鎮守府内食品部農産課の男   作:馬鈴薯

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どうも、じゃがいもです。
サブタイトル率5割、残り5割は演習関係ない話となっております。
感の良い方なら分かってくれると信じてる…白煙と言う単語です。


白煙立ちこめる演習風景

本日は芋太郎が提案した始めての演習が行われる日となっていた。

上層部は月1、2回の大型演習を行う事を推奨していたが、大型演習の内容は決められた目標を索敵から攻撃、撃破という一連の流れを行うというものであり、芋太郎は推奨されているだけで確実に実行しなくても良いと言う結論に至っていた。

なので、別々の演習を増やし、1部の戦闘技術を端的に伸ばす事にしたのだった。

 

本日、芋太郎が提案した演習は射撃演習であった。

数キロ離れた箇所に設置されている、的を射撃すると言う単純な内容だったが、いつもやっている事と同じという事に少しばかり不満を持つものもいるだろうと、芋太郎はある弾を無理言って特注していたのだった。

 

「本日は通常兵器が通用しないからといって、廃れていった補助目的の砲弾も用意してみた。実践で使えるかどうかの感想もくれると助かる」

芋太郎はそう言うと、見慣れない砲弾の詰まる木箱のセットを指差した。

 

「発煙弾だ。攻撃能力は皆無だが、有効かと思い急造してもらった」

 

「潮風で煙が流れてしまうのではないでしょうか?」

そんな疑問を投げかけるのは吹雪であった。

吹雪の発言を聞いた芋太郎は頷き答えた。

 

「そうかもしれない。だが、口径がでかい程発煙量も増す。またお前達も前の姿より圧倒的に小さくなっているからこそ、風に流されても隠れる事が出来ると思ってな、これは長門に試射を頼みたい」

芋太郎は長門を指名した。

 

「任せておけ」

長門は返事をすると、木箱に近づき収納されている発煙弾たるものを一箱分砲塔に装填した。

 

「今ここで的に向かい撃てば良いのか?」

 

「いや、どうせなら敵側としての効果の情報も欲しい、駆逐艦達に撃たせるので的の後ろで撃ってもらえないか?」

 

「司令官それだと…」

どうなるか想像出来た響が、異議を申し立てる。

 

「あぁ、長門が砲弾を受ける可能性があるのは理解している。だから、今ここで了承を得るつもりだ」

強制的に的役をやらせないという事を聞いた響は、少しばかり安心しこれ以上の追求を止めた。

 

「長門、お前に駆逐艦の砲弾が命中する可能性があるがどうする?」

先ほど響に言った通り、芋太郎は長門の了承を得るため、再度声を掛けた。

 

「なに、気にする事は無い。それに提督が戦力を把握するのは優先事項だからな」

長門はそう告げると着水し、的の方へ向かって行った。

 

 

長門が的に向かってから数分が経過した。

そして長門から無線が入る。

 

「的の後方へついた、合図はどうすれば良い?」

 

「発煙弾による、煙幕の散布状況を見てから射撃の方は行う」

 

「了解した」

通信が切れてから数秒後に砲撃音が響き続いて破裂音がした。

 

準備が終わるまでの間、余所見をしていた駆逐艦達は一斉に音のした方へ向き直る。

芋太郎も事情は知れども、弾の効果確認のため視線を移した。

そこには雲が降りてきたとでも表現出来るような白煙が広範囲に上がっていた。

その白煙は昇る事なく、むしろ下にある波の隙間を埋めようと降下していく。

 

「射撃演習開始!」

その一声で駆逐艦達が順番に砲弾を放ち始める。

 

「吹雪、全弾後方へ逸れた」

「暁、至近弾1発残りは前方着弾」

次々と長門から命中・非命中の報告が無線によって芋太郎の耳へ届く。

長門から見れば煙は的の前方に佇んでおり、着弾地点がくっきり見えるからこその報告だろう、逆に煙の中では長門自身も砲弾の着弾地点も見えず報告どころではなかった。

芋太郎はそのような推測を立てつつ、そのような情報を紙に書き込んで行く。

 

「響、2発命中、残り至近弾!」

その報告を聞いた芋太郎は響へ駆け寄り問い掛けた。

 

「よくやった。今の所、響だけがあの煙の中で命中させた。できたら秘訣を教えて欲しい」

芋太郎は命中させた本人にコツなどを聞く。

響は今後の鎮守府にとって有用な事を理解しており、すぐに口を開いた。

 

「電探だよ提督。それで大体の方角・距離は分かるから、後は感を頼りに砲角をあわせるだけさ」

簡単な様に言っているが、それの難しさを容易に想像出来た芋太郎は苦笑いを浮かべながら、その情報とそれによる副産物とも言える情報を書き足した。

次に艦載機を出してもらい、上空から観察させていた赤城に声をかけた。

 

「赤城、空から見た着弾地点付近の様子はどうだった?」

 

「電探と偵察機を組み合わせれば、脅威となりえるかもしれません」

赤城は零式水上偵察機から得た情報を照らし合わせ、自らが導き出した結論を話した。

 

「そうか、続いて対空射撃の演習も行いたいのだが、赤城…艦載機の方を頼めるか?」

 

「それでは資源が無駄になりませんか?」

艦載機をターゲットに使うと言う試みに、赤城は演習の疑問点を指摘する。

 

「ここ最近大きな出撃が無かったうえ、今後の予定としても立っていないから心配はいらない。それに、そっちのほうが赤城の艦載機指揮能力の向上につながるだろ?」

あまり出撃していないのは事実ではあったが、赤城の心配を払拭するため芋太郎はもっともらしい理由を述べる。

 

「上層部にはどのように報告を…」

赤城は艦載機の無駄遣いをどのように報告するのか芋太郎へ訪ねた。

 

「先ほども言った通り、出撃が無い分資材が貯まる一方だ。逆に消費しろと急かされるくらいにな…だから、今回の演習に踏み切った訳だが、これが理由ではダメか?」

芋太郎は報告云々よりも、上層部から指令が来ている事を述べた。

それに納得したのか、赤城は頷きカタパルトとなる弓を構える。

 

「機種は零式水偵でよろしいでしょうか?」

 

「あぁ、頼む」

その言葉に応じて赤城は弓を引く。

そして数本の矢が全て零式水偵となり編隊を組むと、海上を飛んで行く。

 

「長門、三式弾は持ってるな?今そちらへ零式水偵を飛ばした、持てる武装を持ってして撃墜しろ」

 

「まだ煙幕は張れていない、それでやれと言うのか?」

 

「そうだ、こっちが張った煙幕で空からやられていたら意味ないからな」

 

「難しいだろうが、やってみよう」

長門は風で目前と迫る煙幕の中、上空を見上げ、艦載機を探す。

 

「見えた!全砲門三式弾放て!」

ドンドンと続けて砲撃音が響き、上空に向けて砲弾が放たれる。

その砲弾はしばらく上昇を続けると、零式水偵の下をすり抜け炸裂した。

花火の様に広がる火の玉を確認した芋太郎は、赤城に状況を聞く。

 

「赤城、三式弾による艦載機の被害状況は?」

 

「後方で炸裂したため、被害はありません」

 

「やはり三式弾は扱いが難しいな。だが、改善できる箇所はある、問題は物品を手に入れられるかだな…あまり頼りたくなかったがアイツに頼るか…」

そう言うと、芋太郎は紙に書き込むと提督室目指し歩き始めた。

 

「芋太郎さん、どちらへ?」

 

「どうしても書かなければいけない書類ができた、俺は執務に戻る。それと、夜間も同様の演習を行う事を伝えておいてくれ。参加するかしないかは自由だが、参加者のリストを作るのも忘れるな」

芋太郎は言いたい事を言い終えると、先ほど書いていた演習による補助弾の効果を確認しながら歩き続けたのだった。

 

 

次の日、芋太郎は椅子に座りながら寝ていた。

そんな芋太郎のいる部屋にノックが響く。

 

「赤城です、入りますね」

部屋から返事が無かったが、赤城は提督室へ入った。

そして、椅子に眠る芋太郎を見つけると、椅子へ近づき肩を揺らした。

揺らされた本人は小さな呻き声をあげた後、目を開いた。

 

「あぁ、赤城か…どうした?」

 

「昨夜の演習に関する資料をお持ちしました」

そう言い赤城は、参加者リストと夜戦時に応用可能かどうかなどの情報が書かれた書類を机へ置いた。

 

「ありがとう。今日は人に会いに行ってくる」

芋太郎は書類に目を通しながら、今日の予定を打ち明ける。

 

「私も同行してもよろしいでしょうか?」

 

「…構わないが、面白い所ではないぞ」

芋太郎は書類から目を離し、赤城を見上げる。

 

「構いません」

赤城は笑みを浮かべ、頷いたのだった。

 

「そうと決まれば、早速出るか。車の手配もしてある」

そう言うと、昨日作ったばかりの資料を封筒に仕舞い、左手で抱え立ち上がると部屋を後にした。

それに赤城も反応し、机の芋太郎のやや後方へ付く。

 

「そこまでする必要は無いと思うんだが」

 

「他所に行くのですから、提督としての印象をですね」

そう言われた芋太郎は、頭を掻きながら呟いた。

 

「アイツの事だから、そう言う態度に過敏なんだ…」

 

「過敏と言いますと?」

赤城はどのように過敏なのか聞く。

芋太郎はすぐに答えた。

 

「アイツは元提督だったんだが、上官の汚職を追求しすぎて追放されたも同然だから、高圧的な態度だと話しもできんのだ」

そう話しをしている間に、広場に止めてある車の前まで2人は来ていた。

 

止めてある車の後部座席に2人は乗り込むと、芋太郎が口を開く。

 

「指定地まで頼む」

運転手は頷くと、静かに車を発進させた。

 

 

数時間揺られた後、目的の場所に着いた。

その場所はコンクリートの壁に有刺鉄線という、刑務所とでも言える場所となっていた。

その風景をみた赤城は思わず、芋太郎へ問い詰める。

 

「あの…ここは?」

威圧的な建物に赤城は小さな声で囁いた。

 

「二級戦犯収容所だ、ここに目的の人物がいる」

芋太郎は応じる事無く、淡々と場所の名称を話した後、門へと進む。

 

「止まれ!」

大きな声で静止の声が掛かった。

赤城は驚き、芋太郎は冷静に声の主を見やる。

その主は長銃を向け、睨んでいた。

 

「要件があってここへ来た、そちらの方へ大体の連絡は着いているはずだ」

そう言いながら、封筒から一枚の紙を取り出し、未だ長銃を向ける人物へ突きつける様にして見せた。

すると、その人物は銃を下し、敬礼をした。

 

「失礼しました、近藤提督。さっそく案内致します」

ガチャンという音と共に門が開かれ、中から数名の看守と思われる人物が2人を迎え入れた。

 

「手配は済んでいます、今すぐにも面会は可能ですがどうされます?」

看守の一人が芋太郎へ声を掛ける。

 

「できれば、時間制限の方は無い方がいい」

 

「そちらの方は問題ありません。アイツの事は我々も十分に理解しているつもりです」

看守と芋太郎の会話に置いてきぼりにされていた赤城は、今得たばかりの情報を整理し、芋太郎へ問い掛けた。

 

「ここに来るまでの間もアイツと言っていましたが、どうして名前で呼ばないんですか?」

 

「アイツの性分からだな。アイツは陰湿な性格で、本名で呼ばれるよりコードネームで呼ばれる方が好きなんだとさ。だが、今は除隊されたも同然だからコードネームなんて無い、だからアイツとしか呼びようがないんだ」

赤城は複雑な心境でその説明を受け入れたが、やはりいい気分では無かった。

 

「これをアイツに見せたいんだが、面会の前に渡しておいてもらえるか?」

そう言いながら、芋太郎は昨日のデータが詰まった封筒を看守へ手渡した。

看守は封筒の中身を取り出し、軽く確認するとにやけながら口を開いた。

 

「いかにもアイツが喜びそうな書類ですね、海戦素人の私でも面白いと思いますよ」

そう言いながら看守は封筒に書類を戻すと、扉を開け、裏方へ歩いて行った。

 

1人の看守が裏方へ行ってから、数分が経過し、残っていた看守へ無線が入った。

 

「準備ができたみたいです、こちらへ」

そう言われ、先を歩く看守の後ろを、2人は付いて行った。

 

 

2人が案内された場所は個室であった。

机と椅子が並べられており、先客が1人座っていた。

 

「久しぶりだな、ビーン」

そう呼ばれ、俯いていた先客は顔を上げ、口を開いた。

また、赤城はビーンの顔を見て驚いていた。

なぜなら、彼の顔に見えるくっきりとできたクマに、やせこけた顔つきは骸を思わせるような感じであったからだ。

そんな顔に動じる事無く、淡々と会話を進めようとする芋太郎へ赤城は小さな声で問い掛ける。

 

「この方は誰なのでしょうか?私にはわかりません」

 

「俺の兄だ」

その答えに内心驚いた赤城だったが、相手にその表情を見せる訳にはいかず、押しとどめた。

たいして、ビーンはしばらく無言で2人を見比べた後、ゆっくりと口を開いた。

 

「なんだ…ポテトヘッドか。そしてそちらの御夫人は、艦娘ですかい?」

赤城は御夫人と言われ、顔を赤くした。

 

「正規空母赤城だ…婚約等はしていないので、煽るのは控えてやってくれ」

芋太郎は赤城の紹介をすると共にふざけない様にと念を押した。

すると、ビーンと呼ばれる男はヘイヘイと二つ返事をしたのだった。

 

「そんな事よりも、お前が提督やってるとは。どういう風の吹き回しだ?」

ビーンはヒヒッと下品な笑い声をあげた。

芋太郎はそんな笑いを気に掛ける事無く、このような事になった経緯を語り始めた。

火事で死にかけた事、初めて指揮をしたが大失敗した事、楽しい行事を共にやってきたなど、ありのままを話した。

その間、ビーンは頷いたりするものの、話しを折るような真似はしなかった。

 

 

芋太郎が洗いざらい経緯を話終えると、ビーンは口を開いた。

 

「話しが長い…それに、こんな思い出話がしたくてこっちに来た訳じゃないだろうに…」

それを聞いた芋太郎はにやりと笑う。

 

「先ほど資料を渡す様にと言ってあったんだが、見てないか?」

 

「あれか?あれなら捨てといた」

それを聞いた芋太郎は目を見開き驚いた。

また、ビーンはまたもや下品な笑い声をあげていた。

 

「どうしてそんな酷い事を…」

気を逆撫でする笑いが響く中、赤城は呟いた。

もちろん、赤城の呟きは対面して声をあげている本人の耳に届き、当人は笑いを止めた。

 

「何故かって?頭の中に入れたからヒヒッ。だがな、あんな子供騙しの煙で本当に戦えると思っているのか?三式弾の欠点なんて使ってれば直ぐ分かるだろうにヒヒッ」

 

「だからこそ、意見を聞きにここに来たんだがな…それに、協力次第ではここから出せるぞ?」

芋太郎は呆れながら、報酬の提示をした。

 

「ここから出れる?そりゃぁ良い、何をすれば良い?」

ビーンは真っ先に報酬へ食いついた。

 

「まずは、普通に喋れ。そろそろ無茶してるのが丸わかりだぞ…」

そう言われた、ビーンはふぅっと溜め息をして真剣な顔つきになる。

 

「良いだろう、道化は止めだ。何をしてほしい?」

先ほどの喋り方と、今の違いに赤城は驚く。

 

「協力しろといっても改善点を出して欲しいと言う訳でもなさそうだが?」

ビーンは続けて、今までの会話から出てきた推測を述べた。

 

「俺の補佐になってくれないか?演習・指揮もろとも任せたいことがあるんだが」

ビーンは顎を撫でながら口を開いた。

 

「それは構わないが、補佐をするにあたって条件がある」

 

「言ってみろ…」

 

「1つ演習では全て実弾を使う事。2つ俺が要求した機材は早急に用意すること、それだけだ」

それを聞いた芋太郎は頷き、手を差し出した。

 

「弟として感謝する」

ビーンは出された手を掴み、返した。

 

「兄として協力させてもらう」

要件がほぼ終了した芋太郎はもう1つあった封筒から、1枚の紙を取り出すと、看守へ渡した。

 

「コイツを開放してもらえるか?輸送先は紙に書いてある」

その紙は出獄する為の手続きの省略化された内容と、出獄させる意図が上層部指示と言う事が書かれた書類であった。

それを見た看守は特に驚いた様子も無くその書類を受け取った。

 

「了解しました」

収容施設だと言う事で、揉めると思っていた赤城は予想外の対話の早さに驚いた。

そんな赤城を他所に、芋太郎は踵を返し入ってきた道を戻りはじめた。

赤城も芋太郎の後へ続く。

 

「以外と早く話が終わりましたね…」

赤城は遠回し終わりが早かった理由を聞く。

芋太郎は赤城の思惑に気づく事無く、答えた。

 

「上層部を揺すった甲斐があったな。上層部に汚職の証拠はとても有効だ」

 

「何事もほどほどにお願いしますね、恨みを買ってしまわないように」

それを聞いた芋太郎は苦笑いを浮かべた。

 

「アイツが来たら全部隠さなければな、片端から揺すっていきそうだ…」

芋太郎は、はぁ…という溜め息をついたが、赤城を横目に見ながら歩き続けた。

その視線の先には心配そうな心情を隠せない赤城の顔が映っていた。

そんな赤城の頭に芋太郎はポンッと手のひらを乗せる。

赤城は急に頭に掛かる軽い重量に驚いたが、芋太郎の行動によるものだと理解すると微笑んだ。

「なにするんですか、芋太郎さん」

赤城は笑いながら言った。

 

「いや、心配そうな顔とかを見るのは辛くてな…それに…」

芋太郎は言い淀む。

 

「それに?」

赤城は話しの続きを聞き出そうと相づちを打った。

数秒感の間が空き、芋太郎は続きを話し始めた。

 

「今回の件は、正当な理由と証拠を交互に使って交渉したからあまり心配は要らないと思うぞ」

 

長々と話しをしていた様だが、2人は車の前まで来ていた。

車に乗り込んだ2人は、運転手に情報が漏れてしまわぬ様にと、これ以上の会話を止めた。

 

 

来たときと同様の時間揺られて帰還した2人だったが、芋太郎は他の艦娘に打ち明けずに行ったためか、提督室で多くの艦娘による追求を受けたが、その後は普段通りの時間が流れていった。

また、赤城の方は提督と2人きりで何処に行ってきたのかなどを聞かれたのだが、隠す理由も無く戦犯収容施設としか言えず、そう打ち明けていた。

それを聞いた多くの艦娘からは「ありえない」の返事が返ってくるのだが、それに対して赤城はこのように答えていた。

 

「夜になれば分かりますよ」

聞かれるたびに、このように答えていた。

 

 

そして、看守との約束の時間になった頃、提督室へ1本の電話が鳴る。

芋太郎はその受話器を耳に当て話し始めた。

 

「こちら近藤 和太郎要件をどうぞ」

 

「こちら、輸送班もうすぐそちらへ到着するので準備の方を頼みます」

 

「わかった」

一連の会話を終えた芋太郎は、受話器を元の場所へ戻すと、提督室を後にした。

 

芋太郎が向かった先は、車両がよく待機している広場であった。

ここにはまだ車両の姿は無かったが、門が開けられるような音は響いていた。

 

そして数秒もたたずに、エンジン音を響かせながら、徐行する護送車が映った。

その車から降りてきたのは、看守とビーンであったが、ビーンの格好に芋太郎は笑い始めた。

 

「もう少しまともな格好は無かったのか?」

芋太郎の目に映るビーンの姿はモソモソとした感じを出し、暗緑色で構成されたギリースーツを来ていたのだ。

 

「何を着ようが俺の勝手だろ?それよりも良いとこじゃないか」

ビーンは鎮守府の感想を述べた。

 

「歓迎する、ビーン。今日は遅いから紹介するのは明日にしよう」

時間的問題から、ビーンの自己紹介は明日と言う事になったが、ビーンは芋太郎の案内も無く宿舎らしき建物へ無かっていく。

芋太郎も何をやらかすのか分からなかったのか、ビーンの後を追いかけたが。

ビーンはネームプレートの貼られていない、空き部屋を見つけるとピッキングで鍵を開け部屋の中に入っていった。

 

芋太郎は特に問題ない事を確認すると口を開いた。

 

「今日は寝てろ、ビーン」

端からすれば、威圧的な態度ではあったが、ビーンは気にする事無く言葉を返した。

 

「言われなくても、そうしてるさ。なんせ数年ぶりの羽毛だからな」

そう言うと下品な笑い声をあげた。

 

芋太郎はビーンが入った部屋から出ると明日の事について考えたが、明日行う予定の紹介時の方が疲れるだろうと判断し、眠る事にしたのだった。

 




読んでくださり、ありがとうございます。
久しぶりの解説いきます。

1:上層部の圧力について
 4話の延長線で。芋太郎の指揮する鎮守府の方針は、作者が思っている限り。
接近+脅威となりえる場合のみ全力防衛という方針であって、現在では遠征制圧は行っていません。
よって、くだらないことでの応援要請、出撃要請があっても無視している状態なので圧力が掛かると言う訳です。
この方針を行っているのにも理由がありまして、ただ単純に正攻法(ゲーム)の様な事を繰り返していたら数で押し負けると判断していまして、少数で大損害を与えるのは策略だと言う事で今回の演習に繋がりました。

2:ビーンについて
 道化を演じる彼、本文中にもありましたが元提督です。
弟だと言う事で芋太郎は過去に何度か演習風景を見せて貰った事があると言う設定にしています。
そこでの演習風景が他の所と一風変わった事をしていたからこそ、今回、芋太郎は兄・ビーンを頼る事にしたのです。
どんな事を行っていたかは、技の伝授的な事で後々書いていきます。

名前の由来は豆です。
芋に豆…
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