鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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お久しぶりです、芋です。
なんだかんだで、書く時間ががが…それと相成り、リハビリ状態。

作者の執筆動力は初期のエンジンだと思ったこの頃…燃費悪すぎー温まるの遅すぎー馬力がー!!
さて、おふざけはここまで、本編をどうぞ。


合同演習(?) 始め

例の襲撃は上層部の判断により、事件自体が無かったことにされていた。

これは、国民に内乱分子の存在を隠すためと派閥間の争いにおける、汚点の隠蔽のためであった。

 

だが、被害を受けた本人の意思を外部の声で忘れさせれるかといえば、それは難しいもので。

被害者当人、輝中将を含む、随伴艦陽炎の意識は既に自らが盲目的に信じた、迎え撃つという形の国防意識の枠を超え、攻めることでの国防へと向かい、過去に封印してきた行動・戦略を起こせるようにと、動いていたのだった。

 

 

しかし、そんな個人の行動なんてものは、厳重な監視下でもないため入るわけもなく、ビーンを含む和太郎指揮下の艦隊は演習場所へ足を運んでいた。

 

「やっとここまで来たかー、いやー長かった」

いつもの様子を感じさせない口調に、海軍とは到底思えない服装を纏うビーンはどこか楽しげに提督へ声をあげていた。

この演習、合同という名目は付いているものの、民間の客人は選ばれた企業関係者のみで、交流会がメインとなっているといっても過言ではない。

そして、その交流を押さえつけた上で、軍全体の転機を計ろうと言うのがビーンの思惑であり。

事前説明として提督へ多少の話は通しているものの、口頭で全てを伝えるには難しく、大まかにしか説明しておらず。

さらには、演習経験者でありながら、演習の現実を伝えてすらなかった。

 

「楽しそうだな?らしくもない」

 

「そりゃー外に出てから、最初に浮かんだ内部問題の難関だぜ?超えれば多少マシになるんだ、やる気があって当然」

いつもよりもやる気に満ち溢れていることをアピールしたビーンだったが、提督本人は彼の活動時の姿なんてものを見たことはなく、この状態こそが活動時の普段の姿であった。

 

「同軍の戦略が見れるのだ、私も多少楽しみにしているな」

そう、言葉にしたのは紛れも無い、長門であり。

彼女も一艦娘として、鍛錬も行ってきたが、如何せん現状の敵艦は逸れ艦ばかりで軽巡・駆逐艦で事が済む場合が多いため、出撃の回数が低く、普段から退屈していた。

その長門の言葉を聞いてか、陸奥はビーンの顔を覗き込むような形で声を掛けた。

 

「あら?一元提督さん、ここがどんな所か教えてないの?」

 

「その名前で呼ぶんじゃねぇ!あと、教えたら絶対来れなくなるだろ!?」

ビーンは陸奥に言われた最初の言葉に過剰に反応を示しながらも、分かりきっているだろう陸奥へ、言葉を返した。

思った通りの言葉が返ってきた陸奥は、覗き込むのを止め、歩幅を減らし、長門の横へ移動した。

この、言葉には過去に参戦した経験者だからこそ分かるものが含まれていたが、言葉での説明は容易で、なおかつ酷いものだからこその言葉であった。

だが、それを知るものはこの集団において2名しか存在しない。

ましてや、その2名も聞かれたとしても答える気は全く無いと頑なに、決め込んでいたのだった。

 

「ま、それもそうね」

そんな、先ほどのビーンの言葉に陸奥はワザとつまらなそうに答えた。

何か知っているのは確かだが、答える気が無いのは当然で、彼の意思確認と言ったところだろうか、それ以上の事を適当な言葉で切り上げる。

だが、そんな短いやり取りも一緒に歩いている状態では、ダダ漏れもいいところで。

それを不審に思った数名から疑問の声が上がったが、ビーンは歩くのを止め、振り返ると笑みを見せ口を開いた。

 

「どうせ今日は選ばれてねぇんだ、教えるより自分で見たほうが早い…というわけだ」

説明放棄もいいところであったが、確かに言われてみればその通りであり、留守番組を覗く参加者達は各々の考えで納得したのか、言葉を上げるのを止め、その事についてコレ以上の詮索をやめ、充てがわれた待機所へ向かう提督の後を追うのだった。

 

 

「何が正々堂々だかねぇ…どうせ、いつもの様にあいつ等がのし上がって来て、いつもの奴らが優勝で終わりだろっての」

合同演習の宣誓は無難なものに終わったが、それを見ていたビーンはその宣誓を行った面々へ悪態をついていた。

それも、過去の経験から無意識に出たものであったが、それほど嫌いな人々なのだろう。

本来なら関わりたくもないが、未来と自らの持つ嫌悪を天秤に傾けた結果…当然といえば当然、未来へ傾いていたからこそ、手を差し伸べた提督へ追従しているのだった。

 

「またそんなこと言って…悟られても知らないわよ?」

 

「ほっとけ、独り言だ…それよりも、明日アイツが指揮できると思うか?」

ビーンは不機嫌な状態から話しかけられたからか、軽い注意を送った陸奥へ当たるような物言いで言葉を返した後、心配事を打ち明けた。

かといって、出来ない場合は代理指揮という方法で、自分が出るつもりで居たのだが、先の計画の事も考えると、ここで彼自身が指揮官として成長して欲しいのも事実であった。

 

というのも、鎮守府での訓練・演習の許可を出すのは提督だが、指揮を執っているのは、ビーンであり。

提督は基本外部からの情報確認を主に行ってきていた。

また、戦闘においては前任達が培ってきた技量による、艦娘達の現地判断で済んでおり。

見えたもの、見えやすいものには対処出来るだけで、軍の一部責任者としては、ある意味不適合と思える所が多々あるのだった。

 

だが、そんな提督でも所属している艦娘達から大なり小なりの信用・信頼を得ているからこそ、わざわざ彼の前で言うような事はせず。

たとえ、それらの感情が戦いにおいて、不要とも見れる感情であろうがビーンには関係無かった。

なぜなら、ビーンの描いた最後の結末には、彼女たちと同様の戦場へ立つと過去の約束で決められていたからだった。

そこなら、戦いの中でも声をかけることが出来るだろうし、何よりも現実を叩き込むことも容易かもしれない。

ビーンは遠くない未来を思いながら、そんな考えを巡らしていたのだった。

 

陸奥は、そんな考えがあるとはいざしらずといった様子で、今日に限って、やたらとビーンの前に現れては声をかけていた。

別に提督に監視を任されたわけでもなく、個人的に惹かれたわけでもない。

過去の同志ではあるが、今となっては薄れたも同意であったし、なによりも、霞んで見えていた。

それに、同志と言っても今は亡き提督の考えに従っていただけで、多少の信用は持っている程度に収まっているのだった。

 

ただ、国中の軍隊の中で一番権力を持つ海軍を嫌っていながらも志を同じくして行動し、わざわざ巣窟と呼んでもおかしくない場所まで足を運んだ人物に純粋な興味が湧いただけかもしれない。

だが、それは本人にとってもあやふやな思いで、ハッキリしておらず、確信が欲しかっただけかもしれない。

しかし、陸奥があれこれ思い詰めているうちに、演習の準備が終わったのか、アナウンスが掛かると、ビーンはそそくさと提督の待機している場所目指し移動を開始。

その行き先で目的の人物を見つけると、遠目から声を掛けた。

 

「よぉ、どっちが勝つと思うよ?」

ビーンが一言声を掛けたのは、司令官・提督様々な名前で呼ばれる人物、即ち和太郎少佐であった。

そんな、彼は待機所で表情こそ表には出していないが、初めて見る光景に興味を持ったのか、時には目で、時には首自体を動かし、自分で見て取れる情報をかき集めていたのだった。

そして、その声が耳に入った途端に先ほどの行動をやめ、振り返り言葉をかえした。

 

「まだ編成も分からないのに、どっちだとか判断はできない」

正論といえば正論ではあったが、その言葉を聞いたビーンは、にやりと笑う。

そして、笑みを見せたと同時に俺はわかるぜとでも言いたげな表情と自信を漂わせ、口を開く。

 

「ここからみて右側…つまり、最初に入場したほうが勝つ。しかも、不戦勝でな」

 

「不戦勝?こんな大掛かりな演習にそんなことが?」

 

「それを、変えるために俺はここに来た。お前も共謀者だ、一役買えよ」

 

「…とはいっても、何をすればいい?」

 

「とりあえず勝て…つっても、そこまで行くのはお前の仕事じゃねーしなぁ…ま、お立ち台に登った時のスピーチでも考えてな」

いつものように、曖昧だがやっておけという口車だけ言い終えると、ビーンはフラリと待機所から外へ向かっていった。

 

「おっと、聞き忘れてた。指揮とるのか、とらないのかどっちだ?」

言葉通り、言い忘れていたことがあったようで、待機所の入り口から顔だけ覗かせて、ビーンは返答を待っていた。

その言葉に芋太郎は黙りこみしばし考える素振りを見せる。

そもそも、彼には指揮経験が圧倒的に不足しており、だからこその考える時間であったが、一つの考えが浮かんだのか、提案のような感じでその質問の答を導き出した。

 

「出来ることなら、俺が執ったほうが良いのだろう。だが質問がある、お前と俺の指揮の違いを言葉で教えてほしい、何が違いといえるんだ?」

 

「1つ、現地の判断に任せきり。2つ、情報不足故に提案をしない…2つだけだが、致命傷になるとは思わないか?自分は安全な場所にいてあらゆる可能性を想定できる余裕があるというのに」

首だけを覗かせていたビーンは全身が見える場所へ移動し、少しばかり真剣な顔つきで過去の演習から導き出した、欠点を質問に返したのだった。

それを聞いて納得したのか、芋太郎は致命傷とまで言われた欠点に内心落ち込みながらも、表には出さず、最初の質問の答えを言ったのだった。

 

 

先のやり取りの合間に、早3戦目が始まろうとしていた。

 

『3戦目の準備終了、各人は持ち場に付け』

言っていたとおり不戦だったのだが、2戦目終了という、ビーンが想像していたよりも明らかな速さで事が進んでいたのだった。

 

「今回はやけに急ぐな、裏があるかもしれねぇ…」

そのアナウンスを聞きつけたビーンは顔を歪めると、独り言のようにその言葉をを呟いた。

とは言っても、少し距離の離れた芋太郎には聞こえない声量だったため、特に不審がられることもなく、仲間の待機している辺りへ足を急ぐ。

 

「くそったれめ、想定内だが気が早すぎやしねぇかタヌキども」

そんな悪態を早足で進む道中で呟く。

想定内というのも、例の襲撃からの上層部による警戒と言うものであった。

事実、民間には知らされていないが、軍部には潜伏先すら知れ渡っており、装備の差と資材的困窮さらには襲撃地の情報・活動のパターンから、手を出さないで様子見という手筈ではあったが、それなら別の方法で門前払いをするといった寸法を取ろうとしたのだった。

だが、ビーンは感づき回避行動を開始、行き先であった仲間たちの待機していた場所へ到着すると一声を放つ。

 

「お前ら、やはり想定内の事が起きた、通信と指揮所を見張っとけ」

 

「はいはい」「了解」「うい」…

待機していた人数だけ、多種多様な返事をすると、彼らは彼らなりの専門分野を活かした諜報活動を開始。

しかし、今日に限っては、提督の演習は決行されないため、徒労に終わったのだった。

 




今回は、宣誓しただけで終わりですね。
なにもしてない、その一言に尽きるような…

そして、次回から作者の精神が大根のように、おろし金に掛けられる予定…
あぁ…どこかが痛い…痛いよぉ…
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