鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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どうも、じゃがいもです。
今回は節分がネタです。今回は楽しく書けました。
しかし、後半は失速感が…

節分も小さい頃の経験談から来ました。
タイトル通り、ふざけています。そんな内容ですが、楽しんでいただければ嬉しいです。


第一次鎮守府内戦(模擬)初めての節分

芋太郎は普段通り書類の確認を行っていた。

目を通すだけのもの、認証印が必要なものと様々であったが、適切に確認をしていった。

 

そんな芋太郎の机にパラパラと何かぶつかった。

芋太郎は書類を机に置き、その飛来物を拾いあげ確認した。

それは炒り豆だと確認した芋太郎は、次に投げた人物を探す。

 

その人物は多数いた、駆逐艦達であった。

彼女達は各々にマスに入った豆を待ち、空いた手で豆を握っていた。

 

「鬼は外」

駆逐艦達は芋太郎が振り向くと、一斉に目掛けて豆を投げた。

緩やかな曲線を描き、豆は芋太郎の衣服に当たり落下した。

 

「今日は節分だったか、そして鬼役は俺か?」

 

「そうなのです」

マスを持ってこそ居たが、投げはしなかった電はそう言いながら芋太郎に近づくと、マスとは真逆の手で鬼の面を手渡した。

 

「これが鬼の面だと?ガスマスクを改造したものじゃないか」

奇妙な鬼の面を受け取った芋太郎は、一瞬驚いたが、そんな事はどうでも良いと、芋太郎は駆逐艦達の期待に答えるべく、面を着けた。

シュコーシュコーという息の音を立てながら、芋太郎は駆逐艦達に声を掛ける。

 

「準備完了だ、手加減はしない本気で掛かってこい」

くぐもった声でそう言うと、駆逐艦達は豆を投げ始めた。

 

広がった豆のうち、上半身に命中するであろう豆を芋太郎は受け止め始める。

それを見た駆逐艦達も負けじと豆を投げるが、当たりそうな豆は全て芋太郎の手に収まっていく。

 

マスは小さく、豆は有限なのですぐさま無くなった。

シュコーシュコーと音を立てながら、芋太郎は駆逐艦達に声を掛けた。

 

「モウ終ワリカ?コチラノ番ダナ」

芋太郎は一際大きく足音をたて、駆逐艦達に近づいた。

 

向かう駆逐艦達は一歩下がる、その後を追うように一歩近づく芋太郎……

再度、駆逐艦達は下がった。

 

「豆撒ク子ハイネガーッ!」

そう叫びながら、一歩一歩の間隔を短くしていき、終いには走り出し、駆逐艦達はこぞって部屋から逃げ出した。

 

「イネガーイネガー」

叫びながらドタドタと足音をたて、豆を投げていたメンバーの暁を追いかける。

 

「なんで私の方にくるのよーっ!?」

暁も悲鳴をあげながら廊下を走る。そのまま食堂へ逃げ込んだ。

 

食堂にはマスと山盛りの炒り豆があり、その周りにも他の艦娘達が集まっていた。

そこへ、暁が走り込み、次に面を着けた芋太郎が走り込んだ。

 

「鬼が来るのは夜じゃねぇのかよ!?来たぞ、戦闘開始だ」

天龍が鬼の真横から豆を高速で投擲した。

それに続いて、そこに居た一部の艦娘達は豆を投げた。

 

飛来する豆の中でも天龍が投げた豆は、最初の駆逐艦達が投げた豆よりも、ここで投げた誰よりも高速かつ直線的に飛来する。

 

「よっしゃー、命中!」

弾道は横顔を捉えていたが、鬼役の芋太郎は当たる寸前で足をとめ、右手でキャッチした。

それに続いた豆も、もちろん全てキャッチする。

 

「なんだとっ!?」

天龍は、鬼の予想外な行動に驚きの声を漏らした。

 

豆を受け止めた芋太郎は、首を天龍の方に向け数秒間佇み、投げた本人を観察した。

芋太郎の目にはマスを持つ天龍が映っており。なおかつ、そのマスには豆が盛られていた。

そして、暁を追うのを止め。身体を天龍の方へ向けズンッとでも音が聞こえるかのような勢いで天龍へ近づいていく。

 

「くそったれ、これでも食らってろ!」

天龍は連続して豆を投げる。しかし、先ほどと同じ様に手のひらに収まっていく。

 

「コイツ…何者だ…?」

天龍は散弾の如く飛来する豆を受け止める鬼の正体を焦りで見破る事が出来なかった。

 

「豆撒ク子ハイネガー」

芋太郎は、天龍の疑問を気に掛ける事無く歩く速度を上げていく。

そして、歩きから、走りに移行する。

 

「うわっ、こっち来んじゃねー!」

天龍も先ほどの暁の様に、背中を向けて逃走を開始した。

 

「敵前逃亡ハ重罪ダ。豆撒ク子ハイネガー」

そう言いながら、逃走する天龍を追いかける。

天龍は直線の廊下から階段を下り、一気に距離を取る。

対して芋太郎は、暁を追いかけたときの疲労とマスクのせいで息が上がっており、上の階で息を整えていた。

上がる息を整えながら、芋太郎は呟いた。

 

「はぁはぁ…結構辛いなこの面は。だが、まだまだこれからだ」

2、3分程休憩を取ると、面を付け天龍の後を追った。

 

 

一方、一時的に逃げ切った天龍は外で警戒しながら歩いていた。

「なんだってんだよ、鬼だって言うのに豆を受け止めやがる。ふざけてんだろ」

 

そう言いながら、舗装された道を歩く。

 

シュコーシュコーと、どこからとなく例の音が聞こえ始めた。

 

「もう来やがったか…おら、掛かってこい!」

そう言いながら戦闘用の武器を構える天龍。

 

そんな天龍に豆が多数飛来する。

それを、武器を使い両断する天龍。

 

「鬼のくせに豆投げてんじゃねぇ!いいから掛かってこいよ」

飛来し続ける豆を両断しながら、天龍は挑発の言葉をあげた。

 

「イイダロウ、覚悟ハシテオケ」

その言葉が聞こえると同時に、天龍正面の植木裏から芋太郎が現れ、向かっていく。

 

向かい行く芋太郎は右手を握ると、腕を振るい手の中に収まっていた豆を投げた。

その投げられた豆は、握力により砕け、細かな破片となっていた。

その破片をもろに受けた天龍は眼球の被害を抑えるため目をつむり、横薙ぎを繰り出した。

 

「イイハンダンダ。ダガ、アマイ」

芋太郎は屈み、横薙ぎを躱して天龍の後ろに回り込み、後ろから拘束した。

 

「はっ離しやがれ!」

天龍は拘束から逃れる為にもがくが、芋太郎の前では無意味であった。

そんな天龍を芋太郎は逃すまいと持ち上げる。

 

足が浮き上がる感覚を感じた天龍は踵を後ろへ振りかぶり、次に肘を芋太郎にぶつけた。

踵は股に、肘は芋太郎の腹に入ったが、怯む様子も見せず芋太郎は持ち上げ続けた。

 

破片の効果も無くなり、天龍は目を開き抵抗を続ける。

それでも、やはり拘束は解けず、天龍はガックリと項垂れる。

 

「抵抗はしない…殺せ…」

天龍の心には諦めが漂い始めていた。

 

そんな天龍の前を龍田が通りかる。

天龍は諦めていた心に希望を見いだすと、龍田に向かって叫んだ。

 

「龍田!助けてくれ。そして、コイツをぶっ殺すのを手伝ってくれ」

呼びかけられた龍田は足を止めるが、天龍を拘束する者の服装を確認し、一つの確信を得ると天龍の方をみて笑い始めた。

 

「困ってる天龍ちゃんも可愛いわね〜」

 

「ふざけてる暇はねぇ、早く助けてくれ!」

 

天龍と龍田で会話をする中、芋太郎は過去の経験から、龍田に問い掛けた。

 

「今回は切り掛かって来ないのか?」

くぐもった声ではあったが、先ほどの口調とは違い会話として成り立つ音程の言葉であった。

 

「今は提督だからね〜」

天龍は深みの無い笑顔で芋太郎へ言い返した。

 

また、提督という言葉を聞いた天龍は今までのパニック状態から回復し、拘束し続ける芋太郎を見上げた。

マスク越しに本人だと確認した天龍は、今までの力を抜き再度項垂れた。

 

「なんだ…鬼は提督だったのかよ、本気になってた自分が恥ずかしいぜ…」

こうして抵抗心も無くし、逆に恥ずかしさに項垂れる天龍を下ろすと、芋太郎は龍田に話しかけた。

 

「暁を見なかったか?」

 

「見てないわ、だけど提督も下衆いわね〜。ま、面白いからいいけどね〜天龍ちゃん」

 

「オレにまだ話しかけるなー!」

恥ずかしさが引いていないのか、龍田は叫ぶと立ち上がり、その場を立ち去ろうと走りだした。

 

「天龍、夕飯までには戻ってこいよ。皆楽しみにしているからな!」

芋太郎のその言葉は聞こえているのかいないのか、天龍は走り続けた。

それに溜め息をつきながら龍田の方を見やり、口を開いた。

 

「天龍の事は任せたぞ」

 

「もちろんよ〜」

芋太郎は暁を探し出すために、建物の中に戻り、龍田は走り続ける天龍の後を追うために別れていった。

 

 

龍田達と別れた芋太郎は、マスクを外し食堂に戻っていた。

そこで、先ほどの騒動で見かけた艦娘達に暁の情報を聞き出していく。

最終的に第六駆逐艦隊の響から暁の居場所を聞き出したのだった。

 

芋太郎は情報を元に、暁のいる場所を目指し、食堂を後にする。

食堂を出た芋太郎は、外していたマスクを付けると、暁の潜む部屋へ足音をたてずに近づいていったのだった。

 

一方、暁は逃げ切ったと思い込んでおり、部屋でゆっくりとしていた。

そして暁のいる部屋のドアノブが静かに回る。

 

「みんな、戻って来たの?」

暁は相部屋の仲である第六駆逐艦隊のメンバーが戻って来たのか思い、扉の方へ顔を向けた。

 

しかしドアノブが回っただけで、扉は一向に開く気配がなかった。

「煩わしいわね、早く入って来なさいよ」

暁は扉に近づくと、ドアノブを掴み、扉を空けた……

 

 

「きゃぁあああっ!」

扉の先にいた人物を見て、暁は悲鳴をあげながら数歩後退した。

その人物も、暁の後退に合わせシュコーシュコーと息をあげながら、一歩また一歩と近づく。

目前の人物が近づくにつれ、暁も再度後退するが、数歩下がったのち恐怖で足が震え、終いにはへたり込んでしまう。

 

「嫌…来ないで、来ないでぇー!」

そのように叫ぶ暁に慈悲もなく、近づくその人物。

ジリッジリッと少しずつだが、着実に暁へ接近していった。

 

「司令…もう豆投げたりしないから許してよぉ…言う事もちゃんと聞くから…」

急な事でパニックを起こしていた暁だったが、鬼役の芋太郎が近づくのが遅かった為に冷静さを取り戻し、事の成り行きから考え、今の状態を回避する為の言葉を述べた。

 

「オレハ鬼ダ、司令デハ無イ」

 

「嘘でしょ…司令」

そう言われた暁の目には涙が浮かんでいた。

 

「ウガァアアアァッ!」

芋太郎も、これでもかと叫びながら暁へ接近した。

 

「提督、何やってるのよ?」

開きっぱなしの扉から、ビスマルクが顔を覗かしながら話しかけた。

その声を聞いた芋太郎は、暁に近寄るのを止め、ビスマルクの方へ振り向くと口を開く。

 

「豆撒きをしていたんだ」

 

「豆撒き?なによソレ?」

ドイツ艦であり、日本の分化をまだ知らないビスマルクは首を傾げながら問い返した。

 

「豆撒きというのは、簡単に言えば厄払いだな。鬼役に豆を投げ、追い払う。鬼役が逃げた事で無病息災が訪れるという日本の行事だ」

 

「そうなの?じゃあ、どうして鬼をやっている提督が逆に追いかけているのかしら?攻撃される側が追撃するなんて訳が分からないわ…」

先ほどの説明と芋太郎の面を見て思ったのか、ビスマルクは呆れながら首を横に振った。

 

「これは、俺がふざけているだけだぞ?それに、正式な豆撒きの時間は夜だしな」

そう話す芋太郎の後ろから暁が泣きながら、ビスマルクへ駆け寄った。

 

「怖かったよぉ…ビスマルクぅ…」

暁は堪えきれなくなったのか、涙をぽろぽろと流していた。

そんな暁の頭を撫で、あやしながら、ビスマルクは芋太郎の方を見やり、口を開く。

 

「私からどうこう言う事はないけれど、夜は面白い事になりそうね」

薄い微笑みを浮かべながら、ビスマルクはそう言うと、暁を連れてどこかへ立ち去っていった。

 

一人残された芋太郎も、相手が居なくなった為に、マスクを外し、仕事へと戻る為に部屋をあとにしたのだった。

 

 

 

時間も立ち、豆撒きを兼ねた夕食へ向かうため、芋太郎は書類を片付けると、食堂へ向かうため提督室をあとにした。

時間としては少し遅れた移動となっており、廊下には誰一人としておらず、淡々と食堂へ向かったのだった。

 

芋太郎が食堂につくと、食堂の様子に芋太郎は驚いたのだった。

艦娘の皆に、所属する職員全員が食事に手を付ける事無く、芋太郎が来るのを待っていたのだ。

 

「遅いですよ、芋太郎さん」

赤城が声を掛けた。

芋太郎は声のする方へ向かうと、定位置である席は空けられており、その隣には赤城が座っていた。

 

「遅れてすまない、仕事が長引いてな」

 

「嘘ですよね?」

赤城は笑みを浮かべながら、芋太郎の顔を見る。

 

「なんのことだ…?」

当然ながら芋太郎はとぼける。

 

「ビスマルクさんから聞きましたよ。暁を虐めていたって」

赤城は満面の笑みで、さらに言い寄る。

 

「虐めてなんかいない、豆撒きをしてただけさ」

その追撃に対し、とぼけ続ける芋太郎。

そんな芋太郎を見て、赤城は溜め息をつき、語り始めた。

 

「あの子、戻って来たときも泣いていましたよ…それも、震えながら」

それを聞き、罪悪感を覚えたのか、芋太郎は呟きはじめる。

 

「そうだったのか、おふざけが過ぎたな…」

そう言いながら、頭を掻いた。そして、話を続けた。

 

「暁と仲直りする為にいい方法はないだろうか?赤城」

それを聞いた赤城は優しい笑みを向け、答えた。

 

「今日の昼頃にやっと事の、逆をやれば良いかと」

 

「逆をやるか…」

そう言い、天を見上げる。

そんな、芋太郎を赤城は横からつつく。

 

「考えるのも良いですが、まずは食べませんか?皆待っていますし…」

 

「そ、そうだなっ!皆、すまない。自由にしてくれ」

そう言われ、待っていた人々は各々に料理を口にしていく。

芋太郎も恵方を向き、料理の1つである恵方巻きを頬張った。

待っていた分、空腹が続いていた為か、食事は早めに終わったのだった。

 

 

「イクのスナイパー魂が滾るのね〜」

伊19がマスを持ち、豆を1粒つまむと片目を瞑り投げる。

 

「精度上々なの!鬼を狙い撃つの!」

 

「鬼は誰かしら〜?」

龍田は知っておきながら、わざとらしく声をあげる。

 

鬼と聞いた暁は昼間のトラウマから足を震わせながら、呟く。

「鬼は嫌…来ないで…」

「姉さん?」

震える暁に姉妹艦である響が心配し、声をかける。

そんな響にビスマルクが近づいていき、告げ口をした。

そして芋太郎の方を向くと、軽く睨みつけ叫ぶ。

 

「姉さんを虐めた…許さない…」

響も用意されていたマスを持つ。

 

「司令官さん」

昼間のように電は近づいていき、マスクを手渡した。

 

「またガスマスクか…」

 

「はい、予備なのです」

手渡した電は満面の笑みであった。

 

「仕方がないな…」

受け取ったマスクを芋太郎は付ける。

シュコーシュコーと例の音が聞こえ始める。

 

「昼間のお返ししてやるぜ、おらっ!」

天龍はみんなの準備が終わる前に、豆を投げつける。

それを、芋太郎は受け止めた。

 

「またかよ…」

昼間と違い、受けてくれると思っていた天龍は驚く。

 

「まだ、皆の準備が終わってないからな。もう少し待っていろ」

 

「お…おぅ…」

 

「ypaaaaaaaa」

静止の声を聞いていながら、響も豆を投げる。

 

「響さん…」

 

「分かってる。全部司令官が悪い訳じゃないから…」

赤城の注意を理解した響は、続けて豆を投げる。

 

「姉さん、この鬼は強くない。姉さんでも勝てるよ」

響は今もなお震える暁に声をかけ、マスから豆を握ると暁に手渡した。

 

「弱い…?ホント…」

 

「あぁ、避けもしないし、止めたりもしない」

そう言われた暁は、響に続いて豆を投げた。

 

芋太郎はそれを正面から受け、怯むような動作を見せ、食堂から走りだした。

 

「もう、怖くない」

暁は自然と足の震えが止まると、走り行く芋太郎のあとを追いかけていった。

また、他の艦娘達も追いかけたのは言うまでもなく、芋太郎は後ろから豆を受け続けたのだった。

 

その後、暁が笑顔で豆を投げている暁を確認した芋太郎は、逃走を開始し、見事逃げ切ったのだった。

 




読んでくださり、ありがとうございます。
最近になって、wikiだけではいけないと思いまして、漫画や小説を購入してきました。

販売されている小説も良いですが、やはり、読者の中にいらっしゃると思う、作者さんの小説も読んでみたいと思いまして。
よろしければ、メッセージ等でこんな小説書いていますと、教えて頂ければ嬉しいです。
時間があれば、読んでいきます。
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