へ追い込まれていった。

そして、結果的にはこのような事に至った。

『一艦隊敗走、旗艦扶桑が殿を勤め轟沈、されど輝艦隊の奮闘により、目的は達成す。また戦艦損失の責を問うべくして一准将を階級剥奪の上、監禁す』

 

「……表上はこういう事になってるらしいが…間違いないな?」

 

「間違いも何も、正式な文書だ…」

 

「だが、俺が今ここに居るのは、それらが偽の文書であることを告発した上で、上申すべく来たわけだ」

 

「だったら何も、事を荒げなくてもいいだろうに?」

今にも机を叩いて意見を述べようとする中将の近くで、再度銃声が響く。

 

「そんな単純だったら良かったかもしれねぇが…お前らのことだ、どうせ握り潰すんだろ?」

ビーンの言葉には現在の体制における、不信感が溢れんばかりと含まれていた。

現に昨晩、骸の襲撃を受けたばかりで、その隊員を少しばかり捻ることによって、裏の情報を得たうえ。

裏の者は集団という隠れ蓑に潜み、事が過ぎるのを待って居るというのもビーンは理解していたのだった。

 

「別に、お前の提唱する防衛優先論も悪くは無いんだ……ただな、わきまえろ…」

この一言に怒気・殺気を含め場を揺する。

その、目線は真っ直ぐに中将へ向いており、無関係な者も、この豹変にて意図こそ読めないが、事を終えるまで開放する気は無いと思わせるほどには有効であった。

 

「チッ…役立たず共が…」

先ほどの受け身な体制から、当人もビーンの纏う空気で状況を呼んだのか、悪態をつく輝中将。

そんな中将を前にしたビーンも不敵な笑みを浮かべ言葉を述べる。

 

「やっと本性が出たな、これでまともに話せるってわけだ」

その次の瞬間、三回目の銃声が響く。

その、弾丸の向かった先は中将の足で、命中した際の痛みによって中将は椅子から転げ落ちた。

当然、息を潜めていた艦娘も、司令官の危機ということで駆けより、身を挺するように守ろうとする。

 

「さーて、まず1つ…テメェが反逆者だという理由を教えてやるよ…」

 

「…ふははっ、お前の意図が読めた…復讐だな」

中将が言い終えるとまたもや銃声…標的は言わずもがな。

標的は再度、苦痛の呻きを上げる。

 

「黙って聞けよ…なぁ…」

ビーンは取ってつけたような笑顔を浮かべながら、話を続ける。

 

「例の作戦…お前の報告全部洗いなおしたぜ……全てが偽りの文書だった、航海記録も――」

肩にかけていた鞄から、ファイルで一つに纏められた書類を取り出し、投げ捨てるように中将へ投げる。

その投擲によって、ファイルから海図が中を舞うようにして床へ滑空、地面へつくと朱に染まる。

「通信記録も――」

そう言って、同じくレコード並の円周を持つ缶を投げる…缶の中身が露呈し、テープが広がった。

「ましてや、戦闘記録すら改竄されたモノだった!!」

そう叫びながら、ビーンは引き金を数回引いた。

 

「これでよくもまぁ、俺が反逆者だと言えたもんだなぁ!?友軍を見捨てた上で、戦闘の放棄・作戦の放棄…結果には改竄で責任逃れとは、見事なもんだ」

 

「だから、どうしたと言うんだ…?どうこう言おうが、過去は変わらない…それに今、お前がやってることは、ただの私怨じゃないか…それで上申とは目もあてられないな……」

 

「私怨だとかそんなこたぁ、どうでもいいんだ。それよりも、2つ目だ…アイツが沈んだって時、お前はどんな気分だった?」

その言葉に中将は苦痛の表情の中に、苦い顔を見せる。

なんせ、無言を貫き通した所で何かしらの答えを聞くために事を起こすだろうし、思いつく限りの答えは、ビーンの感情を逆撫でするものばかり…更に良く観察しているのか、嘘を塗り固めてもどうしてか見破られてしまう。

短い時間だったが考えに考えたのか、1つの結論を述べる中将。

 

「私とは何の関わりもない、何も感じるわけが無いだろう…だが、あえて言ってやろう。欠陥船一隻程度ですんで良かったじゃないか」

それを聞いた途端、ビーンは残る弾丸を全て撃ち込み、輝の負傷部位を踏みつける。

当然、傷を広げるような行動に、中将は呻き声を上げる。

 

「それ…本気で言ってんのか?」

 

「本気も何も、無理やり言わせてるのは…お前だろう……」

 

「あぁ、そうだったなぁ」

ビーンは事実を言われたにも関わらず、聞く耳持たずといった様子で、未だ傷口に足を乗せたまま呟く。

そして、足をあげ踏みつけようとした時に、何者かの静止の声があがった。

 

「これ以上見てらんない、司令が何したっていうのよ!?」

そう叫びながら、主砲を首謀者へ向けるのは陽炎であり、艤装が比較的小さなのため、出張先の室内でも着用が許されていた。

それを首謀者へ向けながら、これ以上の横暴を行うなら、こちらも強行策へ出るのを辞さないといった表情で睨みつける。

それを目にしたビーンは勘に触る笑みを浮かべる。

そして、その表情を見上げた中将は、何かを察したのか、陽炎の行動を止める言葉を口にした。

 

「余計な口出しはするな、これは私とコイツの問題だ」

 

「でも…」

 

「良いから、余計な事はしてくれるな…ワザと急所は外してる…この程度じゃ死なん…」

 

「まだ、そう言ってられる余裕があるか。だが、やっと状況は読めたようだな。それと嬢ちゃん、どうして止めさせられたか分かるか?俺一人やった後、どうなるか…周りを見れば分かるだろ?」

その言葉に、陽炎は先程の笑みに隠された意味を、悟った。

だが、悟った所で遅すぎたという事実のみが残っただけであった。

 

「まぁ、コイツの言ったとおり、俺と中将殿の根比べって訳だ。で、本題…まだ先のことだが、どこかが大掛かりな作戦に出るはずだ、お前とは真逆の思想の元にな…その邪魔しないでもらえるか?」

 

「何を言っている?」

 

「二の舞をさせるな」

その言葉に、気の抜けたような反応を示した中将は、呆気にとられたように、言葉を呟いた。

 

「そんな事の為だけに、わざわざこんな事をしたというのか?」

 

「言葉でなら、何度でも伝えた。だが無意味…なら行動で示すだけ」

 

「じゃあ、先ほどの証拠がどうとかは何の意味が…」

 

「ただの、脅し材料。俺はお前を恨んでないし、アイツも戦死という形で本望だろうよ…」

しかし、中将はその言葉を正直に捉えることが出来なかった。

 

恨んでいないというのは事実かも知れないが、それは長い年月によって彼自身が納得したものかもしれない。

戦死という形で本望だというのも、無理やり納得させたものかもしれない。

当時、彼は現場に居たわけでもなく、自分以外の本心を全て理解できるわけでもなかった。

それは、彼がある物を送った、彼女にも当てはまる。

沈んでいった彼女の気持ちを、実際に見ていないビーンにどうして本望だという言葉をなぜ言えたのか…

それは、パートナーとしての憶測に過ぎない。

見えない事実に恨みを抱き、その矛先が彼に向かないと誰が断言できただろうか。

 

だが、そんな状態に陥ってもなお、時に自分の意思を強行させることもあるが、結果として貢献しようとする。

さらに、自分の意思よりも多数の望みを代行する。

自身がやろうとしていた事に、似ているようで似ていない。

寧ろ自分の考えは空回りに過ぎない…いつ終わるかわからない戦いにおいて防戦のみでは、資材が底をつき負けるかも知れない…いや、この世界の地形的に負ける。

盲目的な防衛に捕らわれていたのは自分だったのか…と、言うのを足を撃たれるというような、荒い言及でやっと気付かされたのだと。

 

「はははっ…勝てるわけ無いか、お前みたいな化物に…」

 

「俺は化物じゃねぇよ。それにやりたいことをやった結果がこれだ」

ビーンは目的を達成したと見たのか、どこかスッキリとした表情を見せていたが、まだ陰りを含んでいた。

今回の目的達成は出来たが、それ一つだけで状況が全て改善することはない。

ある程度の侵食を遅らせることに繋がるのは事実だが、先に染まった者たちを盲目的な防衛から目覚めさせるには人員・時間共々不足しており、更には毎回このような事で気づかせていては、いずれこちら側が困窮することになるのが目に見えていたからだった。

 

だが、先のことであると笑うと、会議室の扉前へ移動、停止。

予め決めておいた独自のハンドサインを披露し、3礼後、扉を開く。

「でわでわ、皆さん御機嫌よう…コレにて芝居は終わりにございます…」

そう一言いうと、それを合図と言わんばかりに、他の人々の背後に立っていた覆面重装備な面々は一気に駆け出し、2列で退室していき、最後尾には扉を開け道を作っていたビーンだけが残った。

 

「次のイベント…楽しみにしておりますゆえ」

最後にそう言い残すとガチャリと扉を閉じたのだった。

 

「誰か追うんだ、反逆者を蔓延らせてはならない」

誰かがそう叫ぶと、次に外が騒がしくなる。

集められた人々が開放されたことと、当事者達が出てきた上、中へ入れと強要でもしたのか、ここでも時たま銃声が響いていた。

 

追跡をしようとするものと、内部へ入りすぐさま報告しようとする者…その他の者で施設入り口は人で溢れ返る形となった。

そうなることも予測済みだったのか、助手席に座るビーンは満足気に笑うと無線を飛ばした。

 

「目的は達成した、仕上げを頼む」

『了解』

無線で隊員の一人が返事をし、数秒後…ビーン隊の乗る車両以外が爆炎に包まれた。

 

「爆破確認、撤退っ、撤退ー」

その号令とともに、エンジンが吹かされ壊れた門に近い車両から来た道を引き返して行く。

 

「隊長、今回は派手にやりましたね」

行きと帰りで相席していた操舵手は、作戦を聞かされていながらもわざとらしく尋ねる。

 

「お前は後悔してないか?いっちゃぁ何だ・・・祖国に背いてるわけだが」

「何を言うんです?俺たちは既に使い捨てられたって言ってるのアナタでしょう?」

「はっ、違いねぇ」

他愛もない会話を鼻で笑い終わらすと、ビーンは目を閉じたのだった。

 

***

 

公道を一台の車が走っていた。

搭乗しているのは、ドライバー・黒部中将・龍鳳の3名で、鎮守府から昼食として、個人経営の蕎麦屋へ寄った後の帰路を走っていたのだった。

そんな中将は陸軍が使っている車両が列を成し反対車線を走り抜けるのを目にした。

それは、龍鳳も気づいたようで中将へ言葉を掛ける。

 

「陸軍さんがあんなに動いているなんて、珍しいですね?」

 

「制圧演習か物資輸送のどちらかだろう…私には関係のないことだが」

中将は興味なさげにそう言ったが、内心では車両のどれかに乗る誰かを称えていた。

そして、自らの役割…第二波を掛けるべく、服装を整えると、拠点へ着くまでの間は、窓からの景色を楽しむことにしたのだった。

 

 

そうして到着した例の拠点は、暗くなっていたが電灯は点かず、鉄門が倒れ、入り口の扉も吹き抜けとなっている状態に清々しさを感じながらも、中将は共同者として怪しまれないような立ち回りをしていく。

「一体私が居ない間に何があったのだね?」

 

「所属不明の武装集団による襲撃を受けました…追跡も振り切られ…申し訳ありませんっ」

多すぎて無名と同様の職員が報告をする。

そして、詫びる必要も無いのに詫びてきたことへ、救いの言葉を投げかける。

 

「皆が無事なら、まだ良いではないか」

 

「いえ、一名が負傷、現役の提督です…」

そうだろうな…と内心呟くと、中将は脳内で粗方の予想をつけ、わざとだが本当のことであったような驚きの表情を作り、職員へ質問をした。

 

「何!?その者とは面会は可能か?」

 

「医務室にて応急処置を受けています、施設へ運ぼうにも車両も全て壊され、見ての通り電気・通信共々やられました」

 

「医務室だね?」

確認するように一言いうと、中将は医務室を目指し歩き始める。

 

「私も同行します」

 

「待機だ…わざわざ血なんて見たくないだろう」

龍鳳の言葉を遮り、中将は歩を進めた。

実際、彼女が追従しないほうが、言い易い言葉を胸に秘めているのも事実であった。

 

そして、暗がりの中で一番明るい場所を、記憶と照らし合わせ、医務室だと認識するとその扉を開ける。

そこには、片足を包帯で圧迫された輝中将が仮眠用の器具などで代用的に作られた台に寝かされていたのだった。

 

「哀れなものだね…いや、この場合は無様の方が適当か」

 

「アンタも説教言いに来たのか…?」

 

「何を言う?私は笑いに来ただけだよ、成るべくして成った結果をな」

黒部は高を括るように見下した表情を見せた。

 

「いい加減にしてよ!アンタもアイツも提督の事ばかり悪く言って」

随伴として、同室していた陽炎が聞くに耐えないといった言葉を上げるが、黒部は臆する事無く、近くの台に置かれていた、血塗れの書類諸々の証拠品を指差し答えた。

 

「当然であろう、私情で戦艦を沈めたも同然の輩が…更には工作もした、それが公になった今、いつ牢に入れられてもおかしく無い…だが、なぜ追求が来ないか?答えは簡単、貴艦という実力を持つ者の信用を得ているからだ」

 

「私が聞いてる答えになってないじゃない」

 

「落ち着き給えよ…単純にこの国が次へ続く余力が無いのだよ、まぁこうなったのは9割方この提督によるものだが…君も現場に立つ身だ、薄々感づいていたんじゃないかね?」

そんな、答えに陽炎は確かに思い当たる点があるのか、一歩引いたような様子を見せる。

だが、だからといって好き勝手言われるのも我慢ならないのか、目を見開き、自らの意思を強調した。

 

「確かに供給量は減少傾向にあったわ、でも私たちは戦えてる」

 

「それは、今だからだろう?この先も同じようにはいくまい」

意思は立派なことに越したことはないが、閉塞的な反論に意思だけでは解決できないと、単純な返答で陽炎の意見を捌いていく中将。

本当の敵対心ではないが、口論で反抗してくる人物に面白さを感じ始めていた。

 

中将の言葉も、もっともな事ではあったが、それを理解しているなら何故言わなかったのかという、資材問題から人員的問題へと移っていった。

 

「それを何とかするのが、貴方みたいな将校でしょう!?」

 

「馬鹿を言え!ただの老兵に何の権限があろうか、実権を握っていたのは貴艦の司令だろう」

 

「それじゃあ、なんで進言もしないのよ」

 

「先の者も言っていたのでは?言葉でなら何度でも伝えていたと」

陽炎と黒部の言葉争いは移り変わりながらヒートアップを続け、終わりが見えることはなかった。

そんななか、沈黙をしていた男が声をあげた。

 

「もういいんだ…陽炎」

 

「ちょ…アンタまで…」

 

「1度目で気付かされても忘れる、だから貴方は釘を刺しに来た…違います?」

その言葉を聞いた中将は、頬をほころばせ、笑う。

 

「よもや言葉は不要か?昨日見た時よりもよっぽど軍人らしい」

そう力強く言い、踵を返す。

扉の前へ進み、止まると言い忘れていたかのように口を開いた。

 

「次の行動…間違えないことを祈っているよ…まぁ、艦隊も持たない私には何の関係もないが」

それだけ言い残すと、中将は次の予定を終わらせるためか、足早に部屋を後にした。

そして、急な話から始まり、付いて行けずに話が終わった陽炎は、呆気にとられ棒立ち。

そんな、彼女へ輝は今後の予定を話し掛け、どこか変わった面を見せたのだった。

 

そして、予定の確認が終わった所で、輝は陽炎へ呼びかけた。

 

「陽炎…あの戦闘狂相手によく対峙できたな…」

 

「私が負けず嫌いだって知ってるでしょ?それに、アイツ…極度の意地悪ジジイよ、そんなのに屈してやれるほど柔じゃないわ」

 

「おいこら、聞かれたら戻ってくるぞ」

 

「上等よ!アンタもしっかりしなさいよね、こんな状態でも司令官なんだからっ」

そう言うと陽炎は包帯部分を軽く叩いた。

 

「ぐぅっ…ふぅ」

痛みから苦痛の声をあげたが、そのことについて輝は怒鳴るようなことはしなかった。

今回の件で黒部による追求から守ったのは紛れも無い彼女であり。

ここにもまた、思想こそ違えど信用の上で成り立っている関係が確かに存在していたのだった。




戦力強化(局地)→土台作り(初期or中期)とまぁ、思い描いている終盤から中盤といったところまできました。
至らぬ点・不愉快にさせてしまう事もあるかと思いますが、こんな文章に付き合っていただければ嬉しいです。

1話からの主人公役、芋太郎のイメージが書類読むだけの人になりつつあるのは秘密。
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